1968年の夏の夜。プラハのパブでコンスタンツァは特異な彫刻が施されたバイオリンを持つ不思議な男に出会う。彼は彼女のためにと「逆奏のカノン」を奏でた。偶然ではない。その音楽と彼のバイオリンには、彼女にまつわる物語があったのだ。それは時代を遡ること半世紀…ボヘミア地方のバイオリンと音楽を愛する純朴な青年イェノと、美しいユダヤ人女性ピアニスト、ソフィーの悲恋の物語。そして、第二次世界大戦と25年後の「プラハの春」を跨ぐ、デイヴィッドとの友情の物語である。音楽と愛は、時代を超える最も強く堅い絆なのだ。そしてイェノの隠された出自と家族の因縁がもたらす数奇な運命。ナチスドイツによって居場所を奪われていくユダヤ民族の行く末は…イタリア映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの奏でる旋律が美しく激しく心を揺さぶる。
やることといえば亀のエサやりぐらい。周りの人からは、自分が見えていないのではないかというほど、雑に扱われてる気が…。代わり映えのしない毎日と、自分の平凡さを嘆く主婦・スズメは、ある日、駅の階段のへこみに張られた小さな広告を目にする。「スパイ募集」―思いがけない文字に興味を引かれ、そこに書かれた番号に電話をするスズメ。後日、指定された安アパートに行ってみると、クギタニと名乗る夫婦が彼女を待っていた。そこでスズメは、ちっともスパイらしく見えない2人に?才能がある”と絶賛され、半ば強引に活動資金500万円を手渡されてしまう。
漫画家のリードは、妊娠中の婚約者オリビアと、片田舎の山小屋で両親や友人たちを招いた婚約パーティーを開催した。パーティーを終え、幸せな気分で家路につく二人だったが、道中で衝突事故を起こしかける。動揺で混乱した二人は、山道で携帯の電波も入らない中、方角を見失ってしまう。仕方なく近くの売店で道を確認すると、風変わりな店員から地元の人たちがよく使うという近道を勧められる。言われるがまま近道を進む二人だったが、この選択が彼らの運命を狂わせる。延々と続く道を走らされていることに徐々に気づくと共に、リードは暴力的な幻覚に、オリビアは過去の記憶が曖昧になっていく。そんな中、道をさまよう怪しげなヒッチハイカーと出会い、二人はさらなる恐怖に追い詰められていく。
岐阜県関市。市役所の観光課に務める山田一郎はある日、市長から“ご当地映画”の製作を命じられる。しかしどこにでもある“凡庸なご当地映画”に疑念を持った山田は、かねてからの夢だった〈怪獣映画〉の製作を思いつく!いつも失敗ばかりでダメな自分を変えるため!パッとしない故郷を変えるため!怪獣で、全部をぶっ壊す!!しかしその想いは、市政を巻き込んだ大事件へと発展していく...!果たして山田は、夢だった〈怪獣映画〉を完成させることができるのか!?
1920年、韓国独立運動の歴史において伝説的な勝利として刻まれる「鳳梧洞(ポンオドン)戦闘」を基にした物語。日本統治下の朝鮮。かつて馬賊として名を馳せたファン・ヘチョル(ユ・ヘジン)率いる独立軍の一団は、上海の大韓民国臨時政府へ軍資金を届ける極秘任務に就いていた。その道中、ヘチョルは三屯子(サムドゥンジャ)を守る若き分隊長、イ・ジャンハ(リュ・ジュンヨル)と合流する。異なる背景を持ちながらも「独立」の名の下に結束した彼らは、三屯子で日本軍を奇襲し、見事な勝利を収める。しかし、それはさらなる激闘の序章に過ぎなかった。執拗に追撃してくる日本軍を死の谷「鳳梧洞」へと誘い出すため、ジャンハは自らを囮(おとり)とする命懸けの最終任務に挑む。
幼い頃の記憶を封じて生きてきたヴァルの前で、家族が次々と姿を消していく。残されたのは、かつて皆を笑わせたはずの人形“パンチ と ジュディ”だけ。家の中では囁く声が響き、影が勝手に動き、現実そのものが歪み始める。逃げても逃げても悪夢は追いすがり、ヴァルが忘れたはずの“あの日”の記憶が少しずつ形を取り戻していく。家族に何が起きたのか、そして自分の過去にどんな真実が潜んでいるのか。迫りくる恐怖の中で、ヴァルはその核心へと近づいていく。
かつて夫だったカリムに、愛する4歳の娘アミナを国外へ連れ去られたマーラ。行き先はカリムの故郷である中東と思われるが、国際的な親権争い、文化や宗教の違い、国家間の制度などマーラの前に大きな壁が立ちはだかり、その消息は掴めないまま数年の月日だけが流れる。少しでも娘に近づくため、マーラは誘拐された子どもを救出する仕事を行う元軍人のロブソンの任務を手伝う。そして、ついに娘の居場所に近づく有力な情報が得られる。それは中東・ベイルート。ロブソンたちの協力の元、ベイルートへ向かうマーラたち。だが、それは国境や組織、さらには国家レベルの陰謀までもが行手を阻む過酷なミッションとなる。果たしてマーラは無事、娘を取り戻すことが出来るのか!そして、この再会に未来はあるのか!?
1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。ただし、ブルーボーイと呼ばれる、性別適合手術[*当時の呼称は性転換手術]を受け、身体の特徴を女性的に変えた者たちの存在が警察の頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならない。そこで目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」[*現在は母体保護法に改正]に違反するとして、手術を行っていた医師の赤城を逮捕し、裁判にかける。同じ頃、東京の喫茶店で働く女性サチは、恋人からプロポーズを受け幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野がサチのもとを訪れる。実はサチは、赤城のもとで性別適合手術を行った患者のひとり。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。
大石万理花と須藤玲は、アイドルグループ・FunFAREの現エースである西尾由奈の卒業コンサートのために呼び出されていた。3人は結成メンバー。由奈の希望により卒業曲は、ダンサーをしている万理花に振り付けを、衣装制作会社で働く玲に衣装のデザインを頼むことに。才能の限界を感じてアイドルをやめ、振付師を目指してダンサーになるもバイト三昧な万理花。一方、才能とカリスマ性で人気を牽引していたものの服飾の道に進み、衣装制作会社に入るも慣れない社会人に疲弊する玲。決して成功しているとは言えないセカンドキャリアを送る中で、由奈の門出を華々しく飾るべく2人は奮闘する。しかし、すれ違いうまくいかない万理花と玲。そうした中でも由奈の卒業の日は近づいてくる…とうとう由奈のアイドル最後の日。無観客配信で行われるライブの客席には万理花と玲の姿。卒業曲を披露し終わった後、万感の思いで由奈がステージに立っていた。
周囲に馴染めず、転校を繰り返す杏菜が、新たな寄宿学校で出会ったのは、美しく完璧な少女・莉花。 しかし、莉花は突然、屋上から飛び降りて命を絶ってしまう。残されたのは一冊の≪日記≫。ページをめくるたび、莉花の苦悩や怒り、痛み―― そして、言葉にできなかった“ある秘密”が浮かび上がる。その秘密に触れた杏菜と少女たちの心は揺さぶられ、初めて“自分”と向き合い始める。やがて日記から青白く揺れる“鬼火”のような魂が現れ、杏菜の心に静かに入り込む。その魂に導かれ、杏菜は予想もつかない行動へと踏み出す――。観る者は知らず知らずのうちに、その奇妙で美しい世界へと引き込まれていく。
ソープ店で働く主人公・加那。ある日、母から電話が。「一週間だけ、おばあちゃん の介護してくれない?」 仕事のことを隠していた加那は、ソープ嬢ということを秘密に、翌日から祖母宅⇔ソープ店を行き来して、“人の身体”を洗い続ける二重生活〈ダブルワーク〉をすることに。認知症が進み、名前すら覚えていない祖母・紀江の介護に奮闘する加那。会うたびに“初対面”を繰り返してゆく毎日。「どうせ忘れる」相手に対し加那は、祖母との暮らしの中で、本当の事を素直に打ち明けられている自分に気付く。そして祖母の知らなかった、これまでの人生と孤独が垣間見えてきて…。
環境破壊により人類が地上に暮らせなくなってから25年が経った地球。豪華な地下シェルターで暮らす富裕層のアメリカ人家族のもとにある日、外の世界からやって来た少女が現れる。少女は人間が住めない地表の様子を語り、家族が川を渡ろうとして死に、自分だけが生き残ったと告白する。一行はしぶしぶ少女を地下シェルターに迎え入れることにしたが、この出来事をきっかけに、これまで孤立しながらもルーティーンを守って暮らしてきた家族の脆い日常が静かに崩れはじめ、やがて自らの過去と存在の真実に対峙することになる。
サンダンス映画祭でプレミア上映され、絶賛されたSFストーリー。気鋭の映像作家アルバート・バーニーが監督と主演を務め、各映画祭や批評家からも絶賛。奇想天外なストーリーと、どこか懐かしいコンピューター画面やノイズなど仮想空間世界へと観る者を誘う。1987年夏、人目を避け、似顔絵をアスキーアートで描いて暮らすコナーの生きがいはコンピューター・ゲームと愛犬のサンディ。しかし、購入したクソゲーの“オベックス”をプレイすることで事態は一変。サンディが姿を消し、現実とゲームの境界が曖昧になる。コナーは“オベックス”を支配する魔王イクサロスを倒し、サンディを救うためゲームの世界に入り、妖精のメアリーやテレビ男のビクターの力を借りて、奇妙な世界を旅する。
“真夜中の悪魔”として恐れられる猟奇的連続殺人鬼の裏の顔を持つ男、チャーリー。凄惨な殺人事件が起きた夜、彼は人里離れたロードサイドのダイナーに足を踏み入れる。新たに狙いをつけたウェイトレスのアナを惨殺したチャーリーであったが、そこから彼は血塗られた夜を繰り返す悪夢のタイムループに囚われてしまう。初めは本能のまま殺戮衝動に身を任せ、快楽殺人を繰り返すチャーリーであったが、何度も夜はリセットされ殺戮は無限に繰り返された。肉体と精神は徐々に蝕まれはじめ、彼は次第にこの終わりなき地獄から脱出したいと渇望するようになるが―。
長年離れていた故郷の海辺の町に戻ってきた男。息子とともに思い出の地を訪れるが、そこはすでにジュリアン・マクマホン演じる冷酷なリーダー率いるサーファー集団によって支配されていた。執拗な嫌がらせを受け、完全に屈辱を味わった彼は、それでもビーチを離れず、暴力的なサーファーたちと対峙することを決意。地元サーファーたちとの対立が次第に激化、気温がどんどん上昇する中、周囲の誰もが敵に回り、やがて彼は精神的に追い詰められていく。
2022年2月、ロシア軍がキーウ周辺のブチャを占領する中、コンスタンティン・グダウスカスは占領地への通行を利用して市民を救出する。破壊された街を歩き、略奪や暴行に直面しながら、逃げ遅れた家族や孤立した住民を安全な場所へ導く。建物や路地には恐怖と混乱が渦巻き、銃声や爆発が響く中、街の広場や道路に散在する傷ついた人々を避けつつ任務を遂行する。彼の行動により多くの民間人が避難する一方、目撃する残虐行為や破壊の痕跡は彼の心身に深く刻まれる。通過する家屋では、住民たちの恐怖や絶望が伝わり、彼はひとりひとりに声をかけ導く。戦場の街を進む中、占領下の現実を目撃し続ける。
性行為中の女性を撮影するフランスの写真家トマ。ある日、記憶や感情を失った謎めいた男と出会い、彼に娼婦をあてがって人生を弄んでいく。やがて記憶を取り戻した男の過去が明らかになり…。
1960年代のフランス。子供の頃から、スチュワーデスになることを夢見ていたナターシャ。何度も試験にチャレンジするが、当時の航空会社は厳しい外見基準を設けており、背の高い彼女は、何年も最終面接をパスする事が出来ず空港職員として働いていた。ある日、パリから美術品を運ぶ特別便の臨時スタッフとして空を飛ぶチャンスを掴む。しかし、その輸送品にあった〈モナ・リザ〉の盗難事件が発生。ナターシャは思わぬ展開に巻き込まれ、空への憧れをよそに人生最大の冒険へと飛び込むハメに!?
小麦の種を育てる人々の共同体“穀物の民”は、遠方にある都〈シティ〉の圧政に抗い独立を維持していたが、裏切り者によって崩壊の危機に陥る。主人公ヨヴァンは失踪した妹マリヤを探すため、荒廃した世界を旅しながら仲間や愛を見つけ、やがて伝説の剣に選ばれし者となる。 彼の前に立ちはだかるのは、かつて共同体に受け入れられながら裏切り、都市を支配する男。ヨヴァンは剣と仲間の力を頼りに、自由を奪う支配者に挑み、家族と民族の未来を取り戻す戦いへと身を投じていくのだった。
グローバルボーイズグループ、JO1。2020年のデビューから「Go to the TOP!」を掲げ着実に歩みを続けた彼らは、2025年、念願のワールドツアーと初の単独東京ドーム公演を開催した。世界に挑む彼らの5年間の栄光と、旅路の中でメンバー11人が胸に抱いていた想いや葛藤、そして絆を映し出すドキュメンタリー映画第2弾。
専門学校の写真の講義で出会った写真家の竜次とジャズシンガーを目指す小春。「歌っている姿を撮ってほしい」と頼まれた竜次は、ジャズクラブに小春のライブを見に行き、その姿に魅了される。東京で妻子と暮らす竜次だが、毎年、札幌のギャラリーで小春を撮った写真の個展を開くようになる。年に1度だけ、少しずつ変わっていく小春の姿をカメラに収め続けてきた竜次。だが、個展の開催9回目を迎えた春、突然ギャラリーの閉店が告げられ、2人の関係に終わりが近づく…。
母を亡くした小学4年生の美咲は、奇行を繰り返し不登校に。家族や教師が心配する中、彼女は陶芸家の工房で土に触れながら過ごすようになる。ある日、父と親しげな女性が現れ、美咲は彼女が“新しい母”になると悟る。喪失と再生の狭間で、少女と周囲の人々の人生が静かに動き始める。
大阪から宮古島にやって来た碧海貴吉が建てた小さなヴィラ「ふたたヴィラ」は、再会をかなえてくれるヴィラとして話題になり、貴吉は島でかんかかりゃ(神様)と呼ばれるようになる。その貴吉が亡くなり、娘の陽葵が引き継いだヴィラに、会えなくなった相手との再会を願うさまざまな人々が訪れる。
時は流れ季節は夏に。来る第二の簒奪者との戦いに向け、明桜と彩希は日々を過ごしてゆく。青い空に海花火。買い物訓練宿題合宿。一度きりの高1の夏。変わってゆく日常の中、ついに始まる第二の儀式。明桜と彩希は〈ヴァリシア〉を駆り、新たな戦いへと臨む。変わり始めた関係も、どうしようもない現実も、その先にある運命も。繰り返す日々は幸福で、幸福とは今だった。運命の先、二人の心が交わる時、第九の巨人は仮面を棄てる。すべての今を愛するために。もう何一つ零さぬように。
時は2006年、四国の海運都市。陸上選手の夢を失った少女、星守明桜は親友の海添彩希とともに高校に進学。新しい友人と出会い、かつての自分を取り戻しつつあった。しかしある日彩希が姿を消してしまう。この星には、太古より続く戦いがあった。かつて神に与えられた8機の巨人〈星辰機〉。『これに乗り、百年に一度現れる〈簒奪者〉より生命の火を守れ』その言葉に従い、星辰機に選ばれた乗り手は戦い抜いてきた。それから幾星霜。全ての星辰機が斃れてから百年。次の百年を繋ぐため建造された巨大ロボット〈星辰機・デスタニア・レプリカ〉の「精神燃料」として捧げられた彩希の魂に選ばれ、明桜は全生命を守る戦いに身を投じる。彩希とともにいるために。彩希へ一歩踏み出すために。そしてもう一度、自分を信じるために。彩希の運命を奪い奇跡の熱量が爆ぜた時、存在しない9番目の巨人が目覚める。其は〈ヴァリシア〉。冥王の名を持つ白亜の巨人。
地元で長く愛されてきた野球場<ソルジャーズ・フィールド>は、中学校建設のためもうすぐ取り壊される。毎週末のように過ごしてきたこの球場に別れを告げるべく集まった草野球チームの面々。言葉にできない様々な思いを抱えながら、男たちは“最後の試合”を始める…。
人気アジアホラーの系譜に連なる、恐怖が連鎖し続ける新感覚。1990年、修練施設で起きた大量殺人事件。その後も不可解な死が続き、廃墟は“鬼門”と呼ばれるようになった。母を悪霊に奪われた青年ドジンは真相を求めて施設へ。同じ夜、都市伝説を追う学生たちも足を踏み入れる。オカルト×心霊の恐怖と謎解きミステリーが交錯し、逃げ場のない恐怖が果てなく続いていく―。
11歳でパリ国立高等音楽院に入学し、ナディア・ブーランジェに師事。才能は開花しクラシックとジャズを組み合わせた独自の音楽を作り上げた。ジャズミュージシャンとして活躍したのち、フランス映画音楽の世界に飛び込みジャック・ドゥミとのコンビで『シェルブールの雨傘』他名作を生みだす。海を越えハリウッド映画の作曲も数多く手がけた。本作は、晩年のルグランに密着し、貴重なアーカイブと、スティング、クロード・ルルーシュなど、45名以上の音楽家や映画監督、家族のインタビューを通じて、彼の人生を振り返りながら貴重な音楽制作の舞台裏に迫る。音楽家としての高いプライドを持ち、一切の妥協を許さない厳格な姿勢、普段見せることのない作曲中の姿、創作にもがき苦しみ重圧に苦悩するという知られることのなかった素顔を映し出す。
模範囚だけが入所を許される特別な施設<マーリカヤ刑務所共同体>へ移送されたカーラ。そこでは「HOPE」と呼ばれる、極秘の社会復帰プログラムが実施されていた。カーラの世話役は、美しくミステリアスなリラ。カーラはリラの不思議な魅力に引き込まれ、魅了される。ある晩カーラは、リラと数人の受刑者たちが、美しく着飾って施設を出て行く光景を目撃する。受刑者たちは、HOPEプログラムの一環として、秘密裏に外で顧客に性的なサービスを提供していた。それを知ったカーラはリラに、自分も連れて行ってほしいと強く頼み込む。リラは、自分が監督役となることを条件に、カーラを連れて行くのだが―。
借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜を問わず必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す―。
1941年12月8日、日本軍の真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まる。華やかだった戦前の東京、浅草も終戦間際には焼夷弾の攻撃により、人も家も何もかもが焼き尽くされた。その渦中にいた上野は、言問橋を渡り逃げ込んだ家から見た火災扇風に人が巻き上げられていた。笹川は浅草から上野方面に逃げるが進めない。同じ時、深川では濵田が炎を潜り抜け清澄庭園に逃げ込み、関野は中川の土手沿いの防空壕で耐えた。その後に続く表参道への山の手空襲では泉が見た死体の山、終戦間際に襲われた八王子では焼夷弾と機銃掃射の攻撃で、石井の目の前で母子が撃たれる。一方、荏原では焼夷弾の消火、遺体の処理をした今野は記憶を80年間胸にしまってきた。いったい東京で何が起きていたのだろう。
要人警護のスペシャリストだったハオジュンは、事故で娘を失明させてしまい、妻とは離婚、仕事も失った。それから8年後。航空会社の保安警備員として働く彼は、勤務を終え帰国便に乗り込む。偶然にもその機内には、海外での治療を終えた元妻と娘の姿があった。久しぶりの再会に心が揺れるも、視力を失った娘にどうしても声を掛けることはできなかった。静かに高度を上げていく機体。穏やかな空の旅は、ある瞬間を境に一変する。乗客に紛れていたハイジャッカーたちが、突如として機内を制圧したのだ。その瞬間、ハオジュンの中で眠っていた何かが目を覚ます。逃げ場のない上空で、再び“護る者”として立ち向かう―。
人里離れた狩猟小屋で週末を過ごすソフィーと婚約者のノーラン。動物を殺すことに違和感を感じ、狩りをやめていたソフィーは、ノーランの初狩猟のため、元狩猟仲間で親友のカイルを小屋に招いた。カイルに婚約を知らせる目的もあったが、その知らせにカイルは深く動揺する。ノーランは、カイルが過去にソフィーと関係を持っていたことを知り、彼を挑発し始める。気まずい空気のまま迎えた狩猟当日、カイルは鹿を仕留めるのだが、瀕死の獲物を置き去りにして別の鹿を追う。ノーランは苦しむ鹿を早く楽にさせるよう要求し、二人が戻ると、巨大なオオカミが獲物を喰らっていた。恐怖でパニックになったノーランを、オオカミは容赦なく襲う。焦ったカイルはノーランを置き去りにし、ソフィーのいる小屋に逃げ戻る。事情を聞いたソフィーは、カイルと共にノーランを救うべく森に急ぐのだが、そこには恐ろしいオオカミの群れが、次なる獲物を待ち受けているのだった―。
新人賞を受賞したにも関わらず、未だ単行本も出ない不遇な新人作家・相田大樹こと中島加代子(のん)。その原因は、大御所作家・東十条宗典(滝藤賢一)からの痛烈な酷評だった。名だたる文豪に愛された「山の上ホテル」に自腹で宿泊し、文豪気分で原稿に向かっていた加代子のもとへ、大学時代の先輩で大手出版社の編集者・遠藤道雄(田中圭)が現れる。東十条が上階でカンヅメ中と知らされた加代子は、「原稿が上がらなければ私にチャンスが…」と奇想天外な作戦で執筆を妨害し、掲載の機会をつかむ。ここから因縁の対決が幕を開け、デビュー直前で何度も蹴落とされ、さらには味方と思っていた遠藤の裏切りまで。加代子は「私は私の夢を叶える!」と立ち上がり、不屈の精神と奇策で理不尽な文学界を駆け上がっていく。
妊娠中に夫と死別、マルチ商法に手を出したパートナー、別れた旦那が自殺、若い娘に全財産を奪われたなど、さまざまな過去を抱えたファンにもカメラは寄り添い共に会場へ向かう。つらい時も悲しい時も、彼、彼女たちを支える“推し活”とは一体何なのか? なぜ、純烈は愛されるのか?スペースシャワーTVで放送した番組にプラスし、武道館後のメンバー脱退や純烈ファンのその後を追撮、40分の未公開映像を含む映画が完成した。
四肢麻痺の父・保(間瀬英正)と2人で暮らす爽子(古澤メイ)は、介護と生活費の負担を抱えながら何度も生活保護を申請するものの、水際作戦によって門前払いが続いている。十分な福祉サービスも受けられず、将来への不安とささやかな夢を抱えながら日々をなんとかやり過ごしていた。そんなある日、頼りにしていたベテラン介護士が担当を外れ、代わりに新人の訪問介護士・桐谷さと(小川黎)が派遣される。場面緘黙の気質を持つ彼女との距離感に戸惑いながらも、爽子は生活の再建を目指す。しかし、ケースワーカーの遠藤(梅田誠弘)とさとの来訪をきっかけに、ある事件が連鎖して起こり、爽子の心が決壊していく―。
1927年、シベリア横断超特急に乗る中国共産党の使者リンとその仲間たち。彼女らは革命家の名簿と暗号を持参し赤軍の護衛に守られているが、一方、列車には得体のしれない敵と裏切者が乗客に入り込んでいる。若い赤軍将校アルチョムとリンは互いに引かれあい、旅も順調に思えたが、突然将校のアンナが殺害され戦いの幕は上がる。嘗てのアンナの恋人、帝政ロシアのエージェントだったニコライはリンと協力して犯人を暴こうとするが、そこに押し寄せる馬賊の襲撃、日本帝国エージェント、アヤノフの毒ガス攻撃で列車はさらなる混乱へと陥ってゆく。陰謀の黒幕は誰か?そして密書は無事にモスクワに届くのか?
第二次世界大戦の戦没者墓地で、若い女性たちが禁断の儀式を行っていた。しかしその行為は、眠りについていたナチス兵士のゾンビ軍団を呼び覚ましてしまった。血に飢えた亡霊たちは村を襲い、やがて周囲の集落へと恐怖を拡大していく。逃げ場を失った人々は、仲間を次々と失いながらも生き残りを懸けて戦うことに。彼女たちは過去の戦争の呪いと直面し、友情と裏切り、勇気と絶望が交錯する中で、亡霊を封じる唯一の方法を探し出せるのか―。
内気で他者と関わることが苦手な水本マナは、明るく天真爛漫な仁藤あいと運命的に出会い、共同生活を始めることに。しかし、ある日を境にあいは突然姿を消してしまう。いつもと様子の違ったあいを心配して捜しに出かけたマナは、その過程で一匹のフレンチブルドッグと出会う。「とうふ」という名のそのフレンチブルドッグと一緒にあいを捜すマナは、とうふや行く先々で出会った人々との交流を通して成長していく。
人気・インフルエンサーのマディソン(エミリー・テナント)は、フォロワーを魅了する華やかな投稿の裏で、常に“理想の自分”を演じ続けていた。新たな映像コンテンツを求め、恋人ライアン(ロリー・J・セイパー)と計画していた南の島への撮影旅行をひとりで決行する。そこは、南の楽園の自然と、ゴージャスなホテルや別荘が並ぶインスタ映えスポット。青い海と白い砂浜、華やかな非日常に包まれ、マディソンは完璧な世界を発信し続けていた。しかし、孤独な旅の途中で出会った気さくな女性CW(カサンドラ・ナウド)との出会いが、やがて彼女の運命を狂わせていく。親しげな笑顔の裏で、CWはマディソンのSNS情報を巧みに奪い取り、“彼女になりすます”という恐るべき計画を進めていたのだ。そしてマディソンが姿を消したあと――CWの次の標的は、同じく超人気のインフルエンサー、ジェシカ(サラ・カニング)。美しい自然とゴージャスな映像美が、やがて恐怖と狂気の舞台へと変貌する。SNSに映る完璧な笑顔の裏で、誰にも知られず“終わりなき悪夢”が始まる――。
麻薬組織を摘発するためにSWATチームは謎の倉庫を急襲する。しかし、そこで発見したものはおびただしい数の死体と、VHSテープの山だった…。いったいここでは何が行われていたのだろうか? 事実を確認すべく、SWATはテープを再生するが、そこには常識をはるかに超えた映像が映し出されていた―。
小さな町の敬虔なカトリック学校に通う大学生のクレア。ジャンヌ・ダルクを崇拝するクレアは自分は神から性虐待者や悪い男を倒し復讐する使命を受けていると信じている。若く美しい容姿、冷静で危険な状況にも動じないクレアは、とんでもない自己防衛のスキルと殺人能力を持っていた。ある日、町で若い女性が次々と失踪する不可解な事件が起き、クレアの友人が行方不明になったことで、彼女は自分だけが事件を解決できると捜査に乗り出すが・・・
人生の意味を求めハーバードを中退したウィルは、バイソンハンターの町「ブッチャーズ・クロッシング」へ。狩人ミラーから、誰も見たことのないバイソンの大群の存在を聞き、出資して狩りに同行する。野営担当ホッジ、皮剥師シュナイダーと共にコロラド州へ。過酷な旅の末、大群を発見し狩りを開始。ウィルは興奮するが、ミラーの際限ない狩りに不信感を抱く。長引く旅と苛立ちから、ホッジはシュナイダーの食事に毒を混入。それに気づいたシュナイダーはホッジを撲殺する。数週間のはずが数ヶ月に。狂気に飲み込まれる男たち。厳しい冬を越した3人は春に帰路につくが、彼らを待ち受けるのは、想像を絶する残酷な現実だった。人間の本性が剥き出しになる、衝撃のサバイバル。
深い森の奥、朽ちた火の見やぐらに横たわるのは、60 年前の凄惨な事件に起因する怨念の亡骸―ジョニー。その死体とともに封印されていたペンダントがある日、何者かの手によって持ち去られる。やがてジョニーは奪われた遺物を取り戻すべく蘇り、若者たちに標的を定める。不死のゴーレムと化した彼は、冷酷かつ静かに殺戮を遂行していく。だが、その怒りは彼らにとどまらない。ジョニーの行く手を阻むすべての存在に、“死” という名の償いがもたらされる―。
障がい者施設で暮らす那須叶(なすかなえ)通称ヌー。彼女は母親を求めながら、赤ん坊の頃捨てられたロッカー“ぬ5515”を守り続け、毎日コインロッカーの前で絵を描き続けていた。ある日、刑務所から出所した男・黒迫和眞(くろさこかずま)と出会う。黒迫は、別れた妻子に金を送る為、現在はヤクザである友人の木嶋から紹介してもらった覚醒剤売買で金を稼ぐ。ヌーのコインロッカーの傍で覚醒剤売買をしながら次第にヌーに興味を持ち、思い付きでSNSでヌーの絵をアップし始める。海外の有名アーティストから絵を買いたいとの連絡が入り、高額で売ろうとした黒迫だったが、ヌーの純粋な心に触れ良心が生まれる。そんな時、ヌーが白血病により倒れ余命を宣告される。黒迫はヌーに、適合した自分の骨髄を移植するが、覚醒剤売買が発覚し、警察に連行される。病院を抜け出し冷たい雨に打たれながら黒迫を追って警察署の前で再び倒れたヌーは、無理が祟り亡くなってしまう。釈放された黒迫はヌーの担当施設職員・瀬戸瑠璃子によって、ヌーが黒迫へ残した沢山の絵と想いを受け取る。
百戦錬磨の隴西陌刀軍の田安鄴(でん・あんぎょう)は、朝廷の世継ぎ争いに巻き込まれ、梁城での大殺戮で大勢の仲間を失ってしまった。落胆した田安鄴は刀を捨て、郊外で炭売りとして、占い師の爺さんとひっそりと暮らしていた。新皇帝即位のおり、町へ炭を売りにいった田安鄴は敵に追われる聶霊児(じょう・れいじ)という母子を助ける。この女性、実は暗殺された楊倓(よう・たん)王子の子を産んでいた。そして、楊倓の部下を名乗る謎の女性剣士が現れ、母子を守り、建陽門まで護衛につくように頼まれる―
監督・脚本・撮影・演出のエヴァン・マーロウが執筆から8年の年月をかけ製作。世界中のホラー映画祭で23もの映画賞を獲得したシュルレアリズム・ホラー。
竜介と知美は中学生でいとこ同士。夏休みに徳島の穴吹川で川遊びをしていた最中に急流に流されてしまう。すると龍が現れ、二人を救い出し、謎の老仙人のもとへと導く。老仙人は二人が溺れて死んでしまったと宣告するが、霊界を旅して「人生でなすべきこと」を見つけたら元の世界に還してくれると告げる。二人は戸惑いつつも、霊界探訪を決意する。そして、龍に導かれて霊界へと旅立つ。たどり着いた場所は、この世と変わりないように見えるが、やがて次々と恐ろしいことが起こる。恐怖心に支配された人たちが殺し合う。病院では医者が患者を切り刻む。死んでも死んでも、また蘇り、また殺される。そう、ここは地獄なのだ。しかし、霊界の旅は地獄だけでは終わらない。さらなる未知の世界へと冒険は続く。二人は霊界で何を見つけるのか?
アジアの架空の国・萊咖(ライカ)。香港有数の犯罪組織の会長バオの取引現場に警察が急襲、バオの右腕であるティアンが逮捕されてしまう。刑務所に入ったティアンにバンは告げる「3年後に香港に戻れば会長の座を譲る」と。そして、刑務所内でのトラブルを解決するために凄腕の男シャンがティアンの元へと送り込まれる。ティアンの信用を得たシャンは3年の刑期を終え出所するティアンに香港へ来るよう誘われる。深刻な病気を患う妹の手術費を稼ぐため、シャンはティアンを追い香港へと向かう。だが、シャンの本当の姿はバオの組織壊滅を目論む警察の潜入捜査官であった。一方、香港では引退を表明したバオの座を継ぐための熾烈な権力争いが勃発していた。周囲の者たちの裏切りや死を経て、ティアンとシャンの間に芽生える信頼と友情。そして、男たちは最後の決断の瞬間を迎える!
香港警察のアウ(ルイス・クー)は、潜入捜査官のチョン(アーロン・クォック)とともに、麻薬王のカン(ラウ・チンワン)の麻薬密売組織で働いていた。ある事件をきっかけに、彼らは“兄弟”のような固い絆で結ばれていく。香港警察に追われたアウは、仲間を引き連れ、タイのゴールデン・トライアングルへ逃亡。やがて、3人を巻き込み、信頼、友情、裏切り、それぞれの正義が交錯する大激戦が勃発!はたして3人の運命は…。
1944年、第二次世界大戦下のフィリピン。敵国の占領下に置かれたある村で、トヤン(ヴィクトリア)を含む若い女性たちは、捕虜として監禁され、敵国の兵士たちによる非道な凌辱に遭っていた。身体と心に癒えることのない傷を負い、絶望の日々を送るトヤン。そんな中、反乱の口火を切った幼馴染を目の前で亡くし、失意のまま、施設からの命がけの脱走を決行する。トヤンが辿り着いたのは、人里離れた山間に立つ古い家。そこに住んでいたのは、目の不自由な青年ドメンだった。見ず知らずのトヤンを優しく受け入れ、静かに寄り添ってくれるドメン。彼の純粋な優しさと温もりに触れ、トヤンは失ったはずの安らぎを感じ始めるのだが―。
地球各地で隕石の衝突が頻発する中、テキサスの人里離れた牧場に暮らす夫婦・シャーロットとリアムは、突如として“隕石の直撃地”となった自宅で孤立する。通信は遮断され、周囲の住民はパニックに陥り、秩序は崩壊。彼らは牧場を守ろうとするが、空からの脅威だけでなく、政府の隠蔽工作や武装した近隣住民の暴走にも直面する。やがて、隕石の落下が自然災害ではなく、何らかの意図を持った現象である可能性が浮上。シャーロットは元NASAの研究者であり、過去のデータと照合する中で、隕石の軌道に“人工的な操作”の痕跡を見つける。
1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく…
多様な文化を持つ人々が多く暮らす、カナダ・トロント東部に位置するスカボロー。そこに暮らす3人の子どもたち。精神疾患を抱えた父親の暴力から逃げるようにスカボローにやって来たフィリピン人のビン。家族4人でシェルターに暮らす先住民の血を引くシルヴィー。そしてネグレクトされ両親に翻弄され続けるローラ。そんな彼らが安心して過ごせる場所は、ソーシャルワーカーのヒナが責任者を務める教育センターだった。厳しい環境下で生きながらも、ささやかなきずなを育んでいく3人だったのだが…。
美大生ウナには、大切な恋人ディッディがいる。しかし、二人の関係は秘密だ。彼には遠距離恋愛をしている長年の恋人、クララがいる。ある日ディッディはクララに別れを告げに行くと家を出た後、事故に巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。誰にも真実を語ることができないまま、ひとり愛する人を失った悲しみを抱えるウナの前に、何も知らないクララが現れるーー。クララを励ます仲間たちを見て、ウナの心は追い詰められていく。そんななか、クララはウナに対するある思いを打ち明けるのだった…。行き場のない気持ちに翻弄されるウナの姿、徐々に近づいていく“愛する人を失った”二人の距離を、狂おしいほどの緊張感とかつてない繊細さで映し出す。
バブル経済の破綻と共に、そのあおりを受けた大阪にて不動産業を営む男・碧海貴吉は失意のまま大阪から宮古島にやって来る。自殺をしようとしたその時、亡くなった父・勘吉が現れ貴吉に叱咤する。ウミガメを見せた後「あの丘に小さなホテルを作れ。そしてその裏の砂浜にこのウミガメを放て…そうしたらそこは人を救う再開の場となり、お前の人生も救ってくれる」と言って消えていく勘吉。勘吉の言葉通り、ヴィラを建てる貴吉。やがてそこは泊まれば心から願う再会を叶えてくれる「ふたたヴィラ」と呼ばれる。時は流れ、宮古島へ降り立つ碧海陽葵。母と自分を捨てた父・貴吉を恨むが、その父が亡くなり内縁の妻・甘潮優実に呼ばれ渋々来たのだった。貴吉の造り上げたヴィラに連れられ、そのヴィラに訪れる家族や島の住人達と触れ合う。漁師の父に反抗し島を出た息子・南城津吉は、都会で上手く行かずヤクザに追われながら島に戻るが、殺したヤクザの家から引きこもりの娘を連れ歩く。久しぶりに会った母・南城寿子は認知症により自分の息子が分からなくなっていた。新型コロナウイルスによって夫を亡くした村川叶は、娘・村川愛那と共に再会を果たせるヴィラに願いを込めて訪れていた。行方不明になった娘を探す夫婦は、娘に似た人が宮古島に居るという情報を聞きつけ訪れる。其々の家族が「ふたたヴィラ」によって、ほつれた想いをほぐし新しい絆を紡いでゆく。陽葵は、母・ジェニファーが娘が自分から離れることを恐れ父について嘘をついていたことを知らされる。甘潮から父・貴吉の想いを聞き、「ふたたヴィラ」継ぐことになる。天使となった貴吉は宮古島の美しい空と海で見守り続けてゆく、、、
ある日突然、男らしさを揺さぶられたらー“幸福の象徴” 煙突そうじ人が悩みに悩む異色コメディ煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との一度きりのセックスで新しい刺激を覚えるが、平然と妻にこの話をしたことで夫婦仲がこじれてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他者の視線によってどう形成されているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は自身に起きた衝撃的な出来事により、自らの“男らしさ”を見つめ直していく。この出来事について語られる会話には「どこからが浮気か」「夢は現実にどんな影響を与えるのか」といった誰もが一度は考えたことのある普遍的なテーマが散りばめられている。また“セックス”や“セクシュアリティ”といったデリケートな話題を含みつつも、あっけらかんとした会話にはオフビートな空気が漂う。「DREAMS」「LOVE」「SEX」で最もコメディタッチな異色作。
愛することに不器用な大人たちーあらゆる“親密さ”を探求するロマンティック・ジャーニー 泌尿器科に勤める女性医師のマリアンヌと男性看護師のトール。共に独身でステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌは友人から男性を紹介されるが、子どもがいる彼との恋愛に前向きになれない。そんな折、トールはマッチングアプリなどから始まるカジュアルな恋愛の親密性を語り、マリアンヌに勧める。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の可能性を探る。一方トールは偶然フェリーで知り合った男性ビョルンを勤務先の病院で見かけー。出会いが多様化した現代の恋愛観がリアルに映し出されており、主人公達は劇中に度々登場するフェリーのように本能と理性をゆっくり行き来しながら、しっくりくる“親密さ”を探す。愛することに不器用な大人たちが、静かな本音をさらけ出す、「DREAMS」「LOVE」「SEX」で最も優しく今を映し出した1作。
恋に恋する少女の綴った手記が、思わぬ方向に一人歩きしていくー女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないように自らの体験を手記にする。そしてこの気持ちを誰かに打ち明けようと詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は経験したことのある相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬などあまりにも無垢な初恋。そしてその気持ちを秘密にしておきたい、でも誰かに共有したいという矛盾した思いが祖母や母を巻き込み、ヨハンネの手から離れた手記の行方が、モノローグで綴られる。娘の手記を見て、祖母は自らの女性としての戦いの歴史を思い出し、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称し、現代的な価値観にあてはめようとする。3世代で異なる価値観を持つ3人が初恋の手記を通して辿る運命はー。