「つまらない練習をしてるなあ、これが日本のサッカー部か」(馬堀)久保のいない掛高サッカー部は、まるで灯が消えたように沈んでいた。久保が残したものとは何か? 自分たちは、これからどうするべきなのか?考えれば考えるほど、皆の気持ちは内にこもって沈んでゆく。そんな彼らを見て、転校生の馬堀圭吾が呟いた。「つまらない練習をしてるなあ」と。サッカー王国・ブラジルでプレイしていた彼から見れば、今の掛高サッカーは退屈以外の何物でもない。それを聞いたトシたちは…。
「…オカマバーだ」(大塚)馬堀はブラジル仕込みの華麗なテクニックの持ち主だが、久保のことは全く知らない。彼の入部は、掛高サッカー部に思わぬ不協和音をもたらした。何の苦もなく受け入れる人間と、彼の加入で“久保のサッカー”が壊されると危惧する人間との間に溝が生まれ、次第に深まってゆく。すべては新主将の神谷がどうまとめるかにかかっている。彼はしばしの沈黙の後、仰天のプランを打ち出した。文化祭でお見合いパーティーをやろうと言うのだ!
「これからの掛高のサッカーを占う紅白戦になりそうですね」(監督)掛川サッカー部に内紛が発生。久保の遺した練習メニューを、馬堀が無駄だと言い放ったのが発端だった。久保のメニューは弱点を克服するためのもの。それを達成した今、いつまでも同じ練習をしても意味がないと馬堀は指摘したのである。仲裁に入った神谷は紅白戦を支持。久保にこだわるトシたちと、馬堀のやり方に興味を持ち始めた平松たちとを対決させる。一美との仲を疑われていたトシは、平松の“裏切り”の原因が嫉妬にあると考えるが…。
「あんなに燃えてるみんな、見たことない!」(一美)トシたちのチームと馬堀のチームの紅白戦は続いていた。レギュラーのほとんどがいるはずのトシたちのチームは、なぜか苦戦を強いられる。トシはいち早く原因に気付く。彼らは久保が目指したサッカーの意味を勘違いして、知らず知らずのうちに理想のうわべだけをなぞっていたのだ。久保の想いを本当の意味で受け継ぐために、彼らはこれまでの固定観念を覆す驚くべき作戦で攻めに転じる。
「10番は、誰よりもサッカーが好きなやつがつけるんだ」(神谷)冬の選手権大会に向けて、レギュラーが発表されることになった。期待と不安に胸おどらせる部員たち。彼らの興味は、もうひとつの問題にも向けられていた。久保の着けていた10番は誰が受け継ぐことになるのか?結局、エースナンバーはトシに託され、選手発表は誰もが納得する結果に終わる。だがトシ自身は、“久保の10番”にこだわるあまり、内心その重さに耐えられずにいた。自分には、まだこの10番は着けられない…。
「目標が出来た気がするのさ!」(トシ)トシと平松は一美に想いを寄せつつも関係を進展させることが出来ず、モヤモヤした気持ちを持てあましていた。白石はというと、トシの姉である田仲夏子に心を奪われていた。奔放な性格の夏子に振り回されつつ、そんな状況を楽しむ白石。トシは帝光学園の恩田朝之というライバルに出会って新たな一歩を踏み出し、白石は恋のスタートを切ったのだ。目標は冬の選手権、彼らはひとつずつ壁を乗り越えて進んでゆく。
「俺には重すぎるよ…」(トシ)トシにとって掛川の10番を着けることは、憧れ続けた久保と肩を並べる場所に立つこと。それは選手権大会の対戦相手や報道関係者、高校サッカーに関わる総ての人間にとっても同じことだった。ただでさえエースナンバーの重みに押し潰されそうだったトシは、高まる注目にプレッシャーを感じて萎縮してしまう。メンタル面の問題は思わぬミスを呼び、彼は泥沼のスランプに落ち込んでしまう…。
「あんたの前にその10番つけてた人は、一度だってそんな顔でサッカーやってなかったって事!」 (一美)10番のプレッシャーからイライラをつのらせていたトシは、ついに一美にまで八つ当たりしてしまう。怒った一美は、突然マネージャーを辞めてしまった。反省したトシは戻ってもらいたいと頼むのだが、なかなか機嫌を直してもらえない。ある日、彼女は不良学生に絡まれてしまい、危ういところでトシと白石が助け出す。不良学生たちは横賀高校のサッカー部員、ラフプレイで有名な次の試合相手だった。
「ハットトリック宣言!?」(白石)雨の中で行なわれた掛川高校vs横賀高校の試合。横賀高校と試合をした相手は、ひどい時には病院送りにされるという。審判の気付かないところで反則級のラフプレーを繰り返す横賀イレブンだが、実力だってなかなかのもの。驚きの作戦でトシたちを窮地に立たせる。だがトシには絶対に負けられない理由があった。彼は一美と約束したのだ。ひとりで三点を叩き出すハットトリックを達成したら、サッカー部に戻ってくれるという約束を。
「グラウンドのトシくん、調子がよかった頃の久保くんにそっくり」(美奈子)全国高校サッカー選手権の県大会も、いよいよ二次リーグが開幕。波に乗る掛川高校は、久保の10番を背負うトシの大活躍もあって順調に勝ち星を上げていた。ある日、意気上がるトシの前に美奈子がフラリと現れた。彼女は悲しい過去を振り払うかのように、長かった髪を大胆に短くカットしていた。どうやらトシに惹かれ始めているようだが…。彼女の目に映っているのは現在のトシだろうか?それとも、彼の横顔に重なる久保の面影なのだろうか?
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