夜天(やてん)の心に近づこうと、花朝陽(かちょうよう)は再び寝所へ忍び込もうとするが、かつての黙認はもはや通じないと知る。行き場を失った彼女は感染を装い、真正面から夜天と向き合うことで、二人は静かに誤解を解いていく。夜天はついに、花朝陽が口づけを通して記憶を探ることを許すが、彼の霊海には彼岸花が一面に揺れ、修羅へ堕ちる寸前だった。さらに夜尋(やじん)が倒れ、夜天は弟を救うため限界を超えようとする。しかし花朝陽は彼を抱きとめ、天人の力を取り戻して夜尋の命を救う。
夜天(やてん)の悪念を断つため、花朝陽(かちょうよう)は再び彼の霊海へと向かう。だが咲き乱れる彼岸花は、憎しみだけでなく、忘れられない想いからも生まれていた。白髪となった第一世の夜天は、記憶を奪われてもなお花朝陽を求め続け、その魂は輪廻へと堕ちていた。一方、城では夜天が修羅疫を抑える力を失いつつある。悪念の根が「失われた記憶」にあると悟った花朝陽は、将軍として生きる夜天の身体を借り、千年前の城へ向かい記憶を取り戻そうとする。そして辿り着いた先で、彼女は夜天に問いかける――自分を恨んでいるのか、と。
夜天(やてん)の記憶を辿る中で、花朝陽(かちょうよう)は、その後悔の正体が愛だったことに気づく。第一世の夜天への想いは、真実を告げる勇気を彼女から奪っていた。その頃、城では修羅疫が再び暴走し、夜尋(やじん)は限界の中で必死に城を支えていた。急ぎ戻った花朝陽は、夜天の執念が彼自身であるという残酷な真実を隠したまま、陰陽玉の欠片から作った薬で疫病の拡大を抑えようとする。やがて身体を取り戻した夜天は、彼岸花を壊さない理由を花朝陽に問いかける。
古月宗の攻城計画が明らかになる中、花朝陽(かちょうよう)は夜尋(やじん)を守るため、再び運命の渦へと身を投じる。修羅疫を放置することへの夜尋の叫びは、古月宗が抱えてきた隠された恐れを浮かび上がらせた。やがて花朝陽は、自らが天人である真実と、かつて夜天(やてん)の命を繋ぐため彼のもとを去った壮絶な過去に向き合う。誤解に満ちた長い年月がほどけたとき、残されたのは、代償を払ってでも城を救おうとする夜天の揺るがぬ決意だった。
花朝陽(かちょうよう)は、執念を断たなければ修羅疫は再び起こるという真理を胸に、最後の旅路として夜天(やてん)の霊海へ向かう。前世のすべてを語り終えたとき、夜天の執念はようやく解き放たれ、彼は静かに最期を受け入れる。一人残る未来を選べなかった花朝陽もまた、夜天とともに消える決断を下し、陰陽玉に思い出を託してこの世を去る。修羅疫は消え、城にはただ夢の余韻だけが残された。やがて別の時代で目覚めた花朝陽は、まるで心を入れ替えたかのように、静かに修行の道へと歩み出していく。
物語は最初の一世へと戻る。古月宗の首席弟子・花朝陽(かちょうよう)は、自由気ままに山を下りては戻る奔放な天才だった。一方、書物を愛する凡庸な書生・夜天(やてん)は、行き詰まった創作の糸口を求め、弟・夜尋(やじん)とともに古月宗へと忍び込む。しかし二人は国師・天灯籠(てんとうろう)に捕らえられ、夜天の体内に天人花が宿っていることが明らかとなる。呼び戻された花朝陽は、夜天を弟子として育てる役目を命じられ、不本意ながらもこれを承諾する。陰陽玉によって従命の呪いを施された夜天は、こうして花朝陽の弟子となるのだった。
花朝陽(かちょうよう)は夜天(やてん)を一人前の弟子に育てようと奮闘するが、彼は一向に成長を見せない。弟・夜尋(やじん)のために逃亡を図った夜天は捕らえられ、夜尋までもが古月宗へ連れて来られる。夜天は修行に興味を示さず、小説家として創作を続けたいと主張する一方、夜尋は優秀さを認められ弟子として迎えられる。対照的に夜天は失敗を重ね、花朝陽も見放しかける。しかしある夜、夜天がすでにすべてを習得し、意図的に無能を装っていたことが明らかになる。騙されていたと知った花朝陽は怒りを燃やし、夜天の本性を暴く決意を固める。
花朝陽(かちょうよう)は夜天(やてん)の実力を暴こうと奇襲を仕掛けるが、夜天はわざと打たれて同情を誘い、攻防の末に話し合いへ戻る。降参したふりをして術を学ぶ道を選んだ夜天に、花朝陽は喜んで書物を与える。一方、花容月(かようげつ)は兄弟を疑い夜尋(やじん)を試すが、素直な対応に戸惑う。夜天は仕返しに書物をすり替えようとするものの失敗し、その必死さを見た花朝陽は誤解してしまう。
誤解が解け、花容月(かようげつ)は夜尋(やじん)を正式に弟子として導き始める。天灯籠(てんとうろう)は最期を悟り、花朝陽(かちょうよう)が天人となった後の花容月を案じ、夜尋に支えを託す。一方、落水した夜天(やてん)の書物を読ませようとする花朝陽に対し、夜天は即興で誤魔化して切り抜ける。処分しようとした書物を前に、眠る花朝陽が自分の名を呼ぶのを聞き、夜天は彼女の想いを勘違いしてしまう。
夜尋(やじん)は花容月(かようげつ)を喜ばせようと奔走する一方、花朝陽(かちょうよう)は夜天(やてん)の唐突な想いに振り回され、距離を取ろうと修行に没頭する。しかし夜天は諦めずに近づき続け、逃れようとした瞬間、思わぬ形で二人の唇が重なる。その衝撃とともに前世と前前世の記憶が蘇り、運命を悟った二人は互いの想いを確かめ合い、共に山を下りる決意を固める。
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