1929年の上海。歓楽街に君臨する「朱雀堂」の当家・高英が舞女たちを冷酷に扱う裏で、路地裏に猟奇的な連続殺人が起きる。舌を切られ、奇怪な邪術になぞらえて飾られた遺体――。南京から赴任した新任探長・唐震雲と、英国帰りで法医学を修めた夏漠が捜査に乗り出すが、現場は証拠を焼く炎に包まれる。遺体の身元をめぐる高英の証言に、夏漠は法医学者の目から鋭く切り込む。やがて浮かび上がる、もう一つの死と、まだ姿を見せぬ何者かの影。真相に迫る二人を、再び激しい炎が呑み込もうとする――。
紅袖の証言に潜む矛盾を、夏漠は指紋という新時代の手がかりで突き崩す。「話はまだ半分しか語られていない」――その先を問おうとした矢先、高英が紅袖を連れて姿を消す。やがて見つかる変わり果てた遺体、その口に詰められた剪られた髪は、猟奇に憑かれた犯人の異様さを物語る。事件を強引に葬ろうとする警察上層部と高英の結託。だが捏造を拒んだ唐震雲と夏漠は、独自の捜査の果てに、闇に潜む新たな影の手がかりへとたどり着く――。
犠牲者の顔を覆っていた不気味な面――その出所をたどり、夏漠たちは裏社会の闇市へと潜入する。浮かび上がったのは、白い数珠を腕に巻いた男の影。選美に沸く会場の熱気の中、激しい死闘の末に夏漠と唐震雲はその男・苗三を取り押さえる。だが尋問の最中、警察上層部の圧力によって苗三の身柄は強引に高家へと引き渡されてしまう。そして、口を割らせた高家が突き止めた事実は、事件をさらなる闇へと突き落とす――。
慧安里二十五号の壁の中から、夏漠たちは十五年前の女性の白骨を掘り出す。バラバラにされ家じゅうに隠された亡骸――その異様さは、一篇の怪奇小説に描かれた猟奇殺人と不気味なほど符合していた。小説を糸口に精神病院へたどり着いた一同は、一連の事件の核心へと一歩ずつ近づいていく。一方、選美の舞台裏では、舞女・朱玉荷が発表の直前に忽然と姿を消す。朱雀堂の檜舞台に、再び狂気の影が忍び寄る――。
二人目の犠牲者が、最初の事件と同じ無惨な姿で見つかる。狙いは明らかに朱雀堂――。捜査が核心に迫る中、唐震雲と夏漠がたどり着いたのは、十三年前に姿を消した過去を持つ、ある身近な人物の影だった。だが警察の手は高家の圧力で封じられ、二人は思わぬ窮地へ。そして華やかな選美の陰で、帰国した高家の令嬢・高月の身に、ひたひたと魔の手が忍び寄る――。
事件は強引に幕引きされたが、犯人が死に際に残した一言――「最初の犠牲者ではない」が、唐震雲と夏漠を独自捜査へと駆り立てる。やがて、選美に関わった若い娘がまた一人、姿を消す。警察に握りつぶされる訴え、無惨な姿で見つかる被害者――。すべての糸は、栄華を誇る朱雀堂の奥に隠された、口にできぬ秘密へと伸びていた。その核心に、高英もまた近づいてゆく――。
犯人が残した数枚の写真が、戦慄の事実を告げる――犠牲になった娘は、紅袖よりずっと前から続いていた。いずれも朱雀堂と関わりを持つ女たちだった。握りつぶされた事件を、高英は唐震雲・夏漠とひそかに追い始める。そして政財界の要人が集う選美の大舞台で、妹を奪われた一人の男が、権力と癒着の闇を世間の前に引きずり出す。だが、その訴えに高い代償が待ち受けていた――。
焼かれたはずの遺体に残された微かな痕跡が、夏漠を打ち捨てられた古い廟へと導く。そこで暴かれたのは、おぞましい像の中に封じ込められた幾体もの亡骸――朱雀堂が隠し続けてきた、戦慄の真相だった。だが核心に手が届いたその瞬間、証拠は高英の手で握りつぶされ、告発者は脅しに屈する。そして唐震雲と夏漠自身が、無実の罪を着せられようとしていた――。
脅しに屈した告発者の偽証によって、唐震雲と夏漠は逆に殺人犯の汚名を着せられ、追い詰められていく。だが夏漠は、遺体に刻まれた矛盾から、自分たちを嵌めた罠を冷徹に暴いてみせる。真実は確かに二人の手の中にあった。しかし高家が仕組んだのは、人証も物証も動機もすべて揃った完璧な筋書き――。証拠は闇に葬られ、すべては権力者にとって都合のよい結末へと収束していく。掴んだはずの真相は、誰に届くのか――。
物証は消えても、傷を負った一人の女が生きた証言者として現れる。夏英奇の尾行が、目隠しの車の先にある秘密の館を浮かび上がらせた。そこは権力者が娘たちを「駒」として弄ぶ、惨劇の舞台だった。すべての元凶へと近づく唐震雲と夏漠。だがその闇の奥に、思いもよらぬ身内の影が潜んでいた。掴みかけた核心は、彼らの想像をはるかに超える深さで根を張っていた――。
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