台北でミュージシャンとして成功するという夢に破れ、台湾最南端に位置する故郷・恒春に戻った青年・阿嘉(アガ)。無為に日々を過ごすうち、郵便配達の仕事があてがわれた彼は、宛先不明で未配達の郵便物の中に、今では存在しない住所“海角7号”宛ての小包を見つける。その中には、60年前、敗戦によって台湾から引き揚げる日本人教師が、愛しながらも別れなければならなかった台湾人女性を想って船上で綴った7通のラブレターが。しかし日本統治時代の住所を知る者は、今や誰もいなかった。そんななか、阿嘉は日本人歌手・中孝介を招いて催される町興しライブの前座バンドに無理矢理駆り出される。成り行きで監督役を任された売れない日本人モデルの友子とは衝突ばかり。小学生の女の子や80歳の老人という寄せ集めのメンバーでは練習もままならず、余計にやる気を失っていく阿嘉をよそに、刻々とライブの日は近付いていた・・・。
父と共にパリのレストランを切り盛りする美しきエラ。ある日、彼女の前に現れた謎めいた男アベルを、一晩限りの見習いとして雇い入れる。しかし閉店後、彼は店の売上金と共に姿を消した。怒りに震え、彼を追ったエラが辿り着いたのは、パリの暗部に潜む地下の秘密賭場。そこでアベルは、奪った金をチップ代わりに「賭けに興じろ」と彼女を誘う。抗いがたい狂気の中、初めて勝負のテーブルに就いたエラを襲ったのは、かつてないほど濃密な高揚感だった。ギャンブルに命を焼くアベルの、自己破壊的な色香にどうしようもなく惹かれてゆくエラ。二人はやがて、溺れるように激しく身体を重ねていく。彼を破滅から救いたいという切なる願いは、皮肉にも彼女自身を、戻ることのできないセルクル(博徒の輪)の深淵へと引きずり込んでゆく。単なる一晩の賭けとして始まった二人の関係は、やがて互いの身を滅ぼすほどの、狂おしい愛欲と情熱へと変貌してゆく――。
過去に罪を犯し刑務所から出所したコナーは、静かな生活を取り戻そうと慎ましく日々を送っていた。 孤独だが更生を望む彼の前に、ある日、海辺にマリリンという美しい既婚女性が現れる。 偶然の出会いから始まった二人の関係は、急速に親密なものへと変わっていく。 マリリンは裕福だが冷酷な夫との結婚生活に苦しんでいると語り、コナーは彼女に同情し、強く惹かれていく。 しかし、関係が深まるにつれ、マリリンの言動にはどこか不自然な影が差し始める。 彼女の語る「被害」は本当なのか、それとも巧妙に演出されたものなのか。 コナーは次第に、愛情と疑念、欲望と恐怖の間で揺れ動きながら、取り返しのつかない選択へと導かれていく。
人里離れた美しい山々に囲まれた村には、満月の夜にだけ姿を現す謎の美女マリアの噂があった。村に住む青年ダニーロは運命に導かれるように彼女と出会い、その抗いがたい魅力に溺れてゆく。二人は密かに愛し合うようになるが、真に想いを分かち合えぬまま月日は流れる。やがて成長したダニーロには同級生の恋人ができ、マリアの元を訪れる回数は自然と減ってゆく。年齢も経験も重ねるダニーロに対し、マリアは出会った日のまま、若々しく妖艶な姿で彼の前に現れ続ける。ある夜、マリアへの欲望が抑えられなくなったダニーロは、彼女と情熱的に、互いの想いをぶつけ合うようにカラダを重ねる。しかし、決して埋めることのできない「時の断絶」が再び二人を分かつのだった……。フィリピンの神秘的な自然を背景に、生身の人としての幸福と、不変の存在への思慕が織りなす、官能的で切ないラブストーリー。
新人女優のカリーナは、市長である父との確執を抱えながらも、恵まれた環境と美貌で周囲の羨望を一身に集めていた。恋人ブルースとの関係を楽しんでいた彼女だったが、彼の浮気発覚を機に、以前から気になっていたブルースの従弟ジョーダンへと近づいていく。粗野なブルースとは対照的に、ミステリアスな孤独を纏うジョーダン。幼い頃に両親を亡くした彼は「自分の傍には精霊がいる」と語る奇妙な青年だった。彼にはメルシーという恋人がおり、カリーナの誘惑に戸惑いを見せるが、強引な彼女に押し切られる形で二人は一線を越えてしまう。やがてカリーナの妊娠が発覚し、事態は誰も予想しなかった破滅へと加速していく――。物語は凄惨な結末から「逆再生」で語られ、その衝撃の過程が剥き出しにされていく。
恐怖政治の嵐が吹き荒れる1794年のフランス。スキャンダラスな文学や言動で拘留されていたサド侯爵は、パリの刑務所から郊外の館に移される。この館の隣人となった無垢な16歳の伯爵令嬢のエミリーと出会う。貴族の娘であるエミリーはサド侯爵と口を利くことも禁じられていたにもかかわらず、サドの発禁本を読み、性の悦びを知りたいと切望する。サド侯爵は自分の思うままにこの少女を調教するが、侯爵がエミリーの処女喪失の相手に選んだのは庭師の青年だった……。
夫ランドの冷たい態度に不安を募らせていたロミナは、治療師アントニオから、愛の媚薬の存在を聞く。ランドの愛を取り戻すため、藁にもすがる思いで媚薬を調合してもらうロミナ。期待を胸に早速ランドを誘惑するが、彼の反応は変わらず、彼女は深く絶望する。翌日、ロミナはランドの友人マルコから、夫の浮気相手が市場の販売員スーだと聞かされる。裏切りに打ちひしがれ、救いを求めたロミナはマルコと関係を持つ。しかし、彼女の心は一向にランドから離れない。何としてもランドの愛を取り戻したいロミナは、再びアントニオを訪れる。彼女が今回求めるのは、ランドへの愛を繋ぎとめるための媚薬ではなく、スーへ復讐する為の「危険な調合」だった。愛は憎悪へと変貌し、ロミナは禁断の道へと足を踏み入れようとしていた―。
婚約者が消えた。残された手がかりは、「あなたと過ごせて幸せだった」というビデオメッセージだけ―。指揮者ソンジンは、オーケストラのチェリストでもあるスヨンの失踪に動揺していた。結婚と大切な公演を控えた今、なぜスヨンは姿を消したのか。喪失感に苦しむなか、ソンジンは公演のためにチェリスト代理のミジュと対面する。スヨンの代わりはいないと考えていたソンジンだったが、言葉にしがたいミジュの魅力にたちまち惹かれていった。大雨の夜、2人は、スヨンのいない寝室で許されない過ちを犯す。しかし、欲望のままに求め合う2人を失踪したはずのスヨンがすぐ<そこ>で覗いていた――
大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサンは、他人とのコミュニケーションが苦手な反面、数学の理解力に関しては飛び抜けた才能を持っていた。母親ジュリーは、普通の学校に適応できない息子の才能を伸ばそうと、数学教師マーティンに個人指導を依頼し、ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルの中国チームの少女チャン・メイと出会う。彼女と共に学ぶ日々は、数学一色だったネイサンの人生をカラフルに変えていく。そして、数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる…
幼い頃に事故で両親を亡くしたカリスマ。父親の親友ビセンシオに養女として引き取られて以来、彼女は足の悪いビセンシオの介護をしながら田舎町で暮らしていた。ある雨の日、カリスマが屋外で入浴していたところを、近所に住む若くワイルドなエドマールに覗き見される。カリスマはエドマールに強く惹かれ、そのまま彼と肉体関係に。それ以来、ビセンシオの目を盗んで激しい逢瀬を重ねる二人。ミステリアスで美しいカリスマの魅力に、エドマールはますますのめり込んでいくのだが、カリスマには誰にも言えない過去の秘密を抱えていた―。
弁護士マルクは、浮気現場を妻ジャンヌに見つけられ、離婚を言い渡されてしまった。ジャンヌは新しい恋人アントワーヌとさっそく同棲を始める。マルクも高級コールガールのサマンタに出会い、体を重ねて愛し合うようになるが、彼女はジャンヌと意気投合。やがて四人は奇妙な共同生活を始めたが……。後に、『美しき諍い女』の体を張った挑発的な演技で大人の女優として評価されるベアールの初主演作。監督はエドゥアール・モリナロ。
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった…。
ヒットラーの軍隊が侵入してくる数か月前のフランス・プロバンス。薬局を経営するエリアーヌは、大学教授の夫アンリーと15歳の娘と暮していた。ある日、店の雑役夫のアルマンが女店員のジュリエットと間違えて、エリアーヌを暗闇で抱いてしまう。彼女はアルマンを叱るが、彼女には彼の肉体が忘れられない。彼女の欲望を感じ取ったアルマンはエリアーヌに近づき、それ以来、彼女はアルマンの愛の奴隷となり主従関係が逆転する。
兄が仕事で留守の間、美しい妻ラウラの護衛を頼まれた少年サンドロ。その日から、どこに行くにもラウラから離れないようになった彼は、友達と遊べる時間が極端に減ってしまい、彼に想いを寄せるロージーも寂しそうにしている。それを見たラウラは、サンドロに恋の手ほどきを始める。しかし、サンドロにはロージーよりグラマーで美しいラウラの方がはるかに魅力的に映り、彼女への恋心を募らせてしまうのだった。
昼も夜もなく駆けずり回るが、実績は最低。あげくの果てに解体の危機を迎える麻薬捜査班。リーダーであるコ班長は、麻薬を密輸している国際犯罪組織の情報をつかみ、チャン刑事、マ刑事、ヨンホ、ジェフンの4人のメンバーと共に張り込み捜査を開始する。麻薬捜査班はその組織を24時間監視するため、彼らのアジト前にあるチキン店を引き継ぎ、偽装営業をすることに。だが、絶対味覚を持つマ刑事の隠れた才能により、思いがけず、そのチキン店は名店として名を馳せるようになる。捜査は後回し、チキン売りで息つく暇もなく忙しくなった麻薬捜査班に、ある日、絶好の機会が訪れるが・・・。
1997年、中国返還を目前に控えた香港。母と二人で低所得者用アパートに住む少年チャウは、弟分のロンを引き連れ借金の取り立ての手伝いをしている。ある日、チャウは同じような境遇の少女ペンと出会い恋をする。が、彼女は重い腎臓病に冒されていた。やがて彼女の身を守るため、生まれて初めて銃を手にするが……。
無口で孤独な殺し屋・レオンの元に、家族を惨殺された少女マチルダが助けを求めてやってくる。奇妙な共同生活の中で、二人は徐々に心を通わせていくが・・・
世界からはぐれてしまったふたりの小さな勇気が起こした奇蹟。人生に行き詰まり、ソウル市内に流れる漢江に飛び込んだサラリーマンのキムは、目が覚めると孤島に漂着していた。そこは都会にぽっかりと存在する、立ち入り禁止の無人島だった。幼い頃のトラウマで泳げないキムは自力で脱出もできず、目の前に街があるのに誰にも気付いてもらえないという孤立無援の状況。しかし、絶望の中で小さな“希望”を見つけ、アイデアをふりしぼり、サバイバル生活を始める。一方、対岸のマンションに住む女は、3年間の引きこもり生活を送っていた。ある晩、カメラ越しにキムの姿を見つけて好奇心を抱いた女は、キムが砂浜に書いた「HELLO」のメッセージに応えるため、外の世界への一歩を踏み出す・・・・・・。
殺人を予知する能力を持つジェリーによって悪名高いキャンプブラッドの森の”殺人鬼”は退治された…はずだった。しかし邪悪な魂は、こともあろうに獰猛なホオジロザメに憑依してしまったのだ。やがて発生する新たな殺人事件。町の住人たちは犯人捜しで混乱していく。異変に気付いたジェリーは再び森に戻り、転生を繰り替えす凶悪な殺人鬼に立ち向かうのだがー。
自殺した母親が遺した膨大な借金を背負わされた美しいリガヤ。家を守るため、生きるため、彼女は毎夜、部屋を訪れる男たちにその身体を捧げる。欲望の餌食となり、尊厳を削り取られていくリガヤ。そんな彼女を、屋敷の使用人としてただ静かに見守り続ける青年カルロ。リガヤの心は、男たちの裏切りと暴力で壊れ、やがて残酷な忘却――アルツハイマーが彼女を襲う。時は流れ、老いたリガヤの記憶の中で、自分を愛したカルロの存在だけが抜け落ちていく。自分を傷つけた男たちの名を呼び、怯える彼女。それでもカルロは、彼女のために食事を作り、髪を梳かし、祈る。欲望の果てにボロボロになった女と、その影に一生を捧げた男。二人が辿り着く、痛切な愛の結末とは―。
ドイツ人海洋学者のトムと、フランス人医師の妻ジュリア。そして二人の子供たち。息子のベンの誕生日祝いでカリブ海へのクルーズを計画する。しかし、幸せな家族旅行はすぐに地獄へと変わってしまった――。奇妙な波の動きや野生動物の行動から何かがおかしいことに気が付く。ついに空には流星群が降り注ぎ、次の瞬間天変地異が起きる。家族の乗った船は巨大な嵐に見舞われてしまう。気を失った家族が目を覚ますと海の水は全てなくなり目の前に広がるのは一面の砂漠だった……。
マニラでの都会暮らしに心身ともに疲れ果てたクレアは、新天地を求めて静かな農村カプカプへとやってくる。彼女は地元の製粉所で働き始めるが、そこは平和な風景とは裏腹に、大手資本による宅地開発の波に飲み込まれようとしていた。開発を頑なに拒む地主のカルメロと、貧しい生活を抜け出しマニラでの成功を夢見る義理の息子のアンドレス。二人の間で板挟みになる妻ノラの苦悩をよそに、アンドレスは都会的な魅力を持つクレアに惹かれていた。ある晩、ノラの目を盗み、アンドレスとクレアは密やかにも激しく求め合う。それ以来アンドレスは、謎めいた美しさを放つクレアへと溺れていく。しかし、その甘美な情事は、土地を巡る執拗な買収工作と絡み合い、やがて凄惨な悲劇を招き寄せる。
1940年、ドイツ軍攻め入るフランス、パリ。夫を亡くした教師オディールは、戦火を逃れるため、2人の子供と共に南へと向かう。空襲の最中、突然現れた美しく、不思議な魅力を持つ青年イヴァンに命を救われた母子は、彼に導かれ森を進む。たどり着いたのは、時間の止まった屋敷だった。閉ざされた生活の中、オディールとイヴァンの心の乾きは危うい感情へと変化していく。激しく求め合うようになる2人に、誰も予想し得なかった衝撃的な結末が訪れる。
仕事を探していた22歳の大学生、白雪梅(パイ・シューメイ)は、割のいい仕事を紹介してくれるという親切そうな若い女性と出会い、その誘いを受けて遠く離れた山奥へ向かう。長く過酷な旅の末、眠りに落ちた白雪梅が目を覚ますと、そこは見知らぬ農家だった。自分がどこにいるのかも分からず、財布や身分証明書、手荷物はすべて失われている。仕事を紹介した女性の姿もどこにも見当たらない。やがて白雪梅は、村人から村に住む40歳の独身男性・黄徳貴(ホアン・デグイ)の花嫁として売られたのだと告げられ、自らが人身売買業者に騙されていたことを知る……。
結婚生活がマンネリ化してきたマグダレーナとアッシュ。息子のカイを授かってからは夜の生活も途絶えがちになり、2人の間には不穏な空気が漂っていた。そんな状態の中でアッシュが2人きりのバカンス旅行を提案、夫婦仲を改善するための旅行にマグダレーナも楽しみにしていた。しかし、互いの仕事がうまく進まない苛立ちを抱えての旅行は言い争いが絶えず、夫婦の溝はますます広がってしまう。そんな中、ヨガのインストラクターと出会ったことでマグダレーナとアッシュはバカンスの楽しみ方を教わり、さまざまな感情が解放された気分を味わう。やがて未知の世界への誘いに、マグダレーナは自分でも忘れていた“もう1人の自分”を思い出していく。
ゲーム好きが高じて、街のゲームショップで店長をしているノーラン。なかでも人気のタイトル「アルファ・リフト」は、高潔の4剣士が悪魔の使徒と戦うという設定で、熱狂的なファンの間では、実在の秘密組織が今なお悪と戦っているという伝説までささやかれていた。そんなある日、ノーランのもとにヘルメットのような兜が届く。それをかぶった瞬間、彼は不思議な感覚に襲われ、意識を失ってしまう。やがて目を覚ましたノーランの前に現れたのは、老紳士コービン。彼から告げられたのは衝撃の事実だった。それは、ノーランの亡き父は、初代の“高潔の剣士”であり、ノーラン自身もその血を受け継ぐ者ゲルダムーアの直系だということ。だがその直後、兜の力に反応した悪魔の使徒にノーランの存在が知られてしまう。世界の命運を背負うことになった彼は、コービンの館に身を寄せ、熾烈な訓練を受ける日々へと突入していく。
大学の先輩キヒョンと付き合いながら、自由な愛を夢見ているシナは、いつも新しいものを追求するドンギと偶然に出会い、導かれるままに激しく熱い一夜を共にする。日常へ戻った二人だったが、あの日の記憶は退屈な毎日を送る二人にとって、何ものにも代え難い刺激だった。再会した二人は 肉体的な関係を深め、身体が欲するまま、望むままに四六時中欲望を重ね合う。しかしその幸福の日々から徐々にズレが生じ、二人の心がすれ違い始める。
3本の古い殺人ビデオが発見された。最初の被害者は17歳のヘスス。氷水の風呂に漬けられ、冷たい体のままレイプされた彼女は辛くも生存できたが、何日か事情徴収を受けたあとで姿を消してしまった。2人目の被害者マルセラも、途中で犯人に飽きられたことで命だけは助かったが、やはり事情徴収の後で音信不通になった。3人目はマルセラの事件をテレビで報道したレポーターのカタリーナ。エミリオという男に監禁された彼女は、他の女性の殺人ビデオの撮影現場を見せられたあとで凌辱された。それから10年後、カタリーナは復讐のためにずっと事件を追いかけ続け、この3本のテープを入手する。
ブルースとソウルとロック、そしてエルヴィス・プレスリーを生んだメンフィスの街を舞台に3つの物語が交差するオムニバス形式の作品。それぞれがそれぞれの場所で、同じ夜汽車を眺め、エルヴィスの「ブルー・ムーン」を聞き、翌朝1発の銃声を耳にする、ワンナイト・ムービー。
観光客向けのマッサージ店を夫婦で営むエドとドナ。火事の事故で全盲になったエドを、ドナは公私にわたり献身的に支えていた。ドナはエドを心から愛していたが、事故以来エドは性的不能に陥り、二人は長らくセックスレスの状態だった。そんなある日、ドナは夢だった図書館司書の試験に合格し、新しい仕事が決まる。マッサージ店にはエドのサポート役として、ココイという青年を住み込みで雇うことに。はじめは不信感を持っていたドナだったが、純真なココイに次第に惹かれていく。ココイもまた、知的なドナに惹かれていった。一方、視力の回復手術が失敗し絶望に暮れていたエドは、ドナに当たり散らしてしまう。落ち込むドナを慰めるココイ。その夜二人は、抑えていた欲望が溢れ出し激しく互いを求め合う。以来エドに隠れて何度も関係を持つようになる二人。しかしエドの元恋人ミーアンにその事実が知られてしまい―。