保安官ロンの一家は、妻と小学生の娘と息子の4人家族。敬虔なキリスト教信者の彼らは毎日の祈りを欠かさなかったが、ロンだけは仕事柄、「祈っても、事件が減らないのはなぜだ?」と、一人祈りを拒み続けていた。そんなある日、子どもたちが通う学校に、元保安官のデビッドとその妻ドリスが自家製の爆弾装置を持ち込み、子どもたちや教師たち約100名を人質に取り立てこもる。彼らの要求は2億ドル。妄想と狂気に囚われた2人の登場によって学校は騒然となるが、その後、思いも寄らない奇跡が子どもたちの身に起こる。
荒廃した鉱山の町。夫のいる歌手と不倫しているカーレルは彼女の部屋を訪れるが追い返され、行きつけの酒場へ向かう。酒場の店主はカーレルに小包を運ぶ仕事を依頼するが、町を離れたくないカーレルは知り合いに運ばせようと思いつく。歌手の夫から彼女との関係を問い詰められたカーレルは、夫に小包を運ぶ仕事を持ちかける。
精神科病院で働くアンドラーシュは、バイオリンの見事な演奏を患者に聞かせる。彼は自分の子を産んだばかりのアンナのもとを訪れ、彼女に別れを告げる。やがて彼は依存症患者と飲酒したことが原因で仕事を解雇され、ケーブル工場で働き始める。ある日、アンドラーシュは酒場で出会った女性カタと恋に落ち、結婚するが……。
住宅難のブダペストで夫の両親と同居する若い夫婦の姿をドキュメンタリータッチの映像で描き出す。首都ブダペストは住宅難により空き部屋がないため、イレンは仕方なく夫の家族と暮らしている。イレンのことが気に入らない義父は、彼女につらく当たる。帰宅した夫に不満を訴えるイレンだったが、夫はどっちつかずの態度を取り続ける。
シンガーのクレオ。彼女はガンを患っているかもしれないという恐怖を抱えながらパリの街をあてもなく歩く。7時の医師との約束の時間までの5時からの2時間を、クレオは友人や知り合いに会っていく。しかし、心の不安は解消されない。そんな時、公園でこれから戦地へ復員する若い兵士と出会い、二人は不安な気持ちを共有する…。クレオの心象風景をリアルタイムで追いかけた、キュートで哲学的なガーリームービーの金字塔。
舞台はパリ郊外のフォントネ。平凡だが実直なフランソワは、美しく裁縫が得意な妻テレーズと2人のかわいい子どもたちと暮らす。日曜日には家族そろってピクニックに出かけるような陽の光に祝福された幸せな日々を過ごしていた。そんなフランソワはある日郵便局員のエミリーという女性と知り合い、いつしか二人は深く愛し合うようになる。フランソワは二人の女性を同時に愛すことに喜びを覚え、妻テレーズにも打ち明ける…。
大学を卒業したものの就職が決まらず焦るジェイミーは、旧友ザックに紹介されたナニーの仕事に就く。望まない仕事に不満を募らせるジェイミーだったが、派遣先の家庭が敬愛する実業家のウォルトン家であったことから、喜びで舞い上がっていた。子どもたちにもなつかれ、ウォルトンに仕事ぶりを認められれば就職の道が開けると、ナニーの仕事に力が入るジェイミー。しかし、前任のマーラの行方を尋ねる不審な男の登場や、夫婦喧嘩の直後、自分を口説いてくるウォルトンの行動に、次第と不信を抱き始める。そんな折、その一部始終をザックに相談していたジェイミー。そんな2人の様子を苦々しく見つめる男の姿があった…。
1941年、日本が真珠湾を攻撃した翌年、ハワイに住む日系人の約1400人が第100歩兵大隊として活動を開始。その後、ルーズベルト大統領が約12万人の日系人を10ヵ所の強制収容所へ送る大統領令に署名し、1943年にはハワイと強制収容所から1万人を超える日系人がアメリカ陸軍の第442連隊戦闘団に志願した。そんなある日、軍曹ジミーにもとに、友軍のテキサス大隊がドイツ軍に包囲されたと情報が入る。すぐさま救出命令が下るものの、ドイツ軍の戦力は倍以上で、救出は絶望的な状況だった…。
宋の時代。蒙古で育った郭靖は、中原で黄蓉(こう・よう)に出会い命を救われる。意気投合し、頻発している幼子の失踪について調べるために白駝山荘主催の宴へ向かった2人が偶然鉢合わせしたのは、郭靖の師匠・江南七怪(こうなんしちかい)だった。彼らは黄蓉が黄薬師(こう・やくし)の娘だと知って逆上する。憎き仇の娘を庇ったことで師匠に見放され落ち込む郭靖と黄蓉の前に洪七公(こう・しちこう)が現れ…。
休暇でケニアを訪れたジャックとその家族。サファリツアーで一家団欒のはずが、密かに会社から休職を言い渡されてたジャックはツアー代金を払う事が出来ずにいた。追い詰められたジャックは苦肉の策で廃車寸前のバンを借り、護衛もつけずにサバンナを探検することにする。スタッフの注意や標識の警告を次々に無視してサバンナの奥地へ突き進んでいく一家。しかし、突如として巨大なサイが襲いかかり車両は破壊されてしまい…。
女手ひとつ、三十年も続く惣菜店と二人の子供を懸命に守ってきた母・エラン。ここの惣菜は「薬のような料理」と近所でも有名で、ガン患者やアトピー患者もわざわざ買いに出掛けてくるほどだ。「この頃わたしも忘れっぽくなっちゃって」と言いながらも、テキパキと店を仕切る姿が頼もしい。しかし息子のギュヒョンはというと、万年非常勤講師で生活能力もなく、二人の子供を持ちながらも妻に頼りきりの生活だ。この日も大学仲間と酒を酌み交わし、教授の席の斡旋話しを聞いてご機嫌に。母の絶品トンチミククスを振る舞うと、深夜に仲間を連れ突然実家に転がり込んでしまう。他人の為なら苦労は厭わない母は、嫌な顔ひとつせず料理を振る舞うも、妻子の待つ家にも帰らず実家で眠りこけてしまうダメ息子の顔を見ては「何をしているんだか…」と呆れてものが言えない。亡くなった自分勝手な旦那の影を息子に見て、つい小言ばかり言ってしまう毎日。翌朝、やっと家に帰ったギュヒョンは二日酔いで伏せたまま。仕事で家を出なくてはならない妻は、子供の面倒を夫に任せることが出来ず、仕方なくお義母さんの惣菜店に子供を連れて出て行った。とはいえ、エランも店での仕事があるのだが…。「全ては生活能力のないギュヒョンのせい」と捨て台詞を吐いて出ていってしまう義理の娘。かたやギュヒョンは「教授の座に就くには五千万ウォンが必要」と大学側から告げられ、世間知らず故にあっけにとられてしまう。五千万ウォン、そんなお金がどこに…。仕事をしながら孫の面倒を見ていたエランはというと、家の中で躓いて足を痛めてしまった。「どうしても週末にチュンチョンに行きたいから車を出してほしい」。ギュヒョンに頼む母だが、一体なぜチュンチョンに行くのか、それに怪我をしている今なぜ?問うても答えぬ母の頑なな態度がどうにもわからない。母には秘密があるのだ。そんな中、調味料の分量を忘れたり、仕入れ業者と支払いについて揉めたり、靴の万引きで警察に突き出されたりと、エランに予想もしなかった認知症の症状が現れはじめ、子供たちの荷物にだけはなりたくないと薄れていく記憶の端を掴もうとするのだが…。心配になったギュヒョンは、母を認知症検査に連れていくのだったが「あなたたちの荷物にはならないし、もし病気にでもなったら勝手に施設でも行くから、わたしには何も望まないでほしい」と激しい口論に。病院では「加齢によるただの物忘れ」と言ってもらった母だったが、実際は既に大きく進行している認知症なのだった…。その後も突然家を飛び出し、またも警察のお世話に。しかし、よくわからないのが「スンヒョン!水に近づいちゃダメ!」と見知らぬ子に抱き着き取り乱していたというのだ。家族の誰もが聞いたことのない名前だ。ついに自分が認知症であることを理解したエランは、自ら施設に入る決心をする。ギュヒョンは実家でもある店舗を売りに出し、その金で斡旋手数料の五千万ウォンの支払いや、母の施設入所金に充てる算段だったが…。家の片付けをしていると一冊のノートが。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への想いが切々と綴られているのだった…。
世界は悲しいけれど、幸福な1日はある。15歳のビリーと11歳のニコ、その家族の物語。普段は優しいが酒を飲むと人が変わる父アダム。家を出て行った母親イヴ。頼る大人がいないビリーとニコの姉弟。ある日出会った少年マリクとともに、彼らは逃走と冒険の旅に出る!世界はとても悲しい。でも、幸福な1日はある。その1日がずっと長く続きますように。すべての大人に子供時代のきらめきを思い起こさせ、ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で最優秀作品賞を受賞した。
誰の目から見ても幸せそうに見える家庭。建築家の夫ジュンイルと10歳の息子とともに、裕福な暮らしを送っていた主婦ソヒョン。ある日、米国に住み仕事の忙しい妹ジヒョンに代わり、結婚の準備を手伝うため妹の婚約者ウインと会うことに。初めて出会った時から、胸騒ぎを覚える二人。ウインは、物静かな外見に情熱を秘めた大人の女性ソヒョンに魅かれ、ソヒョンもまたしなやかに生きる若いウインに魅れていく。自分の想いをひた隠しにし、家庭とウインの間で気持ちの揺れ動くソヒョン。そしてウインもいけないことだと分かっていながらも義姉への想いを抑えることができない。ウインの突然のキスをきっかけに、二人の間の壁が雪崩をうって崩れていく…。
若き消防士アレクセイは、元恋人オリガと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元のチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、それまでの穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることを知らされる。もしも溶け出した核燃料が真下の貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまきちらされてしまう。愛する人のためタンクの排水弁を手動で開ける決死隊に志願したアレクセイだったが、行く手には想像を絶する地獄が待ち受けていた…。
ミュージシャンとしての成功を夢見るカイルには、元恋人ロリとの間に幼い娘ティーガンがいた。しかしロリの妊娠当時、まだ16歳だった二人は怒り心頭のロリの父ビルによって離れ離れの生活を強いられてしまう。月日は経ち、ロリが病気で亡くなったことで、遺されたティーガンの親権を巡りカイルはビルと争っていた。父親として実績のないカイルに対し、健康が不安視されているビルは互いにティーガンの親権を得る決め手がないまま泥沼の様相を呈していた。裁判で争う姿勢を見せるビルに戸惑うカイルは、ミュージシャン仲間の後押しや勤務先の音楽スタジオのオーナーからの勧めもあり、親権を諦めてロサンゼルス行きを決意するのだが…。
教会の懺悔室。育ての親であるアントニオ神父から指示を受けたカイルは、礼拝堂に置かれた資料を受け取り、仕事へと向かう。彼は神の仕事として、神父に暗殺を仕込まれたプロの殺し屋だった。カイルは悪事を働いたある人物を殺すため、店内に爆発装置を仕掛けるが、そこに見知らぬ母子が訪れ、爆発寸前、子どもだけを救出。身寄りがなく学校にも通っていなかった6歳のマシューを連れ帰ることに。一度はマシューを始末しようと試みるも殺すことはできず、自身も孤児だったカイルはぎこちないながらも、マシューとの交流を深めていく。そして隣人タラとも親しくなっていった。そんなカイルの変化に気づいた神父は、次なる暗殺の指示を出すのだが…。
2056年。地球は、毒性を帯びた霧で全体が覆われてしまい。人類は存続の危機に直面していた。特殊訓練を受けた女戦闘員ハンナは、学者のギャビンとともに、地球軌道上の宇宙ステーション「ルビコン」に向かっていた。彼女が受けた指令は、そこにいるドミトリ博士が開発に成功した循環システムの検証。このシステムを使えば、人類は生き延びることができるかもしれない。ハンナたちの到着と同時に、それまでに宇宙ステーションにいたクルーが帰還することに。「メーデー!メーデー!」降下中のロケットは、汚染された大気層に阻まれ、クルー達は全滅。地球はさらに分厚い大気の層に覆われてしまう。それによって地球と連絡を取ることができない。「ルビコン」に取り残された3人、ハンナ、ギャビン、ディミトリ。地球に帰還するべきか、このまま宇宙ステーションに死ぬまで留まるべきか。それぞれの思惑が交錯していく―――。
「お名前は?」「覚えていません」――。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う...―そして新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする・・・。記憶はどこにいったのか?新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。
オリンピック直前、さらなる大規模開発に湧く韓国屈指のビーチリゾート地、カンヌン(江陵)。彼の地を牛耳る組織の幹部キルソク(ユ・オソン)は、安易な暴力に頼ることなく秩序と義理を重んじ、地元警察からも一目置かれるそのカリスマ性で町に安定をもたらしてきた。そんな彼の前に、巨大な開発利権を狙う新たな勢力が現れる。キルソクの前に立ちはだかるのは、目的のためならば手段を選ばない非情な男ミンソク(チャン・ヒョク)。2人の邂逅は、やがて2つの組織、そして警察をも巻き込み血で血を洗う凄惨な抗争へと発展してゆくのだが…。
誰もが羨む美貌を持つ女と、純粋な年下の恋人。週末を共に過ごすため、女の別荘であるコテージを訪れる。昼は美しい自然の中、おいしいワインや食事を楽しみ、夜は愛を語らいながら身体を重ねる、完璧な休日を過ごすふたり。しかし次の日、女の妹が突然やってきた。姉妹の確執を感じながらも、妹を歓迎する青年は徐々に恋人にはない可憐な美しさを湛えた妹との距離を縮めていく。さらにそこに姉の元恋人であるという男がやってきて・・・。嫉妬と肉欲に支配された4人は、壮絶な心理戦を繰り広げる―!
人体の解剖図を学ぶ学生エレナは身体に痛みを覚え、病院にやってきた。担当医師のベノワはレントゲンをとり、特に問題ないと判断。それがふたりの出会いだった。後にエレナの通う学校に講師としてやってきたべノワは、エレナと偶然の再会に驚きつつも互いを少しずつ知るようになる。同じ医療の現場に身を置くふたりが恋に落ちるまで時間はかからなかった・・・。恋人同士の濃密で幸せな時間―。恋人の身体の細部まで観察し、その曲線、筋肉の付き方、ほくろの位置、腕に浮かぶ血管のあとを記憶しデッサンすエレナ。一方で、エレナをCTスキャンにかけ恋人の身体の構造や内臓に見とれるベノワ。二人の遊戯は次第にエスカレートしていき・・・
手に汗をかく「多汗症」チュニは、ニンニクをむくアルバイトで手術費を集めている。 周りの人たちが自分をあまり好きじゃないと思い、一人でたくましく生きていたチュニ。恥ずかしさと寂しさが全てだった彼女に春のような新しい運命が訪れる。
ソウルを離れ、江原道華川(カンウォンド・ファチョン)に幼い娘ソルと一緒に旅立ったジヌは、心優しい農場主に出会い農場の仕事をしながら平和な日々を過ごしている。ある日ソルを出産するやいなや自分に押し付けて逃げた双子の妹ウニョンが訪ねてきて、ソルを連れて行こうとする。さらにジヌが同性愛者という噂が村に広がり、ジヌの平和な日常が崩れていく。
久々に姉ミラを訪ねた弟ヒョンチョルはひとまわり以上も年上の女性ムシンを家に連れてくる。そして、ムシンの連れ子を含めて奇妙な共同生活が始まる。一方、不倫相手の子どもを産むほど愛に生きる母にうんざりしているソンギョン。そして美しく心優しい恋人を愛するあまりに嫉妬に取りつかれたギョンソク。3つのストーリーはやがて混じり合いある”家族の誕生“を目撃する。
愛する夫と子どもを目の前で殺され自分も車椅子の生活となったウナ。犯人への復讐を心に誓い、自身の臓器と引き換えに4人の協力者を集める。協力者たちはそれぞれに、娘、妻、母、そして自分の為にドナー提供者を探していたのだった。ウナが対峙することになったのは狂気に満ちた連続殺人犯。ウナと協力者たち5人の復讐劇が今始まる――!
調理、洗濯、掃除、裁縫、編み物、刺繍、穴の繕い、アイロンがけ、消火器の使い方・・・生活全般にわたる家事技術を実践的に教え、1942年から現在まで続いている、北欧アイスランドの「主婦の学校(The School of Housewives)」。若い女性を良き主婦に育成するべく始まった学校は、1990年代には男子学生も受け入れて、男女共学となった。性別に関わりなく「自分のことは自分で面倒を見られる人間になりたい」という学生が「いまを生きる」ための知恵と技術を求めて集まり、〈自立した人生を楽しむ術〉を教える学校へとその役割を変化させている。〈主婦〉とはなにか?家事を「自分ごと」として〈生活を大切にする〉営みとは?ジェンダーギャップ指数ランキング12年連続1位のアイスランドから届いた、暮らしや家事のあり方を柔らかく問うドキュメンタリー。
ロシアとウクライナ戦争を理解するためのドンバス13のレッスン。ドンバス地方で起きた実話を元に構成された衝撃のエピソード。クライシスアクターと呼ばれる俳優たちを起用して作るフェイクニュースから始まり、支援物資を横領する医師と怪しげな仕掛人、湿気の充満した地下シェルターでフェイクニュースを見る人々、新政府への協力という口実で民間人から資産を巻き上げる警察組織、そして国境での砲撃の応酬……。無法地帯“ノヴォロシア(※)”の日常を描く13のエピソードは、ロシアとウクライナの戦争をすでに予見していた。ここでは一体何が起きているのだ――※ノヴォロシア 起源は18世紀末にロシア帝国が征服した黒海北岸部地域を差す地域名であり「新しいロシア」を意味する。親ロシア派は、実効支配するドンバス地域に樹立した自称国家「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」からノヴォロシア連邦をつくろうとした。プーチン大統領はこの2つの自称国家の独立を承認し、平和維持を目的とする「特別軍事作戦」と称し、この度の侵略戦争を開始した。
1953年3月5日。スターリンの死がソビエト全土に報じられた。モスクワ郊外で発見されたスターリンの国葬を捉えた大量のアーカイヴ・フィルムは、同時代の200名弱のカメラマンが撮影した、幻の未公開映画『偉大なる別れ』のフッテージだった。そのフィルムにはモスクワに安置された指導者の姿、周恩来など各国共産党と東側諸国の指導者の弔問、後の権力闘争の主役となるフルシチョフら政府首脳のスピーチ、そして国父の死を嘆き悲しむ幾千万人の人の顔が鮮明に記録されていた。人類史上最大級の国葬の記録により、スターリンが生涯をかけて実現した社会主義国家の真の姿を明らかにする。
1930年、モスクワ。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられる。この「産業党裁判」はスターリンによる見せしめ裁判で、撮影された法廷はソヴィエト最初期の発声映画『13日(「産業党」事件)』となった。だが、これはドキュメンタリーではなく架空の物語である―発掘されたアーカイヴ・フィルムには無実の罪を着せられた被告人たちと、彼らを裁く権力側の大胆不敵な共演が記録されていた。スターリンの台頭に熱狂する群衆の映像が加えられ再構成されたアーカイヴ映画は、権力がいかに人を欺き、群衆を扇動し、独裁政権を誕生させるか描き出す。