厳格なカトリックの家庭で育ち、生まれつきの心臓病に苦しんでいたマイータは、医師と神父の顔を持つ婚約者の父から多大な援助を受け、見知らぬドナーからの心臓移植によって九死に一生を得るが、術後、胸の中で刻まれる新たな鼓動に呼応するように、これまでの保守的な自分からは想像もつかない野性的な性欲と未知の衝動に突き動かされる。ドナーの恋人であったリコとの出会いを通じて、自分の心臓の主がアンジェリカという名の高潔な教師であったことを知った彼女は、婚約者の激しい反対を押し切り、何かに取り憑かれたように彼女の生前を調べ始めるが、そこで発見したのは、聖職とも言える教師の仮面の裏でアダルトサイトに自らの情事を晒し、欲望のままに生きるアンジェリカの衝撃的な姿であった。動画に導かれるように背徳的な快楽に溺れ、リコとの距離を縮めていくマイータは、やがてアンジェリカの不可解な死の裏側にある衝撃的な真実に直面することに…。
舞台は1980年代のポーランド。市民民兵隊の少尉、アンジェイ・バランは、これまでのキャリアで最も困難な事件を担当することになる。誰も彼にこの謎を解いてほしくないようだ。
ベルリンのおしゃれな地区にある、唯一未改修の建物が空き家になりつつある。以前の住人たちは引っ越していくが、ディートマーは頑として動こうとしない。息子のトビアスは、父親に公営住宅への入居を説得しようとする。しかし、父親は頑として聞き入れず、偶然そこに居合わせた不動産業者とトビアスの間で事態はエスカレートし、収拾がつかなくなってしまう。
荒涼としたイタリア・アルプスのどこかに、超富裕層の家庭に育った問題児のための孤立した寄宿学校がある。17歳のジュリオは母親に送り込まれ、すぐに同級生や教師たちと対立するようになるが、風変わりなエドゥオルドがやって来ると状況は一変する。二人は共に逃げ出したいという共通の願望で心を通わせ、やがて森の奥深くにあるナイトクラブへと逃亡する。
退役軍人デリックは、日雇い仕事のため国境近くの農地へ向かう。 しかしそれは、不法移民を標的にした“人間狩り”の罠だった。 私有地に連れ込まれた労働者たちは首輪を装着され、22時間以内に国境へ逃げなければ殺されるゲームに強制参加させられる。 武装したファミリーによる執拗な追跡の中、仲間は次々と命を落としていく。 極限状態に追い込まれたデリックは、軍人としての経験を武器に反撃を決意。 逃げるだけの獲物から、狩る側へ――。 だが、待ち受けるのは逃げ場のない国境ライン。 タイムリミットが迫る中、壮絶なサバイバルの果てに、生き残るのは誰か!?反撃が始まる――。
1988年、テキサス州ロンド。町はジェレマイア一族と買収された保安官に支配され、住民は醸造所でコカイン密売に加担させられていた。車椅子の父オーウェンと娘レーナも逃げ場を失うなか、元特殊部隊で流れ者の“名もなき男”が現れる。修理仕事をきっかけに親子と関わった男は、横暴なジェレマイアの息子クライドの暴力を止め、町に巣食う悪の実態を知る。祈りに導かれたように現れた男は、一味の報復が迫るなか、過去の傷を抱え、レーナを守るため腐敗した町を揺るがす孤独な戦いに身を投じるが…。
元特殊部隊員の張智勇が搭乗した国際便が、機密データを狙ったテロ集団にハイジャックされてしまう。乗客たちは次々と人質にされ、逃げ場のない機内はパニックに。張智勇は極限状態の中、封印していた戦闘能力を駆使してたった一人でテロリストに立ち向かう―。
チンギス・ハン没後、モンゴル帝国は崩壊し、衰退の一途を辿っていた。シルクロード周辺は、無数の勢力によって戦乱の時代へと突入していた。そんな中、ひとりの若き戦士・ティムールが立ち上がる。裏切りや敗北を味わい一旦は流民にまで落ちぶれたティムールであったが、男は仲間と敵を見極めながら勢力を拡大、やがて分断された世界を再び統一へと導いていく―。
遠くない未来、遂にホホジロザメは絶滅。事態を受けマッドサイエンティストが、”再生”の名の下に遺伝子操作を行い、新たなサメを誕生させてしまう。舞台はとある小さな町。キャットとマーカスは、ときに些細な喧嘩をしながらも日常を送る恋人同士だった。その日はキャットの誕生日。だが、記念日は“異変”によって引き裂かれる。マーカスの友人ダニーが、移動中に何者かに襲われ腕を噛まれてしまったのだ。彼を自宅へ連れ帰り手当を試みるが、ダニーの体調は悪化していく。やがて家の中に”いるはずのないもの”の気配が忍び込む。サメは家の中に現れ、人間たちをあざ笑うかの如く奇声をあげながら、増殖を始めていたのだ―。
連続変死事件に揺れる町ウォルバーグ。どうやら犯人はウサギ軍団を操り人間に化ける伝説の怪物ジャカロープらしい・・・そんなウワサも囁かれる中、町はイースターのお祭り〈イースター・パルーザ〉に突入する。果たしてクセモノだらけの住民の誰がジャカロープなのだろうか? そして、イースターをジャカロープのもこもこした魔の手から守ることはできるのだろうか? ウサギ、ニンジャ、陰謀論者、アル中の中年女性などなどの入り乱れる戦いが今、幕を開けた!
1992年、警察のマルクス・バッハとパトリック・ステインが統一されたばかりのドイツの東ドイツ地域、人里離れた村で10代姉妹失踪事件を調査する。 姉妹は他の若者たちのように西ドイツのベルリンに向かったと推定される中で、村人たちは行方不明者探しには関心がなく、皆何かを隠している。 村人たちの嘘と陰謀をかき分けて犯人を探すことはますます難しくなる。
はじまりは小さな贈り物だった…。極秘リークされたイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフとその側近たちの警察尋問映像には、ニュースの裏側にある彼らの隠された私生活が描き出されていた。その疑惑が公になったとき、ネタニヤフの権力への欲望は肥大化し、やがて恐るべき悲劇がもたらされる。
若者グループが泊まった山荘で、深夜に「碟仙」を試したことから、怪異が連鎖的に始まる。死者、気絶者、失踪者が続出し、不気味な人形が密室に出現。森では風に揺れるブランコ、響き渡る狂気の笑い声。友情は崩れ、愛が憎しみに変わる中、20年前の事件と“死霊の赤ちゃん”の存在が浮かび上がる。恐怖が頂点に達した時、山村の小診療所で明かされる最後の秘密。それは、想像を絶する心理的恐怖だった。
民国初年、山中で鉱石を掘っていた村人たちは、誤って百年の眠りから蛇王を目覚めさせてしまう。襲撃から逃げ延びたのは劉風ただ一人。村は恐怖に包まれ、鎮魂の祭祀を行い、放浪の道士・成州を招く。成州は偶然の一撃で蛇を仕留めるが、村ではなおも人が次々と姿を消していく。再び現れる巨大な蛇、深まる呪いの真相。村の命運をかけた、壮絶な戦いが始まる――。
台湾パビリオンのコンパニオンに抜擢された少女(ジュディ・オング)は、かつて母と自分を助けてくれた“名も知らぬ台湾の恩人”を探すため、広大な万博会場を駆け巡る。未来への熱気ときらめきに満ちた会場では、華麗な歌とダンスのミュージカル要素が物語を彩り、追跡劇は次第にサスペンスとアクションへ加速。少女は人波をかき分け、次々とパビリオンを巡りながら、記憶の糸をたどって“あの人”の正体に迫っていく。
天才高校生ミンフン、シウ、イヒョンの3人は、自作のホラーゲーム『リアル・ホラーゲーム』を完成させようとしていた。しかしある日、ゲーム内に登場する幽霊キャラクターたちが、突如として現実世界に姿を現すという異常事態が発生する。原因も対処法も分からないまま、3人はゲームと同じ“ステージ”が現実に再現されていく状況に巻き込まれていく。逃げ場のない恐怖の中、彼らは幽霊たちを捕らえるため、ゲームさながらにステージを一つずつクリアしていくしかない。バーチャルヒューマンやXRステージ、リアルタイムモーションキャプチャーなど最新技術によって構築された“ゲームの世界”が現実と交錯し、3人は命を懸けた戦いへと踏み込んでいく。
大学教授で作家としても活動するアジンは、大学院生のヒョナ、ウスと共に“呪われた存在”とされる「米びつ」の展示プロジェクトを任される。正教授への昇進と、離れて暮らす娘との再会を願い、誰よりも熱心に準備を進めるアジン。しかしその裏で、彼女は盗作疑惑に巻き込まれ、立場を揺るがされていく。一方、展示の開始とともに三人が胸の奥に隠してきた欲望や過去が次々と露わになり、不可解な現象が現実となって迫りくる。理性が崩れ、関係が歪みゆく中、アジン、ヒョナ、ウスは米びつの呪いと共に破滅へと引きずり込まれていく――
この貸部屋は、昔住んでいた夫婦が亡くなったあとも留まり、入居者に取り憑いて命を奪うという曰くつきの物件だ。ある日、友人サンの紹介で何も知らずに入居したチュム・ノアとリン夫婦は、足を踏み入れたその日から災難に見舞われ始める。常に悪霊が彼らを追い詰め、この状況から抜け出そうとしても簡単には逃げられない。この窮地から脱出する方法を今すぐ見つけなければ命を落とすことになるが…。
3人の息子を不可解な死で失ったテアンは、残された家族を守るべく風水師に助けを求める。悲劇の原因は、富を求めて父アゴンを間違った方法で埋葬したことによる報いだった。父による呪いを解く唯一の手段は、墓を掘り返し正しく葬り直すこと。だが、さらなる不幸が起こり儀式は100日間延期となる。末息子トリーの命が脅かされるなか、テアンは家族を守り抜けるのか。実在の風水師の体験に基づく、カンボジア発の衝撃ホラー。
医師ロメオ(アドリアン・ティティエニ)には、イギリス留学を控える娘エリザ(マリア・ドラグシ)がいる。彼には愛人サンドラ(マリナ・マノヴィッチ)がおり、家庭は決してうまくいっているとは言えない。ある朝、ロメオは車で娘を学校へ送っていくが、校内に入る手前で降し、彼女は徒歩で登校することに。しかし白昼人通りもあるなかで、エリザは暴漢に襲われてしまう。大事には至らなかったが、娘の動揺は大きく、留学を決める翌日の卒業試験に影響を及ぼしそうだ。これまで優秀な成績を収めてきたエリザは、何もなければ合格点を取り、大学で奨学生になれるはずだった。ロメオは娘の留学をかなえるべく、警察署長(ヴラド・イヴァノフ)、副市長、試験官とツテとコネを駆使し、ある条件と交換に試験に合格させてくれるよう奔走する。しかしそれは決して正しいとは言えない行動で、ついに検察官が彼の元へやってくる…。
伝説の短剣タガーを巡り、4人の女たちが闇の儀式を始めようとしていた。その様子を見つめる2人の男。今、聖と闇の戦いの幕が上がろうとしていた。一方その頃、マリクは友人ヒックスとバーで飲んでいる最中、魅力的な女性ドナと出会う。ヒックスにけしかけられ彼女に声をかけるものの、うまく会話を続けられず、自信を失ってしまうマリク。そんな彼の前に、見知らぬバーテンダーが突然現れ、「ドナと親しくなれるよう手助けしてやる」と持ちかけられる。その条件として、彼女の髪の毛1本を要求されるマリク。半信半疑のまま、“蜘蛛がついている”とうそぶいて髪の毛を手に入れたマリク。しかし次の瞬間、男は忽然と姿を消してしまう。すると翌日、突然ドナが彼の家を訪ねてきて…。
アメフトのスター選手ジョシュは、GPSもつながらない人里離れた山道で獣用のワナにかかり、足を負傷。たまたま近くで死んだ小鳥を埋めていた少女ヒラリーに助けられ、狩猟小屋へ連れて行かれて介抱される。しかし、病院へ行きたがるジョシュをヒラリーは拘束し、外へ出そうとしない。彼女は、小鳥の代わりに彼を“飼おう”としていたのだった。恐怖に苛まれたジョシュは、隙を見て小屋からの脱出に成功する。だが、辿り着いた先はヒラリーの家だった。今度は母アンジェラに監禁され、異常な母娘に翻弄されていく。娘はジョシュへの歪んだ愛情を募らせ、母はそんな2人の関係に異様な執着を見せ始める。一方その頃、恋人レクシーや仲間たちは、消息を絶ったジョシュの行方を追っていた。
クリスマスが迫るある日。キルト作家のエイミーは、1年間の助成金と個展開催の権利が与えられる芸術家支援“カサット賞”で、最終候補の4人に選ばれる。そんな中、消防士のリアムから、キルト教室の会場である市民センターが30日以内に消防設備を改善できなければ、施設の利用を停止すると通告される。一方、妹ローレンがクリスマスに結婚式を挙げることになったリアムは、亡き母に代わり、家族伝統のクリスマスキルトを完成させなければならなくなる。エイミーは、リアムが消防設備の修理を手伝うことを条件に、キルト制作の個人指導を引き受けることに。しかし施設に修理費用の余裕はなく、スプリンクラーの交換などに必要な2万ドルを工芸オークションで賄おうと計画するのだが…。
交通事故で両親を亡くし、独りになったオリビア。無職で鬱屈した日々を送る彼女にとって、同居人のオーロラは何でも打ち明けられる親友のような存在だった。しかし今、その固い絆は崩れ去ろうとしていた。“あの約束”を果たすまでは―。ある日、薬を買いに町へ出かけたオリビアは、高校時代の同級生アマンダと偶然再会する。苦手意識を抱いていた相手だったが、その夜開かれるというパーティーに興味を惹かれ、家で帰りを待つオーロラを気にしながらも、アマンダの家へ向かうことに。さらに翌日、オリビアはオーロラに隠れて、パーティーで知り合ったジョーとのデートへ出かけようとするのだが…。
カーラは1人娘メーガンを育てるシングルマザー。クリスマスシーズン、元夫クリスが婚約者スージを伴い、パリからカーラたちのもとに訪れた。そんな中、メーガンは母が独りでいることを案じ、“ママに恋人を見つけて”と、サンタへの願いを手紙に書いた。しかしその手紙が風に飛ばされ、偶然にもSNSで拡散されてしまう。その後、地元テレビ局のキャスター、チェットがこの話題を番組で取り上げたことで、カーラは思わぬ形で“恋人探し”をするハメに。戸惑いながらも様々な出会いを重ねていくカーラ。一方、キー局への昇進を狙うチェットは、カーラと会う機会を重ねるうちに、次第に彼女に惹かれていく自分に気づくのだが…。
クリスマス休暇で両親の別荘を訪れたティファニー。今年こそ、5年前に自分から振ってしまった幼なじみのブレットに愛を告白しようと決意していた。ところが別荘に現れたのは、婚約者マティルダを伴ったブレットの姿。思いがけない再会に、ティファニーは大きなショックを受ける。そんな中、偶然バス停で出会ったピーターもまた、元恋人ロレインを取り戻すためこの地に来たと知る。そこでティファニーは、お互いに恋人のフリをして相手の嫉妬心をあおり、復縁を狙おうと提案。さっそくピーターを“恋人”として別荘に連れて行く。しかしブレットはまったく動じる様子がなく、ピーターの元カノのロレインも新しい恋人とすっかりいい雰囲気。計画は思うように進まず、ティファニーは次第に焦りを募らせていく。
中国・上海在住のコピー・ライター、デヴィッドは作家を目指しながらも現在はアルコール依存症に陥り、自堕落な負け犬人生を送り続けている。そんな日常に焦燥感を覚えて久しい彼が、ある時、見知らぬブロンド女性にタバコを1本おごったことから会話が始まり、気がつくと一晩のガイド役を引き受けることになっていた。ネオンに照らされた美しい夜の上海。2人は道に迷いながらも、自転車に乗って目的地の廃墟にたどり着く。中に入り、かつて住んでいた人たちのことを想像しては思いにふけったあと、さらに地図を頼りに夜の上海を散策し続けては、“想像”という名の創作の翼を広げていく。だが、些細なことから仲違いが生じてしまい…。
第二次世界大戦も佳境を迎えた1944年。北大西洋を航行中のジョン・ナイト号が魚雷攻撃を受け、海に沈む。その船内には、ナチスの極秘情報を握る英国人女スパイ、ラルーが乗っていた。彼女はナチスに拉致され、第4収容所へ移送されるとの情報が、英国HQ第12戦闘機隊にもたらされる。これを受け、連合軍は“フェニックス作戦”を発令。マーフィ少佐率いる混成部隊を派遣し、ラルーと機密情報の奪還を目指すという、およそ成功の見込みの薄いミッションだった。だが作戦は、すでに収容所からの脱走に成功していたランド大尉ら2人の米軍捕虜をあえて再び収容所へ戻し、内部から暴動を起こさせるという大胆な策に出る。さらにジーナ率いるフランス・レジスタンスの協力を得て、作戦は一気に決行されるが…。
2歳の愛娘エミリーの子育てに忙殺される主婦カーニーは、かつての会社の上司から復職を勧められているが、なかなか時間が取れない。かつて情緒不安定に陥っていたことがある彼女は、夫ニックの不倫を疑って以来、夫婦仲もどこかぎこちなくなっていた。そんな折、大学を退学したという知り合いの青年マットがベビーシッターを買って出てくれたことで、カーニーはようやく復職を果たすことができた。しかし、ある時、マットの家を訪れたカーニーは、彼の机の引き出しの中から彼女の下着や写真などが出てきたことに驚愕する。糾弾されたマットは逆にニックの不倫を示唆し、カーニーもまたその証拠となる携帯を発見、再び情緒不安定に陥っていく。
東テキサス州の小さな町で暮らすドンナ・マーティンは、親を必要とする子どもたちの存在を知り、夫のマーティン牧師と共に里親制度の現状に向き合う。深刻な虐待やトラウマを抱え、誰にも引き取られない子どもたちが多くいることを知った二人は、教会の家族たちに養子縁組を呼びかける。やがて22の家庭が立ち上がり、合計77人の子どもたちを迎え入れるという前例のない取り組みへと発展。小さなコミュニティが示した揺るぎない愛と行動が、弱い立場の子どもたちに希望をもたらしていく。
文化大革命の混乱の中で青春時代を過ごしたミン・ワンは、アメリカへ移住し、あらゆる困難を乗り越えて世界的に知られる眼科医となる。そんなある日、継母によって視力を奪われた盲目の孤児が彼の前に現れる。少女を救うため奮闘する彼は、封じ込めてきた祖国での辛い記憶と向き合い、若き日に培った不屈の精神を再び呼び起こしていく。過去の傷と現在の使命が交差する中、彼は少女の“光”を取り戻すための挑戦へと踏み出す。
<死の天使>と呼ばれたナチス医師ヨーゼフ・メンゲレは終戦後、南米で潜伏生活を送る。ナチス時代の仲間たちが次々と逮捕される中、彼は戦犯を追及するモサドの網を狡猾にくぐり抜け、ゆがんだ思想を抱えたまま、日常の世界に溶け込んでいく…。
美大生の青年アドナンは夏のあいだ、叔父の洒脱な自宅で留守番をするためにニューヨーク・ブルックリンにやって来る。同時にギャラリーでインターンを始めるが、そこで展示されているのは、去年の夏、彼が出会った奇抜な刺繍アーティストの作品だった。過去と現在が交錯し始めるなか、官能と創造の出会いの連なりが、アドナンの日常の輪郭を曖昧にしていく。
2018年12月、登山家のアリはカーステンを誘い、現地の登山家カーンと共に、インド・ヒマラヤで最も人里から離れた谷にある未踏の氷瀑を探すために旅立つ。アメリカからインド・ニューデリーまで飛行機で22時間、そして危険極まりない切り立った崖沿いの悪路を車で65時間かけてスピティ渓谷へ。彼らの目的は地元に暮らす先住民とアイスクライミング運動を支援することだった。だが、現地に着いたものの、氷瀑どころか、氷すらなく、彼らの当ては外れてしまう。予想外のことが次から次へと起こる凄まじい旅。果たして登山家たちの思いは叶うのか?目指す氷瀑はあるのか?その様子をカメラは追っていく。
もともと役者を夢見ていたマックスは、今やハリウッドで敏腕タレント・エージェントとして多忙な日々を送っていた。そんなある日、亡き叔母から、カナダ・ブリティッシュコロンビア州オカナガンバレーにある、桃の果樹園を相続したという知らせが届く。両親からも好きにすればいいと言われた彼は、売却する気満々で現地へ向かう。しかし到着早々、近所に暮らす自由奔放な娘オリーヴが、果樹園の木に全裸で自らを縛りつける騒動に遭遇。早々に片づけてロサンゼルスへ戻りたかったマックスだったが、叔母が地元の人々に深く愛されていたことを知り、オリーヴやその兄と交流を重ねるうち、仕事に追われ続けてきた自分の人生を見つめ直し始める。
ブラジルの小さな田舎町。サッカー少年だったルーカスは、事故によって車イス生活を送っていた。1年ぶりに復学した学校でも、歳下ばかりのクラスに馴染めず孤独を抱える中、気さくに話しかけてきた少女ライースと仲良くなる。トラック停車場で朝食を売る母と祖母と暮らす彼女は、一度も会ったことのない父親の存在に複雑な思いを抱えていた。そんな中、父親の唯一の手がかりである写真のトラックを、16キロ先の旧道で見かけたという話を耳にしたライースは、ルーカスに父親探しを持ちかける。折しも父から電動三輪車を贈られたばかりだったルーカスは、彼女とともに小さな旅へ出ることに。書き置きだけを残して姿を消した2人に、家族たちは大騒ぎとなるが…。
セラピーを受けながらも盗癖を止められず、日常的にスリを繰り返しているベッキー。ある日、観光でアテネを訪れていた英国人刑事の財布とパスポートを盗んだことから、彼女は追われる身となる。逃げ込んだ電車の中で、ベッキーは一人の女性に強く惹かれる。彼女の名はミランダ。気まぐれで自制心に欠け、自分が欲しいと思ったものは必ず手に入れようとするベッキーは、その日からミランダを執拗に追い始める。セラピストから“ストーカー行為”だと警告されても、その衝動を抑えられない。一方、突然見知らぬ女に付きまとわれることになったミランダは、戸惑いながら街をさまよう。そして財布を盗まれた英国人刑事も、“英国の沽券に関わる”と意地になってベッキーを追跡していた。
5ヵ月前に母親が亡くなって以来、アンジェラは父親と幼い妹クロエ、反抗期の姉ベッカと共に暮らしていた。しかし、母親の死を引きずり精神が不安定だったアンジェラは、同級生と揉めて暴力を振るった動画が拡散されたことで自宅学習を余儀なくされていた。ある日、アンジェラは姉の様子が急激に変わり始めたことに気づく。最初は奇妙な言動だったものが、次第に異常な行動へとエスカレートしていく様子を見て、これはただの反抗ではなく何か得体の知れない力に取りつかれているのではないかと感じ始める。自分の軽率な行動で家族に迷惑をかけていることを気に病んでいたアンジェラは、家族との平穏な生活を取り戻すために奔走する。
黒人、ユダヤ人、ネイティブアメリカン、白人など、複数のルーツを持ち、ろう者でもある映像作家イーライ・スティール。彼は長年、“人種の違いは、それほど重要なのか?”という問いを抱えながら生きてきた。そんな彼には、メキシコ系の妻との間に、息子ジャックと娘ジューンがいる。複数のルーツを感じさせる外見のジューンに対し、ジャックは黒人として見られる容姿をしていた。そして、彼らが暮らすロサンゼルス第一学区では、学校入学の際、「第一人種」と「第二人種」の記入が義務づけられていた。さまざまな血を受け継いできたイーライは、“空欄”のまま提出できないか模索するのだが…。
救急救命士のヘイリーは、銃創を負った少女アシュリーを搬送中に亡くして以来、幻覚や悪夢に悩まされていた。救急車の後部で患者と向き合うことに恐怖を覚えるようになった彼女は、ある通報現場でドラッグに酩酊した男に刃物で切りつけられ、腕を負傷。本部から内勤と精神鑑定を命じられるも、上司の取り計らいによって現場へ復帰する。そんな中、自殺を図った末期の前立腺がん患者のドラッグクイーンから、「独りぼっちで生きるのはつらいだけ。終わらせてほしい」と懇願されたヘイリーは、ためらいながらも安楽死の注射を打ってしまう。到着時にはすでに死亡していたと報告し、一線を越えた彼女は、やがてドラッグの売人から安楽死薬を入手し、危険な世界へと足を踏み入れていく。
妻に去られ、カウンセラーの職も失ったデイブ。故郷へ戻った彼は、叔母パティの家で暮らしながら、保守的なキリスト教系大学の非常勤講師として再出発する。ある日デイブは、地元のLGBTQサポートグループが、ホームレスの若者向けシェルター開設のため資金集めを行っていることを学長から聞かされ、その実態を探るためグループへの潜入を命じられる。大学ではキリスト教の教義に基づき、同性愛を否定する教えを説く一方、グループ内ではゲイを装って潜り込むデイブ。しかし、そこで出会った人々、とりわけ亡き兄の遺志を継いで活動するリーダーのアリッサと交流を重ねるうちに、彼の中で長年抱いてきた偏見や価値観が、少しずつ揺らぎ始めていく。
幼い頃から不運に見舞われ続けてきた初老の男ウーゴが、“敗者のたまり場”と呼ばれるバーで、彼の上司でもあったオットの死と、その後の騒動をめぐって雇われた探偵を相手に、自らが巻き込まれた事件について語り始める。かつてウーゴは、一人の女デリアを愛していた。彼女がオットの妻とは知らぬまま誘惑され、次第にその魅力に溺れていく。一方、オットの右腕的存在だったミネッティは、やがて彼を押しのけて出世。さらにオットの三姉妹と手を組み、オットの家の財産を狙っていた。そんな中、デリアから助けを求められたウーゴだったが、実は彼女とミネッティが裏でつながっていたことを知り…。
ヘンリー・チョンは友人アンガス・トンと共謀し、両親を殺害、遺体を切断。二人の犯行は決定的と思われたが、アンガスの否認によって全てが揺らぎ始める。弁護人と検察官の攻防。ヘンリーの兄やアンガスの姉の証言。9人の陪審員による議論。真実はどこ?それは誰にとっての正義?結審した事件にも関わらず、映画を見ているうちに観客も陪審員となり、その判決は正しかったのか、今もなお蠢く謎に直面する!
ソウルを旅する謎めいたフランス人女性イリス。フランス語の個人レッスンをしている彼女は、生徒たちの家を渡り歩くが、あまりに風変わりな教え方に、人々はみな戸惑うばかり。レッスンが終わると、彼女は年下のボーイフレンドの家へと帰っていく。イリスは何をしに韓国へやってきたのか。なぜフランス語を教えているのか。韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩に触れるなかで、徐々に彼女の謎に満ちた日常が浮かび上がっていく。
演劇祭が間近に迫るソウルの女子大学。校内の恋愛スキャンダルの穴埋めをするため、テキスタイルアーティストであり、講師として働くジョニムは、有名な俳優で舞台の演出も手がける叔父のシオンを臨時の演出家として招聘する。演劇祭に向け寸劇作りがスタートするが、学生たちの恋愛事件の余波や、先輩の大学教授とシオンとの新たな恋の予感など、10日の間にさまざまな出来事が巻き起こる。
大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生ふたりを連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、ひとりの女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出す。やがて、海辺での撮影が静かに始まる――。
ある二人の人物が、二つの家でそれぞれに過ごす一日。ひとりは、友人の家に居候する休業中の女優サンウォン。もうひとりは、小さなアパートで一人暮らしをする詩人のホン・ウィジュ。彼らのもとには将来への不安を抱く若者たちが訪れ、さまざまな質問を投げかける。そんな折、サンウォンの友人の飼い猫がふと姿を消して──。交わりそうで交わらない、二人の一日が静かに並走していく。
詩人のドンファは、恋人ジュニを家まで送り届けた際、玄関先で彼女の父と鉢合わせ、思いがけずジュニの家族と一日を過ごすことになる。初めはぎくしゃくしていたが、ジュニの家族に家や近所を案内され会話を重ねるうちに少しずつ距離を縮めていく。やがて一家が揃う夕食の席で、勧められるまま酒を口にするうち、緊張から酔いが回り、次第に気まずい雰囲気が漂いはじめる。
過去に罪を犯し刑務所から出所したコナーは、静かな生活を取り戻そうと慎ましく日々を送っていた。 孤独だが更生を望む彼の前に、ある日、海辺にマリリンという美しい既婚女性が現れる。 偶然の出会いから始まった二人の関係は、急速に親密なものへと変わっていく。 マリリンは裕福だが冷酷な夫との結婚生活に苦しんでいると語り、コナーは彼女に同情し、強く惹かれていく。 しかし、関係が深まるにつれ、マリリンの言動にはどこか不自然な影が差し始める。 彼女の語る「被害」は本当なのか、それとも巧妙に演出されたものなのか。 コナーは次第に、愛情と疑念、欲望と恐怖の間で揺れ動きながら、取り返しのつかない選択へと導かれていく。
少女の教育が反抗と見なされる国で、夢は不可能だと言われてきた若者たちに、ある女性が未来を信じる力を示そうと立ち上がる。彼女が率いる精鋭チームは世界的な注目を集め、希望を広げる一方で強い反発と危険も増していく。脅威が迫る中、彼女たちは犠牲を払いながらも前に進み、決意と勇気があれば最も暗い障害さえ乗り越えられることを証明しようとする。その歩みは、国に新たな変革をもたらす運動へと火を灯していく。
苦しい過去に囚われ、自己破壊へと傾いていく少年ネイト・ウィリアムズ。高校教師スタン・ディーンは、彼が車中生活を送り投獄されていることを知り、保釈金を払い引き取る決断をする。善意から始まった行動は、ネイトの心を蝕んできた暗い秘密と向き合う闘いへと変わり、二人は互いの限界に迫られていく。ネイトが絶望の淵に沈む中、ディーン先生は彼を救うためにどこまで踏み込む覚悟があるのか、自らの信念を試されることになる。やがて二人の絆は、過去の闇を越えようとする希望の光となり、壊れかけた少年の未来を取り戻すための最後の支えとなっていく。
人里離れた美しい山々に囲まれた村には、満月の夜にだけ姿を現す謎の美女マリアの噂があった。村に住む青年ダニーロは運命に導かれるように彼女と出会い、その抗いがたい魅力に溺れてゆく。二人は密かに愛し合うようになるが、真に想いを分かち合えぬまま月日は流れる。やがて成長したダニーロには同級生の恋人ができ、マリアの元を訪れる回数は自然と減ってゆく。年齢も経験も重ねるダニーロに対し、マリアは出会った日のまま、若々しく妖艶な姿で彼の前に現れ続ける。ある夜、マリアへの欲望が抑えられなくなったダニーロは、彼女と情熱的に、互いの想いをぶつけ合うようにカラダを重ねる。しかし、決して埋めることのできない「時の断絶」が再び二人を分かつのだった……。フィリピンの神秘的な自然を背景に、生身の人としての幸福と、不変の存在への思慕が織りなす、官能的で切ないラブストーリー。
バルセロナの舞台女優クラウディア(80)は末期がんの罹患者。癌は脳に転移し、錯乱や半身麻痺と自我の喪失が近づくなか、彼女は安楽死を選択する。クラウディアは子育てよりも舞台優先で生きてきた。お茶目な女優妻を支え、今なお愛してやまない夫フラビオ。永縁なる夫婦は、共に旅立つことを決め、デュオ安楽死 を決意する。ところがスペインで安楽死はできるがデュオ安楽死はできない。ふたりはデュオ安楽死ができるスイスへ行く決意をする。一方、母の病を機に同居を始める末娘のヴィオレッタ。長男長女は家庭を持ち実家に寄り付かない。ヴィオレッタは母に兄姉を合わせる目的で、両親の結婚記念パーティーを企画。しかしパーティー前夜に両親が決めたデュオ安楽死に気付き、ヴィオレッタはパーティーで思わず打ち明けてしまい、久しぶりの家族再会は修羅場と化す。「最期に聞きたい死のプレイリストのご準備を」 子供たちは父の考えに賛成しない。長女は母の操作と決めつけ喧嘩する始末。しかし父の意志は 固く、両親はデュオ安楽死に必要な手順を進め、最後の旅の出発がにわかに訪れるのだが―。本作は両親の終幕を題材にしているが、不思議と暗さを感じない。むしろ家族のユーモアあふれるセリフ回しに、それを忘れてストーリーに没頭してしまう。本編の一部は、家族の心情を母の職業だったミュージカル調で表現し、本筋と見事に融合。最後まで自分らしく生きた母の終末期。欧州で急激に増えるデュオ安楽死。なぜ増加傾向にあるのか。その一つの答えを本作で垣間見る。
ギリシャ。猛暑に見舞われた海辺のリゾート地。水は貴重で、暴力沙汰が今にも勃発しそうだ。孤独な移民であるアシュラフは、フランス人一家が留守の間、彼らの別荘を守っていた。太陽に照りつけられたこの乾燥した土地で、彼は警官に身分証明書の提示を求められる…。
誕生日会に集まった仲間達。しかしそこには死亡した主役の妻を抱える夫の姿。無実を主張するためアリバイを作るが警察はそのアリバイを疑い始める。
ブランディーヌの人生は、妹が臨終の際に、15年前に無実の男性にアリバイを証言することを拒否したことで彼を投獄してしまったと告白したことで、劇的に変化する。ブランディーヌは、その男性を釈放させ、親友を本当に殺した犯人を見つけるために、あらゆる手段を尽くさなければならない。
ベルギーの人里離れた村にマルタとフェリックス兄妹が住んでいる。 彼らは猟奇的な殺人鬼モンズの子孫で兄のフェリックスは父親の後を継いで密かに残酷な殺人を犯し、マルタはある工場の清掃員として働きながら静かに暮らしている。 しかし、工場の職員たちは日々マルタの外見を卑下し、彼女を劫奪する。ひどいいじめに耐えられなかったマルタは、ますます暴力的になっていく。 そんなある日、彼女は望まない妊娠をすることになり怒りに満ちた彼女は、自分を襲った工場職員たちとすべてを見ても黙過した上司を懲らしめることにする。 みんなが集まった食事の席、マルタは妊娠を知らせ、彼らへの報復を本格的に始めるが…