台北でミュージシャンとして成功するという夢に破れ、台湾最南端に位置する故郷・恒春に戻った青年・阿嘉(アガ)。無為に日々を過ごすうち、郵便配達の仕事があてがわれた彼は、宛先不明で未配達の郵便物の中に、今では存在しない住所“海角7号”宛ての小包を見つける。その中には、60年前、敗戦によって台湾から引き揚げる日本人教師が、愛しながらも別れなければならなかった台湾人女性を想って船上で綴った7通のラブレターが。しかし日本統治時代の住所を知る者は、今や誰もいなかった。そんななか、阿嘉は日本人歌手・中孝介を招いて催される町興しライブの前座バンドに無理矢理駆り出される。成り行きで監督役を任された売れない日本人モデルの友子とは衝突ばかり。小学生の女の子や80歳の老人という寄せ集めのメンバーでは練習もままならず、余計にやる気を失っていく阿嘉をよそに、刻々とライブの日は近付いていた・・・。
若者を中心に絶大な人気を誇る歌手・RIN(白洲 迅)。RINは恋人・マミ(岡野 真也)にプロポーズしようとするが、ひょんなことから言い争いになり家を飛び出し、倒れてしまう。RINは偶然通りかかった売れないインディーズバンド EVENのヴォーカル・武人(桜田 通)と共に交通事故に巻き込まれてしまう。病院で目をさましたRINが見たのは重傷を負い意識不明で倒れる自分の姿……事故をきっかけにRINは武人に憑依しまったのだ!最愛のマミに自分がRINであること、そして心の底から愛していると伝える為に彼がとった手段は「歌」だった。
インドのムンバイで看護師をしているプラバと、年下の同僚のアヌ。二人はルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚したが、ドイツで仕事を見つけた夫から、もうずっと音沙汰がない。アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋人がいるが、お見合い結婚させようとする親に知られたら大反対されることはわかっていた。そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァティが、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァティを村まで見送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、二人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する──。
1人暮らしの映画監督・大滝隆太郎は突然、脳梗塞を発症。目がよく見えない。言葉もうまく出ない。心臓機能が20%まで低下、夏の猛暑で外出は危険。友人に電話しても「お前が病気?笑わせるなよー」と言われ、SNSに闘病状況を書いても、的外れな助言や誹謗中傷ばかり。「俺はこのまま孤独死?」と追い込まれるが、意外な人たちから救いの手が? 本人には悲劇、周りの人たちには喜劇?病気と医療を笑いと涙で描く社会派現代劇。
「戦争中のサラエボにU2を呼びたい」一人のクレイジーなアイデアが不可能を現実に。「過去を忘れて、未来にキスを、サラエボ万歳!」。U2が1997年9月23日、4万5千人を前にサラエボで行ったライブは、今も語り継がれている。かつてサラエボの人々は民族・宗教に関係なく共存していたが、紛争は人々を引き裂いていた。このライブは、そんな人々を音楽の力で再び一つにするものだった。本作は、U2がボスニア紛争終結後にサラエボでライブをする約束を果たすまでを追ったベン・アフレックとマット・デイモンがプロデュースしたドキュメンタリーだ。
黒社会に生きる孤独な男チェンはボス殺しの犯人の息子を人質として捕らえるため、彼が通うとされる小学校に用務員として潜入する。そこで心を閉ざし言葉を発さない少年ラムに、校内を詮索しているところを見られてしまい、自分は警察官で内密に捜査をしているので秘密にしてほしいとお願いする。ある日、クラス旅行ではぐれてしまったラムをチェンが助けたことから、二人の距離は縮まり、身寄りがない者同士が心を通わせるも…。
南仏カマルグ地方に、白く美しい荒馬をリーダーにした野生馬の一群がいた。“白いたてがみ”と呼ばれる馬の存在は噂となり、牧童たちは野生馬を捕獲し始める。漁師の少年フォルコ(アラン・エムリー)は、牧童たちの手から逃れた“白いたてがみ”を見つけ、ひっそりと近づき、手綱を握った。ひきずられながらも手綱を放さないフォルコに、馬は次第に心を許す。しかし、すぐに牧童たちに見つかり、フォルコは馬をなんとしても守ろうとするが・・・。
「この人生、感謝しているよ――」 そう書き遺して親友は山で死んだ。大切な者の死を受け入れてゆくための、長い旅路と祈りの記録2017年4月26日、ネパールの山岳地帯で47日間にわたり遭難していた二人が発見された。一人は救助され、一人は発見されるわずか3日前に亡くなっていた。そのニュースは彼らの出身である台湾でセンセーショナルに報じられた。亡くなったチュンと、生き残ったユエ。本作の監督であるルオ・イシャンは本来なら二人と同行する予定だったが、体調を崩し離脱していた。高校時代からの親友で、憧れの存在でもあったチュンの死。チュンは40日を超す想像しがたい洞窟でのビバークで、イシャンへの手紙や人生に対する賛歌を数百ページにもわたって書き記していた。その記録は、残されたイシャンと、そして生きのびたユエを苦しめ、しかし次に踏み出すそれぞれの道へと促した。ユエは次第に身を引き、イシャンはひとり、チュンの見た風景と足跡を追うためにネパールに旅立つのだった――。
4歳の娘アビーが末期の病を患うダリルは、妻ジャンと残された時間を家族で大切に過ごしていた。そんなある日、アビーが突然「月に行く時、火事で行けなかった」と口にする。最初は子どもの空想だと気にも留めなかったダリルだったが、アポロ1号の火災事故や、発射カウントダウンを担当した人物名など、アビーが知るはずのない事実を語るのを聞き、動揺を隠せなくなる。やがてダリルは、アビーが事故で命を落とした宇宙飛行士“エドワード・ジョーンズ”の前世の記憶を持っているのではないかと考え始める。ジャンはその考えを一蹴するが、娘を失う現実を受け入れられないダリルは、2000人以上の子どもから前世の記憶を聞き取ってきた研究者フィッシャー博士の存在を突き止める。博士は「死が近い子どもは、未来を予見することがある」と語り、ダリルは真実を確かめるため、ある実験を依頼するが…。
元ジャーナリストで、今は夫と娘たちの世話に追われる主婦ジェニーは、ラスベガスで開かれるブロガー会議に参加するため、久々に週末だけ家を離れることに。アプリで予約したタクシーに乗り込むと、運転手マークからまさかの“相乗り”だと告げられ、続いて女優のカーラ、そして二日酔いのショーンが乗車。車内は早くも落ち着かない空気に包まれる。さらにショーンは失恋のショックで自暴自棄になっており、自殺をほのめかす始末。自身の裏切りで傷つき故郷へ戻った恋人に謝りたいというショーンの思いをくみ、一行は成り行きで、彼の目的地であるネバダ州パラダイスへ向かうことになる。道中、3人それぞれが抱える“胸の奥にしまい込んだ問題”を少しずつ語り始め、ジェニーもまた、旅先で知った“幼い娘たちの学校でのトラブル”に対し、夫がまったく取り合おうとしないことにとうとう堪忍袋の緒が切れる。ついにはスマホをマークに預け、強引に夫との連絡を断ち切るが…。
1865年、南北戦争で北軍兵として出征した父ジャックが戦死したとの報せを受け、母モリーは絶望のうちに結核を患い、帰らぬ人となった。両親を失った幼い3兄弟チャーリー、リジー、リリーは、孤児列車に乗せられニューヨークを後にする。その後、戦地ミズーリからモンタナ州ボーズマンへと配属を移された年の離れた長男フィリップが彼らを迎えに訪れ、兄弟は再会を果たす。一方、戦死したと思われていた父ジャックは生きていた。彼は南軍の捕虜として収容されていたが、終戦とともに解放され、懐かしの我が家へと帰還。しかし、そこで妻の死と、子供たちが孤児列車に乗せられた事実を知る。ジャックは捕虜仲間のデズモンド、同じく娘を孤児列車に奪われたアリスと共に子供たちを捜す旅へと出るのだが…。
カルフォルニアに暮らす、あるジャンルの人気女優ジェーンは、ガレージセールで買ったポットの中に大金が入っていたことに気づく。早速ショッピングの軍資金として使うジェーンだが、やがて好奇心と罪悪感の両方から売り主の老婦人セイディに近づく。最初は警戒するセイディだが、何かと面倒を見ようとするジェーンに次第に心を許す。そのため、ますますお金のことが言い出せなくなるジェーンだが…
カリフォルニア州ロサンゼルスにあるフランス料理店“ベル・ヴィー”。店主のヴィンセント・サマルコはパリからロサンゼルスに移住し、乏しい資金の中で2016年8月1日に店をオープンさせる。有名ファストフード店に挟まれた理想的ではない立地ながらも、店は多くの人が訪れる人気店に。だが、2020年のコロナ禍により店は苦境に立たされる。永住権を持たないヴィンセントや従業員たちは店がなくなれば2ヵ月でアメリカを退去しなくてはならないため、テイクアウトや屋外席の設置など、あらゆる手段を用いて店の維持を図ろうと努力するが、ついにロサンゼルス郡は飲食店の営業停止命令を発令。ヴィンセントは厳しい決断を迫られていた。
かつてオリンピックのマラソン競技で金メダルを獲得したウィル。その後も事業家として成功を手にした彼の信条は“何よりも勝利者であり続ける”ことだった。3人息子と末娘は、そんな父の信条に従いスポーツで活躍する有能な選手に成長した。ウィルは望み通りに育てたことを喜んでいたが、実は妻も子供たちもフィルから押しつけられる価値観に苦しんでいた。やがて、父親の重圧に耐えられなくなった子供たちが、1人、また1人とウィルの元を去っていく…。
能登半島の最北端・珠洲。震災から立ち上がる地域の人々が、自然とともに生きる姿を追ったドキュメンタリー。伝統のキリコ祭りや漁業、地域の文化が再び灯り始める瞬間を描く。
大学を中退してゲームに興じる毎日を送る中国系タイ人の青年エム。スーパーで働いて家計を支える母シウと2人で慎ましく暮らしている。彼はゲーム実況でお金持ちになることを夢見ているが、視聴者は1日に数人のみで、将来への展望は描けないでいた。そんな中、父方の祖父を介護していた従妹ムイが、祖父の遺言によって豪邸を相続。それを聞いたエムは、自分も楽をして暮らしたいと画策する。エムには、一人で暮らす祖母メンジュがいた。中国の先祖祭である清明節に一家でお墓参りに行った時、メンジュは転倒してしまう。病院で診察を受けた結果、メンジュはステージ4のガンに侵されていることが判明。エムは不謹慎にも、メンジュから信頼され遺産を得ようと、彼女の介護人として一緒に暮らすことに。しかし、長年、早朝にお粥売りの仕事に出るなど、厳格に生きてきた気難しいメンジュに、エムは早起きすら出来ないありさまで怒られてしまう。メンジュの生活は、エムには馴染みがないことばかりで戸惑う日々だった。メンジュの娘でもあるシウも彼女と過ごすため、仕事のシフトを変更。夜勤明けでリハビリに付き添うが、2人はお互いに迷惑をかけないよう気を使い過ぎて、結果的に傷つけ合ってしまう。一方、投資で豊かな生活を送るメンジュの長男キアンは、長男の責任を果たそうと、メンジュに彼の家族との同居を提案。しかし、街を離れたくないメンジュは、お粥売りを休めないからと断ってしまう。ある日、エムとメンジュは長男一家と共に、棺桶の寄付ができる寺院を訪問。メンジュは家族みんなの幸せを祈ったのに対して、長男一家は自分たちのことだけを祈っていた。また、定職に就かず借金を抱えていた末っ子のスイは、メンジュの家を訪れてはこっそりお金を盗んでいたのだった。 利己的な家族に寂しさや孤独を覚えながらも、家族を想うメンジュを見て、エムの気持ちに変化が訪れる。そんなエムの姿に、メンジュも次第に心を開いていく。すれ違いながらもメンジュと絆を深めていったエムは、出来る限り彼女と一緒に時間を過ごそうと気持ちを新たにするのだった……。
親友たちと夏のクレタ島で過ごす、特別な卒業旅行。絶対に最高の夏になるはずだった。タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンヴァ・ルイス)の3人は、卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。自分だけがバージンで、居ても立ってもいられないタラ。初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。タラは、バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、一人酔っぱらい、彷徨っていた。そんな中、ホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが―。
中学校教師のチェンが勤める学校で自殺をほのめかす遺書が見つかる。彼は書いた生徒を捜索するうちに、自身の幼少期の辛い記憶を蘇らせていく。それは、弁護士で厳格な父のもとで育った兄弟の記憶だ。勉強もピアノも何ひとつできない兄と優秀な弟。親の期待に応える弟とは違い、出来の悪い兄は家ではいつも叱られていた。しつけという体罰を受ける兄は、家族から疎外感を感じ…。
盲目の青年モハメド・アリはある夜、姉と一緒に歩いているところをチンピラたちに絡まれる。その時、アリが強烈なパンチを彼らにお見舞いした瞬間をボクシング・トレーナーのアカシュは見逃さなかった。彼は有望視していた弟子に見限られたばかりで、次の逸材を探す必要に迫られていた。インドに盲目のボクサーはいない。しかしウガンダやタイなどには性別を問わず視覚障害を持つボクサーが存在する。さらにはインドにもそういったハンデを背負いながらも活躍するアスリートがいることを知ったアカシュは、アリをボクシングに誘う。父は乗り気だったが母は猛反対。実は昨年、サッカー界がアリを誘ったが、まったく上手くいかなかった痛恨の過去があった。
童話作家のチョ・ヨンヒは、妻を亡くして以来、喪失感に苛まれ、妻が絵を描いていた想い出の部屋に行くと過呼吸の症状を起こし、長い間その部屋に入ることができずにいた。ある日、その部屋から妙な音が聞こえ、ヨンヒが勇気を出してドアを開けると、部屋は天井から水漏れしていて、そこにはヨンヒの子・ジェインが密かに隠していた子猫が住んでいた。ジェインは猫を飼わせてほしいと父に頼み込み・・・
コロナ禍に韓国で誕生したジャイアントパンダのフーバオ。「幸福を与える贈り物」と名付けられた彼女は、韓国はもちろん、世界中から愛される存在へと成長した。4歳になる2024年、中国への帰国を間近に控えファンたちが悲しみに暮れる中、飼育員たちはフーバオの幸せを願い、中国行きの準備を粛々と続けていた。小さい頃遊んだようなハンモックを設置したり、大好きな菜の花畑を手入れしたり…。出発に向けた前向きな準備を整えながらも、次第に近づく別れを前に、飼育員たちの心も揺れ始める。
人気コメディアンのジョン・ビショップ。彼の息子ジョーは、15歳のクリスマス・イブに突然体調を崩し、翌朝には聴力を失っていた。原因不明のまま時が過ぎ、のちに判明したのは、極めてまれな自己免疫疾患“コーガン症候群”だった。当時、多忙を極めていたジョンは、息子に寄り添うことができず、やがて親子の会話は途絶えてしまう。それから12年。彼ら親子は“手話”という新しい言語で、もう一度向き合うことを決意する。そしてジョンは、息子のために人生初となる“手話によるコメディライブ”に挑戦する。
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る男を雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱く。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。ありのままの自分を許し、愛するストーリーの舞台となったのは、モロッコの首都ラバトと川1本隔てた古都サレ。コーランが響く旧市街には、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場、男たちがミントティーを楽しむカフェがあり、通路の上には大量の洗濯物がたなびくなど、素顔のモロッコがスケッチされる。
サンタモニカ・パリ・東京に家を持ち、愛する猫や犬たちに囲まれ、ピアノを弾く毎日が、彼女の愛すべき世界だった。戦時中を過ごした岡山に残されているピアノとの再会、父や弟との思い出、コロナ禍での暮らしと祈りを捧げる演奏、思い出の地・横浜でのドラマティックなステージ、そして秘めた恋の話――。フジコはどんな時も、自分らしく生きてきた。そんなフジコの想いとともに様々な場所で毎回色を塗り直し、紡ぎ出される代表曲「ラ・カンパネラ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」といった名曲の数々。2023年3月、フランス・パリ、コンセルヴァトワール劇場でのコンサートでは、「月の光」「幻想即興曲」「黒鍵のエチュード」などが披露された。「最後の演奏会はどんなものにしたい?」の問いに、パリでの演奏会のようにしたいと話していたフジコ。大切な場所で、過去と記憶が交差し、フジコの人生とともにあった“魂の演奏”と“心にささる名言”に思わず涙があふれる――。
電気店を営むアレックは、両親と双子の兄チャーリーを亡くして以来、ギャンブルや女遊びに溺れ、もはや崖っぷちの人生を送っていた。そんな時、突然、母方の伯父と名乗るレイモンドという男が現れ、もしアレックがカナダのノバスコシア州に引っ越して1年間暮らせば、8万8950ポンドの借金を肩代わりするという。すったもんだの末、その申し出を受けたアレックはレイモンドの家に移り住み、獣医のセシリアと共に働き始める。その直後から、アレックのもとを訪ねる住民たちは皆、なぜか不思議と病気やケガが治り癒されていくのだった。だが当のアレック本人はそんな力があるわけないと一向に認めず、レイモンドから自分が“ヒーラー”であることを聞かされても拒絶してしまう。そんな矢先、アレックは末期ガンの少女アビゲイルと出会う。
岡山県・美作の緑豊かな山々のふもと。古き良き趣を残す町並みに温泉を携え、お茶処でもあるこの地で、浪人の渓哉(杉野遥亮)は無気力な日々を過ごしていた。一方、家業の茶葉屋「まなか屋」を継いだ兄の淳也は、日本茶の魅力で町を盛り上げようと尽力していた。かつて野球に捧げた情熱は燃え尽き、勉強にも身が入らずにいたある日、ピアニストの里香(松下奈緒)がコンサートツアーでやって来ることを知った渓哉。里香はかつて兄の淳也(山村隆太)が東京での大学時代に交際していた元恋人だった。コンサート会場の客席で渓哉が見守る中、舞台上で倒れてしまった里香。療養を兼ねてしばらく美作に滞在することになった里香を、渓哉は自宅の空き部屋に招待する。突然現れた昔の恋人を冷たく突き放す淳也に、「あなたには迷惑はかけない」と告げる里香。こうして少し風変わりな共同生活が始まった。清らかに流れる川を吹き抜ける風、燃えるような緑の美しい茶畑。自然の優しさに囲まれて曲作りに励む里香に、ほのかな恋心を募らせる渓哉。しかし里香にはどうしてもこの場所に来なければならない理由があった……。
映画が誕生した1895年。当時5歳だったアンリ・フォルタンは、父が無実の罪を着せられ獄中で無念の死を遂げ、その後を追って母も自殺しためノルマンディーの漁村で居酒屋を営む夫婦に育てられ、過酷な少年時代を過ごした。やがて、ボクシングのチャンピオンとなったフォルタンは1931年に引退し、運送業を始めた。第二次世界大戦がはじまり、フォルタンはユダヤ人の弁護士ジマンとその家族の引っ越しを請け負う。だが、密告によって一家はスイスへの逃亡を余儀なくされ、フォルタンはそれも請け負った。フォルタンは一家の娘サロメを修道院の寄宿学校に預け、夫婦を国境近くまで運んだものの、夫婦を待っていたのはなナチスの卑劣な罠だった。フォルタンもナチスに協力する警察に逮捕されるがその後脱獄し、強盗団に参加、さらに終戦間近にはレジスタンスに加わった。ついに終戦を迎え、運命の糸で結ばれた様々な人々の人生が再び動きだそうとしていた…。
双子の姉妹クレール(カミーユ)とジャンヌ(メラニー)は、幼い頃からともにピアノに情熱を注いできた。父親からアスリートのような指導を受け、名門カールスルーエ音楽院に入学する。ピアノのソリストを目指し、2人のキャリアを左右するコンサートのオーディションに向けて練習に励む日々。しかし、彼女たちは自分たちの両手が徐々に不自由になる難病にかかっていることを知る。最悪の事態に直面しながらも、改めてピアノが人生のすべてであり、かけがえのない大切な存在だということに気づく。そして、絶対に叶えたい夢を2人で掴み取るため、家族に支えられながら、自らの運命を変えていくー。
島で生まれた漁師の青年、阿部アキラは、弟のシゲルとふたりで古い一軒家に暮らしている。アキラは素潜りの漁師で石巻の特産である海産物、「ほや」を獲るのが仕事だ。しかしアキラとシゲルは海のものを一切口にせず、カップラーメンばかり食べている。それは12年前の震災で、兄弟の両親が海で行方不明となってから――。そんな折、東京から島にふらりとやってきたブルーの髪をした漫画家、美晴が兄弟の前に現れた。3人のありえない出会い、それはおかしな奇跡の始まりだった――。
ムンバイで大学に通うマニーシュは、ストリート・ダンスに興味を持ち独学で練習を始める。ある日、出場したダンスの大会で注目を浴びた彼は、出場していた他の選手にダンス・スクールに通うことを勧められ、決して豊かな家庭環境ではないながらも、マニーシュに一生懸命教育を施してきた両親から反対される中、ダンス・スクールの門を叩く。そこでバレエを教えるイスラエル人イェフダと出会い、バレエの虜になってしまう。優れた運動能力とたゆまぬ向上心を持つマニーシュに、必死で応えるイェフダ。しかし、バレエダンサーとして活躍するには、マニーシュは年を重ねすぎていた……。
英国サッチャー政権下、境遇の違う人々をつないだ深い友情と感動の物語。不況と闘うウェールズの炭坑労働者に手を差しのべたのは、ロンドンのきらびやかなLGSMの若者たちだった!すべては、ロンドンに住む一人の青年のシンプルなアイデアから始まった。炭坑労働者たちのストライキに心を動かされ、彼らとその家族を支援するために、仲間たちと募金活動を始めたのだ。しかし、彼らが実はゲイの活動家(LGSM)だと知ると、寄付の申し出はことごとく断られてしまう。そこへ、勘違いから、唯一受け入れてくれる炭坑が現れる!彼らは、ミニバスに乗ってウェールズ奥地の炭坑町へと向かうが…。
大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサンは、他人とのコミュニケーションが苦手な反面、数学の理解力に関しては飛び抜けた才能を持っていた。母親ジュリーは、普通の学校に適応できない息子の才能を伸ばそうと、数学教師マーティンに個人指導を依頼し、ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルの中国チームの少女チャン・メイと出会う。彼女と共に学ぶ日々は、数学一色だったネイサンの人生をカラフルに変えていく。そして、数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる…
パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める―。
グレースは父マイクと母レベッカとともに都会から田舎の牧場に引っ越してきた。都会の生活と違い家族で過ごす時間が増えたことを喜ぶグレースだったが、幸せは長くは続かなかった。数年後、マイクは軍に招集され戦地で死亡してしまう。大好きな父親の死はグレースの心を深く傷つけ、以来彼女は神への信仰を失い教会へと行くことを止めてしまう。信仰の厚いレベッカから教会に行くように何度も説得されるが、逆にグレースの心は固く閉ざしてしまう。彼女の心を唯一慰めてくれるのは、マイクが亡くなる前に贈ってくれた1頭の白い馬フェイスだけだった。しかし、レベッカ1人で牧場の経営を続けるのは難しく、牧場を残すためフェイスを売る選択を迫られる。
ベルナデット・シラクは、夫ジャック・シラクを大統領にするため、常に影で働いてきた。ようやく大統領府であるエリゼ宮に到着し、自分の働きに見合う場所を得られると思っていたが、夫やその側近、そして夫の広報アシスタントを務める娘からも「時代遅れ」「メディアに向いていない」と突き放されてしまう。だが、このままでは終われない。参謀の“ミッケー”ことベルナール・ニケと共に、「メディアの最重要人物になる」という、華麗にして唯一無二の“復讐計画”をスタートさせる!
ある日、宝石店に強盗に入ったサミー。その帰りに乗ったバスで隣り合わせたシングルマザーのケイティに惹かれ、その日のうちに彼女が勤めるイタリアン・レストランまで足を運び、熱烈なアプローチをする。そんな情熱的なサミーにケイティも引かれて2人は恋仲に。だがサミーは、ギャングの父のもとに生まれ、昔、多額の借金をしたことからボスの言うがまま犯罪に手を染めてきた過去だけは、ケイティには明かせずにいた。やがて2人は結婚するが、ケイティの2人の連れ子のうち、レイチェルだけはいつになってもサミーに反発していた。しかしある日、ケイティが突然の事故で死亡してしまう。母を失った2人の娘にサミーは向き合うことになっていくのだが…。
バスケットボール選手出身で公益勤務中のカン・ヤンヒョンは突然、かつては全国優勝したこともあるが部員が減少し廃部の危機に瀕した母校の釜山中央高校バスケットボール部の新任コーチに抜擢される。指導者としての経験はなかったが、部の再建のために部員を集め始めるヤンヒョン。そして、寄せ集め部員を引き連れ初試合に挑むことになるが、対戦相手はなんと高校バスケットボール界の最強校だった。チームワークは崩れ、結果は惨敗。学校側はバスケットボール部解体まで議論しはじめ、部員もバラバラになってしまうのだが...。
『さつまおごじょ』特攻隊員たちに愛を注いだ「特攻の母」鳥濱トメとその娘、孫の3世代にわたる実話をもとにした感動の物語。『アラームベル』閉鎖された空間で集う男女。打ち鳴らされる「警鐘」決して他人事ではない、迫りくる恐怖とは…。『嘘だろ』高額当選の宝くじを巡り、仲間同士の間で突如起こった惨劇。炙り出される愛憎と裏切り…。最後に笑うのは誰だ?
“マディ”の愛称で親しまれるマデリン・スチュアート、当時18歳。炭酸飲料とチキンラップと目玉焼きが大好物で、とても明るく社交的な彼女は、ダウン症ながらも初のプロのファッションモデルとして、世界最大規模のNYファッションウィークで華麗に、そして誰よりも自信に満ち溢れながらランウェイをウォークしていた。その裏には、涙ぐましい母ロザンヌの献身的なサポートと、世界中を駆け巡る母娘の二人三脚の険しい道のりがあった。
昭和39年、茨城県石岡市の東小学校に保護された一匹の犬。「タロー」と名付けられたその犬は、誰に教わる事なく、朝は校門で児童を出迎え、昼は一年生の教室を順番に回っていた。そんな賢い行動ですっかり学校の人気者になったタローだが、ある日から石岡駅までの2キロの道のりを往復する日課を始めるようになる。歩道橋を渡り、国道を歩き、踏切を渡り、石岡駅の待合室に入って座る。じっと改札口を見つめ、しばらくすると駅を離れて再び小学校に戻る。そんな行動を朝と夕方の1日2回、毎日続けた。タローは石岡駅周辺でも顔なじみとなり、待合室でも駅前の商店街でも多くの人にかわいがられた。タローの駅通いは17年も続いたが、タローが駅で誰を待っていたのかは誰も知ることがなかった。
1936年、ベルリンオリンピック。マラソン競技に日本代表として出場した孫基禎は、世界新記録を樹立し金メダルに輝く。だが、表彰式で日本国歌が流れる間、月桂樹の鉢植えで胸元の国旗を隠したことが問題視され引退を強いられる。1946年、ソウル。祖国が日本から解放された後、荒れた生活を送っていたソン・ギジョン(孫基禎)の前に、ベルリンで共に走り銅メダルを獲得したナム・スンニョンが現れ、“第2のソン・ギジョン”と期待されるソ・ユンボクを、ボストンマラソンに出場させようと持ち掛ける。高額の保証金を始め数々の問題を乗り越えた3人は、1947年、ついに消された祖国の記録を取り戻すべく、ボストンに旅立つ。しかし、さらなる難題が彼らを待ち受けていた──。
バブル期の到来を迎えた台湾。その出会いが、図らずも少年にある選択を迫ることになる……台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“老獪なキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……!?
父親とパリで暮らす6歳のクレオは、いつもそばにいてくれるナニー(乳母)のグロリアが世界中の誰よりも大好き。お互いに本当の母娘のように想いあっていた2人だったが、ある日、グロリアは遠く離れた故郷へ帰ることに。突然の別れに戸惑うクレオを、グロリアは自身の子供たちと住むアフリカの家へ招待する。そして夏休み、クレオは再会できる喜びを胸に、ひとり海を渡り彼女のもとへ旅立つ…。
メリーランド州ガリーナに住む高校生コールの夢は、農場を経営してガリーナの農業を発展させること。そのため幼馴染のジャックと恋人のエルと離れ、大学進学を決意。主専攻は“農学”と考えていたが、地方銀行の支店長である父親に、将来性の高い学部を選ぶよう説き伏せられてしまう。卒業後はガリーナに戻ることを希望していたが、両親がコールに内緒で法科大学院への奨学金を取得したことで進学を余儀なくされ、またしても自分の夢は後回しに。やがて法律事務所に就職したコールは、ここでも上司の期待に応え順調にキャリアを積み、美しい妻と大きな邸宅、高級車を手に入れ成功者となる。そんなコールだったが、彼の心の中を占めていたのは、農業への夢と、ジャックと結婚したエルを想う気持ちだった。
1945年4月、デンマークの市民大学。学長ヤコブが、現地のドイツ軍司令官から思いがけない命令を下される。ドイツから押し寄せてくる大勢の難民を学校に受け入れろというのだ。想定をはるかに超えた500人以上の難民を体育館に収容したヤコブは、すぐさま重大な問題に直面する。それは多くの子供を含む難民が飢えに苦しみ、感染症の蔓延によって次々と命を落としていくという、あまりにも残酷な現実。難民の苦境を見かねたヤコブと妻のリスは救いの手を差しのべるが、それは同胞たちから裏切り者の烙印を押されかねない振る舞いだった。そして12歳の息子もドイツ難民の女の子と交流を持ちつつあったが彼女は感染症にかかってしまう。友達を救うべきか、祖国に従うべきか、家族は決断を迫られる。
パリの店舗やルイ・ヴィトンなどの高級ブランドとのコラボレーションが話題の人気パティシエ、ヤジッド・イシュムラエンの自伝書を元に映画化された感動のサクセス・ストーリー。登場する全てのスイーツの監修もヤジッド本人が務めた。またオーディションで映画初主演を射止めたのはTikTokで660万人のフォロワーを持つ映像クリエイターとしても活躍する俳優リアド・ベライシュ。
神話(SHINHWA)のイ・ミヌが初出演したコメディー。死んだ詐欺師が、息子との思い出を作りたいと天使に願うが、男は息子の同級生として生まれ変わってしまう!?共演に『トンマッコルへようこそ』のイム・ハリョン。
出会いと別れが交錯する命の現場で紡がれる「わたしたち」の物語――舞台は九州・熊本の看護師養成機関。幼い頃に母親を病気で亡くした学生、木津川あかねは、大学を中退した幸助、元居酒屋店員の俊夫、シングルマザーの玲子ら様々な事情を抱えた仲間と学内演習に励んでいた。そしてついに迎えた病院での実習。古村という患者の担当となり、病状の深刻さに戸惑いながらも交流を深めていくあかねだったが、その矢先、あかねの些細なひと言が原因で、古村が心を閉ざしてしまう……。それまで日々の実習や実習記録の提出に追われ、看護とは何かを見失っていたあかね。だが古村の葛藤に触れ、大切なのは、患者の本当の苦しみに寄り添うことだと気づいた彼女は、古村の願いを叶えようとする――。
人と仲良くするのが苦手な人もいる。特にエッラにとっては難しいことだった。エッラが唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、夢の1週間は悪夢へと変わってしまう!オランダからトミーの恋人スティーブがやってきたのだ。トミーとスティーブは英語で話すため、何を話しているのか全く分からないエッラ。のけ者にされたような気分になり、トミーを取られるのではないかと気が気でない。親友を取り戻したいエッラは、彼女と友達になりたがっている転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を実行するのだが…。
仕事で家族旅行をキャンセルしたジェイクに、妻と子どもたちが事故に遭い死亡したという報せが届く。家族を失った悲しみで気力をなくしたジェイクは、唯一生き残った飼い犬クーパーの引き取りもできないでいた。葬儀が終わり動物病院に保護されていたクーパーを引き取りに行ったジェイクだったが、クーパーが車に乗るのを拒んだため歩いて自宅に連れて帰るハメに。その後、置きっぱなしの車を引き取りに何度も動物病院に出向くが、クーパーは乗車を拒否し続けるばかりだった。ある日の深夜、ソファーで横たわるジェイクは、亡き家族の声を聞いて飛び上がる。遺品を入れた紙袋を漁るクーパーが見つけたもの、それは事故直前に携帯電話で撮られた最愛の家族の姿だった。
米国ロサンジェルスで開催された世界テコンドーチャンピオン決勝戦で、韓国最高のファイター、キム・スンヒョンと、米国の自尊心ジャック・ミラーの火花が散る対決が真っ最中だ。誰が見てもスンヒョンの軽快なボディーコントロールによる速い攻撃が一枚上。ところが、スンヒョンの攻撃がジャック・ミラーの急所に正確に入ったにもかかわらず、点数は上がらない。米国側の悪だくみで、優勝は、初めからジャック・ミラーに決まっていたのだ。テコンドーチャンピオンを強奪された日、恋人のミンソとも交錯した道を歩くようになったスンヒョン。絡まった時間はさらに絡まって7年が流れる。それでも屈しないスンヒョンは、自ら人生に適応して生きている。刑事という職業を得て、可愛い愛娘サランとの仲むつまじい生活もある。しかし、暴力組織のボス、ファン・ジョンチョルの組員に対し、誤った取扱いをしたスンヒョンは、刑事を止めざるを得なくなり、生計と娘の安全のためにファン・ジョンチョルが主催する不法異種格闘技で戦うようになる。
かつて映画監督だったレオノールも72歳になり今では電気代も払えずにいた。彼女の二人の息子のうち兄ロンワルドはずっと以前に事故で亡くなっており、残された弟ルディも仕事で遠くに行くことになった。そのせいでレオノールは精神的にも落ち込んでいた。そんなある日、新聞に掲載されていた脚本コンクールを目にした彼女は、現状を抜け出すために映画脚本の執筆に取り組み始める。その内容は「殺された兄の仇を弟が討つアクション映画」で、昔に書いたものの未完で終わっていた作品でもあった。脚本のアイデアを考えながら歩いていると、運悪く近所のカップルが投げたテレビが降ってきてぶつかってしまう。その結果、レオノールはヒプナゴジアに陥り現実と物語の世界を行き来するようになってしまった。その物語の世界とは、先ほどまで執筆していた仇討ちアクション映画の世界だった。レオノールは自分で書いた脚本の世界に入り込んでしまったのだ。レオノールは物語の世界で、兄の仇を討とうとする主人公と出会い共に旅をする。現実世界では、意識を失って入院しているレオノールをルディが看病をしていた。物語の世界では、レオノールは息子を亡くした女性と出会う。そこでレオノールは言った「私もロンワルドを撮影中の事故で亡くしてしまった」と。この未完の物語は亡くなったロンワルドへの贖罪の物語でもあった。ルディは今まで母親に対して冷たく応対していたことを悔い、レオノールを脚本の世界から引き戻そうとするが、レオノールは病室からもいなくなってしまう。ルディは現実の世界でレオノールを見つけようと奮闘する。かたやレオノールは物語の世界で未完脚本の結末を見つけようと奮闘する。過去に中途半端で終わってしまった自作品への納得のいく結末を……
シチリアに住む老人マッテオには、イタリア全土に散らばって暮らしている5人の自慢の子供たちがいた。毎年夏には必ず子供たちはシチリアに帰ってくるが、今年の夏に限っては誰も姿を見せなかった。そこでマッテオは自分から子供たちを訪ねて驚かせてやろうと思い立つ。電車でイタリア全土の子供たちに会いに行く旅に出たマッテオはまずナポリの学校に勤めるアルヴァーロに会いに行くが、一向に連絡が取れない。ローマで議員秘書のカニオに会いに行くも、忙しそうで話が出来る状態ではなかった。その後、通行人の勘違いから警察の世話になったところ、モデルのトスカがやってくる。マッテオはトスカの広い自宅に泊まらせてもらい、ファッションショーを観賞しに行くが、彼女にも何か悩みがあるようだ。次に打楽器奏者のグリエルモに会いに行くと、次の公演があるのですぐに旅立つと話されるが、時折見せる作り笑いに公演の話が嘘だと気付く。旅の途中で団体旅行のシニアグループに会い、半日その団体と行動を共にして、食事やダンスパーティに参加して素敵なマダムとの心和むひとときも経験するマッテオだった。最後に幸せな家庭を築いたはずのノルマの家に行くが、孫の話を聞いて悪い予感が的中する。夜中に街を彷徨うマッテオの元に5人の子供たちが幼少時の姿で現れ、一人一人が隠していた真実を語っていく。ナポリ。ローマ、フィレンツェと旅する老人の目に映ったものは果たして何だったのだろうか・・・。旅を終えて、我が家に戻ったマッテオは、妻の墓前で旅の報告をして子供たちの近況を伝えるのだった。子供たちは、みんな元気だった、心配ないと。
腕ききのネオン職人だった夫ビルが亡くなった。古き佳き時代のガラス管のネオンを愛した夫。妻メイヒョンは後悔していた。かつてSARSが香港を襲ったとき、夫にネオンの仕事を廃業させたことを。ある日メイヒョンは、「ビルのネオン工房」と書かれた鍵を見つける。もう10年前に廃業したはずなのに。昔の工房へ行ってみると、そこには見知らぬ青年がいた。名前はレオ、夫の弟子だという。ビルの死を伝え、工房を閉めると告げるメイヒョン。レオは、師匠にはやり残したネオンがある、それを完成させるまでやろうと説得する。メイヒョンは、夫がやり残したネオンを探しだし、完成させることを決意する。ネオン作りの修行を始めるメイヒョン。一方、ひとり娘からは、香港を離れて海外へ移住すると打ち明けられる。はたして夫の最後のネオンの行方は?
急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みる。息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げる。息子がゲイだという衝撃の事実に動揺した彼は、ガブリエルの死を知り悲しむセバスチアンを激しく罵倒してしまう。2週間後、セバスチアンに言われた言葉が気になり眠れなくなったホルヘは、息子の本当の姿を知るべく、ボリビアを離れニューヨークのセバスチアンの家を訪れる。アポイントもなしにセバスチアンの家を訪れたホルヘは、再び激しい口調で詰問するが、興奮のあまりその場で昏倒してしまう。