「未来のことはわかんないからさ、とりあえず良いことが起こることにしとこう。」舞台は2020年11月17日。婚約をしたものの、コロナの影響で結婚式をすることができなかった20代の亮介(前原滉)とゆかり(大友花恋)。引っ越しの整理もままならない二人だが、都会から離れた町に住む真紀子(柳ゆり菜)の自宅で友人たちがお祝いパーティーを開いてくれることになり、稲田(中島歩)や圭吾(篠田諒)、そして真紀子の知り合いのインフルエンサーちひろ(めがね)らが集まる。しかし、自分の意見に合わせるばかりで、本音を話さない夫に不安を募らせていたゆかりは、彼の隠し事を知ってしまい、祝いの席に不穏な空気が漂ってしまう。同じ空の下、様々な人物がやり切れない想いを抱えて毎日を過ごしている。急増するデリバリー案件に答えながら出演舞台が中止になる日々を送る30代の若手俳優の片岡(アベラヒデノブ)、帰省できず里帰り出産のわが子を抱くこともできない40代のタクシードライバーの淡路(高橋努)、そして、学校イベントのほとんどが中止となり、長年の恋心さえも伝えられずにいる中学3年生の光輝(山時聡真)と鈴(佐々木悠華)。
長いアメリカ暮らしから突然、妹ジョンオクの元を訪ねて韓国へ帰国した元女優のサンオク。母親が亡くなって以来、久しぶりに家族と再会を果たすが、帰国の理由を妹には明らかにしない。彼女に出演オファーを申し出る映画監督との約束を控えていたが、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。サンオクはなぜ自分が捨てたはずの母国に戻り、思い出の地を訪ね歩くのか?捨て去った過去や後悔と向き合いながら、かけがえのない心のよりどころを見出していく、たった一日の出来事が描かれていく。
障がい者施設で暮らす那須叶(なすかなえ)通称ヌー。彼女は母親を求めながら、赤ん坊の頃捨てられたロッカー“ぬ5515”を守り続け、毎日コインロッカーの前で絵を描き続けていた。ある日、刑務所から出所した男・黒迫和眞(くろさこかずま)と出会う。黒迫は、別れた妻子に金を送る為、現在はヤクザである友人の木嶋から紹介してもらった覚醒剤売買で金を稼ぐ。ヌーのコインロッカーの傍で覚醒剤売買をしながら次第にヌーに興味を持ち、思い付きでSNSでヌーの絵をアップし始める。海外の有名アーティストから絵を買いたいとの連絡が入り、高額で売ろうとした黒迫だったが、ヌーの純粋な心に触れ良心が生まれる。そんな時、ヌーが白血病により倒れ余命を宣告される。黒迫はヌーに、適合した自分の骨髄を移植するが、覚醒剤売買が発覚し、警察に連行される。病院を抜け出し冷たい雨に打たれながら黒迫を追って警察署の前で再び倒れたヌーは、無理が祟り亡くなってしまう。釈放された黒迫はヌーの担当施設職員・瀬戸瑠璃子によって、ヌーが黒迫へ残した沢山の絵と想いを受け取る。
天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)だ。のぞみの妹・かなえ(門脇麦)はイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子(寺島しのぶ)は逃げた父親をいまだに恨んでいる。ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか?天間荘の真の役割とは?
11歳の女の子・楓(田中千空)は、ある日突然授業中に倒れてしまい、「急性骨髄性白血病」と診断される。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志(海津陽)だけが唯一の心の支えだった。同じ頃、IT企業を経営する柳井健吾(崔哲浩)は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。全てを失ってしまった健吾にとって、今や一通の手紙でのみ交流があった、見知らぬ女の子の骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることだった。かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と大人になった一人の少女(倉野尾成美)。異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは。。。
かつて青春時代を過ごした町・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤は、ひょんなことから映画好きのホームレスの佐藤と、映画館“銀平スカラ座”の支配人・梶原と出会い、バイトを始める。同僚のスタッフ、老練な映写技師、個性豊かな映画館の常連客との出会いを経て、近藤はかつての自分と向き合い始めるが……。
町の古い一軒家に暮らす武藤 千夏(吉田 美月喜)と、母の昭子(常盤 貴子)は、慎ましくも笑いの絶えない日々を過ごしていた。小説家を目指し念願の芸大に合格した千夏は、授業で出された創作課題「初恋の思い出」の事で頭を悩ませている。千夏にとって初恋は、忘れられない一言のせいで苦い思い出になっていた。その言葉は今でも千夏の胸に“しこり”のように残ったままだ。だが、初恋の相手である川柳 光輝(奥平 大兼)と再会した千夏は、再び自分の胸が踊り出すのを感じ、その想いを小説に綴っていくことにする。一方、母の昭子も、職場に赴任してきた木村 基晴(三浦 誠己)の不器用だけど屈託のない人柄に興味を惹かれはじめており、20年ぶりにやってきたトキメキを同僚の花内 透子(前田 敦子)にからかわれていた。親子ふたりして恋がはじまる予感に浮き足立つ毎日。そんなある日、昭子は千夏の部屋で“乳がん検診の再検査”の通知を見つけてしまう。娘の身を案じた昭子は本人以上にネガティブになっていく。だが千夏は光輝との距離が少しずつ縮まるのを感じ、それどころではない。「こんなに胸が高鳴っているのに、病気になんかなるわけない」と不安をごまかすように自分に言い聞かせる。少しずつ親子の気持ちがすれ違い始めた矢先、医師から再検査の結果が告げられる。初恋の胸の高鳴りは、いつしか胸さわぎに変わっていった……。
「髪を洗ってやるよ」。それは、男と女でいられる最後の夜のことだった。1966年、講演旅行をきっかけに出会った長内みはると白木篤郎は、それぞれに妻子やパートナーがありながら男女の仲となる。もうすぐ第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子の手料理を絶賛する。奔放で嘘つきな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。緊張をはらむ共犯とも連帯ともいうべき3人の関係性が生まれる中、みはるが突然、篤郎に告げた。「わたし、出家しようと思うの」。
1940年、第二次世界大戦中のドイツ占領下のポーランド。アウシュヴィッツ強制収容所に最初の囚人たちが連行された。その中には、戦前のワルシャワで“テディ”の愛称で親しまれたボクシングチャンピオン、タデウシュ・ピエトシコフスキがいた。到着後、すぐに待ち受けていたのは「死の選別」。労働力にならないとみなされた高齢者や病人、女性、子どもは「シャワー室」だと聞かされてガス室に案内され、二度と戻ることはなかった。テディには労働が命じられた。そこでは「77番」という“名”が与えられ、左腕には囚人番号の入れ墨が刻まれた。揃いの縞模様の布切れを身につけ、十分な寝床や食事を与えられることなく過酷な労働に従事させられていたある日、一人のカポがボクシングチャンピオンであった彼の才能に気付く。退屈して街で問題を起こしていた衛兵たちのいい気晴らしになると判断され、リングに立たされることになる。「ここでのボクシングは、スポーツではない」。テディは、司令官たちの娯楽として消費される葛藤を抱えながらも、親しくなった少年ヤネックや囚人仲間たちのために闘いを続け、戦利品として手に入れた食料や薬を惜しげもなく分け与える。彼にとってボクシングは、生き抜くための闘いそのものになっていた。死の恐怖と隣り合わせの中で、収容者たちはテディの活躍に声援を送り、ひとときでも祖国ポーランドに生きて帰る希望を持つことができた。次第に彼は、ナチスは無敵ではないのだという希望の象徴となり、囚人たちの士気を高めていくが―。
明治から令和へ、『百試千改』の言葉が、消えかかったモノづくりの魂に明かりを灯す!永峰明日香は東京で夢破れ、故郷広島へ。実家は三浦仙三郎の杜氏の末裔が継いだ酒蔵。養女である明日香は、幼き頃から酒造りに興味を持っていたものの、実家を継ぐことは、そぐわないと避けて生きてきた。目標を見失っていた明日香は父・亮治が「家宝」とする三浦仙三郎の手記を目にする――。「何度も試して直す。なんぼいけんかってもそこを見つけて、直す。わしゃあ負けんど」明治初期、新米酒造家の三浦仙三郎は、醸造中に中の酒が腐る「腐造」に何度も見舞われる。資金不足、両親、愛する養女の死。逆境の中、腐造を起こさない、安定した日本酒醸造技術の確立に研鑽を重ね、ついに軟水による低温醸造法を導き出す。明日香は仙三郎の百回試して、千回改める『百試千改』の想いに強く惹かれる。そんな折、父・亮治が突然倒れ、サラリーマンの兄・創太は、たとえ仕込み中であろうとも蔵をやめるべきだと主張する。三浦仙三郎の想い、父が手帳に残した新酒への想い、明日香は、わだかまりを超え、『百試千改』のモノづくりに入る決心を固めるが――。匠の心意気と技、支える家族、仲間たち。広島の地で、吟ずる者たちのタスキは繋がれた!明治から令和へ。時を経て、想いと一緒に醸される新酒『追花心』は完成できるのか?
バンジャマンは人生半ばで膵臓がんを宣告され、母のクリスタルとともに、業界でも名医として知られるドクター・エデを訪れる。二人は彼に希望を託すが、エデはステージ4の膵臓がんは治せないと率直に告げる。ショックのあまり自暴自棄になるバンジャマンにエデは、生活の質を維持するために化学療法を提案し、「一緒に進みましょう」と励ます。ドクター・エデの助けを借りて、クリスタルは息子の最期を出来る限り気丈に見守ることを心に決めるのだが…。
コメディが得意なアメリカ人の映像ディレクター・スティーヴは、3.11のドキュメンタリーを作るために来日するが、被災地を訪れた際に見かけた演劇の舞台をきっかけにコメディ映画を作ろうと考えを改める。取材を重ねる中で当時の被災状況を目の当たりにし、かつ週刊誌に誹謗中傷の記事が出るなど、映画製作には暗雲が立ち込めてしまう。しかし彼には映画を撮らなければならない理由があった。一方、3.11で息子を亡くし、ロサンゼルスに移り住んだ日本人シンガーの麗子。歌のせいで息子を失ったという罪悪感に苛まれ、失意の中で日本に残してきた夫と向き合えないままでいた。ある時彼女は夫からの手紙の中にあるものを見つけて・・・
児童養護施設で暮らす13歳の中学生、優太は、施設でも学校でもいじめられ、いつも一人ぼっち。自分を理解してくれる大人もいない。母・梨花が迎えに来てくれることだけを心の支えに毎日を過ごしているが、一向に現れず不安を募らせていく。そんなある日、偶然母の居場所を知った優太は、会いたい一心で施設を抜け出し、地方に住む母のアパートを訪ね、ようやく再会するのだが…。
コロナ禍もようやく一応の終焉を迎え、町行く人々の口元にもマスクが目立たなくなってきた。さら(33)は夫、康介(31)の家で康介の両親と一緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ子供はいない。ある日、義理の母が「そろそろ子供は?作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度目であろう。しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに長くこの家に居たのに、すっかりセックスレスになっていた。なおかつ、さらは最近、康介に女がいることに気がついていた。さらは、夜中にコンドームを捨てた。一方、義理の母、晶子は、コロナによって年老いた母を亡くしたこともあり、命について深く考える毎日。どうしても孫の顔を見たいという欲求で精神的に不安定になっていた。
あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに登下校してくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」――。
祖母の家だった空き家を訪れるコト。だが様子がおかしい。庭には見知らぬダンボールハウスが建ち、妙な老人が住み着いていた。街の音を録っては土に埋める“音の墓”を作っているという老人。その奇妙な行動に興味を持ち、コトは手伝いを始める。そこへ、家の立ち退きを要請しに訪問者がやってきて…。
「もぉーいぃかい?」夫婦でかくれんぼ。妻アリカが鬼。彼女は鼻がきく。夫コウキは匂いを辿られまいと頭を捻る。ある日、夫から嫌な匂いがする。アリカは変わっていく夫の匂いに苦しむ。そんな妻の姿を見て、コウキは妹カスミにある頼みごとをする。
囚人たちの為に演技のワークショップの講師として招かれたのは、決して順風満帆とは言えない人生を歩んできた役者のエチエンヌ。彼はサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を演目と決め、訳あり、癖ありの囚人たちと向き合うこととなる。エチエンヌの情熱は次第に囚人たち、刑務所の管理者たちの心を動かすこととなり、難関だった刑務所の外での公演にこぎつける。しかし思いも寄らぬ行動を取る囚人たちとエチエンヌの関係は、微妙な緊張関係の中に成り立っており、いつ壊れてしまうかもしれない脆さを同時に孕んでいた。それは舞台上でもそのままに表出し、観客にもその緊張感がじわじわと伝染し始める。ところが彼らの芝居は観客やメディアから予想外の高評価を受け、再演に次ぐ再演を重ね、遂にはあの大劇場、パリ・オデオン座から最終公演のオファーが届く!果たして彼らの最終公演は観衆の歓喜の拍手の中で、感動のフィナーレを迎えることができるのだろうか?
第1幕【新しい夫婦生活】(二宮ひかり)(【オープン・マリッジ 新しい夫婦生活】より)安奈(二宮ひかり)は社内結婚で専業主婦になったばかりの若妻。夫の慎吾は万年課長で冴えない中年男。ある日、慎吾は若い安奈を性的に満足させてあげられないのではないかと部下の武司に相談してしまった。他の男に愛する安奈を抱かせるなんて絶対に無理だと渋る慎吾に、武司はある熟女を紹介する・・・。第2幕【ある夫婦のカタチ】(市川まさみ)【オープン・マリッジ ある夫婦のカタチ】より)綾香(市川まさみ)は専業主婦。夫の慎吾は出版社勤務で忙しく、セックスレスな夫婦生活を送っていた。ある時、女性誌で新しい結婚のスタイルである”オープン・マリッジ”を特集することになった。自由に他の異性と関係が持てるというものだった。体験レポートを要求された慎吾と綾香は、パートナーを見つけた。嫉妬から生まれた興奮で、セックスレスを解消してお互いの身体を激しく求めあうようになっていくが・・・。第3幕【ある夫婦の体験記】(架乃ゆら)(【オープン・マリッジ ある夫婦の体験記】より)ACCR-2032 2021年11月 柚季(架乃ゆら)は初恋の男性、幸太郎と新婚生活を始めていた。初めての男性経験が夫だった経験から、夜の生活がシンプルなものになっていた。ある日、同窓会の誘いを受け、好意をもっていた旧友と再会する。夫の幸太郎は上司に夜の性活の悩みを話すと、夫婦で相談に乗ってもらう事に。2人が導き出した、新しい愛し合う解決方法とは!?(3話オムニバス総集編)
韓国・ソウルに暮らす三姉妹。長女ヒスク(キム・ソニョン)は別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。一人娘のボミは冴えないパンクバンドに入れあげ、反抗期真っ盛り。元夫からお金をせびられ、娘に疎まれても、“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。そんな彼女の体には異変が起きていた…。次女ミヨン(ムン・ソリ)は熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。大学教授である夫(チョ・ハンチョル)と一男一女に恵まれ、高級マンションにも最近引っ越したばかり。新居祝いのパーティーを開き、“完璧なフリ”をして生活しているが、夫の裏切りによってそんな日常もほころびを見せ始める。三女ミオク(チャン・ユンジュ)は劇作家として絶賛スランプ中。食品卸業の夫(ヒョン・ボンシク)の後妻となり、夫の連れ子である中学生の息子と3人で暮らしているが、自暴自棄となって昼夜問わず酒浸り。たまにミヨンにも泥酔状態で電話をかけている。人の良い夫は必死に彼女をサポートしようとするが、ミオクは“酔っていないフリ”をして息子の保護者面談に乗り込んでしまう。普段はそれぞれの生活で精一杯で、ほとんど顔を合わせない三姉妹だが、ミオクがミヨンの教会を突然訪ねてきた。ミヨンは、スナック菓子を片手に牧師様に話しかけるミオクに一瞥もくれず足早に教会の外に出ていく。そんな姉を追いかけるミオクは、「会いたくて来たのに、私が恥ずかしい?」と話しかける。二人が話すのは、長姉ヒスクや実家に残してきた末弟ジンソプのこと。ある時は、三姉妹の母親からミヨンに電話があり、どうやらヒスクがお金を無心してきたという。居ても立っても居られなくなったミヨンはヒスクの花屋を初めて訪れ、久しぶりに二人で食事を共にすることに。ミヨンはヒスクに「わたしたちは他人?姉妹は支え合うものよ」と諭すのであった。そんな折、父親の誕生日を祝うために三姉妹は久しぶりに帰省し一堂に会することに。牧師様も同席し、誕生日会の祈りが捧げられる時、思いもよらぬ出来事が起きる。三人はそれまで蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことになる―。
若き消防士アレクセイは、元恋人オリガと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元のチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、それまでの穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることを知らされる。もしも溶け出した核燃料が真下の貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまきちらされてしまう。愛する人のためタンクの排水弁を手動で開ける決死隊に志願したアレクセイだったが、行く手には想像を絶する地獄が待ち受けていた…。
「お名前は?」「覚えていません」――。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う...―そして新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする・・・。記憶はどこにいったのか?新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。
終活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生・咲(岩本蓮加〈乃木坂46〉)は、一緒に働く老紳士・敬三(宝田明)と共に、様々な境遇の人々の「終活」の手助けをしていく。咲は危険と隣り合わせの職業で、万が一のために家族に遺書を残していこうとする者や余命わずかで思い出を残そうとする者たちに寄り添って「終活」のお手伝いをする日々を送っていた。そんな最中、咲の担任でかつて国語教師であった南雲(土居志央梨)は生徒からのイジメに遭い、教師をやめ自暴自棄の生活をしていた。咲はひきこもりの彼女の様子を見に度々家を訪れ、様子をうかがっていた。一方で、イジメの張本人の女子生徒を待ち伏せして自分の気持ちをぶつけたりもするが、彼女の中のやるせない気持ちは消えることはなかった。自身も不登校で行き場を求めている咲に、敬三は病気で老い先短い妻(吉行和子)とかつて見た桜の下での思い出を語る。咲は敬三たち夫婦を励まそうと、敬三がかつて見たという桜の木を探しに出かけるのだが・・・。
突然の事故で半身不随となってしまった男、リョン・チョンウィン(アンソニー・ウォン)。妻とは離婚、息子とも離れて暮らし、人生に何の希望も抱けないまま、ただただ日々を過ごしていた。妹ジンイン(セシリア・イップ)との関係もうまくいかず、慰みは唯一の友達である元同僚のファイ(サム・リー)との会話と海外の大学に通う一人息子の成長だけ。そこに若いフィリピン人女性エヴリン(クリセル・コンサンジ)が住み込み家政婦としてやってくる。広東語が話せない彼女に最初はイライラを募らせたチョンウィンだったが、片言の英語で会話をしながらお互いに情が芽生えていく。やがて、エヴリンが生活のためにやむを得ず写真家への道を諦めたものの、今でも心の中で夢を追い求めていることを知ったチョンウィンは、彼女の夢を叶える手助けをしようと思い始めるが…。
小夜は東京で生活していた。ある日、田舎で暮らす姉のあすみから連絡があった。それは今度結婚するという内容の電話。「おめでとう。何て人?」あすみは言いにくそうに名前を言った。「布施野さん……」その名前を聞いて小夜は愕然とした。その男は8年前にある事件を起こしていた。
御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく…と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る…
北海道から修学旅行で岡山に来ていた相馬春奈(福本莉子)は、入院中の祖母のために、ぶどうの高級品と言われる“マスカット・オブ・アレキサンドリア”をお土産にしようとしたが財布を落としてしまう。あまりの値段の高さに諦めに境地だったが、そんな時に見つけたのが、アレキサンドリアをそのまま和菓子にした「陸乃宝珠」だった。手元に残っていたお金でそれを買った春奈は、祖母が食べて喜んでくれたことに感動し、「お菓子は人を幸せにする!」と、その和菓子を発売していた岡山の老舗和菓子メーカーに就職をした。笑顔で元気な春奈だったが、研修中は何をやらせても失敗ばかりで、困った人事部は、昨年の新入社員が半年足らずで辞めてしまったという、偏屈で名高い、ぶどう農家・秋吉伸介(竹中直人)のところに配属させたのだった。拒否されながらもなんとか紳介にくらいつく春奈。なかなか心が通いあえなくても負けずに頑張るその姿に、次第に紳介との距離を縮めていく。そんな時、岡山県に未だかつて経験したことのないという、大雨、大洪水が襲った…。
ある日、川島いづみは大金の入った財布を拾う。中に入っていた学生証をたよりに、その財布の持ち主に返すはずが…。いづみ、友達の蓮実と薫、そして財布の持ち主・佐藤。財布の中に入っていたはずのお金を介して、彼らのいつもの日常に小さな変化が訪れた――。
たった一度の失敗で人生は終わらない。何度だって、どん底からだって、“リスタート”できる。北海道下川町で育った未央は、シンガーソングライターを夢見て上京。しかし、不本意ながら売れない地下アイドルとして活動していた。ある日、意図せず起きた有名アーティストとのスキャンダルによって、世間からのバッシングを受けることに。思い描いていた夢に破れ傷つき、故郷に帰ってきた未央だったが、家族や友人にも上手く接することが出来ずにいた。そんな中、同級生の大輝は、未央を思い出の場所へと連れ出す。自然豊かな景色とその優しさに癒され、未央はゆっくりと前を向き始める―。
1995年、神戸。伊智子と太助は、阪神・淡路大震災により一人娘のれいこを亡くす。その後、離婚した二人はそれぞれの生活を始め、淡々とした日常の中、徐々にれいこの死を受け入れていく。2018年、久しぶりに再会した二人は、れいことの思い出の水族園へ行き、イルカショーを見るが…。
ピアニストのサムと作家のタスカーは、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。ところが、タスカーが抱えた病が、かけがえのないふたりの思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。大切な愛のために、それぞれが決めた覚悟とは──。
22歳の大学生・晃は、好意を寄せる先輩・吉岡を連れ、尾道の実家にやって来る。晃は吉岡を退屈させないよう女の子を誘って遊びに出ることにし、幼なじみの文江や彼女の友人みーこと4人で過ごすように。やがて吉岡はみーこのことが気になりはじめ、晃を悩ませるが……。
身寄りのない子供たちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、そこで暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情が芽生えてゆく。
飼い主とともにプラハへ行く予定だった犬パルマは、検査の手違いからモスクワの空港に置き去りにされてしまう。空港に住み着いたパルマは毎日滑走路で飛行機を見上げ、飼い主の帰りを待ち続ける。時を同じくして、母親を亡くした9歳の少年コーリャが、パイロットである父親に預けられ空港にやって来る。コーリャとパルマは孤独なもの同士、すぐに仲良くなる。ある日、日本人に連れられた秋田犬が空港に現れる。その姿を見るパルマの目にこの上ない寂しさが宿っていることに気づいたコーリャは、パルマを飼い主の元へ戻すべく立ち上がるが……。
主人公の美咲は、母の介護をしながら地域の学童保育所で働いている。東京の大学を卒業したものの、就職氷河期世代で希望する仕事に就くことができず、恋愛も結婚も、なにもかもがうまくいかず、40歳を目前にした独身女性である。娘を否定しつづける毒母、そんな母に反発しながらも自分を認めてもらいたいと心の奥底で願う娘。そこに「介護」という現実がのしかかってくる。お互いに逃げ出したくても逃げ出せない。あるとき、美咲が唯一心のよりどころとしている親友・香織が突然命を絶ち、いなくなってしまう。美咲にとって、養蜂家として自立する香織は憧れだった。美咲の心もポキリと折れ、崩壊へと向かっていく。
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまう。過酷な生存競争の中、主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失い、他人を欺く一方、母と妹は人間性を失わずに生きようとする。そんなある日、愛する家族を失うことがきっかけとなり、ヨハンは絶望の淵で「生きる」意味を考え始める。やがてヨハンの戦いは他の者を巻き込み、収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。
柚季(架乃ゆら)は初恋の男性、幸太郎と恋愛結婚。念願のマイホームを購入し希望に満ちた新婚生活を始めていた。しかし柚季は初めての男性経験が夫だった経験の浅さから、夜の生活がギクシャクとしたものになっていた。ある日、柚季は大学時代からの友人、佳子から同窓会の誘いを受け、そこで柚季に好意をもっていた隼人と再会する。その頃、幸太郎は上司の高宮に夫婦の性の悩みを話すと、高宮の妻、雫も交えて相談に乗ってもらうことに・・。愛し合う2人が導き出した、夫婦の悩みの解決方法とは!?
シングルマザーの春子(西田尚美)と、その息子リク(寄川歌太)、春子の飲み友達めいこ(久保陽香)と、その彼氏で小説家のソラオ(忍成修吾)という一風変わった4人で共同生活をしている青葉家。夏のある日、春子の旧友の娘・優子(栗林藍希)が美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家へ居候しにやって来た。そんな優子の母・知世(市川実和子)は、ちょっとした“有名人”。知世とは20年来の友人であるはずの春子だが、どうしようもなく気まずい過去があり…。
これはとある小さな村の魔法のお話。1年で最も心が温まる喜びに満ちた季節。世界中でどの町や村も人々はクリスマスの飾りつけに大忙し。しかし、ある小さな村だけは違った。この村の人々はみんなすぐに物事を忘れてしまう。誰かが忘れるとほかの人も同じことを忘れてしまう。寝る場所を忘れてしまい納戸で目覚めたり、学校が休みだったことを忘れて登校してしまったり、バルコニーがないことを忘れて毎朝窓から何度も落ちたり…。この村に住むのは大変なことだった。明日は12月24日クリスマス・イブ、この喜びに満ちた素敵な日を誰も覚えていなかった。しかし、幼い少女エリーサだけは違った。朝、目を覚ますと不思議な感覚に陥る。彼女は家族や友人に、この日は他の日とは違うことを説明しようとするが誰も覚えていない。エリーサは手遅れになる前に、村人たちにクリスマスを伝えることができるのか…。
70歳になるアンドレアは、夫のジャン、孫娘のエマとフランス南西部の邸宅で穏やかに暮らしている。そこへ、母の誕生日を祝うため、長男ヴァンサンの家族、次男ロマンは恋人ロジータを連れてやってくる。家族が揃い、楽しい宴が催されようとしたその時、3年前に姿を消した長女クレールが帰ってくる。突然のことに戸惑いを隠せない家族。それぞれの思いはすれ違い、やがて混乱の一夜が幕を開ける――。
モスクワ州航空森林消防隊の隊長・アレクシーと仲間たちは、国の森林を守るために消火活動に勤しんでいた。火災現場で6人クルーの1人隊員が殉職し、仲間を増やさなければ再出動できない状況になり、アレクシーは娘キャティヤの彼氏、新人消防士のロマンを仲間に加えることに。火災現場に怖気づいて帰るだろうと踏んで現場未経験のロマンを選んだのだが、思いがけずついてくることに。現場は乾燥した天候と強風のため火の勢いが増し、炎は近隣の村の一歩手前まで迫っていた。もはや救助ヘリを待つ余裕はない…隊員たちは村人を救うため命をかけて救出に挑む。
青山のアパレルショップで店長を務める伊藤真知子は、どこか満たされない毎日を送っていた。自分の意見は採用されず、年下のカリスマ店員・新堂さやかに仕事を取られ、ストレスが溜まる日々。そんなある日、さやかの何気ない一言がきっかけで真知子はSNSの裏アカウントを作り、自分の写真を投稿する。表の世界では決して得られない反応に快感を覚えた真知子の投稿はどんどん過激になっていき、それに呼応するようにフォロワー数も増えていった。「リアルで会いたい」「もっと自分を解放して」そんな言葉に誘われ、フォロワーの1人と会うことになった真知子。その相手は、“ゆーと”という年下の男だった。真知子は自分と同じ心の乾きを持つ彼に惹かれていく。しかし、その関係は1度きり。それがゆーととの約束だった。ゆーとと会えないことから、真知子は他の男と関係を持つようになるが、その心は満たされない。裏の世界でフラストレーションがたまっていくのとは裏腹に、表の世界は、店の売り上げ不振回復への施策に自身のアイデアが採用され、大手百貨店とのコラボレーション企画が決まるなど充実していく真知子。やりがいのあるプロジェクトに意気込む真知子だったが、その百貨店担当者の原島努こそが、あのゆーとだった。表の世界で再会を果たした2人。平静を装う原島に対し、心乱れ動揺を隠せない真知子。原島ではなく、ゆーとに会いたいという思いが日増しに募っていく。表と裏、愛情と憎悪、真実と嘘、理性と欲望…相反する2つが激しく交錯する中、真知子に突然訪れる結末とは…。
欧州宇宙機関(ESA)で日々訓練に励んでいるフランス人宇宙飛行士のサラは、「プロキシマ」と名付けられたミッションのクルーに選ばれる。夫と離婚し7歳の娘ステラと2人で暮らす彼女は、このミッションに旅立てば、約1年もの間、娘と離れ離れになる。ロケット打ち上げまでの2ヶ月間、過酷な訓練の合間に、娘は母と一つの約束をする。「打ち上げ前に2人でロケットを見たい」と。母は約束を果たし、無事に宇宙へ飛び立てるのか。
たった一人の家族だった祖母が亡くなり、メイクアップアーティストになる夢にも破れ、東京から富山へと帰ってきた音更結子。祖母の遺影がピンボケだったことに悔しい思いをした結子は、町役場で働く幼なじみの星野一郎から頼まれた、お年寄りの遺影写真を撮る仕事を引き受ける。初めは皆「縁起でもない」と嫌がったが、思い出の場所で写真を撮るという企画に変えると、たちまち人気を呼ぶ。ところが、あるひとの思い出が嘘だったとわかり、その後も謎に包まれた夫婦や、過去の秘密を抱えた男性からの依頼が舞い込む。怒って笑って時に涙しながら成長してゆく結子の毎日は、想像もしなかったドラマを奏でてゆく──。
真須美が紹介されたのは、ダンスで作曲家を鼓舞し令和元年までに曲を完成に導くという奇妙なバイトだった。
2014年4月16日...この世を先に去った息子スホへの恋しさを抱きながら生きるジョンイルとスンナム。やがて1年にたった1日だけのスホの誕生日が近づいてくる。母スンナムは主役不在の誕生日は息子がいない現実を認めるようで怖くてたまらない。一方、ある事情により息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかった父ジョンイルは、家族に対して罪悪感を抱えたまま、あの日から2年後に韓国に戻ってくる。
自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な遥は、走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた。だがある日、不慮の事故に合い、命は助かったものの二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられパラカヌーという新たな夢を見つける―。きらめく水面を背景に、母の愛、淡い恋心、恩師との約束・・・そして、大切な人の想いを乗せて、どん底から道を切り開いていく。
日本と中国、両方の国籍を持つ大学生・美鈴(メイリン)には、日本人の恋人・翔がいる。冬休みを翔と楽しく過ごす美鈴だが、彼女は22歳の誕生日までにどちらかの国籍を選ばなければいけなかった。
大学生の奈央は学校での人間関係や恋愛に嫌気が差し、中退を考えていた。そんな折、父・博一の提案で、彼の3度目の結婚相手である綾と台湾旅行をすることに。父の再婚相手というだけで良く知らない女性との旅行に不満を抱えながらも、せっかくだから思い切り楽しもうとする綾。そんな彼女の台湾旅行には、思いがけない出会いが待っていた。
舞台はメキシコ・オアハカ州の小さな村。アニマス・トルハーノ(三船敏郎)は貧しい農夫。働き者の女房(C・ドミンゲス)に45人の子供の世話と畑を任せっきり、自分は酒と博打の日々を送る。年に一度の村祭りを取り仕切るマヨルドーモに選ばれるのがこの男の宿願だが、それには、財力はもちろん人望だって欠かせない。アニマスは金を得ようとするが、神頼みがモットーで、女房の残した銀貨を片手に小博打にうつつを抜かす酒びたりの怠け者には、とうてい運は廻ってこなかった。女房の哀願に耳を貸し、珍しく製酒工場で働くアニマスだったが、工場主の息子が自分の娘に手を付けたのを見て、たちまち鍬を持ち出して大立ち回り。町の留置場に送られる。そこでも出獄する受刑者が磁石を拝んでいたら運が向いてきたというのに騙され、磁石と自分の毛布を交換。今まで拝んでいたマリア像を引き吊り降ろして、磁石を拝むアニマスであった。一方、アニマス一家はけなげに働いて金を稼ぐ。しかしその金も、出所したアニマスが持っていってしまう。たまに金を掴むことがあっても、その金は博打か、娼婦カテリーナに巻き上げられるかであった。遂に悪魔に魂を売ったと宣言して、怪しげな黒魔術の儀式を始めるアニマスだったが、結果は飼っていた鶏を騙し取られただけであった。女房の苦労は絶えない。アニマスの娘がつくった赤子を引き取りにやってきた工場主が、慰謝料を受け取れと言ってきた。一生かかっても拝めない大金である。その金でマヨルドーモになろうとするアニマス。司祭は肩書によってアニマスが成長するかどうか変化を見たいと、彼をマヨルドーモに選ぶ。祭りの日、着飾ったアニマス一家が誇らしく町を歩く。しかし金持ちに孫を売りつけて、マヨルドーモになったと人々は彼を嘲笑するのだった。ショックを受けるアニマス。そしてアニマスの金目当てに再び近づいてきたカテリーナをアニマスの女房が刺してしまう。アニマスはようやく自分の愚かさに気づいて、女房の代わりに警察に自首するのだった。
ヤオジュンとリーユン夫婦は、ひとり息子のシンと中国の地方都市で幸せに暮らしていた。ある時、リーユンは第二子を妊娠するが “一人っ子政策”に反するため堕胎させられてしまう。さらに、リーユンは手術時の事故で二度と妊娠できない身体になった。そして、大切なひとり息子シンを事故で失い、乗り越えられない悲しみを抱えたふたりは、住み慣れた故郷を捨て、親しい友と別れ、見知らぬ町へと移り住む。やがて時は流れ――。
政治とカネ、女性問題や失言など数々のスキャンダルで世間を騒がせたイタリアの元首相シルヴィオ・ベルルスコーニ。政敵に敗れて失脚するも、一度はトップに登りつめた怪物的な手腕で、 政権への返り咲きを虎視眈々と狙っていた。セクシー美女を招き、贅の限りを尽くしたパーティーで生気を養い、持ち前のセールストークを武器に足場を固めていくのだが、政治家生命を揺るがす大スキャンダルが勃発するのだった…。
定年間際のビジネスマン柴久生は交通事故で娘を亡くし、自殺を図ろうとしていた。そんな彼の耳に聞こえた「生きろ」の声。その声は柴の友人・川島の最期の時の声だと、川島の看取り士だった女性から聞かされる。それから5年後、岡山・備中高梁で看取り士としてのセカンドライフを送る柴は、9歳の時に母を亡くした新人・高村みのりたちとともに、最期の時を迎える人びとを温かく支えていく。
舞台は2001年の中国、山西省大同チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に、彼女らなりの幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは三峡ダムによって失われる街・奉節へビンを訪ねるが、彼にはすでに新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆ウイグル自治区のウルムチを目指す。そして2017年がやってくる――。
「投資詐欺の容疑で国際手配され、タイで拘束された渡部聡子容疑者は、日本に強制送還する機内で逮捕され、東京の警察署に身柄を移されました。被害総額は50万円から10億円以上にのぼると言われています」護送車に乗った女は車を取り囲んだ報道陣から声をかけられると、「私も被害者の一人です」と言って艶然と微笑んだ。
オークランドが地元で黒人のコリンは指導監督期間の残り3日間を無事に乗り切らなければならない。コリンと幼馴染の白人マイルズの2人は引越し業者で働いている。ある日、帰宅中のコリンは突然車の前に現れた黒人男性が白人警官に背後から撃たれるのを目撃する。これを切っ掛けに、アイデンティティや、オークランドの急激な変化等の現実を突きつけられ、次第に2人の関係が試されることとなる。コリンは残り3日間耐えれば自由の身として新しい人生をやり直せるのだが、問題児マイルズの予期できぬ行動がそのチャンスを脅かす…。
両親を事故で亡くした少年・裕太(大沼健太郎)は、ショックも冷めやらぬままに、高知県に住む母親の父・弦次郎(田村弦次郎)に引取られる。初めて会う祖父との突然の生活。裕太は、無骨な漁師である祖父との間に深い溝を感じ、心を閉ざす。精神的なショックが大きい裕太に、学校は特別なケアを勧めるが、弦次郎は特別扱いにはしてほしくないと主張する。担任の教師・佐藤もそれに賛成し、裕太は地元の小学校に通いはじめる。クラスメイトからいじめられ、なかなか周囲になじめない裕太が心を開くのは、クラスメイトの亜弥と拾った子犬だけだった。そんなある日、裕太のくじらのフィギュアを、弦次郎が壊してしまう。死んだ父親と一緒に作った、思い出のフィギュアだった。泣いて悲しむ裕太に、弦次郎は新しい大きなくじらのフィギュアを用意する。祖父の意外な優しさを知り、少しずつ二人の溝が埋まりはじめる。新しい暮らしにも慣れてきたある日、裕太はクラスメイトのいじめに遭い、海に転落してしまう。車ごと海に落ちた事故のショックと、手術による後遺症で、裕太は水を怖がるようになってしまう。弦次郎は裕太を沖へ連れて行き、自ら泳がせることで、水への恐怖心を払拭させようとする。厳しさの中にも愛情あふれる弦次郎の言葉に裕太は信頼を寄せ、徐々に周りの人々との関係も深めていく。おだやかな南風(マゼ)が吹くように、すべては順調に変わるかに思えた。そんな矢先、裕太の体調に異変が起こる。数年前の手術で完治していたはずの“骨肉腫”が再発してしまったのだ。ある時、沖でくじらを見たという情報が届き、弦次郎は大好きなクジラを裕太に見せてやりたい一心で、裕太を病院から連れ出し沖へと船を走らせる。
また、真理子が居なくなった・・・自閉症の妹のたびたびの失踪を心配し、探し回る兄の良夫だったが、今回は夜になっても帰ってはこない。やっと帰ってきた妹だが、町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知り、妹をしかりつける。しかし、罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄。このような生活を続ける中、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。そんな時、妹の心と身体にも変化が起き始めていた…。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。