子どもの頃、将来を嘱望される馬術選手として注目を集めていたデビィ。だが経済的な事情から競技を続けることができず、現在は牧場で厩舎の掃除や馬の世話をしながら、調教師として働いていた。ある日、牧場に馬を買い求めにきた一家の前で馬に乗ったところ、その技術に目を留めた乗馬トレーナーのジョナサンから、再び馬に乗ることを勧められる。そのために馬を買いたいと考え実家に頼むが、費用を用意できるはずもなかった。そんな折、馬の競売会で暴れ馬に出会ったデビィは運命を感じ「乗りこなせたら安く譲ってほしい」と持ち主に直談判。見事に馬を乗りこなした彼女は、その馬を手に入れることに成功する。その馬に“伝道師”の意味を込めてエバンジェリストと名付け、再び競技の世界へと挑戦を始めるのだが…。
大阪。大学卒業を控えたある年の夏。写真家を目指す芸大生の草馬ナオ(田中真琴)は、写真中心の生活を送っていた。同じ写真学科の小夜(重松りさ)、山田(松田崚汰)、多田(秋田卓郎)は、写真に夢中になるあまり、人としてはどこか不器用なナオに振り回されつつ、その才能を認め彼女を応援していた。人生の岐路を前に、写真の本質に近づこうとするナオの情熱は、否応なしに3人の心をざわざわと揺らし、嫉妬や焦燥を生み、それぞれに“選択”を迫っていく。卒業後、写真家となったナオは、小夜、多田と久々の再会。そこで山田が失踪していることを知る。
正しい男・・・ 間違ったことは決してしない男、正義の男、中村正義。彼は他人の間違いを許せず、時には 「歩きタバコ」。「携帯を大声で話すバスの乗客」 「会社の不正」 など正しい道へ注意を促す。また、困っている人を見つけると どうしても手助けする性分・・・。そのため、様々なトラブルに巻き込まれ逮捕され、大怪我なども追ってしまう事態に・・・。自分のポリシーに従って進む道は果たして正しい事なのか?最後まで正しい道を歩んだ彼の最後はどんな結末?日常の身近な事柄だからこそ 今一度見つめ直してほしい想いがそこにはある。
金子真司は妻の美和子と差入店を営んでいる。伯父の星田から引き継いだ住居兼店舗で、引退した星田と10歳になる息子の和真と一緒に暮らしていた。ある日、和真の幼馴染の花梨が何の関係もない男に殺害される。一家が花梨の死から立ち直れないでいた時、犯人の小島の母親から差入の代行と手紙の代読を依頼される。金子は差入屋としての仕事を淡々とこなそうとするが、常軌を逸した小島の応対に感情を激しく揺さぶられる。さらに、小島の母親から息子には話し相手が必要だと思うと再度の差入を頼まれた金子は、小島と話せば話すほど「なぜ、何のために殺したのか」という疑問と怒りに身を焼かれる。そんな時、毎日のように拘置所を訪れる女子高生と出会う金子。彼女はなぜか自分の母親を殺した男との面会を強く求めていた。2つの事件と向き合ううちに、金子の過去が周囲に露となり、家族の絆を揺るがしていく――。
人口を増やすことだけ考えている胎内川の神様・田村明人は子どもを産めないカップルの運命を操り、次々と破局に追い込んでいた。その娘である神様見習い・香織と沙織は人々が運命通りの恋に落ちることができるように、父・明人が変えた運命を元に戻すため家を飛び出す。人間の幸せは結婚し、子どもを産むことだけなのだろうか? 本当に結婚は悪魔の発明なのだろうか? 父と娘の戦いが今、始まる!
会津地方にある小さなラーメン店『穂来軒』。先代の母から息子の海生へと代替わりしたが、客足は遠のいている。ある日訪れた女性・彩乃は、想い出の味と違うことに気づき、どうしても以前のラーメンを再現してほしいと願う。彩乃にはその味が必要な理由があり、海生は母の味を再現できるのか、そして彩乃の理由とは…
生まれも育ちも「亀戸」の滝本隆二郎(演・渡辺隆二郎)、通称りゅうちゃん。50歳を目前に鳴かず飛ばずの売れない中年役者の役者バカだが、どんな役でも一生懸命で、人情に厚い人柄は地元住民にとても愛されている。そんなある日、中華料理店「徐楽」の大将(演・諏訪太朗)に親戚の徐リン、通称リンちゃん(演・松田有咲)の迎えを頼まれ、彼女が光を感じる程度の弱視だと知り、何かと気をかけ手助けをしているうちに、2人の距離は次第に縮まっていく。「花火を見てみたい」というリンちゃんの願いを叶える為― 一世一代の大芝居を決意―りゅうちゃんは、人生の最後に大きな花を咲かせることはできるのか!?そしてリンちゃんの目を治すことができるのか?
歌手になることを夢見ていたアンジーは、妹マディと小遣い稼ぎで路上ライブを行っていた。するとそこに一人の少年が5ドル紙幣を差し出し、アンジーの好きな曲を歌ってほしいとリクエストする。少年はアンジーの歌声を褒めるとその場を立ち去るが、後日2人は偶然の再会を果たす。マリオと名乗る少年とアンジーはその後何度か会うようになり、やがて付き合い始める。そんなある日、音楽発表会に両親が来るのを楽しみにしていたアンジーだったが、両親は彼女との約束を忘れ発表会を欠席してしまう。両親が来なかったことに動揺し、演奏が上手くいかず落ち込むアンジーを慰めるマリオは、音楽業界にいる伯父を紹介しようと、彼女をある場所へと誘う。
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。その先にある、光に―
1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム「Dreamin’Wild」。10代だったドニーは兄とデュオを結成し、父が息子たちのために自作したスタジオで数々の楽曲を生み出した。家族に支えられ情熱を注ぎ込んで作ったアルバムだったが、世間からは見向きもされず、夢に手が届くことはなかった。それから約30年後――。思い描いていた夢とは程遠い人生を送っていたドニーは、コレクターにより発見されたアルバムが再評価され、“埋もれた傑作”として人気を博していることを知る。思いもよらない成功に家族は喜ぶが、ドニーは目を背けてきた過去や感情と向き合うことになり…。
憧れの人に告白するため 30 日間禁欲を決行した俳優・古谷蓮は何も変われなかった反省から、憧れの人に変わった姿を見せるべく寺修行に行くことを決意する。自己鍛錬に勤しむ古谷。性欲に悩む夫婦や性を超越する住職との出会いを重ね、自己発見の授業を駆け抜けていく古谷に思いがけない悲報が届く。禁欲と自己鍛錬の目的を見失う古谷。 そんな中、映画「30days」の大ファンだという琴絵と出会う。禁欲に切実な問題を抱える古谷と琴絵の運命的な出会いによって、禁欲自己鍛錬はクライマックスを迎える――。
沖縄で母・朱音や妹・舞と3人で暮らす照屋踊(Soul)は、ダンススクールで出会ったリサ(伊波れいり)に憧れてダンスを習いはじめる。シングルマザーの朱音(仲間由紀恵)は家計のためにホテルの清掃とスナックの仕事を掛け持ちしており、人と関わることが苦手な舞(又吉伶音)は、いつもスクールの前で兄の姿を見つめていた。やがて踊はリサとペアを組むことになり、その才能を開花させていく。ある日、朱音のもとにある男が訪ねてきて、踊は家の前でその男を目撃する。後日、テレビでダンスオーディションを開催すると発表した音楽プロデューサーのHIROKI(橘ケンチ)が、その男だった。
3年ぶりに病院から戻った高梨光雄は、弟・裕太の家を訪れる。再会を喜ぶ姪の知恵、その妹でダウン症の一希に迎えられ束の間の幸せを味わう光雄。その夜、知恵にせがまれた光雄は被災地で見たひまわりについて語る。知恵はその美しい景色を思い浮かべながら、太陽に向かって咲くひまわりと、時折ふと空を見ている愛しい一希の姿とを重ね会わせるのだった。明くる日、知恵は光雄と遊園地に行きたいと嘆願する。裕太と妻・葉子はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けるが・・・幸福な時間も束の間、遊園地で突然の不幸が訪れる。
ある宗教二世が残した一通の遺書。そこには、宗教虐待の実態、そして当たり前の自由を求めながらも、親への捨てきれぬ愛ゆえに苦しんだ少女の痛みが、どこまでも繊細に鮮明に残されていた。その遺書に感化され、自身も新興宗教で洗脳された過去をもつ平田うらら監督が、宗教虐待被害者300名以上に取材し、宗教虐待の実態を映画化。フィクションでありながら、宗教虐待というテーマを娘、母、祖母ら3世代の視点を交えて多角的に描いた。
かつて国内で栄えた造船業が急速に廃れた後の日本。瀬戸内海に面した香川・坂出に逃げ着いた女(河野知美)は、体を売って孤独に生きていた。女には6年前、長崎・佐世保で共に暮らしていた夫(梅田誠弘)のもとから、別の男と駆け落ちした過去があった。ある雨の晩、突然訪ねてきた夫。女のさびれたアパートの部屋で、二人が空白の時間を埋めるかのように語らい、体を重ねるにつれ、次第に時空が歪み出し……。
中学時代に亡くなった友人の墓前で旧友の哲也と再会した達生は、バイト先の元同僚・結衣と3人で、夏休みの数日間を地元の田舎町で過ごすことになる。達生の父が社長を務める経営不振の工場の寮に滞在しながら、彼らはそこで働くベトナム人技能実習生たちと交流し、それぞれが抱えていた過去と向き合っていく。
グレイスは両親に内緒で友人のサッフォーとバスでセドゥーナに向かっていた。途中、バスに乗ってきた青年ジェイミーに惹かれたグレイスは、積極的に彼にアプローチ。すっかり仲良くなった2人はイチャつきはじめ、その様子を見ていたサッフォーは一緒に行動するのが嫌になり家に帰ってしまう。サッフォーがいなくなり心細くなったグレイスはジェイミーに誘われるまま一夜を共にするが、翌朝、彼はグレイスの荷物を盗み、姿を消した。所持金もなく警察に頼ることもできなかったグレイスは途方に暮れつつも、セドゥーナに向かって歩き出していた。一方、家出の際に大金を持ち出していなくなったグレイスを心配した両親は探偵を雇い、彼女の行方を探し始めるが…。
1970年代に台湾から渡米し、成功することを夢見てきたジェリー。40年間続けてきたエンジニアの仕事をリタイアし、妻とは離婚。3人の息子とも離れて、独りで暮らしていた。ある日、そんな彼のもとに中国警察から電話が。ジェリーがフロリダに持つ銀行口座を通して128万ドルが違法に移動されており、自分が国際的なマネーロンダリング事件の容疑者になっていると知らされたのだった。逮捕の上、中国に強制送還すると告げられたジェリーは、“おとり捜査官”として中国警察の捜査に協力させられる羽目に…。
「大宮セブン」が活動する大宮ラクーンよしもと劇場は少ない客、会社からの非難や悪口などなどお世辞にもその扱いは良いものとは言えなかった。追い打ちをかけるようにコロナ禍により劇場などの活動が停止し、収入低下などにより彼らの不安や状況は悪化の一過を辿っていた。そんな中、「大宮セブン」メンバーの「すゑひろがりず」がM-1グランプリで決勝進出をはたし、YouTubeでの活動から人気を得て大宮セブンの活動にも変化の兆しが見え始める。さらに続くようにR-1でのマヂカルラブリー野田の優勝、M-1グランプリでマヂカルラブリーが優勝を果たし一気に大宮に注目が集まる。メンバーも各賞レースで結果を残し、大宮セブンの躍進が始まる。しかし初期メンバーであるタモンズは仲間の活躍を横目に、飛躍のきっかけを掴めないまま、手掛かりを掴もうともがき苦しんでいた。現状を打開するためにコンビ名を改名したり、果てには新たにメンバーを追加してトリオになろうとしたり、明確な指針もないまま迷走を始める。そんな彼らの様子を間近で見ていた大宮セブンのメンバーは夜中に相談に乗ったり、自身の問題と重ねたりしながらタモンズを何とか支えるのであった。メンバー間の友情、応援などを経てタモンズは芸人を目指した時の純粋な気持ちを思い出し、ラストイヤーのM-1へ最後の挑戦に挑むのであった。
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る男を雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱く。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。ありのままの自分を許し、愛するストーリーの舞台となったのは、モロッコの首都ラバトと川1本隔てた古都サレ。コーランが響く旧市街には、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場、男たちがミントティーを楽しむカフェがあり、通路の上には大量の洗濯物がたなびくなど、素顔のモロッコがスケッチされる。
チェルノブイリ原発事故の後、ハバナ大学ロシア文学教授のマリンは、治療のためにソ連から送られてきた子供たちとキューバの医療スタッフとの間の通訳を任される。抽象的な文学の世界から現実的な医療の世界に放り込まれた彼は葛藤するが、ある子供との対話を通じて子供たちとつながりを感じ、新たな使命をもって通訳に臨んでいく。おりしもベルリンの壁が崩壊し、キューバは未曾有の経済危機に直面する。だが、チェルノブイリの子供たちに深く関わるようになったマリンは自己の家族を顧みず、二人目の子を身籠もる妻イソナをひどく傷つけてしまう…実話に基づくヒューマンドラマ。
夢を諦めたアキラと夢を信じるシンジの「夢」をめぐるクロスストーリー アキラは社会人になってミュージシャンになる夢を諦め、日々の仕事に忙殺され自分を見失っていた。シンジにとってアキラは高校時代から憧れの存在だった。シンジはアキラの背中を追いかけて、ミュージシャンになるために、東京でアルバイトをしながら路上ライブの日々を送っていた。そんな時、東京の街でアキラとシンジが再会する。現実に追われながら夢を取り戻そうとするアキラと、夢を追いながら現実に直面するシンジ。「夢」と「現実」との狭間で揺れる人々の、リアルな葛藤やもがきを描いた渾身の一作。
アルバニアの映画監督ヴァニが撮った新作がヴェネチア国際映画祭に選出され、上映されることになった。俳優出身で、5年前に妻を亡くし、娘はヴェネチアの医大に通っているヴァニは、感慨深げに撮影監督のカシとともにフェリーで、まずはイタリアのバーリへ到着して一泊する。翌朝、車でヴェネチアへ向かおうとする彼らは、修道女の衣装を脱ぎ捨てて、なかなか来ないバスを待つ2人のポルノ女優イリーナ&ローラと出会う。車に乗せてくれたらヴェネチアまで道案内してくれるという彼女らも、ヴェネチアでオーディションがあるのだという。かくしてヴァニたちは2人を同乗させ、ヴェネチアまで800キロの長距離を共にすることになるのだが…。
高校時代に大人気を博したR&Bバンド『銀天ガールズ』。20年を経て、それぞれ家庭をもつアラフォー世代となったメンバー4人が、地元の沖縄・コザの商店街「銀天街」の街おこしを目指して再結成!街の不況や子供たちの貧困など、さまざまな事情を抱えながらも、青春と人生を取り戻し、コザの街を再び輝かせるべく、バンド活動で再起をかけることになるが…
受賞歴もある高名な世界的ジャーナリスト、リチャード・フォスター。実家はアメリカの大富豪だったが、自身は家業のビジネスに全く興味がなく、その潤沢な財産を生かして虐待や搾取、売買されている子供たちを救うための財団“グローバル・ハーモニー”を設立し、世界的な活動を進めていた。そんな彼がイタリア・ナポリを訪問中、偶然、自動車事故に遭遇。車に乗っていた臨月の妊婦を救うが、彼女は女児を産むと亡くなってしまう。その子ども、ガイアを引き取ったリチャードは7年後、イタリア・ラペンドゥーザ島でガイアと美しい妻と幸せな生活を送りながら、世界中を飛び回り財団の運営を進めていた。だが、財団の活動を忌々しく思い、潰そうとする闇の組織がリチャードの弱点を探していた。
いつも一人で過ごしている高校生の悠(はる)。そんな悠には気になる人がいる。それは毎日同じ時間に、教室から見える手洗い場に現れる生徒だった。その子はただひたすら手を洗い続ける。何度も、何度も。悠はなぜだかその子から目が離せなくなっていたー。何かに期待することを諦め、“普通”の輪から離れて生きる主人公・悠が、“普通”に憧れ、その輪からはみ出さないように生きようとする優乃(ゆうの)と出会い、お互いが抱える孤独と向き合いながらそれぞれの道を探していく。
ルーマニア・モルドヴァ地方の静かな村の中年警察官イリエ。野心を失い鬱屈とした日々を送っている彼の願いは、果樹園を営みながら、ひっそりと第2の人生を送ること。しかし平和なはずの村で惨殺死体が見つかったことをきっかけに、イリエは美しい村の闇を次々と目の当たりにすることになる。正義感を手放した警察官がたどり着く、衝撃の結末とは―。
オースティンは幼い頃、家族に捨てられ、児童養護施設で孤独に生きていた。20数年後、オースティンはボクシングライトヘビー級チャンピオンの座を懸けて四角いリングへ上がっていた。激しい戦いの末、新チャンピオンに輝いたオースティンを祝うホームパーティーでは誰もが彼を褒め称え、オースティンは幸せの絶頂にいた。しかし、そんな幸せは一夜にして崩れ去る。パーティーに来てオースティン邸に泊まっていたトレーナー・エディの一人娘アシュリーが、ベッドルームで変死している姿が発見された。責任を感じたオースティンは罪を背負い刑務所へ。4年後、刑期を終えたオースティンは彼を待ち続けた恋人デイナとやり直しを始めるが…。
1991年ドイツ・フランクフルト。EPA通信のアニャ・ニードリングハウスは、ユーゴスラビア紛争を伝えるテレビ映像を見て焦燥感に駆られていた。“本物”のジャーナリストになりたい彼女は上司にユーゴスラビアへの取材を申し出るも、経験が浅く女性であることを理由に却下される。そして1992年、ついにサラエボへの取材許可をもぎ取ったアニャだったが、戦地の現実は想像以上に厳しく、被写体との距離感が掴めない彼女の心を締め付け、擦り減らしていく。それでも自らの直観に従い、シャッターを切った彼女の写真は、多くの人々の目に留まり始める。“写真で戦争を終わらせる”ことを目指し、戦地を駆け巡った彼女はやがて、時代を代表する写真家となる。
ロサンゼルス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市を舞台に、タクシーの車内で展開される、運転手と客との巡り合いをオムニバス形式で描く。地球という同じ星、同じ夜空のもと、それぞれ違ったストーリーが繰り広げられていく。
ニューヨーク大学在学中に卒業制作として撮影された、ジャームッシュ初の長編映画。主人公の少年、アロイシュス・パーカーは社会に適応できず、あてもなくニューヨークの裏街を彷徨う。途中、さまざまなアウトサイダーたちとの出会いと別れを繰り返し、彼は自己の旅の行先を徐々に見出していく。
2023年カンヌ国際映画祭が唯一認めたロシア映画 ロシア南西部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポルノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。娘は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが…2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成長を追ったロードムービーである。東欧の民話をもとにドキュメンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。この映画が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もいない。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。
日本に妻子を残し、異国の地・フィリピンで再起をはかるプロボクサー神山英次。ある日、神山の前に一人娘の桃子が現れる。再会した父と娘は衝突しながらも徐々に親子の絆を深めていく。そんな中、40歳を迎えた神山に、ラストチャンスとなる試合の話が舞い込んでくる――。
染井春太(猪征大)は居酒屋でアルバイトをしながら役者を目指しているが、来る仕事はエキストラばかり。ある日、路上で一人芝居をしている途中に出会ったアニキ(松本ししまる)と東京・下北沢にあるバーを訪れる。そこで吃音のアーティスト、レオ(遠藤史也)と出会う。レオはアメリカから帰ってきたばかりで家が無く、気付けば春太の家に住み着くようになる。目指すものは違うが、お互い夢を追う者として気付けばかけがえのない存在となっていく。そして2 人はある約束を交わし、お互い約束を果たす為に日々努力する。しかし次第に春太を取り巻く環境に変化が訪れ、春太の夢に対する気持ちも揺らいでいく、、、いつまでも変わらないと思っていた。偶然出会った若者2人の出会いからそれぞれの人生の選択を描いた8年間を描く。
島で生まれた漁師の青年、阿部アキラは、弟のシゲルとふたりで古い一軒家に暮らしている。アキラは素潜りの漁師で石巻の特産である海産物、「ほや」を獲るのが仕事だ。しかしアキラとシゲルは海のものを一切口にせず、カップラーメンばかり食べている。それは12年前の震災で、兄弟の両親が海で行方不明となってから――。そんな折、東京から島にふらりとやってきたブルーの髪をした漫画家、美晴が兄弟の前に現れた。3人のありえない出会い、それはおかしな奇跡の始まりだった――。
7歳の少女・ソルは、父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを喜ぶソルだったが、身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえない。従姉妹たちと無邪気に遊びまわることも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。やがて父との再会を果たしたとき、それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは“新たな感情”を知ることになる...。
広東省に住むチアニーと恋人の志遠は、最近結婚と家のことで意見が分かれていた。チアニーは家がないと結婚できないとジーユェンからのプロポーズへの返事を先延ばしにしているが、彼は家を持つことに拘る必要はないと考えていた。ある電話をきっかけに、チアニーは生家の家族のことを知り、実父の葬儀に参列することになった。
マンハッタンで暮らし、ユニオンスクエアパークで散歩や瞑想をしたり、ヨガ教室に通うなどして過ごす休職中の元俳優リッキー。高校の同窓会の招待状を受け取った彼は、高校時代に同級生のトラヴィスに負わされた大ケガのトラウマから、自身の暗い内面と対峙せざるを得なくなっていた。スピリチュアルなことにも関心が強いリッキーは、翌日、街中で因縁の相手トラヴィスを見かけ、妙な気を感じて動揺する。そんな中、長期旅行から帰ってきた親友の刑事アンディに、クラブへ誘われる。ハイになって公園で寝てしまったリッキーは翌朝、写真家のナタリーに起こされる。彼女は以前、リッキーを公園で見かけており、その際、密かに写真を撮影していた。意気投合した2人は惹かれ合うのだが…。
貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める―。
東京でOLとして働いていたヒカリのもとに、故郷の京都から父の訃報が届く。幼い頃に母を亡くし、仕事に明け暮れていた父とはぎこちない関係のまま育ったヒカリだったが、葬儀のために故郷へ戻る。そこでヒカリは、父が年老いた農家の人々に頼られ、広大な田んぼの耕作を引き受けていたことを知る。ヒカリは父が残した田んぼを引き継ぐことを決意し、様々な人に助けられながら米作りに奮闘。その仕事を通して、亡き父の思いを少しずつ理解していく……。
幼い頃、母親・早希の勧めでバレエと出会った美夏。生まれながらのスタイルとバレエの才能に恵まれ、コンクールにも上位入賞し、将来を期待されていた。しかし、怪我に荷まれ道半ばにしてバレエの道を諦めてしまう。全てを早希のせいにして、逃げるように家を出る美夏。女手一つで美夏を育ててきた早希は深く絶望する。自分がなりたかったバレリーナの夢を娘に託し過ぎたのかもしれない…。美夏の気持ちを知るために早希は近くのバレエ教室に通い始める。教室には様々な年代の女性達がバレエを楽しんでいて、早希もバレエを習ううち、少しずつ娘の気持ちがわかってくる。そんな中、教室で発表会が催される事になる。演目はくるみ割り人形の「花のワルツ」。それぞれの思いが交錯し、母娘の「花のワルツ」のステージの幕が今、開く一。
ある日、地上から湖に落ちてきた裸の男は、かつて子どもの頃に住んでいた湖畔の家に向かう。口から鍵を吐き出した彼は家に入り、昔の80年代風ファッションに身を包み町へ。ソープと名乗る彼は宇宙人で、25年以上前に突然地球を離れたことから、別れを告げられなかった親友サムを探しに戻ってきたのだった。サムの行方を探す中、パンケーキ店やボウリング場の店主たち、湖で友達になった少女オリビアなどと知り合い、とある家の犬を連れて帰り飼い始める。偶然、迷惑な生配信ドローンを叩き落し、海水浴客を救ったと有名人になった彼は、「お帰り ソープ」「秘密を知ってる」「あなたは死ぬ」との謎の置手紙をもらう。さらには家賃収入のため、同居人もやってきて…。
舞台はスイスの山中に建つ古いホテル。ここの持ち主だった祖父母に育てられたヴァランタンが、ホテルが取り壊されると聞いて記憶をたよりにやってくる。今は無人と化したホテルの中を歩きながら、彼は少年時代の懐かしい記憶の数々を思う。あこがれの“世界一の美女”や女性歌手とピアノ弾き、魔術師、思い出話がいつも面白かった祖母。少年ヴァランタンにとって大人たちの世界は素晴らしく魅力的なものだった。過去と現在が交錯するホテルで、シュミットがつむぎ出す夢幻的な舞台がいま始まる。
ある日突然、かや乃が逮捕される。恋人の光太郎は状況が飲み込めない。呆然とした日々を過ごしていると、かや乃の父・慎一から呼び出される。「かや乃が勾留されてる海の向こうまで一緒に連れて行ってくれないか?」と慎一の頼みを引き受けた光太郎。だが慎一は、自称パニック障害の持ち主で電車はおろか、高速道路でさえ移動ができない。初対面の恋人の父とギクシャクした心の距離を感じながらも、愛する人が囚われている地・四国へ向けて、海を渡る旅を決行する光太郎。だが旅の途中――慎一がこの世にいないことになっている人物であると発覚する。社会を脱落した者たちが再び自分の道にチャレンジする姿を描いた切なくも滑稽なヒーリングドラマ。
十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。そこには一糸纏わぬふたりの姿が、モノクロームの写真に映し出されていた。蘇ってくるのは、ただ欲望のままに生きていた青春の日々。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」直子の婚約者が戻るまでの五日間。身体に刻まれた快楽の記憶と葛藤の果てに、ふたりが辿り着いた先は―。
赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ(ダニエーラ・マッラ)は、プロレタリア革命は成功すると強く信じ、愛する娘と離れ、運動に身を投じている。1977年に起きた大学の経済学部長襲撃事件にも実行犯として関与し、誘拐前のモーロを尾行するなど積極的に活動するも、モーロ誘拐の肝となる活動には参加させてもらえないことに不安も覚えていた。一方で赤い旅団は、誘拐に成功したことで入団を希望する人間が増え、活動は順調にいっているかのように見えた。しかし、メンバー間で、モーロの処遇をどうするかで意見が激しく紛糾していき、アドリアーナも追い込まれていく。モーロ誘拐の事件現場に急行した、妻エレオノーラ・モーロ(マルゲリータ・ブイ)を待っていたのは、銃弾が多数撃ち込まれた、見るも無残な夫の車と、血を流して倒れている護衛の姿、そしておびただしい数のマスコミだった。家を訪れる議員たちは、彼女にもっともらしく慰めの言葉を掛けていき、形ばかりの抱擁を求めてくる。子供たちと共に家に籠り続けていたある日、モーロからの手紙が届く。しかし、ザッカニーニをはじめ、政府は赤い旅団との交渉に応じず、エレオノーラは憤慨する。4月30日、赤い旅団から電話がかかり、すぐさま大統領に連絡をとるが、またも真剣に取り合ってもらえず、失望し涙するエレオノーラ。そして、あるシスターからモーロを見たという証言を聞き、藁にも縋る思いで現場に向かうのだが…。5月8日、目隠しをされた神父が、赤い旅団のアジトとなっている暗いビルの中へと入っていく。さらに隠し部屋に入っていくと、そこにはアルド・モーロの姿があった。約55日ぶりに赤い旅団以外の人間と会ったモーロは、「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ、強く手を握り、告解を始めるのだった。そして翌5月9日、モーロは目隠しをされ車のトランクに乗せられる。コッシーガのもとには、カエターニ通りで不審な車両が発見された、と緊急無線が入る。
1978年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)は、共産党との連立政権を実現させるべく奔走していた。これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ることを意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ6世(トニ・セルヴィッロ)にも苦言を呈される。それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の3月16日、アンドレオッティ内閣(ファブリツィオ・コントリ)の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃され、そのまま誘拐されてしまうのだった。モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(ファウスト・ルッソ・アレジ)。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を注ぐことを決意、辞表まで準備する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から14日目の3月29日、旅団に囚われているモーロから手紙が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容で……。バチカンの教皇パウロ6世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、アルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として200億リラを用意する。「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞いた将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。パウロ6世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることにする。
コロナ禍で仕事を失った初老の俳優・木村は、一念発起して自作映画を作り始める。ところが、肝心のシーンで主人公に三ヶ月の重症を負わせてしまう。マネージャーからは、損害賠償を匂わされ、最後の頼みの生活補助金も却下の通知が届く。そこに娘のアサミからは厄介な心配事まで持ちかけられる。途方に暮れる木村は、初めて中学の同窓会に出席してみる…そこで再会したかつての学校のマドンナ・雪乃は、木村の映画に出資すると言い出す。東京に戻った木村はスタッフを集め…そしてアサミにも、一つの決意を持ちかけるのだが…。
サカイヒデキは東京の大手食品商社に勤めるサラリーマン。さまざまな食のブランドの M&A を進めることが主な仕事で、プライベートでは上司である副社長のケイコと婚約している。会社が米国モンタナ州に所有する経営不振の牧場を収益化するため、希少価値の高い和牛に切り替えることを提案。和牛畜産業の専門家であるワダを連れてモンタナに向かう。空と大地がどこまでも続くモンタナでは東京の常識は通じず、ヒデキはすぐにトラブルに見舞われる。ワダが怪我で入院し、一人になったヒデキは場違いなスーツ姿で牧場主のペグに和牛の事業計画をプレゼンするが、邪険に扱われるばかり。そんな中、ヒデキはハビエルが副業として牧場の片隅で密かにキヌアを栽培していることを知る。おおらかで地に足のついた生活を楽しむハビエルと交流するうち、土地の魅力に気づき始めたヒデキは、スーツからカウボーイの格好に着替え、牧場の仕事を積極的に手伝うように。大規模な牛追いにも参加し、牧場の労働者たちと打ち解けていく中で、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。やがてヒデキは、牧場再建の新たなプランを考えはじめるのが……。
炭鉱の町の冬。彷徨い混沌とした80年代に抗議運動を扇動した疑いで逃亡中の大学生ギヨンは、キヨンという偽名で閉鎖の危機に瀕している炭鉱の町に忍び込み、練炭工場で便利屋としての仕事を得た。政府は安価な原炭を輸入しており、ほとんどの鉱山が閉鎖の危機に瀕し、鉱山労働者は仕事を求めて他の都市に逃げることを余儀なくされる中、彼らは海外の悪徳勢力を異常に警戒していた。仕事を得たギヨンは町に身を潜め、未来を失ったかのように生きる練炭工場の労働者たちの謙虚な現実があった。それはギヨンが解決したかった現実だが、今は身を潜めるしかない。しかし、練炭工場社長の一人息子イ・ソンソンと、町の喫茶店で生きるソン・ヨンスクとの出会いが、ギヨンの運命を大きく変える。ここ一帯の富を握る練炭工場のオーナーの一人息子、ソンチョルはギヨンに恋心を抱く。そんな中、喫茶店で体を売って生活しているヨンスクもまた、ギヨンの人間性に恋をし体を売ることをやめる。労働者のストライキが激化する中、彼らの愛は大きくなってゆく。しかし、母の死を聞いたソンチョルは、ヨンスクに暴行を加える。ギヨンは喧嘩に巻き込まれ、捜索中の刑事に捕まり拷問を受けるが、起訴されずに釈放されたが、正体がバレたギヨンはヨンスクと共に炭鉱の町を離れるのだった…。
医大生のミンウ(カン・ソグ)と音大生ダヘ(イ・ミスク))は、ミヌの先輩ヒョンテ(アン・ソンギ)の仲介で互いに愛し合うようになったが、ミヌは病気の父を守るために傷害事件を起こし大学を除籍処分となる。それ以後、ミヌの身辺には次々と不幸が訪れ、ミヌは自分の出生の秘密を探ろうとして米軍相手のバーを経営する叔母のヨンスク(キム・ヨンエ)に会いに行き、そこで米軍基地の歓楽街の悪の世界に引き込まれていく。
田舎で一人静かに暮らしている桜井耕三(71)には、一つの生きがいがあった。それは動画配信を通じて、乱れた世の中を正していくこと。日々感じる社会の悪に対して、カメラの前で彼なりの戦いを挑み続ける耕三であったが、視聴者数が全く伸びずに悶々としていた。だがそんな生活を続けていた耕三のもとに突如、東京で暮らしているはずの孫の寛太(12)が彼女と一緒にやってきた。幼い二人の勢いに押されて困惑する耕三であったが、彼らの話を聞いていくうちに、やがて親の都合に振り回されてしまった寛太の境遇が透けて見えてきて……。 ※特典映像の【マニブスの種】は別で配信となります。
台風ハイエンが街を襲った影響で、宗教狂信者、自暴自棄者、犯罪者、逃げ惑う動物たちが街に野放しになった。ミゲルは無気力な青年であったが、恋人アンドレアと母ノーマという2人の女性を探し出すために廃墟を歩き回る。二人を見つけるとミゲルは、この街は危険だから去ろうと説得をする。嵐の到来という新たな噂が浮上し、脱出のための時間が徐々になくなっていく中、彼は愛する二人を説得するために留まるか、自分ひとりで町を出るかの決断を迫られる。
医師のボブとライザ夫妻には、まもなく19歳になる一人娘メイがいた。ある朝、ボブの車のフロントガラスに“彼女はお前の娘ではない”という、匿名の異様な手紙が挟まれており、続けざまに携帯に脅迫電話がかかってきた。電話の主に言われるがまま目的地に赴いたボブは、ジルと邂逅。彼女こそがメイの実の母親だった。ジルは口止め料として50万ドルを要求するが、実は彼女の姉フェイに言われるがまま脅迫を強いていたのだった。一方のライザは、ボブから18年前に自身が生んだ子どもは死産で、昏睡状態時にボブが病院にいたジルの赤ん坊とすり替えていたという真実を聞かされる。やがてメイにも真実がバレてしまうが、その時はまだ暴走状態にあるフェイによってメイが誘拐されるなど、知る由もなく…。
すべてを失った青年に残っていたのは“記憶”懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる- 骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大。ある日、看護師をしながら夜学に通っている佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失う。その後、大の人生の“何か”が狂っていく―。先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまうことに。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女、夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。
1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカー(アンドレアス・ルスト)の農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンル(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)だけだった。彼女が亡くなると、成長したエッガー(シュテファン・ゴルスキー)を引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェイの建設作業員になると、最愛の人マリー(ユリア・フランツ・リヒター)と出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった・・・。第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガー(アウグスト・ツィルナー)は過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くす―。
母親の小百合の入院日。手術しても助からない可能性があると知っている雄晃は若さ故に、その現実を受け入れきれずにいる。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?そんな想いに苛まされる雄晃は、自傷行為として、髪を染め上げ自分の殻に閉じ籠る。子供を身籠っている姉の樹莉は、父親になる相手が蒸発したため、自分一人で子供を育てようと決意している。父親の正晃は、妻がいなくなってしまうかもしれないという現実を未だに入ることができず、子供達と衝突を重ねる。家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう中、母親の小百合だけが家族のことを想っており、その想い、愛情を知った夫の正晃の心に、小さな変化が起こる。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。