7歳の少女・ソルは、父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを喜ぶソルだったが、身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえない。従姉妹たちと無邪気に遊びまわることも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。やがて父との再会を果たしたとき、それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは“新たな感情”を知ることになる...。
広東省に住むチアニーと恋人の志遠は、最近結婚と家のことで意見が分かれていた。チアニーは家がないと結婚できないとジーユェンからのプロポーズへの返事を先延ばしにしているが、彼は家を持つことに拘る必要はないと考えていた。ある電話をきっかけに、チアニーは生家の家族のことを知り、実父の葬儀に参列することになった。
マンハッタンで暮らし、ユニオンスクエアパークで散歩や瞑想をしたり、ヨガ教室に通うなどして過ごす休職中の元俳優リッキー。高校の同窓会の招待状を受け取った彼は、高校時代に同級生のトラヴィスに負わされた大ケガのトラウマから、自身の暗い内面と対峙せざるを得なくなっていた。スピリチュアルなことにも関心が強いリッキーは、翌日、街中で因縁の相手トラヴィスを見かけ、妙な気を感じて動揺する。そんな中、長期旅行から帰ってきた親友の刑事アンディに、クラブへ誘われる。ハイになって公園で寝てしまったリッキーは翌朝、写真家のナタリーに起こされる。彼女は以前、リッキーを公園で見かけており、その際、密かに写真を撮影していた。意気投合した2人は惹かれ合うのだが…。
貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める―。
東京でOLとして働いていたヒカリのもとに、故郷の京都から父の訃報が届く。幼い頃に母を亡くし、仕事に明け暮れていた父とはぎこちない関係のまま育ったヒカリだったが、葬儀のために故郷へ戻る。そこでヒカリは、父が年老いた農家の人々に頼られ、広大な田んぼの耕作を引き受けていたことを知る。ヒカリは父が残した田んぼを引き継ぐことを決意し、様々な人に助けられながら米作りに奮闘。その仕事を通して、亡き父の思いを少しずつ理解していく……。
幼い頃、母親・早希の勧めでバレエと出会った美夏。生まれながらのスタイルとバレエの才能に恵まれ、コンクールにも上位入賞し、将来を期待されていた。しかし、怪我に荷まれ道半ばにしてバレエの道を諦めてしまう。全てを早希のせいにして、逃げるように家を出る美夏。女手一つで美夏を育ててきた早希は深く絶望する。自分がなりたかったバレリーナの夢を娘に託し過ぎたのかもしれない…。美夏の気持ちを知るために早希は近くのバレエ教室に通い始める。教室には様々な年代の女性達がバレエを楽しんでいて、早希もバレエを習ううち、少しずつ娘の気持ちがわかってくる。そんな中、教室で発表会が催される事になる。演目はくるみ割り人形の「花のワルツ」。それぞれの思いが交錯し、母娘の「花のワルツ」のステージの幕が今、開く一。
ある日、地上から湖に落ちてきた裸の男は、かつて子どもの頃に住んでいた湖畔の家に向かう。口から鍵を吐き出した彼は家に入り、昔の80年代風ファッションに身を包み町へ。ソープと名乗る彼は宇宙人で、25年以上前に突然地球を離れたことから、別れを告げられなかった親友サムを探しに戻ってきたのだった。サムの行方を探す中、パンケーキ店やボウリング場の店主たち、湖で友達になった少女オリビアなどと知り合い、とある家の犬を連れて帰り飼い始める。偶然、迷惑な生配信ドローンを叩き落し、海水浴客を救ったと有名人になった彼は、「お帰り ソープ」「秘密を知ってる」「あなたは死ぬ」との謎の置手紙をもらう。さらには家賃収入のため、同居人もやってきて…。
舞台はスイスの山中に建つ古いホテル。ここの持ち主だった祖父母に育てられたヴァランタンが、ホテルが取り壊されると聞いて記憶をたよりにやってくる。今は無人と化したホテルの中を歩きながら、彼は少年時代の懐かしい記憶の数々を思う。あこがれの“世界一の美女”や女性歌手とピアノ弾き、魔術師、思い出話がいつも面白かった祖母。少年ヴァランタンにとって大人たちの世界は素晴らしく魅力的なものだった。過去と現在が交錯するホテルで、シュミットがつむぎ出す夢幻的な舞台がいま始まる。
ある日突然、かや乃が逮捕される。恋人の光太郎は状況が飲み込めない。呆然とした日々を過ごしていると、かや乃の父・慎一から呼び出される。「かや乃が勾留されてる海の向こうまで一緒に連れて行ってくれないか?」と慎一の頼みを引き受けた光太郎。だが慎一は、自称パニック障害の持ち主で電車はおろか、高速道路でさえ移動ができない。初対面の恋人の父とギクシャクした心の距離を感じながらも、愛する人が囚われている地・四国へ向けて、海を渡る旅を決行する光太郎。だが旅の途中――慎一がこの世にいないことになっている人物であると発覚する。社会を脱落した者たちが再び自分の道にチャレンジする姿を描いた切なくも滑稽なヒーリングドラマ。
十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。そこには一糸纏わぬふたりの姿が、モノクロームの写真に映し出されていた。蘇ってくるのは、ただ欲望のままに生きていた青春の日々。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」直子の婚約者が戻るまでの五日間。身体に刻まれた快楽の記憶と葛藤の果てに、ふたりが辿り着いた先は―。
赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ(ダニエーラ・マッラ)は、プロレタリア革命は成功すると強く信じ、愛する娘と離れ、運動に身を投じている。1977年に起きた大学の経済学部長襲撃事件にも実行犯として関与し、誘拐前のモーロを尾行するなど積極的に活動するも、モーロ誘拐の肝となる活動には参加させてもらえないことに不安も覚えていた。一方で赤い旅団は、誘拐に成功したことで入団を希望する人間が増え、活動は順調にいっているかのように見えた。しかし、メンバー間で、モーロの処遇をどうするかで意見が激しく紛糾していき、アドリアーナも追い込まれていく。モーロ誘拐の事件現場に急行した、妻エレオノーラ・モーロ(マルゲリータ・ブイ)を待っていたのは、銃弾が多数撃ち込まれた、見るも無残な夫の車と、血を流して倒れている護衛の姿、そしておびただしい数のマスコミだった。家を訪れる議員たちは、彼女にもっともらしく慰めの言葉を掛けていき、形ばかりの抱擁を求めてくる。子供たちと共に家に籠り続けていたある日、モーロからの手紙が届く。しかし、ザッカニーニをはじめ、政府は赤い旅団との交渉に応じず、エレオノーラは憤慨する。4月30日、赤い旅団から電話がかかり、すぐさま大統領に連絡をとるが、またも真剣に取り合ってもらえず、失望し涙するエレオノーラ。そして、あるシスターからモーロを見たという証言を聞き、藁にも縋る思いで現場に向かうのだが…。5月8日、目隠しをされた神父が、赤い旅団のアジトとなっている暗いビルの中へと入っていく。さらに隠し部屋に入っていくと、そこにはアルド・モーロの姿があった。約55日ぶりに赤い旅団以外の人間と会ったモーロは、「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ、強く手を握り、告解を始めるのだった。そして翌5月9日、モーロは目隠しをされ車のトランクに乗せられる。コッシーガのもとには、カエターニ通りで不審な車両が発見された、と緊急無線が入る。
1978年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)は、共産党との連立政権を実現させるべく奔走していた。これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ることを意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ6世(トニ・セルヴィッロ)にも苦言を呈される。それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の3月16日、アンドレオッティ内閣(ファブリツィオ・コントリ)の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃され、そのまま誘拐されてしまうのだった。モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(ファウスト・ルッソ・アレジ)。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を注ぐことを決意、辞表まで準備する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から14日目の3月29日、旅団に囚われているモーロから手紙が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容で……。バチカンの教皇パウロ6世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、アルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として200億リラを用意する。「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞いた将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。パウロ6世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることにする。
コロナ禍で仕事を失った初老の俳優・木村は、一念発起して自作映画を作り始める。ところが、肝心のシーンで主人公に三ヶ月の重症を負わせてしまう。マネージャーからは、損害賠償を匂わされ、最後の頼みの生活補助金も却下の通知が届く。そこに娘のアサミからは厄介な心配事まで持ちかけられる。途方に暮れる木村は、初めて中学の同窓会に出席してみる…そこで再会したかつての学校のマドンナ・雪乃は、木村の映画に出資すると言い出す。東京に戻った木村はスタッフを集め…そしてアサミにも、一つの決意を持ちかけるのだが…。
サカイヒデキは東京の大手食品商社に勤めるサラリーマン。さまざまな食のブランドの M&A を進めることが主な仕事で、プライベートでは上司である副社長のケイコと婚約している。会社が米国モンタナ州に所有する経営不振の牧場を収益化するため、希少価値の高い和牛に切り替えることを提案。和牛畜産業の専門家であるワダを連れてモンタナに向かう。空と大地がどこまでも続くモンタナでは東京の常識は通じず、ヒデキはすぐにトラブルに見舞われる。ワダが怪我で入院し、一人になったヒデキは場違いなスーツ姿で牧場主のペグに和牛の事業計画をプレゼンするが、邪険に扱われるばかり。そんな中、ヒデキはハビエルが副業として牧場の片隅で密かにキヌアを栽培していることを知る。おおらかで地に足のついた生活を楽しむハビエルと交流するうち、土地の魅力に気づき始めたヒデキは、スーツからカウボーイの格好に着替え、牧場の仕事を積極的に手伝うように。大規模な牛追いにも参加し、牧場の労働者たちと打ち解けていく中で、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。やがてヒデキは、牧場再建の新たなプランを考えはじめるのが……。
炭鉱の町の冬。彷徨い混沌とした80年代に抗議運動を扇動した疑いで逃亡中の大学生ギヨンは、キヨンという偽名で閉鎖の危機に瀕している炭鉱の町に忍び込み、練炭工場で便利屋としての仕事を得た。政府は安価な原炭を輸入しており、ほとんどの鉱山が閉鎖の危機に瀕し、鉱山労働者は仕事を求めて他の都市に逃げることを余儀なくされる中、彼らは海外の悪徳勢力を異常に警戒していた。仕事を得たギヨンは町に身を潜め、未来を失ったかのように生きる練炭工場の労働者たちの謙虚な現実があった。それはギヨンが解決したかった現実だが、今は身を潜めるしかない。しかし、練炭工場社長の一人息子イ・ソンソンと、町の喫茶店で生きるソン・ヨンスクとの出会いが、ギヨンの運命を大きく変える。ここ一帯の富を握る練炭工場のオーナーの一人息子、ソンチョルはギヨンに恋心を抱く。そんな中、喫茶店で体を売って生活しているヨンスクもまた、ギヨンの人間性に恋をし体を売ることをやめる。労働者のストライキが激化する中、彼らの愛は大きくなってゆく。しかし、母の死を聞いたソンチョルは、ヨンスクに暴行を加える。ギヨンは喧嘩に巻き込まれ、捜索中の刑事に捕まり拷問を受けるが、起訴されずに釈放されたが、正体がバレたギヨンはヨンスクと共に炭鉱の町を離れるのだった…。
医大生のミンウ(カン・ソグ)と音大生ダヘ(イ・ミスク))は、ミヌの先輩ヒョンテ(アン・ソンギ)の仲介で互いに愛し合うようになったが、ミヌは病気の父を守るために傷害事件を起こし大学を除籍処分となる。それ以後、ミヌの身辺には次々と不幸が訪れ、ミヌは自分の出生の秘密を探ろうとして米軍相手のバーを経営する叔母のヨンスク(キム・ヨンエ)に会いに行き、そこで米軍基地の歓楽街の悪の世界に引き込まれていく。
田舎で一人静かに暮らしている桜井耕三(71)には、一つの生きがいがあった。それは動画配信を通じて、乱れた世の中を正していくこと。日々感じる社会の悪に対して、カメラの前で彼なりの戦いを挑み続ける耕三であったが、視聴者数が全く伸びずに悶々としていた。だがそんな生活を続けていた耕三のもとに突如、東京で暮らしているはずの孫の寛太(12)が彼女と一緒にやってきた。幼い二人の勢いに押されて困惑する耕三であったが、彼らの話を聞いていくうちに、やがて親の都合に振り回されてしまった寛太の境遇が透けて見えてきて……。 ※特典映像の【マニブスの種】は別で配信となります。
台風ハイエンが街を襲った影響で、宗教狂信者、自暴自棄者、犯罪者、逃げ惑う動物たちが街に野放しになった。ミゲルは無気力な青年であったが、恋人アンドレアと母ノーマという2人の女性を探し出すために廃墟を歩き回る。二人を見つけるとミゲルは、この街は危険だから去ろうと説得をする。嵐の到来という新たな噂が浮上し、脱出のための時間が徐々になくなっていく中、彼は愛する二人を説得するために留まるか、自分ひとりで町を出るかの決断を迫られる。
医師のボブとライザ夫妻には、まもなく19歳になる一人娘メイがいた。ある朝、ボブの車のフロントガラスに“彼女はお前の娘ではない”という、匿名の異様な手紙が挟まれており、続けざまに携帯に脅迫電話がかかってきた。電話の主に言われるがまま目的地に赴いたボブは、ジルと邂逅。彼女こそがメイの実の母親だった。ジルは口止め料として50万ドルを要求するが、実は彼女の姉フェイに言われるがまま脅迫を強いていたのだった。一方のライザは、ボブから18年前に自身が生んだ子どもは死産で、昏睡状態時にボブが病院にいたジルの赤ん坊とすり替えていたという真実を聞かされる。やがてメイにも真実がバレてしまうが、その時はまだ暴走状態にあるフェイによってメイが誘拐されるなど、知る由もなく…。
すべてを失った青年に残っていたのは“記憶”懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる- 骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大。ある日、看護師をしながら夜学に通っている佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失う。その後、大の人生の“何か”が狂っていく―。先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまうことに。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女、夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。
1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカー(アンドレアス・ルスト)の農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンル(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)だけだった。彼女が亡くなると、成長したエッガー(シュテファン・ゴルスキー)を引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェイの建設作業員になると、最愛の人マリー(ユリア・フランツ・リヒター)と出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった・・・。第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガー(アウグスト・ツィルナー)は過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くす―。
母親の小百合の入院日。手術しても助からない可能性があると知っている雄晃は若さ故に、その現実を受け入れきれずにいる。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?そんな想いに苛まされる雄晃は、自傷行為として、髪を染め上げ自分の殻に閉じ籠る。子供を身籠っている姉の樹莉は、父親になる相手が蒸発したため、自分一人で子供を育てようと決意している。父親の正晃は、妻がいなくなってしまうかもしれないという現実を未だに入ることができず、子供達と衝突を重ねる。家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう中、母親の小百合だけが家族のことを想っており、その想い、愛情を知った夫の正晃の心に、小さな変化が起こる。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。
幸せだったとは決して言えない思春期を過ごしてきた由起子。そんな彼女はある日、街中で喧嘩をしている京介に出会う。京介に惹かれていく由起子。由起子を受け入れる京介。自然と2人は関係を持つ。自分の理想を相手に求める由起子。自分の欲望を相手に求める京介。誰かを傷つけて、傷つけられて、初めて人と人とのpinto(焦点)が合っていく。
結婚から3年、大内綾(30)は仕事に熱中する日々を送っていた。夫・健太郎から「そろそろ子どもが欲しい」と言われるが、綾は妊娠・出産に勇気が持もてない。ある日綾は仕事で、子どもを持たない夫婦が子どものいる家庭を体験する『家族留学』のイベント運営を任される。2人の子どもを育てながら働く三島沙織(30)の家庭に体験に行くが、綾は生活のためには「本当にやりたい仕事」を諦め事務職で働く沙織の気持ちが理解出来ず傷つけてしまう。一方の沙織も、夫からの家事育児の協力が得られず不満が積もる日々を送っていて…。
バブル期の到来を迎えた台湾。その出会いが、図らずも少年にある選択を迫ることになる……台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“老獪なキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……!?
メリーランド州ガリーナに住む高校生コールの夢は、農場を経営してガリーナの農業を発展させること。そのため幼馴染のジャックと恋人のエルと離れ、大学進学を決意。主専攻は“農学”と考えていたが、地方銀行の支店長である父親に、将来性の高い学部を選ぶよう説き伏せられてしまう。卒業後はガリーナに戻ることを希望していたが、両親がコールに内緒で法科大学院への奨学金を取得したことで進学を余儀なくされ、またしても自分の夢は後回しに。やがて法律事務所に就職したコールは、ここでも上司の期待に応え順調にキャリアを積み、美しい妻と大きな邸宅、高級車を手に入れ成功者となる。そんなコールだったが、彼の心の中を占めていたのは、農業への夢と、ジャックと結婚したエルを想う気持ちだった。
性格に艶がないワーカーホリックのポリーアーティスト(音響効果師)、チョンチョル。仕事にすっかりはまって生きるチョンチョルは、ポリーアーティストとしては最高だが、息子のウンギュと妻のヒスには、自然と粗雑にされ、家族たちには、大韓民国代表「不良家長」の烙印が押されている。そんなある日、間違いなく録音室で全身で効果音を作ったチョンチョルは、運悪く鳴った妻の電話に癇癪を起こし、仕事に熱中するため、ついに電話機の電源を切ってしまう。観賞用の幼い鉄甲鮫(チョウザメ)を育て、また海に送りかえすという夢を持った純粋なヨンウン。大型マートでの小さな接触事故で、幼い王子ヨンウンと不良パパ チョンチョルは、運命的な出逢いを持つ。ケガしたところがないかという問いに、自動車がケガしたのを心配する明るい子供ヨンウン。そんなに会ってもないのに、足音だけ聞いて、自分だと分かるヨンウンに、チョンチョルは、気づかないうちに徐々になくしていた小さな幸福を探すようになる。しかし、幸福もしばらく、ある日チョンチョルは、ヨンウンが死んだ息子ウンギュと関連があるという新しい事実を知るようになる。
かつて愛したホスト・隼人(水上恒司)を刺し殺そうとした沙苗(橋本愛)は、数年の服役後、お見合いで出会った健太(仲野太賀)と結婚する。平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、謎めいた隣人の女・足立(木竜麻生)が現れる。気さくな足立に心を許しかけていた時、明かされる秘密。そして全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗。普通の生活へ引き戻してくれる健太の温もりを受け取りながらも、隼人への燃え上がるような想いを抱き続ける沙苗がたどり着いた、“愛し方”の結末とは――。
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった…。
キャビンアテンダントからある出来事をきっかけに、大城病院で医療秘書としてはたらくことになった高杉和代。医師確保が急務の大城病院、和代は院長の峰山昇太郎と必死に奔走する。そんな中、和代は以前怪我の処置をしてもらった医師白鳥良太に白羽の矢を立てる。医師の鏡のような白鳥の姿に次第に惹かれていく和代。しかし、白鳥には大きな秘密があった。様々な問題を抱える日本の医療制度をテーマに、実際に医療現場で起こった事件をモチーフとし繰り広げられる人間ドラマ。
過疎化の進む地方都市。かつてその街に住んでいた花村茉莉は今は東京で働いていた。亡くなった父の遺産として実家を譲り受けるが、仕事を解雇されることになり売却を考えていた矢先、実家で父の幻影を目にする。悩む茉莉の元へ、かつて教師をしていた父の教え子・陽子が現れ、父の思い出を聴きながら、自分の生き方を見つめ直してゆく。
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。
自閉症だった幼いロブは母亡き後、叔母と暮らしていた。だが、戦争でPTSDになり帰還した元軍人の父カールと暮らすことに。父は息子の自閉症を認めたがらず、鍛えれば治ると武道を習わせようとするが、講師に戒められる。やがて自閉症児のための支援教室に通うことになったことで感情を爆発させることもなくなったロブは、武道家でダンスの得意な青年へと成長。ある日、ひったくりに遭っていた女性ガブリエラを救ったことを機に、ロブは彼女と恋仲になる。ロブはガブリエラに自閉症であることを明かすが、ガブリエラは全く気にも留めず、より深くロブを愛するように。そんなロブは父から、ガブリエラの存在を否定され、一人前の男として軍隊に入隊するよう勧められるのだが…。
テレクラでアルバイトをしながら飄々と今を生きる女、トーコ。ある時、メジャーデビュー寸前の人気バンドのギターヴォーカル、よっくんと出会う。背伸びをしない自然体なトーコの魅力にハマっていくよっくんだが、いざ大事な話をしようとすると、トーコはハミングではぐらかす。奥底に、つかみどころのないトーコが存在する。子どもの頃に傷ついた心。人を信じられない心。小さな闇を持つトーコに翻弄されるよっくんとその仲間たちを描いた、青春群像劇。
コンビニのアルバイト店員・志村イトは、失踪した幼馴染みを追って幼少期に住んでいた都営団地へと向かう。そこの老朽化したエレベーターに乗り、この世界とよく似ているが全く違う異世界=パラレルワールドへ降り立つ。そこで彼女は現実の世界から消えてしまった人々と再会するのだが――
竹中時雄(48)は脚本家を生業としているが、仕事への情熱を失い、妻のまどか(47)との関係も冷え切り、漠然と日皮を過ごしていた。ある日、時雄の作品の大ファンで脚本家を志しているという横山芳美(21)が仕事部屋に押しかけ、弟子にしてくれてと懇願する。時雄は芳美の熱心さに根負けする形で師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするなかで芳美の物書きとしてのセンスを感じるとともに、彼女に対し、恋愛感情を覚え、公私共に充実した時間を得るようになる。だが、そんな日閃もつかの間、芳美の彼氏で同じく脚本家を目指しているという田中秀夫(20)が上京してくるというのだ。嫉妬心と焦燥感に駆られ、強く反対する時雄だったが・・。
出会いと別れが交錯する命の現場で紡がれる「わたしたち」の物語――舞台は九州・熊本の看護師養成機関。幼い頃に母親を病気で亡くした学生、木津川あかねは、大学を中退した幸助、元居酒屋店員の俊夫、シングルマザーの玲子ら様々な事情を抱えた仲間と学内演習に励んでいた。そしてついに迎えた病院での実習。古村という患者の担当となり、病状の深刻さに戸惑いながらも交流を深めていくあかねだったが、その矢先、あかねの些細なひと言が原因で、古村が心を閉ざしてしまう……。それまで日々の実習や実習記録の提出に追われ、看護とは何かを見失っていたあかね。だが古村の葛藤に触れ、大切なのは、患者の本当の苦しみに寄り添うことだと気づいた彼女は、古村の願いを叶えようとする――。
脳腫瘍で余命半年と宣告された元殺し屋のレクイエム。だが、仲間のジョニーには真実を告げず、これまで通り借金の取り立てで日銭を稼ぐ生活を続けようとしていた。一方、ロンドン市内の瀟洒な家に妻と12歳の娘エルシーと暮らす株式ブローカーのジェームズは、ヨーロッパ最大のヘロイン商人で“公爵”と呼ばれる男から借金をしたことから窮地に陥っていた。人身売買にも手を染める公爵はエルシーに目をつけ、男女3人のチンピラにジェームズを襲わせ、エルシーを拉致しようとしていた。そこに偶然、借金の取り立てに現れたレクイエムだったが、エルシーを救わなくてはならないと使命に駆られる。公爵とは関わるなと釘を刺されるが、レクイエムはエルシーを守り抜こうと暴走していく。
23年前にロシアへ出稼ぎに行ったまま行方がわからなくなっていたザールクが、キルギスの村に帰ってきた。家族や村人たちは記憶と言葉を失った彼の姿に動揺するが、そこにザールクの妻であるウムスナイの姿はなかった。周囲の心配をよそに、ザールクは村にあふれるゴミを黙々と片付ける。そんなザールクに、村の権力者による圧力や、近代化の波にのまれていく故郷の姿が否応なく迫る。
急速な西洋化と経済発展が進む1990年代前半の台北。企業を経営するモーリーは、自分の会社の経営状況も、婚約者アキンとの仲も上手くいかずにいる。モーリーの会社で働く親友チチは、モーリーの仕事ぶりに振り回され、恋人ミンとはケンカが絶えない。そんなモーリーとチチの2人を中心に、同級生・恋人・同僚など10人の男女が2日半という時間の中で織りなす人間模様を描き、心に空虚感を抱える彼らが自らの求めるものを見いだしていく姿を映し出す。※デジタルレストア版となります。
埼玉県川越市を舞台に、一人暮らしの老職人とクラブシンガーを名乗る謎の女性との交流を映し出すヒューマンドラマ。ある日、アンティーク照明の修理店を営む藤吾のもとに、20年前に行方をくらました藤吾の息子・耕輔の子をお腹に宿しているという洋子が現れ……。
東京郊外で倉庫作業で働きながらただ漠然と日々を過ごす真司。唯一の趣味は本を読むことでよくノートに自分の気持ちを書いている。そんな真司だが過去に一度だけ原田茉耶という女性と付き合っていた。彼女とはうまくいっていたのだがある日突然別れ話を真司の方から切り出してしまう。真司は茉耶に言えない過去をもっていた。児童養護施設で育った真司はその時の経験で強烈な劣等感を感じていた。別れ話の数日後二人は台北に来ていた。事前に予約していた台北旅行。茉耶は複雑な気持ちだったが真司に半ば強引に説得され行くことにした。楽しさと悲しみが入り混じった旅行をする二人。茉耶は不意に涙し「だって私ずっと一人なんだもん」と気持ちを吐露してしまう...
日光二社一寺への参道入口にある実在の人気カフェ「本宮カフェ」を舞台に、カフェを経営する大場嘉門とその家族を中心に、町の人々や日光を訪れる人々など、人と人が織りなすヒューマンコメディ。嘉門の名前は、父の大場馨が「大バカがおる」と若い頃にからかわれたのだが町を変えるのは「大馬鹿もんだ」という深い意味に感動して息子に嘉門と名付けたのだった。そこへ現れる謎の女性――。「日の光る処の輪の中にそれはある」、嘉門はその女性が残した謎の言葉の意味を探して回る。輪王寺門跡(宝田明)はそれを見守る。
日光二社一寺(日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社)への参道入口にある「本宮カフェ」。オーナーの大場嘉門(スネオヘアー)は、娘やスタッフにカフェを任せて趣味の写真を撮りに毎日フラフラと出掛けている。そんな中、アルバイト店員の遠藤奈々(万登香)は仕事が終わると、ベランダ席でギターを弾きながら歌の練習をしている。ミュージシャンになる夢を抱く彼女は、地方から出てきたが、なぜか東京へ行かずに日光に居つき、カフェのバイトが休みの日は路上で弾き語りをしたりしている。そんな彼女をカフェの仲間や常連客たちも応援し、奈々もひたむきに音楽を続けているが……。
「お母さん絶対だよ?絶対に迎えに来てね」児童養護施設に預けられる幼い姉の松平香(西尾まう)と弟の松平勇人(勇翔BOYS AND MEN)はすぐに母親が迎えに来ると思っていたが、母が迎えに来ることはなかった。年齢で養護施設を退園した香と勇人は、二人で母親を探しながら社会の片隅で懸命に生きていた。ある日、育った養護施設の廃園が決まり、閉園式の手紙が二人の手元に届いた。閉園式でかつての仲間、佐藤良太(辻本達規BOYS AND MEN)、渡辺洋介(本田剛文BOYS AND MEN)、西川光(平松賢人BOYS AND MEN)と再会する。プロのダンサーを目指して施設の庭で夜、ダンスの練習をしていた5人だったが、生きていくためにいつの間にか夢を追いかけるのをやめていた。しかし、光だけはインディーズのダンスグループで夢を追いかけていた。ダンスグループ「SOMEDAYS」に初めてのオファーが入り、自分たちのように喜んだ香たちだったが、そのグループは仲間割れで解散してしまっていた。「だったら俺たちが一緒にやってやるよ!」良太の一言で即席の「SOMEDAYS」が(再)結成された。
事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東京で役者をしながら、理想と現実の狭間で憂鬱なときを過ごしていた。ある日、西村は大畑と偶然再会する。町にはゆっくりと陽が落ち、そこで暮らす人々はそれぞれの帰路に着く。窮屈で、美しい、その町を眺める二人は、その景色にそれぞれの記憶と想像を重ねる。
1989年、冬。中学教師・甘利田幸男は、北の地に降り立った。隠し持った真の目的はアレを味わう事。だが赴任から一年以上経つもアレが献立に登場する事は無い。相変わらず給食のために学校へ行き、食のライバル粒来ケンと毎日密かにしのぎを削っている。一方、新米教師の比留川愛はそんな甘利田に憧れを抱き、近くにいたいと願っていた。そんな頃、忍川中学が給食完食のモデル校に選定される。忍川町では町長選挙を前にして、政治利用に使われようとしていたのだ!不穏な空気を察知した甘利田は、おいしい給食を守るために立ち上がる!そんな中、アレとの頂上決戦の幕が上がろうとしていた。
シングルマザーのアルマに育てられるクレメンとピーターは親友のように仲の良い兄弟。無口なクレメンにとって、兄のピーターは世界の半分以上を占めるほどに大きな存在だ。しかし、クレメンを包んでいた優しい日常は、兄ピーターの初めての恋人、華麗なソニアの登場によって急激な変容を遂げてゆく。彼女にベタ惚れするピーターの眼中には、もはやクレメンの姿はない。生まれて初めていだく感情の渦に叩き落とされ、追い詰められたクレメンは、やがてある計画を実行に移そうとする…
腕ききのネオン職人だった夫ビルが亡くなった。古き佳き時代のガラス管のネオンを愛した夫。妻メイヒョンは後悔していた。かつてSARSが香港を襲ったとき、夫にネオンの仕事を廃業させたことを。ある日メイヒョンは、「ビルのネオン工房」と書かれた鍵を見つける。もう10年前に廃業したはずなのに。昔の工房へ行ってみると、そこには見知らぬ青年がいた。名前はレオ、夫の弟子だという。ビルの死を伝え、工房を閉めると告げるメイヒョン。レオは、師匠にはやり残したネオンがある、それを完成させるまでやろうと説得する。メイヒョンは、夫がやり残したネオンを探しだし、完成させることを決意する。ネオン作りの修行を始めるメイヒョン。一方、ひとり娘からは、香港を離れて海外へ移住すると打ち明けられる。はたして夫の最後のネオンの行方は?
銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる-。
急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みる。息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げる。息子がゲイだという衝撃の事実に動揺した彼は、ガブリエルの死を知り悲しむセバスチアンを激しく罵倒してしまう。2週間後、セバスチアンに言われた言葉が気になり眠れなくなったホルヘは、息子の本当の姿を知るべく、ボリビアを離れニューヨークのセバスチアンの家を訪れる。アポイントもなしにセバスチアンの家を訪れたホルヘは、再び激しい口調で詰問するが、興奮のあまりその場で昏倒してしまう。
舞台はメキシコ・オアハカ州の小さな村。アニマス・トルハーノ(三船敏郎)は貧しい農夫。働き者の女房(C・ドミンゲス)に45人の子供の世話と畑を任せっきり、自分は酒と博打の日々を送る。年に一度の村祭りを取り仕切るマヨルドーモに選ばれるのがこの男の宿願だが、それには、財力はもちろん人望だって欠かせない。アニマスは金を得ようとするが、神頼みがモットーで、女房の残した銀貨を片手に小博打にうつつを抜かす酒びたりの怠け者には、とうてい運は廻ってこなかった。女房の哀願に耳を貸し、珍しく製酒工場で働くアニマスだったが、工場主の息子が自分の娘に手を付けたのを見て、たちまち鍬を持ち出して大立ち回り。町の留置場に送られる。そこでも出獄する受刑者が磁石を拝んでいたら運が向いてきたというのに騙され、磁石と自分の毛布を交換。今まで拝んでいたマリア像を引き吊り降ろして、磁石を拝むアニマスであった。一方、アニマス一家はけなげに働いて金を稼ぐ。しかしその金も、出所したアニマスが持っていってしまう。たまに金を掴むことがあっても、その金は博打か、娼婦カテリーナに巻き上げられるかであった。遂に悪魔に魂を売ったと宣言して、怪しげな黒魔術の儀式を始めるアニマスだったが、結果は飼っていた鶏を騙し取られただけであった。女房の苦労は絶えない。アニマスの娘がつくった赤子を引き取りにやってきた工場主が、慰謝料を受け取れと言ってきた。一生かかっても拝めない大金である。その金でマヨルドーモになろうとするアニマス。司祭は肩書によってアニマスが成長するかどうか変化を見たいと、彼をマヨルドーモに選ぶ。祭りの日、着飾ったアニマス一家が誇らしく町を歩く。しかし金持ちに孫を売りつけて、マヨルドーモになったと人々は彼を嘲笑するのだった。ショックを受けるアニマス。そしてアニマスの金目当てに再び近づいてきたカテリーナをアニマスの女房が刺してしまう。アニマスはようやく自分の愚かさに気づいて、女房の代わりに警察に自首するのだった。
1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を3人で重ねていく―。
ぼくはNYで透明人間になった…幸せを掴むために祖国ペルーを捨て、ニューヨークの片隅で不法に暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら二人の息子を女手一つで育て、息子のポールとティトも語学学校に通う傍ら、配達員をしながら家計を支えていた。不法滞在者である彼らにとって現実はあまりにも厳しく、お金の問題に加えて見つかれば国外追放されてしまうという恐怖が常に付きまとっている。市民権もなく何の力もない自分たちを「透明人間」と呼び、息をひそめて生きていた。二人はある日学校で、神秘的な魅力を放つ美女・クリスティンと出会い、恋に落ちる。しかしクリスティンはコールガールという一面を隠し持っていた。一方、母ラファエラは、ウェイトレスの生活に疲れ果てた時、客の白人男性に声をかけられる。恋なんて葬り去っていたラファエラだが、安定を約束するという口車にはまってしまい、自分たちのアパートを提供して男と一緒にチキンフード店を開業する。それぞれが恋に落ち、辟易していた毎日に<希望>を見出したかのように思えたのだが…。NYという大都会で出会う人々の欲望と心の闇が次々と露になり、母子3人は最も恐れていた事態に直面し、引き裂かれてしまう。仕事を抱えながら息子たちを必死に探すラファエラ。果たして、母子3人は再会することができるのか?
バーチャリー・ユー社のCEOニールは、将来起こり得ることを科学的に示唆することのできる最新技術のプレゼンに躍起になっている。しかし、そんな彼の懐には拳銃が…。時は1年前に遡る。彼には2人の娘がいた。長女モニカは明るく社交的だが、大学生の次女マヤは繊細で内向的。そんなマヤが自殺したのだ。悲しみに打ちひしがれながら、ニールは妻のルーパやモニカに自殺の理由を問い詰めるが、全く見当がつかないでいた。しかし家政婦のディディによって、前年のクリスマスにマヤが帰省した際、とても悲しそうにしていたことを知る。思い立ったニールはマヤの大学へ赴き、ルームメイトらに聞き込みを開始するのだが…。
「本当に幸せになっていいのか……」13歳の時に友達の犯行で妹を亡くした新聞記者の月野木薫。結婚式も控え、友人・岡田の子供たちの世話を手伝い、幸せな日々へ期待を抱く一方、亡き妹に対する後ろめたい気持ちが募る。そんなある日、中学校の屋上から女子生徒が転落死する事件が発生。薫が突き止めた加害少女は、岡田の娘・茜だった。そして、転落し亡くなった少女と家族同然の付き合いだった香川晃は、薫の妹を殺害した過去を持つ元加害少年だった。少年期とは逆の立場でその悲しみを知ることになった薫と晃。運命に引き戻された二人は、26年ぶりに再会することに……
ゲイでナルシストの老絵本作家山崎は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ――自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる…。