かつて国内で栄えた造船業が急速に廃れた後の日本。瀬戸内海に面した香川・坂出に逃げ着いた女(河野知美)は、体を売って孤独に生きていた。女には6年前、長崎・佐世保で共に暮らしていた夫(梅田誠弘)のもとから、別の男と駆け落ちした過去があった。ある雨の晩、突然訪ねてきた夫。女のさびれたアパートの部屋で、二人が空白の時間を埋めるかのように語らい、体を重ねるにつれ、次第に時空が歪み出し……。
中学時代に亡くなった友人の墓前で旧友の哲也と再会した達生は、バイト先の元同僚・結衣と3人で、夏休みの数日間を地元の田舎町で過ごすことになる。達生の父が社長を務める経営不振の工場の寮に滞在しながら、彼らはそこで働くベトナム人技能実習生たちと交流し、それぞれが抱えていた過去と向き合っていく。
グレイスは両親に内緒で友人のサッフォーとバスでセドゥーナに向かっていた。途中、バスに乗ってきた青年ジェイミーに惹かれたグレイスは、積極的に彼にアプローチ。すっかり仲良くなった2人はイチャつきはじめ、その様子を見ていたサッフォーは一緒に行動するのが嫌になり家に帰ってしまう。サッフォーがいなくなり心細くなったグレイスはジェイミーに誘われるまま一夜を共にするが、翌朝、彼はグレイスの荷物を盗み、姿を消した。所持金もなく警察に頼ることもできなかったグレイスは途方に暮れつつも、セドゥーナに向かって歩き出していた。一方、家出の際に大金を持ち出していなくなったグレイスを心配した両親は探偵を雇い、彼女の行方を探し始めるが…。
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る男を雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱く。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。ありのままの自分を許し、愛するストーリーの舞台となったのは、モロッコの首都ラバトと川1本隔てた古都サレ。コーランが響く旧市街には、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場、男たちがミントティーを楽しむカフェがあり、通路の上には大量の洗濯物がたなびくなど、素顔のモロッコがスケッチされる。
チェルノブイリ原発事故の後、ハバナ大学ロシア文学教授のマリンは、治療のためにソ連から送られてきた子供たちとキューバの医療スタッフとの間の通訳を任される。抽象的な文学の世界から現実的な医療の世界に放り込まれた彼は葛藤するが、ある子供との対話を通じて子供たちとつながりを感じ、新たな使命をもって通訳に臨んでいく。おりしもベルリンの壁が崩壊し、キューバは未曾有の経済危機に直面する。だが、チェルノブイリの子供たちに深く関わるようになったマリンは自己の家族を顧みず、二人目の子を身籠もる妻イソナをひどく傷つけてしまう…実話に基づくヒューマンドラマ。
夢を諦めたアキラと夢を信じるシンジの「夢」をめぐるクロスストーリー アキラは社会人になってミュージシャンになる夢を諦め、日々の仕事に忙殺され自分を見失っていた。シンジにとってアキラは高校時代から憧れの存在だった。シンジはアキラの背中を追いかけて、ミュージシャンになるために、東京でアルバイトをしながら路上ライブの日々を送っていた。そんな時、東京の街でアキラとシンジが再会する。現実に追われながら夢を取り戻そうとするアキラと、夢を追いながら現実に直面するシンジ。「夢」と「現実」との狭間で揺れる人々の、リアルな葛藤やもがきを描いた渾身の一作。
アルバニアの映画監督ヴァニが撮った新作がヴェネチア国際映画祭に選出され、上映されることになった。俳優出身で、5年前に妻を亡くし、娘はヴェネチアの医大に通っているヴァニは、感慨深げに撮影監督のカシとともにフェリーで、まずはイタリアのバーリへ到着して一泊する。翌朝、車でヴェネチアへ向かおうとする彼らは、修道女の衣装を脱ぎ捨てて、なかなか来ないバスを待つ2人のポルノ女優イリーナ&ローラと出会う。車に乗せてくれたらヴェネチアまで道案内してくれるという彼女らも、ヴェネチアでオーディションがあるのだという。かくしてヴァニたちは2人を同乗させ、ヴェネチアまで800キロの長距離を共にすることになるのだが…。
高校時代に大人気を博したR&Bバンド『銀天ガールズ』。20年を経て、それぞれ家庭をもつアラフォー世代となったメンバー4人が、地元の沖縄・コザの商店街「銀天街」の街おこしを目指して再結成!街の不況や子供たちの貧困など、さまざまな事情を抱えながらも、青春と人生を取り戻し、コザの街を再び輝かせるべく、バンド活動で再起をかけることになるが…
受賞歴もある高名な世界的ジャーナリスト、リチャード・フォスター。実家はアメリカの大富豪だったが、自身は家業のビジネスに全く興味がなく、その潤沢な財産を生かして虐待や搾取、売買されている子供たちを救うための財団“グローバル・ハーモニー”を設立し、世界的な活動を進めていた。そんな彼がイタリア・ナポリを訪問中、偶然、自動車事故に遭遇。車に乗っていた臨月の妊婦を救うが、彼女は女児を産むと亡くなってしまう。その子ども、ガイアを引き取ったリチャードは7年後、イタリア・ラペンドゥーザ島でガイアと美しい妻と幸せな生活を送りながら、世界中を飛び回り財団の運営を進めていた。だが、財団の活動を忌々しく思い、潰そうとする闇の組織がリチャードの弱点を探していた。
いつも一人で過ごしている高校生の悠(はる)。そんな悠には気になる人がいる。それは毎日同じ時間に、教室から見える手洗い場に現れる生徒だった。その子はただひたすら手を洗い続ける。何度も、何度も。悠はなぜだかその子から目が離せなくなっていたー。何かに期待することを諦め、“普通”の輪から離れて生きる主人公・悠が、“普通”に憧れ、その輪からはみ出さないように生きようとする優乃(ゆうの)と出会い、お互いが抱える孤独と向き合いながらそれぞれの道を探していく。
ルーマニア・モルドヴァ地方の静かな村の中年警察官イリエ。野心を失い鬱屈とした日々を送っている彼の願いは、果樹園を営みながら、ひっそりと第2の人生を送ること。しかし平和なはずの村で惨殺死体が見つかったことをきっかけに、イリエは美しい村の闇を次々と目の当たりにすることになる。正義感を手放した警察官がたどり着く、衝撃の結末とは―。
オースティンは幼い頃、家族に捨てられ、児童養護施設で孤独に生きていた。20数年後、オースティンはボクシングライトヘビー級チャンピオンの座を懸けて四角いリングへ上がっていた。激しい戦いの末、新チャンピオンに輝いたオースティンを祝うホームパーティーでは誰もが彼を褒め称え、オースティンは幸せの絶頂にいた。しかし、そんな幸せは一夜にして崩れ去る。パーティーに来てオースティン邸に泊まっていたトレーナー・エディの一人娘アシュリーが、ベッドルームで変死している姿が発見された。責任を感じたオースティンは罪を背負い刑務所へ。4年後、刑期を終えたオースティンは彼を待ち続けた恋人デイナとやり直しを始めるが…。
1991年ドイツ・フランクフルト。EPA通信のアニャ・ニードリングハウスは、ユーゴスラビア紛争を伝えるテレビ映像を見て焦燥感に駆られていた。“本物”のジャーナリストになりたい彼女は上司にユーゴスラビアへの取材を申し出るも、経験が浅く女性であることを理由に却下される。そして1992年、ついにサラエボへの取材許可をもぎ取ったアニャだったが、戦地の現実は想像以上に厳しく、被写体との距離感が掴めない彼女の心を締め付け、擦り減らしていく。それでも自らの直観に従い、シャッターを切った彼女の写真は、多くの人々の目に留まり始める。“写真で戦争を終わらせる”ことを目指し、戦地を駆け巡った彼女はやがて、時代を代表する写真家となる。
ロサンゼルス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市を舞台に、タクシーの車内で展開される、運転手と客との巡り合いをオムニバス形式で描く。地球という同じ星、同じ夜空のもと、それぞれ違ったストーリーが繰り広げられていく。
ニューヨーク大学在学中に卒業制作として撮影された、ジャームッシュ初の長編映画。主人公の少年、アロイシュス・パーカーは社会に適応できず、あてもなくニューヨークの裏街を彷徨う。途中、さまざまなアウトサイダーたちとの出会いと別れを繰り返し、彼は自己の旅の行先を徐々に見出していく。
2023年カンヌ国際映画祭が唯一認めたロシア映画 ロシア南西部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポルノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。娘は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが…2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成長を追ったロードムービーである。東欧の民話をもとにドキュメンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。この映画が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もいない。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。
日本に妻子を残し、異国の地・フィリピンで再起をはかるプロボクサー神山英次。ある日、神山の前に一人娘の桃子が現れる。再会した父と娘は衝突しながらも徐々に親子の絆を深めていく。そんな中、40歳を迎えた神山に、ラストチャンスとなる試合の話が舞い込んでくる――。
染井春太(猪征大)は居酒屋でアルバイトをしながら役者を目指しているが、来る仕事はエキストラばかり。ある日、路上で一人芝居をしている途中に出会ったアニキ(松本ししまる)と東京・下北沢にあるバーを訪れる。そこで吃音のアーティスト、レオ(遠藤史也)と出会う。レオはアメリカから帰ってきたばかりで家が無く、気付けば春太の家に住み着くようになる。目指すものは違うが、お互い夢を追う者として気付けばかけがえのない存在となっていく。そして2 人はある約束を交わし、お互い約束を果たす為に日々努力する。しかし次第に春太を取り巻く環境に変化が訪れ、春太の夢に対する気持ちも揺らいでいく、、、いつまでも変わらないと思っていた。偶然出会った若者2人の出会いからそれぞれの人生の選択を描いた8年間を描く。
島で生まれた漁師の青年、阿部アキラは、弟のシゲルとふたりで古い一軒家に暮らしている。アキラは素潜りの漁師で石巻の特産である海産物、「ほや」を獲るのが仕事だ。しかしアキラとシゲルは海のものを一切口にせず、カップラーメンばかり食べている。それは12年前の震災で、兄弟の両親が海で行方不明となってから――。そんな折、東京から島にふらりとやってきたブルーの髪をした漫画家、美晴が兄弟の前に現れた。3人のありえない出会い、それはおかしな奇跡の始まりだった――。
広東省に住むチアニーと恋人の志遠は、最近結婚と家のことで意見が分かれていた。チアニーは家がないと結婚できないとジーユェンからのプロポーズへの返事を先延ばしにしているが、彼は家を持つことに拘る必要はないと考えていた。ある電話をきっかけに、チアニーは生家の家族のことを知り、実父の葬儀に参列することになった。
マンハッタンで暮らし、ユニオンスクエアパークで散歩や瞑想をしたり、ヨガ教室に通うなどして過ごす休職中の元俳優リッキー。高校の同窓会の招待状を受け取った彼は、高校時代に同級生のトラヴィスに負わされた大ケガのトラウマから、自身の暗い内面と対峙せざるを得なくなっていた。スピリチュアルなことにも関心が強いリッキーは、翌日、街中で因縁の相手トラヴィスを見かけ、妙な気を感じて動揺する。そんな中、長期旅行から帰ってきた親友の刑事アンディに、クラブへ誘われる。ハイになって公園で寝てしまったリッキーは翌朝、写真家のナタリーに起こされる。彼女は以前、リッキーを公園で見かけており、その際、密かに写真を撮影していた。意気投合した2人は惹かれ合うのだが…。
東京でOLとして働いていたヒカリのもとに、故郷の京都から父の訃報が届く。幼い頃に母を亡くし、仕事に明け暮れていた父とはぎこちない関係のまま育ったヒカリだったが、葬儀のために故郷へ戻る。そこでヒカリは、父が年老いた農家の人々に頼られ、広大な田んぼの耕作を引き受けていたことを知る。ヒカリは父が残した田んぼを引き継ぐことを決意し、様々な人に助けられながら米作りに奮闘。その仕事を通して、亡き父の思いを少しずつ理解していく……。
幼い頃、母親・早希の勧めでバレエと出会った美夏。生まれながらのスタイルとバレエの才能に恵まれ、コンクールにも上位入賞し、将来を期待されていた。しかし、怪我に荷まれ道半ばにしてバレエの道を諦めてしまう。全てを早希のせいにして、逃げるように家を出る美夏。女手一つで美夏を育ててきた早希は深く絶望する。自分がなりたかったバレリーナの夢を娘に託し過ぎたのかもしれない…。美夏の気持ちを知るために早希は近くのバレエ教室に通い始める。教室には様々な年代の女性達がバレエを楽しんでいて、早希もバレエを習ううち、少しずつ娘の気持ちがわかってくる。そんな中、教室で発表会が催される事になる。演目はくるみ割り人形の「花のワルツ」。それぞれの思いが交錯し、母娘の「花のワルツ」のステージの幕が今、開く一。
ある日、地上から湖に落ちてきた裸の男は、かつて子どもの頃に住んでいた湖畔の家に向かう。口から鍵を吐き出した彼は家に入り、昔の80年代風ファッションに身を包み町へ。ソープと名乗る彼は宇宙人で、25年以上前に突然地球を離れたことから、別れを告げられなかった親友サムを探しに戻ってきたのだった。サムの行方を探す中、パンケーキ店やボウリング場の店主たち、湖で友達になった少女オリビアなどと知り合い、とある家の犬を連れて帰り飼い始める。偶然、迷惑な生配信ドローンを叩き落し、海水浴客を救ったと有名人になった彼は、「お帰り ソープ」「秘密を知ってる」「あなたは死ぬ」との謎の置手紙をもらう。さらには家賃収入のため、同居人もやってきて…。
舞台はスイスの山中に建つ古いホテル。ここの持ち主だった祖父母に育てられたヴァランタンが、ホテルが取り壊されると聞いて記憶をたよりにやってくる。今は無人と化したホテルの中を歩きながら、彼は少年時代の懐かしい記憶の数々を思う。あこがれの“世界一の美女”や女性歌手とピアノ弾き、魔術師、思い出話がいつも面白かった祖母。少年ヴァランタンにとって大人たちの世界は素晴らしく魅力的なものだった。過去と現在が交錯するホテルで、シュミットがつむぎ出す夢幻的な舞台がいま始まる。
ある日突然、かや乃が逮捕される。恋人の光太郎は状況が飲み込めない。呆然とした日々を過ごしていると、かや乃の父・慎一から呼び出される。「かや乃が勾留されてる海の向こうまで一緒に連れて行ってくれないか?」と慎一の頼みを引き受けた光太郎。だが慎一は、自称パニック障害の持ち主で電車はおろか、高速道路でさえ移動ができない。初対面の恋人の父とギクシャクした心の距離を感じながらも、愛する人が囚われている地・四国へ向けて、海を渡る旅を決行する光太郎。だが旅の途中――慎一がこの世にいないことになっている人物であると発覚する。社会を脱落した者たちが再び自分の道にチャレンジする姿を描いた切なくも滑稽なヒーリングドラマ。
十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。そこには一糸纏わぬふたりの姿が、モノクロームの写真に映し出されていた。蘇ってくるのは、ただ欲望のままに生きていた青春の日々。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」直子の婚約者が戻るまでの五日間。身体に刻まれた快楽の記憶と葛藤の果てに、ふたりが辿り着いた先は―。
コロナ禍で仕事を失った初老の俳優・木村は、一念発起して自作映画を作り始める。ところが、肝心のシーンで主人公に三ヶ月の重症を負わせてしまう。マネージャーからは、損害賠償を匂わされ、最後の頼みの生活補助金も却下の通知が届く。そこに娘のアサミからは厄介な心配事まで持ちかけられる。途方に暮れる木村は、初めて中学の同窓会に出席してみる…そこで再会したかつての学校のマドンナ・雪乃は、木村の映画に出資すると言い出す。東京に戻った木村はスタッフを集め…そしてアサミにも、一つの決意を持ちかけるのだが…。
サカイヒデキは東京の大手食品商社に勤めるサラリーマン。さまざまな食のブランドの M&A を進めることが主な仕事で、プライベートでは上司である副社長のケイコと婚約している。会社が米国モンタナ州に所有する経営不振の牧場を収益化するため、希少価値の高い和牛に切り替えることを提案。和牛畜産業の専門家であるワダを連れてモンタナに向かう。空と大地がどこまでも続くモンタナでは東京の常識は通じず、ヒデキはすぐにトラブルに見舞われる。ワダが怪我で入院し、一人になったヒデキは場違いなスーツ姿で牧場主のペグに和牛の事業計画をプレゼンするが、邪険に扱われるばかり。そんな中、ヒデキはハビエルが副業として牧場の片隅で密かにキヌアを栽培していることを知る。おおらかで地に足のついた生活を楽しむハビエルと交流するうち、土地の魅力に気づき始めたヒデキは、スーツからカウボーイの格好に着替え、牧場の仕事を積極的に手伝うように。大規模な牛追いにも参加し、牧場の労働者たちと打ち解けていく中で、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。やがてヒデキは、牧場再建の新たなプランを考えはじめるのが……。
炭鉱の町の冬。彷徨い混沌とした80年代に抗議運動を扇動した疑いで逃亡中の大学生ギヨンは、キヨンという偽名で閉鎖の危機に瀕している炭鉱の町に忍び込み、練炭工場で便利屋としての仕事を得た。政府は安価な原炭を輸入しており、ほとんどの鉱山が閉鎖の危機に瀕し、鉱山労働者は仕事を求めて他の都市に逃げることを余儀なくされる中、彼らは海外の悪徳勢力を異常に警戒していた。仕事を得たギヨンは町に身を潜め、未来を失ったかのように生きる練炭工場の労働者たちの謙虚な現実があった。それはギヨンが解決したかった現実だが、今は身を潜めるしかない。しかし、練炭工場社長の一人息子イ・ソンソンと、町の喫茶店で生きるソン・ヨンスクとの出会いが、ギヨンの運命を大きく変える。ここ一帯の富を握る練炭工場のオーナーの一人息子、ソンチョルはギヨンに恋心を抱く。そんな中、喫茶店で体を売って生活しているヨンスクもまた、ギヨンの人間性に恋をし体を売ることをやめる。労働者のストライキが激化する中、彼らの愛は大きくなってゆく。しかし、母の死を聞いたソンチョルは、ヨンスクに暴行を加える。ギヨンは喧嘩に巻き込まれ、捜索中の刑事に捕まり拷問を受けるが、起訴されずに釈放されたが、正体がバレたギヨンはヨンスクと共に炭鉱の町を離れるのだった…。
医大生のミンウ(カン・ソグ)と音大生ダヘ(イ・ミスク))は、ミヌの先輩ヒョンテ(アン・ソンギ)の仲介で互いに愛し合うようになったが、ミヌは病気の父を守るために傷害事件を起こし大学を除籍処分となる。それ以後、ミヌの身辺には次々と不幸が訪れ、ミヌは自分の出生の秘密を探ろうとして米軍相手のバーを経営する叔母のヨンスク(キム・ヨンエ)に会いに行き、そこで米軍基地の歓楽街の悪の世界に引き込まれていく。
台風ハイエンが街を襲った影響で、宗教狂信者、自暴自棄者、犯罪者、逃げ惑う動物たちが街に野放しになった。ミゲルは無気力な青年であったが、恋人アンドレアと母ノーマという2人の女性を探し出すために廃墟を歩き回る。二人を見つけるとミゲルは、この街は危険だから去ろうと説得をする。嵐の到来という新たな噂が浮上し、脱出のための時間が徐々になくなっていく中、彼は愛する二人を説得するために留まるか、自分ひとりで町を出るかの決断を迫られる。
医師のボブとライザ夫妻には、まもなく19歳になる一人娘メイがいた。ある朝、ボブの車のフロントガラスに“彼女はお前の娘ではない”という、匿名の異様な手紙が挟まれており、続けざまに携帯に脅迫電話がかかってきた。電話の主に言われるがまま目的地に赴いたボブは、ジルと邂逅。彼女こそがメイの実の母親だった。ジルは口止め料として50万ドルを要求するが、実は彼女の姉フェイに言われるがまま脅迫を強いていたのだった。一方のライザは、ボブから18年前に自身が生んだ子どもは死産で、昏睡状態時にボブが病院にいたジルの赤ん坊とすり替えていたという真実を聞かされる。やがてメイにも真実がバレてしまうが、その時はまだ暴走状態にあるフェイによってメイが誘拐されるなど、知る由もなく…。
すべてを失った青年に残っていたのは“記憶”懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる- 骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大。ある日、看護師をしながら夜学に通っている佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失う。その後、大の人生の“何か”が狂っていく―。先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまうことに。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女、夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。
母親の小百合の入院日。手術しても助からない可能性があると知っている雄晃は若さ故に、その現実を受け入れきれずにいる。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?そんな想いに苛まされる雄晃は、自傷行為として、髪を染め上げ自分の殻に閉じ籠る。子供を身籠っている姉の樹莉は、父親になる相手が蒸発したため、自分一人で子供を育てようと決意している。父親の正晃は、妻がいなくなってしまうかもしれないという現実を未だに入ることができず、子供達と衝突を重ねる。家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう中、母親の小百合だけが家族のことを想っており、その想い、愛情を知った夫の正晃の心に、小さな変化が起こる。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。
幸せだったとは決して言えない思春期を過ごしてきた由起子。そんな彼女はある日、街中で喧嘩をしている京介に出会う。京介に惹かれていく由起子。由起子を受け入れる京介。自然と2人は関係を持つ。自分の理想を相手に求める由起子。自分の欲望を相手に求める京介。誰かを傷つけて、傷つけられて、初めて人と人とのpinto(焦点)が合っていく。
結婚から3年、大内綾(30)は仕事に熱中する日々を送っていた。夫・健太郎から「そろそろ子どもが欲しい」と言われるが、綾は妊娠・出産に勇気が持もてない。ある日綾は仕事で、子どもを持たない夫婦が子どものいる家庭を体験する『家族留学』のイベント運営を任される。2人の子どもを育てながら働く三島沙織(30)の家庭に体験に行くが、綾は生活のためには「本当にやりたい仕事」を諦め事務職で働く沙織の気持ちが理解出来ず傷つけてしまう。一方の沙織も、夫からの家事育児の協力が得られず不満が積もる日々を送っていて…。
メリーランド州ガリーナに住む高校生コールの夢は、農場を経営してガリーナの農業を発展させること。そのため幼馴染のジャックと恋人のエルと離れ、大学進学を決意。主専攻は“農学”と考えていたが、地方銀行の支店長である父親に、将来性の高い学部を選ぶよう説き伏せられてしまう。卒業後はガリーナに戻ることを希望していたが、両親がコールに内緒で法科大学院への奨学金を取得したことで進学を余儀なくされ、またしても自分の夢は後回しに。やがて法律事務所に就職したコールは、ここでも上司の期待に応え順調にキャリアを積み、美しい妻と大きな邸宅、高級車を手に入れ成功者となる。そんなコールだったが、彼の心の中を占めていたのは、農業への夢と、ジャックと結婚したエルを想う気持ちだった。
かつて愛したホスト・隼人(水上恒司)を刺し殺そうとした沙苗(橋本愛)は、数年の服役後、お見合いで出会った健太(仲野太賀)と結婚する。平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、謎めいた隣人の女・足立(木竜麻生)が現れる。気さくな足立に心を許しかけていた時、明かされる秘密。そして全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗。普通の生活へ引き戻してくれる健太の温もりを受け取りながらも、隼人への燃え上がるような想いを抱き続ける沙苗がたどり着いた、“愛し方”の結末とは――。
キャビンアテンダントからある出来事をきっかけに、大城病院で医療秘書としてはたらくことになった高杉和代。医師確保が急務の大城病院、和代は院長の峰山昇太郎と必死に奔走する。そんな中、和代は以前怪我の処置をしてもらった医師白鳥良太に白羽の矢を立てる。医師の鏡のような白鳥の姿に次第に惹かれていく和代。しかし、白鳥には大きな秘密があった。様々な問題を抱える日本の医療制度をテーマに、実際に医療現場で起こった事件をモチーフとし繰り広げられる人間ドラマ。
過疎化の進む地方都市。かつてその街に住んでいた花村茉莉は今は東京で働いていた。亡くなった父の遺産として実家を譲り受けるが、仕事を解雇されることになり売却を考えていた矢先、実家で父の幻影を目にする。悩む茉莉の元へ、かつて教師をしていた父の教え子・陽子が現れ、父の思い出を聴きながら、自分の生き方を見つめ直してゆく。
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。
自閉症だった幼いロブは母亡き後、叔母と暮らしていた。だが、戦争でPTSDになり帰還した元軍人の父カールと暮らすことに。父は息子の自閉症を認めたがらず、鍛えれば治ると武道を習わせようとするが、講師に戒められる。やがて自閉症児のための支援教室に通うことになったことで感情を爆発させることもなくなったロブは、武道家でダンスの得意な青年へと成長。ある日、ひったくりに遭っていた女性ガブリエラを救ったことを機に、ロブは彼女と恋仲になる。ロブはガブリエラに自閉症であることを明かすが、ガブリエラは全く気にも留めず、より深くロブを愛するように。そんなロブは父から、ガブリエラの存在を否定され、一人前の男として軍隊に入隊するよう勧められるのだが…。
テレクラでアルバイトをしながら飄々と今を生きる女、トーコ。ある時、メジャーデビュー寸前の人気バンドのギターヴォーカル、よっくんと出会う。背伸びをしない自然体なトーコの魅力にハマっていくよっくんだが、いざ大事な話をしようとすると、トーコはハミングではぐらかす。奥底に、つかみどころのないトーコが存在する。子どもの頃に傷ついた心。人を信じられない心。小さな闇を持つトーコに翻弄されるよっくんとその仲間たちを描いた、青春群像劇。
コンビニのアルバイト店員・志村イトは、失踪した幼馴染みを追って幼少期に住んでいた都営団地へと向かう。そこの老朽化したエレベーターに乗り、この世界とよく似ているが全く違う異世界=パラレルワールドへ降り立つ。そこで彼女は現実の世界から消えてしまった人々と再会するのだが――
脳腫瘍で余命半年と宣告された元殺し屋のレクイエム。だが、仲間のジョニーには真実を告げず、これまで通り借金の取り立てで日銭を稼ぐ生活を続けようとしていた。一方、ロンドン市内の瀟洒な家に妻と12歳の娘エルシーと暮らす株式ブローカーのジェームズは、ヨーロッパ最大のヘロイン商人で“公爵”と呼ばれる男から借金をしたことから窮地に陥っていた。人身売買にも手を染める公爵はエルシーに目をつけ、男女3人のチンピラにジェームズを襲わせ、エルシーを拉致しようとしていた。そこに偶然、借金の取り立てに現れたレクイエムだったが、エルシーを救わなくてはならないと使命に駆られる。公爵とは関わるなと釘を刺されるが、レクイエムはエルシーを守り抜こうと暴走していく。
23年前にロシアへ出稼ぎに行ったまま行方がわからなくなっていたザールクが、キルギスの村に帰ってきた。家族や村人たちは記憶と言葉を失った彼の姿に動揺するが、そこにザールクの妻であるウムスナイの姿はなかった。周囲の心配をよそに、ザールクは村にあふれるゴミを黙々と片付ける。そんなザールクに、村の権力者による圧力や、近代化の波にのまれていく故郷の姿が否応なく迫る。
埼玉県川越市を舞台に、一人暮らしの老職人とクラブシンガーを名乗る謎の女性との交流を映し出すヒューマンドラマ。ある日、アンティーク照明の修理店を営む藤吾のもとに、20年前に行方をくらました藤吾の息子・耕輔の子をお腹に宿しているという洋子が現れ……。
東京郊外で倉庫作業で働きながらただ漠然と日々を過ごす真司。唯一の趣味は本を読むことでよくノートに自分の気持ちを書いている。そんな真司だが過去に一度だけ原田茉耶という女性と付き合っていた。彼女とはうまくいっていたのだがある日突然別れ話を真司の方から切り出してしまう。真司は茉耶に言えない過去をもっていた。児童養護施設で育った真司はその時の経験で強烈な劣等感を感じていた。別れ話の数日後二人は台北に来ていた。事前に予約していた台北旅行。茉耶は複雑な気持ちだったが真司に半ば強引に説得され行くことにした。楽しさと悲しみが入り混じった旅行をする二人。茉耶は不意に涙し「だって私ずっと一人なんだもん」と気持ちを吐露してしまう...
日光二社一寺への参道入口にある実在の人気カフェ「本宮カフェ」を舞台に、カフェを経営する大場嘉門とその家族を中心に、町の人々や日光を訪れる人々など、人と人が織りなすヒューマンコメディ。嘉門の名前は、父の大場馨が「大バカがおる」と若い頃にからかわれたのだが町を変えるのは「大馬鹿もんだ」という深い意味に感動して息子に嘉門と名付けたのだった。そこへ現れる謎の女性――。「日の光る処の輪の中にそれはある」、嘉門はその女性が残した謎の言葉の意味を探して回る。輪王寺門跡(宝田明)はそれを見守る。
日光二社一寺(日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社)への参道入口にある「本宮カフェ」。オーナーの大場嘉門(スネオヘアー)は、娘やスタッフにカフェを任せて趣味の写真を撮りに毎日フラフラと出掛けている。そんな中、アルバイト店員の遠藤奈々(万登香)は仕事が終わると、ベランダ席でギターを弾きながら歌の練習をしている。ミュージシャンになる夢を抱く彼女は、地方から出てきたが、なぜか東京へ行かずに日光に居つき、カフェのバイトが休みの日は路上で弾き語りをしたりしている。そんな彼女をカフェの仲間や常連客たちも応援し、奈々もひたむきに音楽を続けているが……。
「お母さん絶対だよ?絶対に迎えに来てね」児童養護施設に預けられる幼い姉の松平香(西尾まう)と弟の松平勇人(勇翔BOYS AND MEN)はすぐに母親が迎えに来ると思っていたが、母が迎えに来ることはなかった。年齢で養護施設を退園した香と勇人は、二人で母親を探しながら社会の片隅で懸命に生きていた。ある日、育った養護施設の廃園が決まり、閉園式の手紙が二人の手元に届いた。閉園式でかつての仲間、佐藤良太(辻本達規BOYS AND MEN)、渡辺洋介(本田剛文BOYS AND MEN)、西川光(平松賢人BOYS AND MEN)と再会する。プロのダンサーを目指して施設の庭で夜、ダンスの練習をしていた5人だったが、生きていくためにいつの間にか夢を追いかけるのをやめていた。しかし、光だけはインディーズのダンスグループで夢を追いかけていた。ダンスグループ「SOMEDAYS」に初めてのオファーが入り、自分たちのように喜んだ香たちだったが、そのグループは仲間割れで解散してしまっていた。「だったら俺たちが一緒にやってやるよ!」良太の一言で即席の「SOMEDAYS」が(再)結成された。
事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東京で役者をしながら、理想と現実の狭間で憂鬱なときを過ごしていた。ある日、西村は大畑と偶然再会する。町にはゆっくりと陽が落ち、そこで暮らす人々はそれぞれの帰路に着く。窮屈で、美しい、その町を眺める二人は、その景色にそれぞれの記憶と想像を重ねる。
シングルマザーのアルマに育てられるクレメンとピーターは親友のように仲の良い兄弟。無口なクレメンにとって、兄のピーターは世界の半分以上を占めるほどに大きな存在だ。しかし、クレメンを包んでいた優しい日常は、兄ピーターの初めての恋人、華麗なソニアの登場によって急激な変容を遂げてゆく。彼女にベタ惚れするピーターの眼中には、もはやクレメンの姿はない。生まれて初めていだく感情の渦に叩き落とされ、追い詰められたクレメンは、やがてある計画を実行に移そうとする…
急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みる。息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げる。息子がゲイだという衝撃の事実に動揺した彼は、ガブリエルの死を知り悲しむセバスチアンを激しく罵倒してしまう。2週間後、セバスチアンに言われた言葉が気になり眠れなくなったホルヘは、息子の本当の姿を知るべく、ボリビアを離れニューヨークのセバスチアンの家を訪れる。アポイントもなしにセバスチアンの家を訪れたホルヘは、再び激しい口調で詰問するが、興奮のあまりその場で昏倒してしまう。
1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を3人で重ねていく―。
バーチャリー・ユー社のCEOニールは、将来起こり得ることを科学的に示唆することのできる最新技術のプレゼンに躍起になっている。しかし、そんな彼の懐には拳銃が…。時は1年前に遡る。彼には2人の娘がいた。長女モニカは明るく社交的だが、大学生の次女マヤは繊細で内向的。そんなマヤが自殺したのだ。悲しみに打ちひしがれながら、ニールは妻のルーパやモニカに自殺の理由を問い詰めるが、全く見当がつかないでいた。しかし家政婦のディディによって、前年のクリスマスにマヤが帰省した際、とても悲しそうにしていたことを知る。思い立ったニールはマヤの大学へ赴き、ルームメイトらに聞き込みを開始するのだが…。
あるスーパーのATMで、現金を引き下ろした起業家に渡されたハートマーク入りの1ドル紙幣。その紙幣は起業家から酒店へ。そこへカネに困った男トムが強盗に入ったものの、慣れぬ言動を店主に見透かされ、1ドル紙幣とともに退散するよう諭される。トムには余命1ヵ月を宣告された病気の妻がいた。職を失い、医療費の支払いに苦悩していた末の強盗だったが、その後、警察に捕まってしまう。トムが手にしていた1ドル紙幣は担当刑事の手に渡り、彼は家に持ち帰ってしまう。その刑事の家には、ティーンの娘の友達が数名遊びに来ていた。そのうちの1人、手癖の悪いアンジーが帰り際に、その1ドル紙幣をくすねてしまう。さらにその1ドル紙幣は様々な人のもとを通り過ぎ、思いも寄らぬ人のもとへと渡る。