この世に絶望し、信じるものを失った牧師。戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル…悲しみは永遠のように感じられるが、長くは続かない。これから愛に出会う青年。陽気な音楽にあわせて踊るティーンエイジャー…幸せはほんの一瞬でも、永遠に心に残り続ける―。人類には愛がある、希望がある。だから、悲劇に負けずに生きていける。
血統書付きの父と、ミックス犬で優雅な母との間に生まれたマロナは、同時に生まれた9匹きょうだいの末っ子で、“ナイン”と呼ばれていました。ハート型の鼻を持つ女の子です。生まれてすぐ家族から引き離された彼女は、曲芸師マノーレの手にわたり、“アナ”と名づけられました。住処も名前も決まり、アナにとって幸せな日々が訪れたかに思えましたが…。
失踪した恋人が残した多額の借金を抱えて金融業者からの取り立てに追われるテヨン、暗い過去を精算して新たな人生を歩もうとするヨンヒ、事業に失敗してアルバイトで必死に生計を立てているジュンマン、借金のために家庭が崩壊したミラン。ある日、ジュンマンが勤め先のロッカーの中に忘れ物のバッグを発見する。その中には10億ウォンもの大金が入っていた。地獄から抜け出すために藁にもすがりたい、欲望に駆られた獣たちの運命は――。
ゴレンは目が覚めると「48」階層にいた。部屋の真ん中に穴があいた階層が遥か下の方にまで伸びる塔のような建物の中、上の階層から順に食事が“プラットフォーム”と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。上からの残飯だが、ここでの食事はそこから摂るしかないのだ。同じ階層にいた、この建物のベテランの老人・トリマガシからここでのルールを聞かされる。1ヶ月後、ゴレンが目を覚ますと、そこは「171」階層で…。
完璧な夫、美しいニューヨーク郊外の邸宅、ハンターは誰もが羨む暮らしを手に入れた。ところが、夫は彼女の話を真剣に聞いてはくれず、義父母からも蔑ろにされ、孤独で息苦しい日々を過ごしていた。そんな中、ハンターの妊娠が発覚する。待望の第一子を授かり歓喜の声をあげる夫と義父母であったが、ハンターの孤独は深まっていくばかり。ある日、ふとしたことからハンターはガラス玉を呑み込みたいという衝動にかられるが…。
1994年、ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、子供達の心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ヨンジは、ウニにとって初めて自分の人生を気にかけてくれる大人だった。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く-。
1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が立 たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でかっこよく、憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。
結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」と夫のデヒョンにも自分にも言い聞かせる彼女だったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになる。その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず…少女時代から社会人になり現在に至るまでの彼女の人生を通して、見えてくるものとはー
うまくいかない曲作りから逃れるかのように団地へと引っ越したシンガーソングライターのソラ。ある夜、新居の押し入れから、前の住人が残した大量のカセットテープが見つかる。テープに吹き込まれていたのは、贋作画家として日銭を稼ぐ青年トキオの「心の声」だった。見ず知らずのトキオの思いに触れるにつれ、「記憶」と「現実」が交錯していくソラの日常。交わるはずのなかったソラとトキオのひと夏の物語が始まる。
人気小説家美倉洋介は、新宿駅の片隅でホームレスのような酔払った少女ばるぼらに出会い、つい家に連れて帰る。 大酒飲みでだらしないばるぼらだが、美倉はなぜか奇妙な魅力を感じて追い出すことができなかった。彼女を手元に置いておくと不思議と美倉の手は動きだし、新たな小説を創造する意欲がわき起こるのだ。ばるぼらはあたかも芸術家を守るミューズのようだった。 その一方、美倉はエロティックで異常な幻覚に悩まされる。次第に彼の周囲は現実離れしてゆく。ついに美倉はばるぼらとの結婚を決意するが、それは同時に破滅への入口だった。
サンフランシスコで生まれ育ったジミーは、かつて家族と暮らした記憶の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。この家に再び住みたいと願い奔走するジミーの思いを、親友モントは、いつも静かに支えていた。今や”最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、心の在り処であるこの家を取り戻すことができるのだろうか。
1980年代初頭、シチリアではマフィアの全面戦争が激化していた。パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルに逃れるが、残された家族や仲間達はコルレオーネ派の報復によって抹殺されていった。ブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたブシェッタは、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事から捜査への協力を求められ組織の罪を告白する決意をするが、それは“血の掟”に背く行為だった…。
1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の裸死体が発見された。その後も同じ手口の連続殺人事件が相次いで発生。現地には特別捜査本部が設置され、地元の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)とソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)は、この難事件に挑む。性格も捜査方法も異なる二人は対立を続け何度も失敗を重ねながら、ついに有力な容疑者を捕らえるのだが・・・。
中流家庭の住む閑静なマンション。うだつの上がらない大学の非常勤講師ユンジュは、出産間近の妻ウンシルに養われながら教授を目指している。だが最近、飼うことを禁止されているはずの犬の鳴き声がマンション内に響き渡り、なかなか出世できない彼をイラつかせていた。そしてある時、彼はたまたま犬を見つけると地下室に閉じこめてしまう。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナムは、平凡で退屈な毎日を送っていた。そんな時、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったと知り、正義感を燃やしてビラ貼りを手伝い始めるのだった…。
アメリカで暮らす大学生のダニーと恋人のクリス、その仲間たちは、交換留学生であるペレの故郷スウェーデンで夏至(ミッドサマー)に行われる祝祭に誘(いざな)われる。その村では、90年ごとに9日間の浄化の儀式が行われ、人々は着飾って様々な出し物をするのだという。人里離れたヘルシングランド地方、森の奥深く、美しい花々が咲き乱れる“ホルガ村”を訪れた5人は“白夜”のもと、優しく穏やかな村人たちから歓待を受ける。しかし、閉鎖空間の中、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
過去と現在、うつつと幻想が交差する不思議な時間旅行。旅するのは現代の映画監督と19世紀フランスの外交官である。このふたりが、ラファエロ、ダ・ ヴィンチ、レンブラント、エル・グレコなど超ー級の美術品が展示されたままのエルミタージュの中を彷徨う中で、ロシア300年の歴史が綴られてゆく。エルミタージュという壮大な迷宮の華麗な回廊や内装の数々を堪能し、世界的マエストロのワレリー・ゲルギエフ指揮による演奏をバックに繰り広げられる華麗な舞踏会に陶酔する。まさに美のジェットコースター!!言葉にあらわしようのない強い印象と感動を残し、見るたびに新しい発見を与えてくれる贅沢な映画である。
タカキとアカリは特別な想いを抱きあう仲。しかし卒業と同時に、アカリの引越しにより離れ離れに。中学生になり文通を重ねる2人。今度はタカキの鹿児島への転校が決まる。引っ越す前にアカリに会おうと大雪の中アカリの元へ向かうが...。種子島で高校生になったタカキは、同じクラスのカナエに好意を寄せられながらもずっと遠くを見つめていた。やがて東京で社会人になったタカキは、忘れかけたあの頃の記憶に想いを巡らせる。
靴職人を目指す高校生タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、日本庭園で靴のスケッチを描いていた。ある日タカオは、一人缶ビールを飲む謎めいた年上の女性ユキノと出会う。ふたりは雨の日だけの逢瀬を重ねて、次第に心を通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。
父、昇平(山﨑努)の70歳の誕生日会。久しぶりに集まった娘たちに母:曜子(松原智恵子)から告げられたのは、中学校校長も務めた厳格な父が認知症になったという事実だった。夢も恋愛もうまくいかず、思い悩んでいる次女:芙美(蒼井優)と、夫の転勤で息子とアメリカに移り住み、慣れない生活に戸惑っている長女:麻里(竹内結子)は、父が巻き起こす思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない愛情に触れ、少しずつ前に進んでいく。ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは―。
主人公は自分の幼い娘をアイスピックで刺したいという衝動に駆られる男。彼はその衝動を抑えるため、SM嬢をホテルに呼び出して殺害する計画を立てる。しかし計画は滑稽なほど思い通りにはいかない。ホテルにやってきた女は、いきなり自分自身を傷つけて倒れこんでしまう。これはリアルな悪夢なのか、シュールな現実なのか? 刃を外に向ける者と内に向ける者は、磁石のプラスとマイナスのように交わり、やがて共鳴していくのだろうか…。
何ひとつ 望み通りにならなくても、希望は生き続ける―――。88歳を迎えてなお、世界の最先端でエネルギッシュに創作活動 に取り組むジャン=リュック・ゴダールが新たに撮り下ろした子どもたちや美しい海辺などの映像に、様々な<絵画>、<映画> 、<文章>、<音楽>を巧みにコラージュし、この世界が向かおうとする未来を指し示す 5 章からなる物語。
舞台は、第二次大戦末期のスロバキア共和国。小さな村に、突如現れた異邦人。レジスタンスの英雄ジャンの同志だと名乗る男は、彼の妻や妹を誘惑し始める…。
デューク・エリントンのジャズ・ナンバーが流れるナイト・クラブ。なまめかしく踊るブロンドの美女を、黒いス―ツを身にまとった男が見つめている。男の名は、ヴァルテル。謎の地下組織で情報の運び屋をしている。
「カフェ・エデン」にたむろして退廃的な遊戯や儀式に興ずるパリの大学生の一団。彼らの前に突如姿をあらわした謎の男が差し出す麻薬らしき粉末を摂取した若い娘ヴィオレットは、死や性愛をめぐるさまざまな幻覚に襲われる……。
パリからアントワープへと麻薬を運ぶ男の波乱万丈な道中を、幾重にも織重なったメタフィクションで構築し“ヨーロピアン・アバンギャルドの最重要作品”、“最も成功した、理解しやすい実験映画”と絶賛された2作目。
イスタンブールで休暇を過ごし始めた教師の男は、陽気だがどこか謎めいた若い女と出会う。女との邂逅を重ねるうち、男は彼女の不可解さにみずからの妄執をかき立てられ……。
17歳のシャオピンはダンスの才能を認められ、軍の文工団に入団。文工団は、歌や踊りを披露し兵士たちを時に慰め時に鼓舞する役割を担う歌舞団で、美しく才能あふれる若者たちが日々歌やダンスの練習を重ね芸術を競っていた。母と再婚相手の実家に居場所がなかったシャオピンは、新しい人生が始まる希望に胸をふくらませ入団したものの、周囲となじめなかったが、そんな彼女の唯一の支えは模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュエン)だった。しかし時代が大きく変化する中、ある事件をきっかけに、リウ・フォンは文工団から戦争最前線の部隊へ送られ、二人の運命は非情な岐路を迎えるー。何十年にもわたるシャオピンとリウ・フォンの関係を軸に、文工団の若者たちの初恋と交錯する想いが、心に沁みる美しい音楽と踊りに彩られ、描かれる。
故郷を捨て裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)がその日、ボスの勧めで行った病院で見せられたのは、まるで雪が舞うように白くモヤがかかった自分の肺のレントゲン写真だった。命の終りが近いことを悟った彼は「どうせクソみたいな人生だ。死ぬならそれも仕方ない」そう自分に言い聞かせる。だが死への恐怖は彼を追い込み、苛立たせてゆく。その夜いつものようにボスに命じられるまま向かった“仕事先” で、ロイは突然何者かに襲われる。組織に切り捨てられたことを知った彼は、とっさに相手を撃ち殺し、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃亡する。彼女の名前はロッキー。家をとびだし、行くあてもなく身体を売って生活していたという。組織は確実に2人を追ってくるだろう。全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイと、他に頼る者もなく孤独な未来を恐れるロッキー。傷だらけの2人の、果てなき逃避行が幕を開ける。
YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」が一般からの参加者を募り、コンジアム精神病院への潜入を計画する。“402号室の呪い”など数多くの都市伝説を生んだこの心霊スポットの内部をくまなく探索し、その模様をライブ中継しようというのだ。「ホラータイムズ」の主宰者ハジュンを隊長とする7人の男女は、いくつものカメラやドローン、電磁検出器といった機材を現地に持ち込み、深夜0時に探索を開始。100万ページビューを目標に掲げるハジュンが仕掛けた用意周到な“演出”も功を奏し、サイトへのアクセス数は順調に伸びていく。しかし院長室、シャワー室と浴室、実験室、集団治療室を探索するうちに、ハジュンの想定を超えた原因不明の怪現象が続発。やがて悪夢の迷宮と化した病院内を泣き叫んで逃げまどうはめになった隊員たちは、世にもおぞましい“402号室の呪い”の真実に触れることに......。
27歳の「私」(橋本愛)は、何者かになりたくて東京へ出たものの、10年が経ちなんとなく地元に戻ってきた。実家に住みながらフリーライターとしてタウン誌の仕事をしている「私」は、カメラマンの須賀(村上淳)と組むことが多い。取材終わりに、高校時代に仲が良かったサツキ(柳ゆり菜)と合流し、なぜか須賀の車で当時みんなの憧れの的だった椎名(成田凌)に会いに行くことに。道中で懐かしいゲームセンターを見つけて立ち寄ると、たまたま帰省中だという同級生の新保(渡辺大知)と再会する・・・。
男は元軍人。依頼は拉致された少女の救出。だが、何かがおかしい――元軍人のジョーは行方不明者の捜索を請け負うスペシャリスト。ある時、彼の元に舞い込んできた依頼は、いつもと何かが違っていた。依頼主は州上院議員。愛用のハンマーを使い、ある組織に囚われた議員の娘・ニーナを救い出すが、彼女はあらゆる感情が欠落しているかのように無反応なままだ。そして二人はニュースで、依頼主である父親が飛び降り自殺したことを知る――。
アメリカ南部の世間から隔絶された女子寄宿学園に暮らす美しき女性7人。ある日、負傷した北部の敵兵に遭遇し屋敷へと運び手当をする。女性に対し紳士的でかつ美しい男性と触れ合う中で、誰もが彼に心を奪われていく。しかし、次第に彼女たちは惰欲と危険な嫉妬に支配されてしまう。秩序を守るか、欲望を取るか、彼女たちが最後に下した決断とは。
6歳のムーニーと母親のヘイリーは定住する家を失い、“世界最大の夢の国”フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ外側にある安モーテルで、その日暮らしの生活を送っている。シングルマザーで職なしのヘイリーは厳しい現実に苦しむも、ムーニーから見た世界はいつもキラキラと輝いていて、モーテルで暮らす子供たちと冒険に満ちた楽しい毎日を過ごしている。しかし、ある出来事がきっかけとなり、いつまでも続くと思っていたムーニーの夢のような日々に現実が影を落としていく―
警察大学で勉強し始めて2年になる熱血学生、行動派のギジュンと頭脳派のヒヨル。親友の2人は外出先で偶然、拉致現場を目撃する。学校で学んだとおり警察に通報するも複雑な手がかりと不足した証拠で捜査は一向に進まず、1分1秒と緊迫した中で時間だけが過ぎていく。ギジュンとヒヨルは自らの足で直接捜査を始めるが、予測不能な状況に出くわすこととなり…。
若草ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)が苛める山田(吉沢亮)を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ放置された<死体>を目にする。「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。さらに、宝物として死体の存在を共有しているという後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)が現れ、3人は決して恋愛には発展しない特異な友情で結ばれていく。 ゲイであることを隠し街では売春をする山田、そんな山田に過激な愛情を募らせるカンナ(森川葵)、暴力の衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐くこずえ、観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人ルミ(土居志央梨)。 閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていた。そうした彼らの愛憎や孤独に巻き込まれ、強くあろうとするハルナもまた、何物にも執着が持てない空虚さを抱えていた。そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを、山田から受ける…。
物語の舞台は、戦時中のとある国。主人公コスタは、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちにミルクを届けている。コスタは村の人々に慕われ、戦争が終わったら穏やかな将来が待っているように思われたが、ある日、村で一番の英雄・ザガの花嫁になるために現れた謎の美女と出会い、激しい恋におちる。その女性のある過去によって、村は襲われてしまい、2人の逃避行がはじまる。
1960年代初頭の台北。夜間中学に通う小四(シャオスー)は不良グループ”小公園”に属する王茂たちとつるんでいた。小四はある日、小明という少女と知り合い、淡い恋心を描く。小明は小公園のボス、ハニーの女だった。姿を消していたハニーが突然戻ってきたことでグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。
米国ロサンゼルス。ハリウッドとビバリーヒルズを結ぶサンセット大通りの一角に佇む「サンセット・ストリップ」と呼ばれるエリア。『ロック・オブ・エイジズ』の舞台となったこの地区は、今日に至るまで、音楽を中心とする様々なカルチャームーブメントを世界に発信し続けている。禁酒法が制定された20年代に開拓され、売春宿「マダムフランシス」が名を馳せたのちに40年代には世界的ナイトクラブシーンへ発展。マフィア抗争で揺れ、若者らが暴動に走り、グルーピーとドラッグに溢れ、セックスアンドロックンロールが蔓延。80年代ファッションが注目され、90年代にはヒップホップとグランジが君臨。光と影に覆われた激動の時代を経て今なお、夢と希望、栄光と挫折が共存するこの偉大なストリートのヒストリーを、この地に親しんだミュージシャンやハリウッドセレブなど、数々の著名人たちの言葉とともに振り返る。
ハナとアリスは同じバレエ教室に通う中学生。あるときハナは通学途中で出会った手塚高校の宮川先輩を好きになる。翌年、ハナとアリスは一緒に手塚高校に進学。さっそくハナは宮本先輩が所属する落語研究会に入部すると、先輩の尾行を開始した。下校途中、先輩がシャッターに頭をぶつけて気絶するアクシデントを目撃。慌てて駆け寄ったハナは、先輩の意識が朦朧としていることがわかるとなんとも大胆不敵な嘘をつく。一つの嘘が更なる嘘を呼び、少女と少年の可愛らしい三角関係が、色々な人々を巻き込んだトリッキーな三角関係へと変貌を遂げる。
田園が美しいある地方都市。14歳の蓮見雄一(市原隼人)は、かつての親友、星野(忍成修吾)にいじめられ、窒息しそうな毎日を送っている。唯一の救いはカリスマ的歌姫リリイ・シュシュの歌声だけ。自らが主宰するファンサイト「リリフィリア」の中にいるときだけが本当の自分でいられる瞬間だった・・・。雄一がリリイのファンになったのは1年前。中学生になって親しくなった優等生の星野に教えてもらったのがきっかけだった。やがて星野は豹変し、いじめのリーダー格として君臨する。雄一やクラスメイトの久野陽子(伊藤歩)を標的にし、津田詩織(蒼井優)を自殺にまで追い込んでいく。次第にエスカレートする星野の行動。そしてリリイ・シュシュのコンサート会場で、その事件は起きた。
小学生の典道(山崎裕太)と祐介(反田孝幸)たち男子5人は、花火を横から見ると丸いのか、平べったいのかという素朴な疑問を抱き、花火大会の夜、その答えを確かめるべく町のはずれにある灯台に行くことを計画する。同じ日、両親の離婚で転校することが決まっていたなずな(奥菜恵)は、プールで競う典道と祐介、どちらかの勝者と駆け落ちすることを企てる。少年と少女の、淡くも瑞々しい恋を懸けた勝負の行方が、ふたつの異なる結末へと昇華するーー。
診療時間をとっくに過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに若き女医ジェニーは応じなかった。その翌日、診療所近くで身元不明の少女の遺体が見つかる。それは昨晩、ドアベルを鳴らした少女だった。彼女は誰なのか?なぜ死んだのか?亡くなる直前の少女の足取りを探るうちにジェニーは危険に巻き込まれていく。彼女の名を知ろうと必死で少女のかけらを集めるジェニーが見つけ出す意外な死の真相とは。
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く・・・
最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程、もの忘れがひどくなった。ある日、彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。「覚えているか?ルース亡きあと誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―」2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前に大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった―
今なお音楽界に影響を色濃く残すミュージシャン、ジョニー・サンダース。91年に悲劇的な死を迎えるまでの、彼の破天荒な生涯を追った初の映像作品がこの『Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡』。本作を手掛けたのはザ・クラッシュのドキュメンタリー『ザ・ライズ &フォールズ・オブ・クラッシュ』を手掛けたスペイン人監督ダニー・ガルシア。バンドメンバーのジェリー・ノーラン、シルヴェイン・シルヴェイン、ウォルター・ルー、プロデューサーのマルコム・マクラーレンら周囲の人々のインタビューほか、これまで未発表だったニューヨーク・ドールズ、ハートブレイカーズをはじめとする彼の軌跡が映し出された貴重な映像の数々で構成された唯一無二のドキュメンタリー。
浅草レビューのスター水木蘭子の舞台を見物に行った三文小説化小林紋三はその帰り道、奇妙な光景に遭遇します。子供の身体に大人の頭、“一寸法師”が切り落とされた女の生腕を運んでいたのです。そんな時、紋三は美しい人妻百合枝から、義理の娘が姿を消したので、明智小五郎を紹介して欲しいと頼まれます。ところが、明智の話では水木蘭子もまた失踪したというのです!こつ然と姿を消す美女たち。やがて次々と起こる猟奇事件。でも、それはまだ事件の発端にすぎませんでした・・・。
売れない貸本漫画家のツベ(浅野忠信)は、なんとなく暮らし始めた国子(藤谷美紀)との生活も二年になるが、どん底の生活が続いていた。とうとう家賃が払えなくなり、二人はアパートを追い出される事になる。国子は会社のまかない婦として住み込みを始めるが、一文無しのツベは、かつて住んでいた太平荘の木本(金山一彦)のところに転がり込む。ある日、木本の留守中に国子がやってくる。隙をみて国子の鞄から金を抜こうとしたツベは避妊具を見つけ、想像を巡らせる・・・。そして、国子の浮気を想像をしながら様々な事を回想し、やるせなくなったツベは、釣りをするために、あてもなく山道を歩いていると少女・チヨジ(つぐみ)に出会う。ツベは彼女の方言に惹かれついて行くと、そこは居酒屋・もっきり屋だった。そこで、彼は幻想的な体験をする・・・。
新時代に向けて飛躍的に発展を遂げていく中国。北京オリンピック開催などで目まぐるしく経済成長するなか、多くの市井の人びとが、町を出て漂泊の道をたどり始める。時代に翻弄され、故郷を離れて暮らす息子・ダオラー。母・タオは、故郷にとどまることを選択し、ひとりダオラーを想いつづけていた。やがて時代はめぐり、2025年。ダオラーは故郷から遠く離れた異国の地で、かすかに記憶するタオの面影を探し始めていた―
十七世紀中頃、過酷な弾圧が切支丹に加えられていた日本・九州肥前の地に、闇夜の中を日本人キチジローに案内されてひそかに渡来した二人のポルトガル人司祭ガルペとロドリゴ。彼らの渡来を喜ぶ隠れ切支丹の村人たちの希望となるが、弾圧の手は彼らに容赦なく襲いかかる。己の信仰を守るのか、村人の命を守るのか。愛のために、神に誓う決断へ一歩を踏み出すー。
少女エマは、華やかな結婚生活を夢見て医師チャールズ・ボヴァリーと結婚する。しかし静かな田舎町での生活と退屈な夫の存在は、次第に彼女の心に暗い影を落としてゆく。やがてエマは美しい青年レオンに惹かれてゆくが、思いは実ることなく彼は去っていってしまう。再び孤独になったエマは、資産家のマルキと出逢う。エマを気に入ったマルキは彼女を口説き始め、彼の振る舞いに憧れを抱いたエマはついには体を許してしまい・・・
メキシコのとある村。フアンは愛らしい子供と美しい妻ナタリアとともに何不自由ない恵まれた生活を送っていた。ところが、ある夜、赤く発光する“それ”が彼の家を訪問したときから、なにげない平和な日常が歪みはじめる。ヒカリと闇が互いに戯れるがごとく交わる世界の断片は、1発の銃声によって新たな位相に導かれていく。フアンの家に現れた“それ”はいったい何だったのか?禍をもたらす「悪魔」なのか、それともどこかに彼らを導こうとする「神」だったのか…。
外交官で人類学者のポールは、長かった外国暮らしを終えて、フランスへ帰国する。ところが空港で、彼と同じパスポートを持つ“もう一人のポール”がいるという奇妙なトラブルに巻き込まれる。 偽のパスポートが忘れかけていた過去の記憶を呼び覚まし、ポールは人生を振り返りはじめる。幼い頃に亡くなった母、父との決裂、弟妹との絆。ソ連へのスリリングな旅、そしてエステルとの初恋―。
神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!エアが大パニックな世界を救う旅にでると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決していく。会社員は鳥を追い北極まで大冒険、殺し屋は不死身の美女にめぐりあい、主婦はゴリラと恋に落ち……皆、それぞれの生きがいを見つけていく。しかしエアが最後に出会ったウィリーは死期が迫っていて――。小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への[最高にハッピー]なメールとは?
東京で写真家として成功した猛は母の一周忌で久しぶりに帰郷し、実家に残り父親と暮らしている兄の稔、幼なじみの智恵子との3人で近くの渓谷に足をのばすことにする。懐かしい場所にはしゃぐ稔。稔のいない所で、猛と一緒に東京へ行くと言い出す智恵子。だが渓谷にかかった吊り橋から流れの激しい渓流へ、智恵子が落下してしまう。その時そばにいたのは、稔ひとりだった。事故だったのか、事件なのか。裁判が始められるが、次第にこれまでとは違う一面を見せるようになる兄を前にして猛の心はゆれていく。やがて猛が選択した行為は、誰もが思いもよらないことだった──。
慎ましくも平穏な日々を送っていた明智一家。幼い頃から正義感の強いしっかり者の長女、優しい母に、働き盛りの父、呆けてはいるが明るく楽しい祖父。そんなどこにでもいる平凡な家族のもとに、ある日突然、勘当され行方不明になっていた放蕩息子が10年ぶりに舞い戻ってきた。そして時を同じくして、明智家の平穏さの裏に隠されていた嘘と欺瞞が、小さな亀裂から次々と噴出しはじめ・・・。ついには、彼らを支えていた“正”と“悪”の価値観までもが、ものの見事に逆転していく。
おじさま、あたいを恋人にして頂戴。短い人生なんだから、愉しいことでいっぱいにするべきよ 自分のことを「あたい」と呼び、まあるいお尻と愛嬌のある顔が愛くるしい赤子(二階堂ふみ)は、共に暮らす老作家(大杉漣)を「おじさま」と呼んで、かなりきわどいエロティックな会話を繰り返し、夜は身体をぴったりとくっ付けて一緒に眠る。しかしなにやら様子がおかしい。赤子は普通の女とは何かが違う。普通の人間には彼女の正体がわからず、野良猫には正体がバレてしまう。そう、彼女はある時は女(ひと)、ある時は尾ひれをひらひらさせる真っ赤な金魚だったのです・・・。そんな或る時、老作家への愛を募らせこの世へと蘇った幽霊のゆり子(真木よう子)が現れる。老作家の友人・芥川龍之介(高良健吾)、金魚売りの男(永瀬正敏)が3人の行方を密かに見守る中、ある事件が起きて・・・。
新宿駅前で街頭劇を行う唐十郎。青年が紀伊國屋書店に入っていき、万引きで女店員に捕まる。青年は鳥男、女店員はウメ子。一方、酒場で性談義をする大鳥組の俳優たち。新宿の不穏な熱気は混沌と幻想を呑み込んでいく。
田満洲男は、親戚の中でも特別な存在であった輝道の死を知らせる電報を受け取り、親戚の律子を伴い、子供の頃過ごした島に帰る。その帰途、満洲男の意識は自分と律子、そして輝道を含む桜田家の一族の数奇な歴史を遡行していく。桜田家は元内務官僚で、一度は戦犯とされながらも復権した当主、一臣の独裁の下にあり、満洲男たちにとって祖父に当たる彼が、何人もの女に生ませた異母兄弟とその子供たちによって、複雑な人間関係が織り成されていた。満洲男は血縁が入り乱れた親戚たちに囲まれて、生活を始める。やがて一臣の強権的支配下にある桜田家にも時代のうねりが押し寄せる……。
夏の終わりに、横山良多は妻と息子を連れて実家を訪れた。開業医だった父とそりのあわない良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。明るい姉の一家も来て、横山家には久しぶりに笑い声が響く。得意料理をつぎつぎにこしらえる母と、相変わらず家長としての威厳にこだわる父。ありふれた家族の風景だが、今日は15年前に亡くなった横山家の長男の命日だった…。
都内の2DKのアパートで大好きな母親と幸せに暮らす4人の兄妹。しかし彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、3人の妹弟の存在は大家にも知らされていなかった。ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、兄に妹弟の世話を託して家を出る。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの『漂流生活』が始まる・・・・・・。