1942年、ジャワの日本軍俘虜収容所。まだ夜が明けきらない薄闇の中、日本軍軍曹ハラは英国軍中佐ロレンスを叩き起こす。朝鮮人軍属が白人俘虜を犯すという破廉恥な事件が起きたため、ハラが独断で処分する立会い人として、日本語を自由に操るロレンスが必要だったのだ。そこに収容所長のヨノイ大尉の気合が響く。隙を突いて朝鮮人軍属は銃剣を自らの腹に突き立てる。ジャカルタの軍事裁判で英国軍少佐セリアズが裁かれている。彼に熱い視線を送るヨノイ。茶番の処刑劇を経て、セリアズは収容所に移送される。そして、それがすべての厄災の始まりだった……。
背中に悔いを背負った男、安田松太郎。彼は傷ついた天使に出会い、旅に出る。しかし、社会はそれを誘拐と呼んだ。――主人公の安田松太郎は、高校の校長を定年退職した厳格な教育者。しかし、幸せな家庭を築けず、アルコール依存症だった妻を亡くし、一人娘から憎しみをかっている。人生に悔恨を背負ったそんな初老の男が、一人の天使に出会う。松太郎が引越したアパートの隣室に母親と二人で暮らしている5歳の少女。ボール紙で作った擦り切れた羽根をいつも背中につけた地上の天使は、母親に虐待され、誰にも心を開けなくなっていた。不幸な少女の名は、幸。松太郎はある日、幸を救い出し、一緒に旅に出る。行く先は、松太郎の遠い記憶のなかにある心のユートピア。青い空に白い雲がぽっかりと浮かび、大きな鳥が悠然と空を舞う、ある山の頂だった。しかし、幸の母親は娘が誘拐されたと、警察に届け出る。捜査の網の目は次第に彼らを追い詰めていく・・・。
情緒溢れる町並みが、どこか時代から取り残された感のある愛知県瀬戸市。人のウワサがあっという間に広がりそうな片田舎で、43歳の警察官・友川と、15歳の中学生・陽子が恋に落ちた。警官でありながら拳銃をぶっ放して遊び、淋しい主婦とヨロシクやってしまう破天荒なおっさんだったが、知的障害を持つ陽子の兄・助政や、一人暮らしの老婆トヨといった、社会から疎外された人々に優しい目を向ける。そんなおっさんの自由だが一本筋の通った生き方が、胸に小さな傷を抱えた少女の心に安らぎを与え、孤独という心の穴を埋めていく。だが、ある事件をきっかけに二人の関係が周囲に知られてしまうことに。現実を突きつきつけられたおっさんと少女の愛の形を美しい映像でアヴァンギャルドに綴った奥田流抒情詩。
「セーラー服と機関銃」「ションベンライダー」の異才・相米慎二監督の代表作。台風の接近に伴って、少年少女たちのやり場のない感情が高ぶってゆく様を、瑞々しく描き出す。東京近郊のある中学校、夜のプールではしゃぐ5人の女子中学生は、友達をからかい半分で溺死寸前まで追い込んでしまう。一見平凡に見える中学生たちが抱える行き場の無い不安定さは、台風で学校に閉じ込められたことによって、狂気へと走り出す。
無口で孤独な殺し屋・レオンの元に、家族を惨殺された少女マチルダが助けを求めてやってくる。奇妙な共同生活の中で、二人は徐々に心を通わせていくが・・・
「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う。それが私たち家族の決まり」高度経済成長期に造られたニュータウンも今や「ダンチ」と呼ばれる集合住宅にすぎなくなっていた。京橋家の人々は“家族間では秘密をつくらない”という自分たちでつくったルールを守ることもできず、それぞれ誰にも言えない秘密を持っていた――。娘のマナは、学校をサボタージュし「ディズカバリーセンター」を呼ばれる巨大ショッピングセンターで時間を過ごし、時には見知らぬ男性とラブホテルに向かう。弟のコウもまた、学校に行っていないようだし、父・貴史は浮気に忙しく、長年の恋人・飯塚にストーカーまがいに付きまとわれたり、新しい恋人ミーナの若さに振り回されている。妻・絵里子もベランダのガーデニングに丹精を込めつつも、内心、母・さと子とのこれまでの関係に悩み、また、自分がかつてひきこもりの少女であった事実をトラウマとして抱え、生きている。ルールを言い出した彼女ですら、「わたしには、家族にたったひとつだけ秘密がある」――。ふとしたきっかけから、ミーナがコウの家庭教師として京橋家に乗り込んできた!“存在するはずのないお互いの秘密が暴露されはじめて・・・・・・・。
自称米軍パイロット、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の双子の妹。ジェット機を操り世界各地を転戦。こんな嘘八百の経歴と巧みな変装で女たちから推定1億円を騙し取った男がいた。稀代の結婚詐欺師・クヒオ大佐と彼を取り巻く3人の女たちの人間模様、そしてあり得ない恋の結末。騙すことが愛なのか?騙されることが愛なのか?
吉原遊郭「玉菊屋」に売られて来た8歳の少女、きよ葉。女だけの世界で自分も遊女になっていくのが怖いと逃亡を試みるが即座に捕まってしまう。店番の清次は咲かないと言われた吉原の桜が「もし咲いたら」ここを出してやるという。トップ花魁・粧ひの挑発に乗せられ吉原一の花魁になる決意を固めたきよ葉は花魁街道まっしぐらに人気遊女への道を駆け上がっていく。ところがある日、きよ葉は客の惣次郎と激しい恋に落ちる。偽りの愛を売る世界に身をおきながら、唯一、真実の愛を感じられる瞬間に酔いしれるきよ葉。しかし、きよ葉をねたむ花魁・高尾の策略によって惣次郎との仲を引き裂かれてしまう。18歳になったきよ葉は、凄まじい人気を呼んで、誰もが憧れる花魁の座を勝ち得る。やがて身請けを申し出た大名・倉之助の登場で、吉原を出ることに。その当日、咲かないと言われた“吉原の桜”に奇跡が!それを目にしたきよ葉と清次は・・・。
真面目でしっかり者のエマと、自由奔放で恋多き男デクスター。はじめて会話を交わした時から魅かれあうものを感じながら、恋人ではなく友達の関係を選んだ2人。エマは心の奥にデクスターへの想いを秘めて、親友として毎年“7月15日”を過ごしていく。それぞれの人生を歩み、すれ違いを繰り返しながらもデクスターを想い続けるエマ。そんなある年の“7月15日”、エマはデクスターから違う相手との結婚を告げられる。そしてさらに積み重なる“7月15日”。運命の日が2人に近づいていた・・・。
芸能界の頂点に君臨するトップスターりりこ。しかし、りりこには誰にも言えない秘密があった。彼女は全身整形。「目ん玉と爪と髪と耳とアソコ」以外は全部つくりもの。整形手術の後遺症がりりこの身体を蝕み始め、美容クリニックの隠された犯罪を追う者たちの影がちらつく。さらには、結婚を狙っていた御曹司が別の女と婚約。生まれついての美しさでりりこの座を脅かす後輩モデルの登場。究極の美の崩壊と、頂点から転落する恐怖に追い詰められ、現実と悪夢の狭間をさまようりりこ。疾走の果てに、世の中を騒然とさせる事件へと繋がっていく・・・。
可憐な独り暮らしを営む老女アン。ショッピングモールで泣いていた少女アリスに声をかけたことがきっかけで、アリスは度々アンのアパートを訪れるようになる。実はアリスは婦人の厚意を利用していたのだが、10代少女特有の魅力にひかれたアンは彼女に母のような愛情を持ち、彼女の自慢でもある美しい蝶の標本が並ぶ「蝶の部屋」を見せるのだった。だが、アリスが別の婦人とも同様の関係を築いていることを知ってショックを受けた時、アンの心に長年封じてきたある感情が再び芽生え始める。そしてアリスの身に不幸が襲いかかる。
1951年ベトナム、サイゴン。浪費家の家長の家に雇われ、田舎から奉公にやってきたムイは10歳の少女。家には働き者で優しい母と3人の甘やかされた息子たち、孫娘を亡くしてから引きこもっている祖母がいた。ムイは、年老いた先輩奉公人のそばで働きながら、料理と掃除を習い一家の雑事を懸命にこなしていく。ある晩、家長が一家の蓄えを持って消えてしまい、家族は苦境に陥る。そしてムイは、長男が連れてきた友人クェンに出会い、淡い恋心を抱くようになる・・・。10年後、美しく成長したムイは、音楽家になったクェンの家に奉公に出る。恋人がいながら、クェンはムイの献身的愛情と花に対する嗜好に気付きはじめて・・・。
レイは今夜もまた颯爽と渋谷のネオン街に消えていく。SMクラブへ御出勤だ。レイのお客はオジサンが多い。みんな、レイにぶたれ、いじめ倒されるのを夢見て此処にやってくる。ボンテージ姿の女王様レイはオジサンたちにとって天使だ。彼女は昼間は小さな劇団の役者の顔を持つ。夜の女王様を演じることは、昼の役者の勉強にも役立つのだ。ホテトル嬢として働くアユミは、年齢よりも若く見えることを売り物に、客からお金を取り、心の中で舌を出す。結婚資金の為に、せっせと貯金をしている。目下、医者のタマゴと同棲中だ。浪人中の彼と今日も日がなセックスしながらパズルをする。このふたりが出会い、意気投合し、無軌道にもみえる生活が描かれる間合いに、“なんとなくだけども面白い”ふたりの青春が浮かびあがる・・・。
世紀末に咲いた、病的純愛物語。少女は、誘拐犯の愛情を受け入れた・・・。 ・・・気がついた時、クニコ(小島聖)は見知らぬアパートの一室にいた。毛布の下は、全裸。手には手錠が掛けられ、足首は紐で縛られている。次第に記憶が蘇ってくるクニコの前には、中年男がいた。そう、放課後のランニング中、この男から襲われたのだ。「助けてっ!」叫ぼうとするクニコの口を、その男、岩園貞義(竹中直人)がふさぐ。かつて強引な結婚に失敗して心に傷を負った岩園は、「完全な愛」を求めてクニコを誘拐。監禁して、彼女の「飼育」を開始しようとしていた。
これが最後の手品!!時代遅れのマジックを披露する老手品師タチシェフは、かつての人気をすっかり失い、場末のバーでドサまわりの日々。ある日、スコットランドの離島に流れ着いた彼は、やっと電気が開通したばかりの片田舎のバーで、貧しい少女アリスと出会う。
『Helpless』『EUREKA ユリイカ』で国内外での評価を不動のものにした青山真治。その二作に続く“北九州サーガ”の集大成的作品が『サッド ヴァケイション』である。小説家としても活躍する青山自身の同名小説をベースに、全編北九州ロケを敢行した意欲作。2007年制作。
『マルティナは海』のビガス・ルナ監督が、女を手玉に取りのし上がろうとする男の成功と破滅をシリアスかつコミカルに描いた情熱のドラマ。スペインを代表する演技派俳優、ハビエル・バルデムと映画デビュー作となるベネチオ・デル・トロが共演。不動産業で成功し、ビルのオーナーになることが目標のベニト。彼は愛人を使って仕事を有利にしたり、銀行家の娘と結婚して融資を得ようとしていた。女を踏み台にして仕事を続けていた彼は、念願のビルの建設がかなった。しかし、そんな彼を悲劇が襲う…。
『おっぱいとお月さま』などで知られるスペインの巨匠、ビガス・ルナ監督がスペインの片田舎を舞台に描く6人の男女の愛憎渦巻く官能ドラマ。ハリウッド進出前のペネロペ・クルスが主演し、アンナ・ガリエナ、ハビエル・バルデムら豪華キャストが共演。