営業部のエース・梶は、誰からも好かれる完璧な男。しかしそれは“外面”にすぎず、理想の相手を追い求める拗らせた恋愛観の持ち主だった。ある日、0点と評した無愛想な技術部員・深見とクレーム対応で出張へ。同部屋で眼鏡を外した深見の思いがけない色気に心を乱され、流れのまま一夜を共にしてしまう。だが翌朝、セフレ関係を提案した梶はあっさり拒否され、人生初の“やり捨てられ”に動揺する――。
一夜の出来事をなかったことのように振る舞う深見に苛立つ梶。再び関係を持とうと挑発した結果、「好きになるな」という条件付きでセフレ関係を続けることに。余裕を装う梶だったが、「心がないのは嫌だ」という深見の言葉が胸に引っかかる。そんな中、深見が女性とブライダルショップから出てくる姿を目撃し、梶の心は大きく揺らぎ始める。
深見が既婚者ではないかと尾行した梶は、相手が妹だと知り安堵する。流れで自宅に招かれ、家族思いな一面や素の笑顔に触れたことで、これまで感じたことのない感情が芽生え始める。名前を呼ばれただけで動揺する自分に戸惑いながらも、関係はあくまで“好きになるな”の契約のまま。余裕のはずだった梶は、気づけば深見に振り回されていた。
イメチェンした深見が社内で注目を浴び、梶は理由のわからない苛立ちを覚える。自分だけが知っているはずの姿を他人に見られることが面白くない。ホテルで主導権を握ろうとするも余裕は空回りし、深見が特別な存在になっていることを自覚してしまう。優しく気遣われた瞬間、強がりが崩れた梶は「しばらく会うのをやめよう」と距離を置く。初めて、感情をコントロールできなくなっていた。
高熱で倒れた梶は、気づけば深見のことばかり思い出していた。気持ちを誤魔化そうと他の男を呼ぶが、かえって自分の想いを自覚してしまう。そこへ見舞いに訪れた深見の前で、過去に相手を“採点”していた記録が明らかに。必死に想いを伝えようとする梶だったが、深見は涙を浮かべ「初めから寝なければよかった」と告げ、去っていく――。
恋を自覚した途端に深見を失い、落ち込む梶。連絡も取れない日々の中、深見が事故に遭ったと聞き病院へ駆けつける。「大事な人だ」と思わず口にした梶だったが、深見は恋愛感情がわからないと打ち明ける。それでも離れたくない梶は、恋人ではなく“友達”からやり直そうと提案する。名前のつかない関係のまま、二人は再び向き合い始める。
初めての“友達デート”として水族館へ誘う梶。しかし張り切るほど空回りし、距離は思うように縮まらない。手を取ろうとして戸惑われ、自分だけが先に好きになっている現実を突きつけられる。帰り道、深見の元恋人と偶然再会し、梶の胸に初めて強い嫉妬が芽生える。少しずつ前に進み始めた矢先、梶に北海道転勤の話が持ち上がる。
北海道への転勤話を打ち明けられないまま悩む梶。距離ができれば関係が終わる気がして、本音を言い出せない。だが噂を他人から聞いた深見は激しく動揺し、「本当はどうしたいのか」と迫る。遠距離に自信がないと弱さをさらけ出した梶の言葉は、深見を傷つけてしまう。「もう終わりにしよう」――そう告げられ、二人の関係は途切れてしまう。
別れたまま迎える転勤の日が近づく中、梶は深見が選んだ餞別のマフラーを手にし、断ち切れない想いを痛感する。駅裏で待つ梶の前に、息を切らして現れる深見。抑えきれない感情のまま互いを求め合う二人。失いたくないと願う梶は「そばにいさせてほしい」と本音を口にする。しかし深見は涙を浮かべ、想いをぶつけるようにキスをする――。
「友達はやめておこう」――深見は涙ながらに想いを告げる。互いの孤独や弱さを受け入れた二人は、初めて本当の意味で心を重ねる。遠距離を覚悟しながらも離れがたい想いを確かめ合う梶と深見。そして旅立ちの日、別れを惜しむ梶に、深見は思いがけない未来を提案する――。
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