細雨閣の刺客・云殇は平西王・蒋忠を狙うが失敗し、傷を負って妓楼「盈袖楼」へ逃げ込み、皇帝の外戚・吴鸾の部屋に身を潜める。妓楼へ踏み込んだ順天府の長官は、相手が重臣と知るやひれ伏す。しかし彼女の正体は花魁に扮した一流の刺客だった。妹・云萝を救うため、命を蝕む毒「厄念」に刻限を迫られながらも、任務に挑んでいた……。
傷を負った云殇は、機転を利かせて皇帝の外戚・吴鸾に身請けを迫り、ついに救い出されてその屋敷に迎え入れられる。離れに住まうこととなったが、正体を隠す日々は綱渡りだった。吴鸾は周囲に「山西から連れてきた娘」と偽ってかばってくれるが、妹・云萝の話題を避ける彼女の心には焦りが募る。やがて云殇は、細雨閣の仲間・阿九との密かな接触に成功する――。
任務の刻限まで残り二十日。云殇は夜半に再び刺殺の機会を探すが、城内の警備が厳しく断念する。帰り道で仲間の阿九と接触するが、虫捕りに夢中の吴鸾に見つかりかけ、とっさに夢遊病を装って切り抜ける。逃げた虫の責任を負わされ一緒に探すうち、ふと子供時代の話題に。云殇は妹と森で遊んだ思い出や好きだった菓子を語り、やがて吴鸾はその菓子を手作りする。予想外の優しさに、云殇の心は揺れ始める――。
吴鸾が宮中に参内した隙に、云殇は再び平西王の命を狙うが、厳重な警備に阻まれて手立てを失う。最後の好機と見た彼女は、花火を口実に吴鸾を誘い出し、夫婦を装って店へ向かうことに。道中、賊に襲われた云殇は正体を隠すため無力なふりをするが、迫る刃を吴鸾が身を挺して受けた。誰かに庇われたことのない云殇は深く動揺し、彼への認識が変わっていく。冷え切った心に、初めて温もりが差し込んでいた――。
賊に囚われた云殇と吴鸾。傷を負った彼を救おうと身を挺した云殇の覚悟に、吴鸾は驚きを隠せない。実は吴鸾は最初から、彼女が刺客だと知っていたのだ。やがて援軍が駆けつけ、云殇は縛られているふりをしてその場を切り抜ける。解放された後、吴鸾は彼女を労わり、願いを問う。云殇が「自分のための花火を見たい」と告げると、彼はそれを約束する。そして赤い紐が腕に結ばれた瞬間、孤独だった心に温もりが宿る――。
平西王の盛大な誕生祝いに朝廷の要人が顔を揃える。云殇は吴鸾とともに出席するが、婦人席で宰相の娘・顾蔚如から「帝からの縁談を避けたい」と打ち明けられる。夜空に咲く花火に見とれた云殇は、夢のようなひと時に吴鸾の手を握るが、彼は人前でそっと離してしまう。その直後、火の粉から大火が広がり宴は混乱に。騒ぎの中で平西王が斃れ、云殇は宿命の毒“厄念”から解き放たれる。安堵の後、煙にまみれた吴鸾と再会し、二人は視線を交わす――。
任務を終えた云殇は、別れを前に吴鸾とのひと夜を選び、抱き合って迎えた朝に「これで十分」と心を満たされる。しかしその裏で、吴鸾はすでに李彧と結託していた。彼は表向き怠け者を装いながら、地方官暗殺の真相を探る密命を帯び、細雨閣の動向を注視していたのだ。云殇が酒に薬を仕込んだ夜から正体を疑い、身請けの芝居や阿九との密会もすべて把握していた吴鸾。彼女の言葉を手掛かりに細雨閣の拠点を割り出し、平西王の排除を李彧に進言。実は暗殺の背後で彼が糸を引いていたのだ――。
吴鸾は李彧に対し、平西王を狙った刺客はすでに処分したと偽り、云殇の存在を隠す。なぜ庇うのか自分でも分からぬまま、彼女の優しさに触れるほど心は揺らいでいた。調べを進める中で、云殇が「厄念」という毒に縛られていることを知り、同情の念が芽生える。だが李彧は真相を探るよう命じ、吴鸾は花火屋から巨大利権の汚職に行き当たる。一方、云殇は阿九に妹を自らの手で守りたいと訴えるが、記憶の中の純真な少女・云萝はすでに冷酷な殺手へと育てられようとしていた――。
吴鸾と云殇はひと夜を共にしてから、まるで恋人のように過ごすようになる。京城に長くいたはずの云殇にとって、彼と巡る街は初めての楽しみに満ち、二人の情は深まっていった。平西王をめぐる裁きは一見円満に終わり、将軍・孙淼が黒幕とされて流罪に処される。だが李彧も吴鸾も真相を疑っていた。そんな中、皇帝から勅命が下り、吴鸾は宰相の娘・顾蔚如との縁談を賜る。覚悟していた云殇は胸を痛め、吴鸾は激しく抵抗する。やがて流罪の途上、孙淼は細雨閣の手で口を封じられる――。
宮中へ向かう途中、吴鸾は宰相・顧平章の娘、蔚如に呼び止められる。彼女は彼を放蕩息子と見抜いた上で「自ら婚約を破棄せよ」と迫るが、吴鸾自身も望んでいたことだった。しかし皇帝は会おうとせず、話は進まない。危険がないと知った云殇は、蔚如の自由さに触れ、自分には得られぬものだと痛感し、胸を乱して姿を消す。行方を追う吴鸾は、顧平章と将軍・孙淼の不穏な繋がりを掴むものの、縁談は先延ばしに。さらにその矢先、刺客の刃が彼を襲う――。
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