高飛込のチェコ選手権で優勝し、オリンピックの代表に選出されたアンドレア・アブソロノバ。しかし、練習中に脊椎を損傷し、スポーツ選手としてのキャリアを強制的に終了させられてしまう。失意のどん底にいたアンドレアだったが、恋人の影響でポルノ業界に入り込む。アンドレアは持ち前の美貌と完璧なボディでリア・デ・メイとして一躍有名なポルノ女優になるが・・・
ウェブカムセックスで小遣いを稼ぐジャナ(17)ドラッグ中毒に気づいていないエミー(18)ドラッグを売りながら愛を探すジョイ(17)ロサンゼルスに住むことを夢見ているアビー(16)大胆で刺激的な生き方をするベルリンに住む4人の少女たちのリアルなポートレイト。
雨宮省吾は自身の想像の産物であるイマジナリー娘・佐知と、かれこれ十余年いつも一緒である。ある日、省吾は〆切を守らない東雲茉莉の元に原稿を取りに行く。そこで何やら訳あり気な女・笠原まひると出会う。まだまだ暑い夏の日のちょっとした出来事。
この手に自由を、消せない愛を――。戦後ドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条のもと、ハンスは繰り返し投獄される。同房のヴィクトールは彼を嫌悪していたが、いつしか互いを想い尊重する絆が生まれる。「愛する自由」を求め続けた男の20年を描く、静かな衝撃作。第74回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞受賞。
ある生徒と教師の関係を巡る噂が広まった。渦中の教師は。その街で不可解な失踪をした少女の第一容疑者として疑われることに。
犯罪が横行する街で市長として選出された1人の男性。彼と彼の家族が報復のターゲットとなる。
留置場でバンドのライブを行い、警察官らしくない言動の多い徹(筒井道隆)が刑事に昇進。ある日、連続窃盗事件の被害者・恵美子(清水美那)に事情を聞くが必死に何かを隠そうとする彼女に興味を抱き、徹はストーカーまがいの行動をとり始める。そんなころ、同じ独身寮で生活する中野(忍成修吾)が殺害現場に遭遇する。芥川賞作家・高橋三千綱の短編小説「ハロー・マイ・ラブ」を映画化した青春ドラマ。人との関りを欲しながらもうまく関ることができない現代の人間像を、『蕨野行(わらびのこう)』の脚本を手がけた渡辺寿監督がみずみずしいタッチで描き出す。筒井道隆が主役を務め、デビュー作『バタアシ金魚』のカオルの十数年後ともいえる浮遊感のあるキャラクターを演じきった。さらに遠藤憲一、本田博太郎、不破万作ら日本映画きっての個性派が脇を固めている。
写真が好きだがしっくりしたものが撮れない高校3年生の景はある日、遠い存在と思っていた同級生の遊から映画づくりに誘われる。遊が撮りたい映画は「絵描きの男の子と落ち着きのない女の子が『時間の流れない世界』を目指して旅をする」という物語。友人のアリサ、海、二郎も集い、撮影が始まる。共に創作をする喜び、ほのかな恋心、過去の行き違い...さまざまな思いを抱える彼らの関係が、映画づくりとともに移り変わっていく―繰り返す彼らの夏が辿り着くラストシーンとは?
浮気調査専門の探偵、町木は、調査の最中、たまたま内偵を進めていた麻薬取締官たちの容疑者逮捕に邪魔され、その証拠をなき物にされてしまう。町木は、その捜査を指揮していたマトリの女、未菜に逆恨みし、彼女のスキャンダルを突き止める。だが、その証拠写真は世に出ることなく、握り潰された。一方、未菜は、その写真をきっかけに捜査から外された。未菜は、写真を撮ったのが、町木ではないかと考え、町木を尾行しはじめる。町木は、知人のマスターの紹介で、新たな仕事で人捜しを進めていた。ディトレードで財をなした岡が、昔付き合っていた恋人の蘭(元アイドル)を捜していた。町木は見事に居場所を突き止めるが、蘭はクスリを打たれて殺され、町木はその死体の横で裸の姿で目覚めた。驚く町木。その時、未菜と部下の杉山がその場所に突入してきた。殺人の疑いをかけられる町木だったが、その直後、予想もつかない展開になっていく。
5年前、ダム湖の近くにある温泉宿「雲海閣」に雅之とユカリ(美谷朱里)は宿泊し、渓流のイワナ料理、そして温泉を満喫した。雅之は魚の味が忘れられなかったと再び宿を訪れる。宿の鄙びた浴場へ向かう雅之。一人で湯舟に浸かっていると、女将のタマミ(吉根ゆりあ)が全裸で現れ胸を押し付けてきた。色欲に負ける雅之だったが、気付くと宿に女将の姿はなく…。
1986年の春、チェルノブイリ原子力発電所が爆発し、ミミという少女がフィンランド西部の小さな村にやってくる。周囲に馴染めないミミはマリーアに友達のフリをして欲しいとお願いする。たちまち二人は強く惹かれ合い、まばゆい青春を謳歌する。20年後、病気の母を看病するために故郷に戻ったマリーアは、あの夏の思い出を蘇らせていく―
監督アルノー・デプレシャンと俳優マチュー・アマルリックのナレーションで物語は始まる。本作は11章立ての構成。リュミエールによる映画の発明に始まり、現在に至るまで、映画界の先駆者たちに触れながら100年を超える映画史が語られていく。そして、映画少年ポール・デダリュスの登場。ポール・デダリュスはデプレシャンの『そして僕は恋をする』(96)と『あの頃エッフェル塔の下で』(15)でマチュー・アマルリックが演じた主人公ポールと同じだ。デプレシャン監督が生涯をかけて歩んできた映画人生をポールの成長に投影して、幾多の名画とともに辿っていく。
大学生のベンジー、営業マンのノエルとその恋人ケイラは、一つ屋根の下で、下宿生活を送っていた。ベンジーの密かな楽しみは、床に空けた穴からケイラの入浴を覗き見ることだった。そんなある日、新しい下宿人マイエットが現れると、平穏だった3人の関係は壊れ始める。お互いに一目で性的に惹かれ合ったノエルとマイエットは、ケイラに隠れて肉体関係を持つようになる。ケイラとのセックスに満足できないノエルにとって、マイエットは最高のセックスフレンドだった。一方マイエットは、身体だけを求めるノエルに苛立ちを募らせていた。そんな中、ケイラが二人の関係を知ってしまう。傷ついたケイラは、ベンジーに慰めを求めるのだが―。
現代の東京。東京タワー近辺では、夢見がちなオタク青年・ケンが、バーチャル空間の東京タワーで、とある女性と運命的な出会いを果たす。しかしその出会いは、現実の幼馴染との関係を劇的に変えていくことになる。新宿では、映画監督を志す学生・カレンが映画制作のために高額なビデオカメラを父に無心するが、父があるカメラを手に入れたことで、親子の関係に大きな変化が訪れる。そして、お台場では、帰国したばかりのダンサー・リヒトが、余命3ヶ月と診断された親友を救うため、幼馴染である5人の仲間と協力し、高額な手術費を工面しようと奔走する。果たして、リヒトをはじめ、東京のさまざまな街で生きる主人公たちは、迫りくる試練に抗い、それぞれの「愛」を最後まで貫くことができるのか――。
独身で中年のさえない作家のカイル。突然のキャリア喪失、アパートからの締め出し、友人との絶縁と不運が続き、母の死から疎遠中の実家に舞い戻ることに。しかしここには個性豊かな家族が住んでいた!父アランは頑なに家から一歩も外に出ない主義者。父の恋人グロリアは、下ネタ満載の豪快おばちゃん。兄マーシャルの浮気疑惑で嫁は発狂寸前。夫婦仲がギクシャク中の両親を冷静に観察する姪っ子メル。そんな家族の隣人で、独特の雰囲気を醸し出し出すジョイに次第と心を奪われるカイルだったが、ジョイには死期が迫っていることが判明し、ジョイ本人からシャレをきかせた訃報記事の執筆を依頼されるのだが…。
ぐっすりと眠る恋人コーディに寄り添ったアートは、彼女が意識を失っていることに気づく。病院に運び込まれたコーディは過剰な薬物の服用により昏睡状態だった。恋人コーディを救うためアートは顔なじみのハーベイに会い、彼が以前見つけた「タイムマシン」に乗り込む。半信半疑のアートだったが、試しに「コーディが病気になる前へ」と唱えてみる。すると次の瞬間、彼はある学校の体育館にいた。そしてそこにはなんと元気なコーディの姿があった。タイムトリップに成功した彼は現在のコーディを救うべく、過去のコーディとの接触を試みるが・・・。
大学恒例のゼミコンのテーマ発表の日。聖学長が今年のテーマに選んだ「愛」が、教授陣や学生たちを困惑させる。愛なんて抽象的すぎると具体的なところから進めようとする成績優秀な海田ゼミ。何だかよく分からないけどちょっと面白いかもと、珍しく興味を見せる落ちこぼれの遠山ゼミ。それぞれの思いや事情を抱えながらも、学生たちは自分なりのアプローチで愛について模索していく。そんな中で仲間の一人に起こった事が、学生たちに思いがけない変化をもたらし....
すべてにおいて屈折し、狭量で、尊大な美術教師が取るに足らぬと思っていた土地に、何を見つけ出すのか――トルコ東部、雪深いインジェス村の学校で美術を教えるサメット。教師というだけで、村人たちから尊敬され、お気に入りの女生徒セヴィムにも慕われている。しかし、ある日、、同居している同僚のケナンと共に、セヴィムらに“不適切な接触”を告発される。同じ頃、美しい義足の英語教師ヌライと知り合う。夏、念願叶って転任が決まり、この田舎村から去ろうとするとき、雪で覆われ続け、春の陽を浴びることなく突然に強い陽を浴び、黄色く枯れた草を踏みしめるサメットは、その枯草になにを見つけ出すのだろうか......。プライド高く、ひとりよがりで、屁理屈を並べ、すぐにキレて、周囲を見下す、“まったく愛せない”のに“他人事と思えない”主人公サメット。人と自分を比べ、他者をやりこめようとするサメットの姿は、現代社会のどこにでも見つけることができる。主人公サメットとディズダル演じるヌライが繰り広げる人生論のやり取りは、12分を超える圧巻のシーン。「世界のために何ができる?」の問いに、「正義は絵空事」とうそぶくサメット。しかし、そのあとの展開に誰もが驚くだろう。予測不可能さ、アンビバレントさ......人の心の不可思議がそのまま提示されるとき、映画と現実の境界は失われ、新たな映画体験を味わうのだ。
麻薬と殺人が日常と化した国境近くの小学校。子供たちは常に犯罪と隣り合わせの環境で育ち、教育設備は不足し、意欲のない教員ばかりで、学力は国内最底辺。しかし、新任教師のフアレスが赴任し、そのユニークで型破りな授業で、子供たちは探求する喜びを知り、クラス全体の成績は飛躍的に上昇。そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食い込んだ!
鈴木大洋は、フグとタコで有名な愛知県の離島・日間賀島に住む高校三年生。幼少期から「4代目」と呼ばれて育ち、中学生まではそのことに何の疑問も持たなかったが、島外の高校で友人と交わるうち、島独自の文化や風習、「4代目」が決定づけられていることに疑問を抱くようになる。いつものように旅館の手伝いをする大洋は、名古屋から来た女子大生、松田凛空・佐野晴香との出会いを通じ、「自分の将来はこれでいいのか?」という気持ちに駆られるようになり・・・。
18世紀デンマーク。貧窮にあえぐ退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号をかけて荒野の開拓に名乗りをあげる。それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルは自らの権力が揺らぐことを恐れ、あらゆる手段でケーレンを追い払おうとする。ケーレンは自然の脅威とデ・シンケルの非道な仕打ちに抗いながら、デ・シンケルのもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや、家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスと出会い、家族のように心を通わせていく。
先祖代々の広大な土地を持つオズワルドは妻のマリアと幸せな生活を送っていた。ところが裏では、妻は夫を顧みず、淫蕩の限りを尽くしていた。しかも元恋人アレッシオと再会したことで、彼女は以前にも増して愛欲の世界に溺れていく。それでもオズワルドは妻を許していたが、美しい女性クラウディアと出会ったことで一変。夫との関係に悩む彼女とオズワルドは次第に惹かれ合うことに…。ところがすべては巧妙に仕組まれた罠だった。
大学を卒業したマリオは担当教授のマッシモと、叔父のオズワルドが住む屋敷に招かれた。妻のマリアを亡くし、跡取りがいないオズワルドはマリオを後継者として考えていたのだ。広大な屋敷には叔父とメイドのテレザ、マリアに良く似た妹のカルロッタが住んでいる。ある夜、物音がした亡き叔母の部屋を覗いたマリオ。そこでは美しい女性がエロティックな儀式に興じていた。当惑するマリオだが、次第に淫らな世界に引き込まれていく。
ホアンの夢は闘牛士になること。ある日、闘牛の訓練を積んでいると、ドンナ(シャロン・ストーン)という名家の令嬢と出会う。ドンナはホアンを自室に招き入れて挑発するが、彼女にとってはただのゲームにすぎず、ホアンの自尊心をいたぶった挙句に冷たく放り出してしまう。時は経ち、今や花形マタドールとなったホアン。名誉と栄光を手に入れたが、ドンナのことは忘れられない。そんな時、再び彼女からの誘惑がやってきた…。
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、毎日片道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。仕事には関心がなく、上層部の顔色を伺う上司に辟易する日々。大学時代から長く付き合っている恋人のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に行きたいと口にするケナに「自分が就職したら支える」と告げるが、ピントのずれた話をしがちなジミョンにケナは苛立つ。ケナは、ジミョンの家族との関係にも居心地の悪さを感じていた。だが、ケナの母は裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望み、折に触れて急かす。そればかりか、新しい部屋を購入するための費用もケナに出すように迫る。ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていた。地獄のような通勤、興味のない仕事、恋人との不透明な未来、古い価値観を押しつけてくる家族との息の詰まる日々ーー。「自分には落ち度がないのに、ここでは幸せになれない」。ケナは、韓国を抜け出すことを決意する。
人生で一度も働いたことのない専業主婦・未知子が、スーパーで働き始め、トルコ旅行を目指して成長していく。同じ砺波市で生きる、元役者の花屋店長・千花、旅するインフルエンサー・ゆう。異なる生き方をする3人の女性が出会い、悩み、影響し合いながら自分らしく生きていく物語。
ソウル西北に位置し、北朝鮮とも対峙する街パジュ。数年間インドで放浪生活を送っていたウンモは故郷のパジュに帰ってくるが、そこでは事故死した姉ウンスの夫、ジュンシクが以前と変わらぬ生活を送っていた。かつて学生運動の活動家だったジュンシクに対し、姉の生前から複雑な感情を抱いていたウンモは、次第にジュンシクを異性として意識し始める。一方で、姉の死に疑問を抱いたウンモはジュンシクを責めるが……。
「母ちゃんが歌える歌、いっぱい作ってくれ」信州に生まれ育った中山晋平(中村橋之助)は、少年時代に見た旅楽団のジンタに魅せられ、音楽の道に進むことを夢見る。18歳の時に、早稲田大学教授・島村抱月(緒形直人)の書生になる機会を得て、上京。書生の仕事をしながら苦学を重ね、3年後、難関「東京音楽学校」に入学する。借金を重ねながらも卒業した晋平は、抱月の劇団「芸術座」の劇中歌『カチューシャの唄』を作曲することに。看板女優・松井須磨子(吉本実憂)が歌った曲は演劇と共に大ヒットし、女手ひとつで育ててくれた母ぞう(土屋貴子)を安心させることができた。しかし、母が突然、病で倒れてしまう。故郷へ急ぐが、死に目に会えなかった。悲しみに暮れる中、母への思いを込め、二曲目の劇中歌『ゴンドラの唄』を生み出す……。
「夢も、自分のことも、見失いかけていた28歳の千奈津。そんな彼女の前に現れたのは、「千奈津の夢を叶えてくれる」という不思議な少年だった。なぞなぞを通じて、忘れていた大切な気持ちや、ありふれた日常の愛おしさに触れていく――。そっと心に寄り添う、優しさに満ちたファンタジー。2005年韓国プチョン国際ファンタスティック映画祭招待作品」
1957年、冬のウィーン。マックスはホテルの夜番のフロント係として、身元を隠して働いている。彼は戦時中、ゲットーの責任者として権力を振るうナチスの新鋭隊員だった。ある日、若手指揮者アザートンの妻ルチアがホテルを訪れる。実はルチアは、かつてマックスがゲットーで弄んだ少女だった。ルチアは思いがけない再会に驚きウィーンを去ろうとするが、アザートンはルチアを残して単身フランクフルトヘ飛び立ってしまう。
世界遺産のトルコ・カッパドキアに佇むホテル。親から膨大な資産を受け継ぎ、ホテルのオーナーとして何不自由なく暮らす元舞台俳優のアイドゥン。しかし、若く美しい妻ニハルとの関係はうまくいかず、一緒に住む妹ネジラともぎくしゃくしている。さらに家を貸していた一家からは、思わぬ恨みを買ってしまう。やがて季節は冬になり、閉ざされた彼らの心は凍てつき、ささくれだっていく。窓の外の風景が枯れていく中、鬱屈した気持ちを抑えきれない彼らの、終わりない会話が始まる。善き人であること、人を赦すこと、豊かさとは何か、人生とは?他人を愛することはできるのか―。互いの気持ちは交わらぬまま、やがてアイドゥンは「別れたい」というニハルを残し、一人でイスタンブールへ旅立つ決意をする。やがて雪は大地を真っ白に覆っていく。彼らに、新しい人生の始まりを告げるように。
1940年8月、ベルリン。18歳のステラは、ブロードウェイでジャズシンガーとしてのキャリアを夢見ていた。戦争が激化し、ユダヤ人への圧力が高まる中、両親ともに国外脱出を切望していたが叶わず、ユダヤ人の両親を持つステラにとって、その夢は儚く消えていった―。三年後、ステラは軍事工場で強制労働を強いられていた。工場で始まったユダヤ人の一斉検挙からは、かろうじて逃れることができたのだが…。
1930年代のパリ。少年サム・リオンは母親にサーカスの回転木馬に置き去りにされ、拾われたサーカス団で空中ブランコのスターになった。だが、事故で大怪我を負った彼は、サーカスを去り、事業を起こして清掃会社経営を成功させ、実業家として大成功を収めた。50代となったある日、様々なことに疲れたサムは、ヨットで単独大西洋横断に挑戦するが、大西洋上で行方不明となってしまう。2年後、死んだものと思われたサムを、元会社の従業員だった青年アルがアフリカで見つけるのだが…。
失われた時代をまっすぐ見つめる 最も勇敢な女性の物語1953年、自由を口にするものは政治犯としてすぐに捕まる時代。政治的弾圧が続く中、罪を課せられた者は思想改造および教育・更生のため緑島に収監されていた。連行された者たちは、名前ではなく番号に置き換えられ、囚人として「新生訓導処」に監禁、重労働を課せられる日々を余儀なくされた。純粋な心を持つ、絵を描くことが好きな高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)。ひとりの子どもが生まれて間もなく投獄された正義感の強い、看護師・嚴水霞(イェン・シュェイシア)。妹を拷問から守るため自首して囚人となった陳萍(チェン・ピン)。次々と迫る不条理に対しても思考は止めず台湾語、北京語、日本語などあらゆる言語を駆使しながら一日一日を生き延びようと過ごす人々。時の為政者は何をしてきたのか。考えることは罪なのか。これまで閉ざされていた歴史に、また一つ光が射す。
1995年の震災で多くの家屋が焼失し、一面焼け野原となった神戸・長田。かつてそこに暮らしていた在日コリアン家族の下に生まれた灯(富田望生)。在日の自覚は薄く、被災の記憶もない灯は、父(甲本雅裕)や母(麻生祐未)からこぼれる家族の歴史や震災当時の話が遠いものに感じられ、どこか孤独と苛立ちを募らせている。一方、父は家族との衝突が絶えず、家にはいつも冷たい空気が流れていた。ある日、親戚の集まりで起きた口論によって、気持ちが昂り「全部しんどい」と吐き出す灯。そして、姉・美悠(伊藤万理華)が持ち出した日本への帰化をめぐり、家族はさらに傾いていく――。なぜこの家族のもとに生まれてきたのか。家族とわたし、国籍とわたし。わたしはいったいどうしたいのだろう――。
ベストセラー作家であり、自ら出版社を経営している御祖 真。妻や3人の子供にも恵まれ充実した日々を過ごしていた彼には、誰にも言えない“秘密”があった。そんなある日、帰宅途中に胸の苦しみを感じた真は、外の空気を吸うために送迎車から降り、庭園を散歩する。そこでは結婚式が行われていた。娘の将来の花嫁姿を思い浮かべた矢先、激しい心臓発作に襲われその場に倒れてしまう。意識を失いかけた真の手には、トルストイ著『復活』が握られていた。緊急搬送された病院で医師から告げられたのは、無常にも“死の宣告”だった。
脱北者出身のアイスホッケーの元エース選手ジウォンは、北朝鮮に残した妹のことをずっと気にかけていた。そんな中、アジア冬季競技大会への出場を懸けて急きょ、国家代表チームが結成されることになる。熱烈なアプローチを受け、再び代表選手に復帰するジウォンだったが、そこに集まったメンバーは性格も実力もバラバラ。それでも絆を深めチームとして成長していく中、大会で最大のライバル・北朝鮮代表チームと戦うことになり…。
パキスタンで2番目の大都市、古都ラホール。保守的な中流家庭ラナ家の次男ハイダルは、現在失業中だ。家父長制の伝統を重んじる厳格な父からの「早く仕事を見つけて男児をもうけなさい」というプレッシャーを受けている。妻のムムターズはメイクアップアーティストの仕事にやりがいを感じ、家計を支えていた。ところが、ハイダルとトランスジェンダー女性のビバとの出会いと恋が、夫婦とラナ家の穏やかに見えた日常に波紋を広げていく――。
高校卒業が間近となった新潟の高校に通う学生たち。それぞれの夢、希望、悩み、葛藤を胸に、残りわずかな高校生活を過ごしていた。芸能事務所からスカウトされ、歌手になることを夢見てきた愛佳。古町芸妓への内定を得たが、彼氏に打ち明けられずにいる弥生と、最近何かを隠し、自分を避けるようになった弥生の様子に頭を抱える亮介、コロナ禍の影響で工場が倒産、その影響で不登校となり、新潟に引っ越してきた真衣、若者が自分のやりたいことに蓋をしていくしかない大人の作り上げた社会に声を上げようとする学、実家の味噌蔵を世界に発信していくため海外の大学を目指す由香―――。様々な状況に置かれ、人生の岐路に立つ若者たちが、卒業を前に、各々の悩みを解決していきながら、一歩前進していく学生たちの青春群像劇。
父親の再婚と継母の妊娠で家に居場所がなくなった少女ホープ。セクシーモデルに憧れる彼女はかつてベビーシッターだったペイジと連絡を取り合い、親には内緒でハリウッドへと向かう。ペイジと合流したホープが連れて行かれたのは、仮住まいだと言うホテルの一室。部屋の中にはペイジの友人デスティニーと男がいたが、ホープを見ると2人とも出て行ってしまう。翌朝、二日酔いの重い頭を持ち上げ起きたホープ。スマホを確認するが、父親からの連絡はなかった。自分の娘が家出をしたことに興味がない事実に傷つきながらも、次第とハリウッドの華やかなで自由な生活と、ペイジとの快楽に身を委ねるのだが…。
コールガールの仕事をアルバイト感覚で始めた女子大生の愛は、どこにも属さず、客を選ぶのも気分次第で一人気ままに仕事をしていた。ドアを開けるたびに出会う男たちの性的嗜好は様々、時に倒錯した変態的プレイを求められる。トラブルがあっても助けてくれる後ろ盾はなく、危険と隣り合わせだ。ある日、高級ホテルに呼ばれた愛は、客の贋作画商・間宮と出会う。間宮に気に入られた愛は、何度か呼び出されるうちにリッチなライフスタイルや刺激的なプレイを受けて、次第に惹かれていく…。
二本目にして最後の長編監督作。題名はランボーの同名の詩から採られている。ペサックで心優しい祖母と二人暮らしをしていた13歳の少年ダニエルが、やがて母が継父と住むナルボンヌに移住し、経済事情から学業を諦めて二輪車販売・修理店で見習いとなる物語には、ユスターシュの少年時代の記憶が多分に投影された。作家によれば、「自分の映画はどれも最初から社会ののけ者の中に身を置く」一方、本作だけは「ある子どもの、普通の生活から脱落者の境遇への移行」を描いている。主題の一つは、聖体拝領の日に初めて異性を意識した経験に始まる、ダニエルの性的な成長だ。半ば様式的な演出が施されたこの寡黙な映画は、繊細なカラー撮影と相まってユスターシュ作品中例外的な輝きを放ち続けている。
『ママと娼婦』『ぼくの小さな恋人たち』と併せて、ユスターシュの自伝的三部作を形成する一本。ゴダール提供による『男性・女性』(66)の未使用フィルムを使って撮られた。主演も『男性・女性』のレオー。舞台となるのは、クリスマス・シーズンの仏南西部ナルボンヌ。貧しい青年ダニエルは、モテるためのダッフルコート欲しさにサンタクロースの扮装をして街角に立ち、写真撮影のモデルを務める仕事を引き受ける。やがて彼は、変装した方がナンパに好都合であることに気づくが……ヴォイスオーヴァーを活用して定職のない若者の冴えない日々を描きつつ、やがて彼の滑稽な日常が悲哀へと、期待が幻滅へと転調する語り口が絶妙。ナルボンヌ生まれの国民的歌手シャルル・トレネに捧げられている。
11歳のマリアは、湖に隣接する広大なゴミ集積場の近くで、母親のリリベスと共にゴミ収集をしながら暮らしているリリベスは、街の組織と取引をし、飼い犬を売って生計の足しにしようとするが、不測の事態により取引ができなくなってしまう。トラブル解決のため、リリベスはリサイクル施設にマリアを預け、ひとり街へと出かけていく。「すぐに戻る」という母の言葉を信じて待つマリアだったが、母は何日経っても戻らない。マリアは戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを募らせていく。
新聞配達員で心優しい独り者の中年男性・志朗は、ある夜、若者たちのオヤジ狩りに遭っていた町工場の社長・阪本を成り行きで助ける。翌日、復讐に燃える阪本に「一緒に悪ガキたちを退治しよう」と誘われ、断りきれずオートバイ用のプロテクターで防備して坂本に同行。またしても偶然が重なり、不良少年たちを懲らしめることに成功する。「オヤジ狩りの少年たちが返り討ちにあう」という新聞記事にもなり、密かに思いを寄せている喫茶店の女性店員ユキにも高評価を得たことから、志朗はヒーローとして立ち上がることを決意する。
母親と母親の恋人の家で暮らしていたシャラ。しかし、シャラは同居させてやっていることを楯に、カラダの関係を迫る母親の恋人のことを嫌悪していた。母親に言えないストレスを抱えたシャラは、自身の体を傷つけることで心を慰めていく。ある日、恋人から暴力を受けたことで我慢の限界を超えた母親に連れられ、家を飛び出したシャラ。母親が体を売りながら各地を転々とする生活を続ける2人はやがてロサンゼルスに辿りつき、母親がリハビリ施設で一緒だった男キャップの家に間借りする生活が始まる。キャップの息子ジェイミーとの触れ合いで落ち着きを取り戻したシャラだったが、生活費を稼ぐためと母親から言われるままカラダを売り始める。
高城久夫(出合正幸)と佐野容子(竹島由夏)は殉職した中本(野村宏伸)の意思を受け継ぎ、警備会社エステックの一員として日々奮闘していた。そんな中、一人の女性が訪ねてくる。依頼をしてきたのは中国の工作員に追われていると話す女(山崎真実)だった。高城を筆頭に警護チームが組まれ、女性の警護が始まる。女性を匿うため人里離れたキャンプ場にやってきたが、すぐに脅威対象の工作員がキャンプ場に向かったとの情報が入ってくる。子供連れの家族、仲の良さそうな夫婦、若者たちのグループ、どこに工作員が紛れているかわからない。一般客もやってくるこの場所を、高城はなぜ選んだのか?緊張が続く中、最初の犠牲者が発見される…。
太陽が照り付けるロサンゼルスのクリスマス・イブ。街角のドーナツショップで一個のドーナツを分け合うトランスジェンダーの二人。28日間の服役を終え出所間もない娼婦シンディは、自分の留守中に恋人が正真正銘の金髪女と浮気したと聞きブチ切れ、彼女を捜し出してとっちめてやろうと街へ飛び出す。歌手を夢見る同業のアレクサンドラはそんな親友シンディをなだめつつも、その夜に小さなクラブで歌う自分のライブのことで頭がいっぱい。さらに、彼女たちの仕事場の界隈を流すアルメニア人移民のタクシー運転手、ラズミックも巻き込んで、それぞれのカオティックな1日がけたたましく幕を開ける!
ハリントン新聞社の記者で人気ポッドキャスト「リカバード」のホスト、アレックスが今回選んだテーマは、友人の弁護士が担当するエリオット・パーク殺人事件。自宅の広大な庭で何者かに頭を殴打されたエリオットが、遺体となって発見された事件だ。容疑者として起訴された妻ステファニーは以前からエリオットと別居中で、2人の子どもの親権を争っていた。しかしアレックスは、他に真犯人がいるのでは?と、編集長ドリューらと独自調査を開始。遺体の第一発見者でエリオットの親友ジェレミーと、隣人レナード、そしてステファニーの証言から、エリオットが家族にも秘密に闇カジノを主催していた事実を突き止める。そして事件のキーパーソンとして浮上したクレアという女性を探すため、アレックスとドリューはエリオットが所有する自家用飛行機の格納庫へ侵入を試みるのだが…。
公園で、妊婦や赤ちゃんを連れた親たちが一緒に運動をする“ベイビー・ブートキャンプ”のインストラクター、ジュリア。独身で彼氏もお金もない彼女は、30歳の誕生日を迎え今年こそは結婚したいと願っていた。だが、なかなか出会いには恵まれず、そんなある日のレッスン中、1人親のスコットが赤ちゃんのマティを連れて参加を希望。彼氏と副業の両方をゲットできるチャンスだと、妊娠中の姉にけしかけられたジュリアは、小さな冒険旅行会社を経営し多忙なスコットの家で、経験者だと偽りベビーシッターをすることに。しかし、彼の家には7歳の長女シャーロットもいて…。
世界的に有名なバレエ団の生みの親である天才芸術監督アレックスが死んでから7年。バレエ団は解散の危機を迎えていた。そこで、アレックスが残した伝説の演目「ウィズアウト・ア・ワード」を公演することに決めたバレエ団のジェリーは、アレックスの魂を継承するオリジナルキャストの3人のダンサーを再集結させた。アレックスの死によってダンスキャリアを終わらせていたクリッサ、マックス、トラヴィスの3人だったが、理想のダンスを実現するため、互いに感情をぶつけ合い、ダンスに邁進していく。しかし、この演目を演じるためには、自らの内なる壁に直面し、それを乗り越えなければならなかった。
高校時代の仲良し4人組、トムとローレンのカップルに、友人のピーターとジェーン。しかし卒業式のパーティで、トムとローレンが行き違いからケンカ別れ。みんなで埋めるはずのタイムカプセルは、男性陣の手によって埋められることに。それから7年。母校の教師になったトムは、タイムカプセルを埋めた校庭が駐車場になると聞き、慌ててピーターへ連絡。女性陣も呼び出し、タイムカプセルを取り出すことになった。思いで話に花が咲き、意気投合した4人は“復活ツアー”と称し、高校時代のデートコースへ。ジェーンは片思いだったピーターへの告白のチャンスをうかがう中、トムとローレンも、かつての想いが蘇ってくるものの、2人は互いにフラれたと思い込んでいて…。
夫と娘との関係に悩む妊娠中の長女ベス、結婚準備に忙しい次女ジュリア、恋に奔放で秘密の年下彼氏がいる末っ子オードリー三姉妹。彼女たちは、結婚式をはじめとする様々なパーティー事業を行う会社“セレブレーションズ”を経営中。ジュリアの結婚が直前に迫るなか、彼女はマリッジブルー状態に陥っていた。そして結婚式当日、両親や姉妹、親族や友人たちが見守る教会で、新郎ジムから誓いの言葉が捧げられた。しかしそれは彼本人の言葉ではなく、ネットから引用したありものの文章だった…!それに気づいたジュリアは、結婚できないとジムを拒否してしまう。
牧場を営む夫の留守を、娘インディと守る妻ミッチェル。ある嵐の夜、眠れぬインディのために、“嵐の夜に生まれた伝説の白い馬”の話を始める。ベルベルという名の美しい野生の雌馬と、“滝の馬”と称される雄馬ヤラマンとの間に、銀色のたてがみと尾を持つ仔馬が生まれる。その名は“風”の意味を持つサウラ。母馬ベルベルはサウラに大自然の中で生き抜く術を教えていく。だがある日、野生馬を探しては飼い馴らすことを使命とする男が、白く美しいサウラの姿を目に留めるのだった。捕獲しようとするその男から、かろうじてサウラは逃げ切るが、その男は決して諦めようとはしなかった。
冒険を求め、アイダホの田舎町からアリゾナの大学で新生活を始めたルーシー。だが、ルームメイトにイケメン学生と遊ぼうと誘われても高校時代からの恋人ジョーダン一筋、感謝祭で会えることを楽しみにしていた。そんな彼女に、ルームメイトが“ターキードロップ”に気をつけてと忠告。それは遠距離カップルの一方が、感謝祭の休暇中にフラれるという意味だった。帰郷すると、実家では感謝祭を祝うため、姉や兄が恋人や親友を招いて大賑わい。久しぶりにジョーダンと再会したルーシーは、彼こそが最高の恋人と思いながらも、ルームメイトの言葉がよぎり、彼から「話がある」と言われるたびに逃げ出す始末。そんな彼女を、兄の幼馴染でルーシーをイジメてばかりのディーンが冷ややかな目で見ていた。
田舎町で自動車修理を営む父に育てられたマデリンは、自動車メーカーの研究部門で働くキャリアウーマン。ハイテク企業の若手CEOで恋人デヴィンを、妹クレアの結婚式で家族に紹介するはずがドタキャンされ、マデリンは一人帰郷する。実家では式を前に、クレアがマリッジブルーになっていた。そんなクレアへ結婚プレゼントにと、父は亡き妻の愛車の修理をマデリンに託すことに。その補佐に就いたのは、工場で働くジェイクだった。幼い頃からマデリンに好意を抱いていたジェイクは、何かと彼女を手伝い、クレアの結婚式の準備にも協力的だった。そんな二人は次第に親密な関係になっていくのだが、その矢先にデヴィンが現れて…。
目前に迫った世界恐慌を知らず、好景気に沸く1929年のアメリカ。大学を辞め、パトロンである富豪ファルドの屋敷で性に関する研究を続ける学者エドガー。研究に没頭する余り、恋人のクロエにも愛想を尽かされてしまっていた。そんな彼が、性に関する新たな実験を計画する。それは、何人かの男性を集め、セックスについてオープンに討議させる。それを2人の若い女性に書き取らせるというもの。早速アリスとゾエが速記係として雇われ、作家のモンティや英国人画家セヴィらが参加する中、討論が始められた。真剣かつ客観的にというルールのもと、実験は順調に進むかに思われたが…。