太平洋に浮かぶ孤島にある日、本島三郎という1人の男が現れる。三郎は20年前にもこの島にいたことがあった。アナーキストだった父と兄を憲兵に惨殺され、三郎は島でこきつかわれた。ある日三郎は、半死半生のまま大嶽に投げ込まれ、漁師に助けられる。再び島に現れた三郎は、美しい娘・亜矢と出会い、二人は恋に落ちるが、亜矢はかつて自分を虐待した大嶽の娘だった。意を決した三郎は大嶽に迫るが、亜矢が必死に父をかばう。
若きヴァイオリニスト香坂のもとに、解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。だが、練習場は廃工場、集まったメンバーは再就職先も決まらない「負け組」楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えないもので、不安が広がる。そこに現れた謎の指揮者、天道。再結成を企画した張本人だが、経歴も素性も不明、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。自分勝手な進め方に、楽団員たちは猛反発するが、次第に天道が導く音の深さに皆、引き込まれていく。だが、香坂は名ヴァイオリニストだった父親が死んだ裏には天道が関係していた事を知り、反発を強めてしまう。そして、迎えた復活コンサート当日、楽団員たち全員が知らなかった、天道が仕掛けた“本当”の秘密が明らかになる――。
出版社・玄武書房に勤める馬締光也(まじめ みつや)は、営業部で変わり者として持て余されていたが、言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」――見出し語は24万語。完成まで15年。編集方針は「今を生きる辞書」。個性派ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は辞書編纂(へんさん)の世界に没頭する。そんなある日、出会った運命の女性。しかし言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?馬締の思いは伝わるのだろうか?
幕末から明治。激動の時代を知恵と愛で生き抜いたある家族がいた――代々加賀藩の御算用者(経理係)である下級武士の猪山直之(堺雅人)は、家業のそろばんの腕を磨き出世する。しかし、親戚付き合い、養育費、冠婚葬祭と、武家の慣習で出世の度に出費が増え、いつしか家計は火の車!一家の窮地に直之は、“家計立て直し計画”を宣言。家財を売り払い、妻のお駒(仲間由紀恵)に支えられつつ、家族一丸となって倹約生活を実行していく。見栄や世間体を捨てても直之が守りたかったもの、そしてわが子に伝えようとした思いとは――。世間体や時流に惑わされることなく、つつましくも堅実に生きた猪山家三世代にわたる親子の絆と家族愛を描いた物語。
突然、放射性物質となってしまった福島さんは多くの人から差別を受けていた。ある日、妊娠をした妹がやってくる。福島さんの姪ということで、生まれてくる子供も差別されるのではと恐れていた。一方、エネルギー関係者、永田町関係者、マスコミ関係者はサッカーに興じながら、福島さんに放射能の責任を押し付けようとする会議をしていた。様々な人々の思惑や不安の中、追いつめられた福島さんはある決断をする。
ほのかは2010年5月5日に24歳になる。24歳は母・葉子が事故で死んだ年齢。24歳であり続ける母と同じ年になることをほのかは不安に思っていた。ほのかは母が死んだときに近くにいなかった父・耕太郎と仲が悪い。しかしかつて耕太郎が進むことも戻ることも出来ない三つの選択をさせられたことを謎の紙芝居師から告げられる。深い葛藤へと落ちるほのか。ほのかはどのようにして24歳になるのか?そして最後に経験する愛の奇蹟とは?
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ、そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
吉祥寺に住む、天才漫画家の小島麻子。今日も、アシスタントのナオミ、仲のいい三人組の加奈子、咲江、美智子と徹夜で締め切りに追われていた。その翌日、いつものように麻子が愛猫のサバに話しかけると、サバは冷たく動かなくなっていた―。サバを亡くした悲しみがあまりに大きく、麻子は漫画が描けなくなってしまう。そんなとき、出会ったのは一匹の小さなアメリカンショートヘアー。名前は「グーグー」。一緒にご飯を食べて、散歩をして、寝るという、なんとも幸せな毎日。不思議な青年、青自との恋の予感、アシスタントたちと話す新作のアイディア、色々なことがうまく動き始める。だがある日突然、麻子は思いがけないことを知らされる・・・。
男女逆転の浮世で最も贅を尽くした場所。それは、1人の女将軍に3000人の美男子が仕える大奥だった・・・【男女逆転 大奥】続篇プロジェクト最終章!百花繚乱の徳川【男女逆転 大奥】最盛期に渦巻く、史上最大の愛と野望の歴史絵巻。謎の疫病により、男の人口が女の4分の1まで減少した江戸時代。女が労働を担い、男は子孫を残す宝として大切に育てられる男女逆転の世が誕生して30年。時は元禄、五代将軍綱吉(菅野美穂)の時代。初の女将軍・三代家光の実子綱吉が将軍となり、徳川の治世は最盛期を迎えていた。大奥では後継者を巡って正室と側室の激しい派閥争いが起こっていた。そこに、京から一人の公家がやってくる。その男・右衛門佐(えもんのすけ)(堺雅人)は、かつて家光の時代、大奥総取締役を務めた有功(ありこと)に瓜ふたつだった。類まれなる野心と才覚で巧みに綱吉に取り入り、総取締として大奥での権勢を掌中に収めていく。一方、一人娘の松姫を亡くした綱吉は、政から遠ざけられ世継ぎ作りに専念させられることに。だが、夜ごと大奥の男たちと閨を共にするも一向に懐妊しない綱吉は、次期将軍の父の座をめぐり陰謀渦巻く大奥で、孤独と不安に苛まれていく。 妄執にとらわれた父・桂昌院(西田敏行)に従い“生類憐みの令”を発令するも、国は乱れていくばかり。運命に翻弄され、生きる気力をも失った綱吉に手を差し伸べたのは、人知れず綱吉を見守り続けていた右衛門佐だった。ついに心を通わせたふたりが、最後に辿り着くのは・・・・・・。
心の病をかかえる美智子は夫、孝夫の故郷、信州に二人で移り住む。山里の美しい村に帰った夫婦は、阿弥陀堂というお堂に暮らす96歳の老婆おうめを訪ねる。おうめのところに通ううちに、孝夫は声の出ない少女小百合に出会う。彼女は村の広報誌に、おうめが日々話したことを書きとめ、まとめた「阿弥陀堂だより」というコラムを連載していた。素朴だが温かい村の人々とのふれあい。美しい季節の移ろいに抱かれて暮らしていくうちに、美智子と孝夫はいつしか生きる喜びを取り戻していく。
第二次世界大戦終了後、元東海軍司令官・岡田資中将は、名古屋空襲時における一般民衆への無差別爆撃を実行した米軍搭乗員処刑の罪に問われ、B級戦犯として裁判にかけられた。岡田中将の弁護人であるフェザーストンと相対するバーネット検察官、裁判長のラップ大佐をはじめ、裁判を行うのは戦勝国アメリカ。そんな中、岡田中将は、自己の信念を曲げることなく、すべての責任は指示を下した自分にあると主張。法廷闘争を法における戦い「法戦」と呼び、飽くまで戦い抜こうと立ち向かう。部下を守り全責任を負う覚悟を見せる岡田中将の潔い姿は、次第に、敵国の検事や裁判官をはじめ法廷内にいるすべての人を魅了し心動かしていく・・・・・・。
アメリカ・ニューヨークのブルックリン地区。若いストリートギャングのサイコ・ロック・スリックの三人は、ギャング団“DECEPTZ”と名乗り暴虐武人に街を徘徊していた。恐喝、強奪、暴行、強盗・・・次第にその凶暴さは増していき、街中で恐れられる存在となっていく。弁護士を目指す優等生のエディは恋人ケリーにそそのかされるままに彼らと親しくなる。勉学に打ち込んできたエディにとって、彼らの存在は少なからず羨望の対象でもあったのだ。一方で、流れ弾で息子を殺されたジョンソン刑事はエディの目を覚まさせようと彼を追う。次第に“DECEPTZ”は他のギャング団との抗争を激化させていき、エディも巻き込まれることに。警察の必死の取り締まりにも関わらず、ニューヨークの街中が銃声につつまれていく
木星の衛星“エウロパ”に海洋生物が生息している証拠写真が数多く発表された近未来。投資家のウォルターが経営するモフィット社は多額の金額を投資して独自の宇宙開発を進め、遂に人類史上初となる有人探査計画を実施。モフィット社が育てた二人の宇宙飛行士マイケルとネイサンは、世界中の注目を浴びて宇宙へと飛び立った。地球帰還まで13年のミッションー。だがその計画は地球を離れて2年後、2人がコールドスリープ内で眠りについていたある日、突如最悪の展開を迎える。予期せぬ隕石との衝突により宇宙船が損傷。先に目覚めたマイケルは非常用クラフトルに逃げ込みなんとか一命をとりとめる。酸素を確保、地球との交信も、時間差はあるもののどうにか復活。指令班は地球への帰還を命じる。地球到着までにかかる期間は3年間。たった独り、宇宙空間での孤独で静か過ぎる日々が始まるー。
1970年代のアルゼンチンで、世間から身を隠すようにして海辺のボロ屋でひっそりと生きる1組の母子。けれども7歳の少女セシリアには、なぜ自分たちがそうした生活を送らなければならないのか、その理由がよく分からない。ある日彼女は、軍人が教室に参列した学校の作文の授業で、軍に入隊した親戚が死んだことを素直に書き綴った文章を先生に提出する。その晩、それを知った母親は、思わず血相を変えて家を飛び出し…。
高校中退でニートのマ男(まおとこ)は、母の死で一大決心。プログラマーの資格を取得して、なんとかある小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった・・・。サービス残業、徹夜は当たり前のありえない仕事量に加えて超クセ者揃いの同僚たち。納期を目指して、毎日デスマ(デスマーチ:死の行軍)が続く!そんな会社でだいじょうぶなのか?超過酷でへんてこな職場に、マ男の限界はピーク!「もう俺は限界かもしれない!」彼はついに本当の限界に追い込まれる。最後にマ男がどった選択とは?インターネットの掲示板「2ちゃんねる」の書き込みから生まれた、実話に基づく勇気と感動の物語。
自称米軍パイロット、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の双子の妹。ジェット機を操り世界各地を転戦。こんな嘘八百の経歴と巧みな変装で女たちから推定1億円を騙し取った男がいた。稀代の結婚詐欺師・クヒオ大佐と彼を取り巻く3人の女たちの人間模様、そしてあり得ない恋の結末。騙すことが愛なのか?騙されることが愛なのか?
元パンクバンドのギタリストで、17歳で母親になったアキと、しっかり者の女子中学生・ハツキは対照的だが、親友のように仲がよく、名古屋のアパートで二人暮らし。ある日、約2年間、海外放浪の旅をしていた自由人・ヤグが帰ってきた。アキと同じバンドでボーカルだったヤグは、自分の子どもではないハツキが産まれる前からアキと一緒に暮らしていた。2年ぶりの3人暮らしで、アキとヤグは楽しそうだ。でもやたらと絡んでくるヤグや、きちんと仕事をしないヤグを笑って許しているようなアキの態度に、ハツキはイライラしてしまう。そんな中、ハツキは親友のトモちゃんと喧嘩してしまい、彼女はそのまま転校してしまう。さらに自分の進路にある決断をする。それをきっかけに、ハツキはアキの本当の気持ちや、ヤグの過去を知ることとなる……。
軍の教育隊長キム・ジンピョンは、上官の娘と結婚し、軍人としてエリート街道を歩んでいた。しかしある日、彼が暮らす軍官舎に、部下と彼の妻チョン・ガフンが引っ越してくる。ガフンを一目見たその日から、激しく惹かれていくジンピョン。ガフンもまたジンピョンの一途な想いに心を動かされていく。激しい恋心は理性を吹き飛ばし、2人は一線を越えてしまう。誰にも言えない危険で破滅的なスキャンダルが始まった―。
パン職人を目指していたが、勤め先のパン屋を解雇されたクロ。結婚を意識していた恋人と、喧嘩別れをしたカメラマンの英斗。主演女優が降板し、舞台の上演が危ぶまれる演出家の豪。それぞれ別の人生の目的を持った接点のない3人が、ひょんなことから出会い、東京を飛び出す。行き場をなくした3人は、海辺の閉鎖された旅館での共同生活を通して自分の生き方を再認識する。旅館でのバカンスは3人の心をゆっくりと溶かしていく。ほんの少しだけ生きるヒントをみつけた3人は、それぞれ以前よりも自分の人生に真剣にむきあうようになる…。
海辺にほど近い、何もない街に暮らす15歳の少女、メイス。親友のスーとはいつも、まだ見ぬ恋人について、彼との初めてのセックスについて、あれやこれやとおしゃべりしている。メイスはいつも、自分の家に突っ込んできた車が壁を壊してくれる日を夢想する。車に乗っているのは彼女の恋人となるべき青年。彼はメイスの家を、彼女の小さな世界を壊し、広い宇宙へと連れ去ってくれる・・・
美しい妻コニーと一人息子のジェームスと、平穏で幸せな生活を送っているシェーン。ある夜、闇ボクシングの世界で賞金稼ぎをしているシェーンの弟・スコッティが訪れる。シェーンは弟を冷たく追い返すのだが、翌日、家の前で瀕死の状態で倒れているスコッティを発見する。なんとか一命をとりとめたスコッティ。彼は闇ボクシングの主催者で黒組織のボス・ダニーから持ちかけられた八百長試合に勝利してしまい、その報復として一味から襲われたのだ。手にするはずだった金を返さなければ弟の命はないー。ダニーからそう脅されたシェーンはリングにあがることを決意、ダニーの元で特訓をはじめる。実は、シェーンこそ、闇ボクシングの世界で伝説と化したかつてのチャンピオンだった・・・。
吉原遊郭「玉菊屋」に売られて来た8歳の少女、きよ葉。女だけの世界で自分も遊女になっていくのが怖いと逃亡を試みるが即座に捕まってしまう。店番の清次は咲かないと言われた吉原の桜が「もし咲いたら」ここを出してやるという。トップ花魁・粧ひの挑発に乗せられ吉原一の花魁になる決意を固めたきよ葉は花魁街道まっしぐらに人気遊女への道を駆け上がっていく。ところがある日、きよ葉は客の惣次郎と激しい恋に落ちる。偽りの愛を売る世界に身をおきながら、唯一、真実の愛を感じられる瞬間に酔いしれるきよ葉。しかし、きよ葉をねたむ花魁・高尾の策略によって惣次郎との仲を引き裂かれてしまう。18歳になったきよ葉は、凄まじい人気を呼んで、誰もが憧れる花魁の座を勝ち得る。やがて身請けを申し出た大名・倉之助の登場で、吉原を出ることに。その当日、咲かないと言われた“吉原の桜”に奇跡が!それを目にしたきよ葉と清次は・・・。
島で暮らす16歳の少年・界人(村上虹郎)は、島に古代から伝わる八月踊りの夜、海に浮かぶ男性の遺体を発見。動揺する界人を同級生の杏子(吉永淳)が見ていた。杏子の母親イサ(松田美由紀)は島の人々の相談を受けるユタ神様として慕われてきたが大病を患う。一方、界人は恋人の影を感じさせる母親・岬(渡辺真紀子)のことを汚らわしく思っていた。界人は自分が幼いころに母親と離婚し、東京で暮らす父(村上淳)に会いに行くが、界人が島に戻ると岬は姿を消していて……。
とある町に佇む小さな“スナック小夜子”。今夜もその灯りを求めて、さまざまな常連客が集ってくる。そんな“スナック小夜子”オープンしたのは、ママの真奈美がシングルマザーとして娘・小夜子を育てるためだった。20年前、オカマのショーパブで舞台スタッフをしていた真奈美は、スター・ダンサーであるエンジェルと仕事仲間として友情を分かち合っていたが、エンジェルがタイへ出発する前夜、酔っぱらってしまったふたりは、いつのまにか男女の関係に……。生まれた娘・小夜子は、自分の父親のことは知ることもなく成長し、高校卒業とともに母を残して東京でひとり暮らしを始める。数年後、いくつかの恋に破れ実家にもどってきた小夜子は、“スナック小夜子”が借金だらけで閉店しなければならないことを知り、隣町で大人気のオカマバー“シャープ”をまねて、ホステスの亮子と“偽オカマバー”として再起をかける。その計画を真奈美に猛反対された小夜子は真奈美の昔の友人である、オカマのエンジェルに力を貸してほしいとお願いする。数日後、エンジェルはミラーボールとともに“スナック小夜子”にやってくる。エンジェルの厳しい指導のもと、小夜子と亮子は“偽オカマダンサー”として大変身。毎夜多くの客が足を運び、“偽オカマバー”作戦は大成功!しかし……、オカマに扮した本当は女性の小夜子と亮子の運命は? そして、オカマの父? エンジェル、スナックのママを続ける母真奈美、恋多き娘小夜子の不思議な家族の未来は?
関東に拠点を置く秋田会の代貸が、関東進出を狙う関西系三雄会のヒットマンによって刺殺された。その頃14年ぶりにシャバの空気を浴びた秋田会行動隊長・小諸久を秋田会会長は温かく迎え入れる。しかし、三雄会の動きを気にし、しばらく身を隠すように勧める。また、14年前は若衆だった新庄が自分の組を持つほどに出世していた。そんな中、小諸は、看護婦・秋江と出会い愛し合うようになるが…。
仕事を辞めて何もせずに生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。拓児の住むバラックには、寝たきりの父親、かいがいしく世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれる。ところがある日、達夫は千夏の衝撃的な事実を知り……。
突然の別れを告げていなくなってしまった元カノを諦めきれず、一途に彼女を追いかけ生まれて初めてアメリカまでやってきた純朴でまっすぐな日本人青年、ナオト(濱田岳)。元カノ探しのお供は、イヤミばっかり言ってる嫌われ者で、最近彼女に振られますますひねくれてきたイトコのセバスチャン。国籍も境遇も文化も正確も正反対な2人が旅を続ける中、衝突し合いながらも互いにありのままの自分を見つめなおす姿を描いた青春“ほろ苦”ロードムービー。
極少数の限られた女性の胸にだけ、見たことのない世にも美しい花が咲くという不思議な現象が起こっていた。満開時に採取されたその花の成分は、画期的な新薬の開発に繋がるとされ、億単位で取引されていた。そんな花の研究に没頭する植物学者の大瀧(綾野剛)と、提供者のケアを担当するセラピストの響子は、次第に恋に落ちていく。しかし、提供者の女性が謎の死を遂げる事件が相次ぎ、研究所に対し不信感を抱き始める大瀧。一方で、響子は花の魅力にのめり込んでいき・・・。
米・ロス郊外に暮らすラクラン・マクアルドニックは、グリーンカードを持つスコットランド人。かつては人気UKバンド“CRANKS”のメンバーとしてスポットライトを浴びていた彼だが、現在は、昼は農場でオーガニック栽培した農作物を市場で売る農夫として、夜は往年のバンド曲を紹介する人気ポッドキャスト番組のDJとして、貧しくも穏やかな生活を営んでいた。ある夜、バーを出て家路に向かった彼は飲酒運転で連行される。取り調べが進む中、彼が昔犯したドラッグ歴が判明する。釈放金も弁護費用も払えないラクランは、遂には永住権の剥奪・祖国への強制送還の危機にまで追い込まれてしまう。米国に残るため、彼に残された選択肢はただひとつ。米国居住権保持者で、ラクランの身元を立証し代理人となってくれる近しい人物が必要だった。彼は、かつてのマネージャーや元妻、娘と再会するのだが・・・。
小学三年生のこっこ(芦田愛菜)は祖父母、両親、三つ子の姉の8人大家族で暮らしている。賑やかで幸せな毎日だが、孤独に憧れるこっこには疎ましくて仕方がない。人と違う事を「かっこええ!」と思うこっこの憧れの眼差しは吃音のぽっさんや、ものもらいになった香田さんや、不整脈で倒れた朴くんに向けられる。しかし自分の言葉で周りがおかしくなる事に気付いたこっこは、おじいちゃんから“イマジン”という言葉を教わる。たくさんの「なんで?」を繰り返しながら、幼いこっこが成長する、かけがえのないひと夏の物語。
若菜家は、息子2人、父と母の平凡な家族。だがある日、若菜家の母・玲子(原田美枝子)に「脳腫瘍」が見つかる。末期症状で、余命1週間の診断をされる。父(長塚京三)は取り乱し、長男の浩介(妻夫木聡)は言葉を失くし、次男の俊平(池松壮亮)は冷静を装う。やがて、“どこにでもいる家族”に潜んでいた秘密が表面化していく―。どうしたらいいか分からない、でも投げ出すことなんてできない。そして男たちは「悪あがき」を決意する―。
開発工事の影響で漁業不振に陥っている田舎の小さな漁師町。重機のノイズが轟く浜辺で、それをかき消すように大声を上げて遊ぶ女子高生のグループ。輪に入らず、ひとり浜に座る真姫(寉岡萌希)は海に浮かぶ大きな工事船を見つめている。グループの中で唯一、開拓工事側で働く親をもつ孝子(佐藤玲)は、不漁の影響で家庭が崩壊してしまった真姫に後ろめたさを感じている。グループのリーダーである幸枝(武田梨奈)は明るく振舞い、ふたりの関係を取り持とうとしていた。ある朝、日課である浜の水質調査を行う少女たちの前に巨大な深海魚が現れる。気持ち悪くも美しい謎の深海魚「リュウグウノツカイ」―。この魚には「豊漁の兆候」「災いの予兆」という両極端な言い伝えがあった。そして3年前に上京した同級生・千里(樋井明日香)が町に戻ってくる。偶然のようで必然のような日々に得体の知れない不思議な衝動を感じた真姫は集団妊娠計画を思いつく―。閉ざされた環境を打開するため、自らの手で未来を切り開こうと奮闘する少女たちの物語。【受賞歴】ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014 オフシアター・コンペティション部門 北海道知事賞受賞
川崎の造船所で働く聾唖の女性・マチはある日刑事の聴取を受ける。密入国した外国人犯罪者を追っているようだ。しかし、実はマチはその外国人と一夜の恋に落ちていて・・・
『妖怪川姫 みずさ 捕まらない殺人鬼篇』偶然目撃した殺人現場、みずさは妖怪川姫と姿を変え退治しようとするが逃がしてしまう。みずさはなんとか捕まえようとするが川姫にむやみに力を使って犯人を捕まえる事に反対されるのだった・・・。 『悪霊封印妖怪KINECO』空家に住み憑く悪霊は人の魂を喰らう。悪霊を封印するため、山奥にある一軒の空家に強い冷気を感じて現れた妖怪KINECO。だが、そこにいたのは一癖も二癖もある死者の霊だった、無事に悪霊を封印することができるのか・・・・。 『妖怪少女KINECO R』悪霊に取り憑かれた男に頼まれて護衛をする事になったKINECO、だが、それが意外な事件へと進むのであった。そしてKINECO最大のピンチを迎える・・・ 『妖怪川姫 みずさ プロローグ篇』子供の頃に水難事故で死んだみずさは、妖怪川姫に命をもらい共に生きていく事になった・・そして月日は流れ19歳に成長したみずさ、おそいかかる事件、みずさはペンダントの水を飲み妖怪川姫へと姿を変えるのだった・・・。
『じ ぞ う』京都を舞台に、お地蔵さんとその前を通る町の人々のお話。いつも同じ場所で目の前を通る人を見ては蔑んでいるお地蔵さん。そんなひねくれたお地蔵さんの心境の変化を描く。 『破れタイツ』角谷マリと守田ミサオは、いつもつふんでいる!とにかく騒がしい!マリは破天荒な母親に、ミサオは自分恵まれない男運を呪う。大人から見れば些細な事かもしれないが、思春期ならではの問題にメンと向かって立ち挑んでいく! 『やぶカン!』おせっかいで、めっちゃうるさいオカン。あんなオカンには、なりたくない!!『破れタイツ』のオカン視点オマージュ作品。 『てんぐ』15歳の少年・よしまさと喫茶店の店主が、あるお面をきっかけに出会い、そこから奇妙な友情ストーリーがはじまる・・・。
女子力ゼロの29歳の直子。淡々とした日常の中に見え隠れする人間に対するシニカルな目線が面白い。登場人物たちのリアリティーのある会話の応酬と、それぞれの登場人物たちの感情の機微が上手に切り取られており、気がつけば「直子」の世界にどっぷり引き込まれている。恋愛に臆病な人や、自分に自信が無い人が観て勇気が貰える映画。
文化祭を間近に控えた女子校を舞台に、東京女子流のメンバーで ある山邊未夢・新井ひとみ・庄司芽生・小西彩乃・中江友梨の全員が出演。山戸監督ならではの斬新な切り口で「全員が主役」となる5人分の青春エピソードが描かれる。憧憬、焦燥、衝動…様々な情景に彩られ翻弄される彼女達の切ない青春を叙情的に映し出す。
麦子、23歳。頼りない兄と二人暮らしをしながら、声優を目指している。ある日、自分たちを捨てた母親が突然舞い戻ってきた。顔も覚えていない母との生活に戸惑う麦子。そして投げつけた一言、「あなたのこと、母親だと思ってないから」。その言葉を最後に、母は帰らぬ人となった―。その後、納骨のために母親のふるさとを訪れた麦子は、母が町のアイドルだったことを知る。町の人々に振り回されながら、初めて知る母の青春、母の人生―。そして麦子の心にある思いが広がっていく・・・。
サンフランシスコのベイエリアに住んでいる22歳のオスカー・グラントは、前科者だが心優しい青年だ。2008年12月31日彼は恋人ソフィーナと、彼女とのあいだに生まれた愛娘タチアナと共に目覚める。いつもと同じようにタチアナを保育園へ連れて行き、ソフィーナを仕事場へ送り届ける。車での帰り道、大晦日が誕生日の母親ワンダに電話をし「おめでとう」と伝える。母と会話をしながら彼は新年を迎えるにあたり、良い息子であり、良い夫であり、良い父親であろうと、前向きに人生をやり直したいと思っていたが…。
“モンタナ州のウディ・グラント様 我々は貴殿に100万ドルをお支払い致します”誰が見ても古典的でインチキな手紙をすっかり信じてしまったウディは、ネブラスカまで歩いてでも賞金を取りに行くと言ってきかない。大酒飲みで頑固なウディとは距離を置く息子のデイビッドだったが、そんな父親を見兼ね、骨折り損だと分かりながらも彼を車に乗せて、4州にわたる旅へ出る。途中に立ち寄ったウディの故郷で、デイビッドは想像もしなかった両親の過去と出会うのだが―。
長崎で生まれ育ったサラリーマン・ゆういちは、ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしている。男やめものゆういちは、夫の死を契機に認知症を発症しはじめた母・みつえの面倒を見ていたが、症状が進行した彼女を、断腸の思いで介護施設に預けることになる。過去へと意識がさかのぼることの増えたみつえ。その姿を見守る日々のなかで、ゆういちの胸には、ある思いが去来する―。
貧しくも幸福な生活を日々を送っていたるロマの一家。3人目を身ごもる妻・セナダは激しい腹痛に襲われ病院に行くも、保険証を持っていないために手術を受けることができない。鉄くず拾いで生計を立てる夫・ナジフにはとうてい支払うことのない手術代を要求される。家族を守るために奔走する無骨だが優しい眼差しのナジフ。懸命にしれんと向き合い、決して憤ることなく、大切な人と共に生きることの意味を静かに投げかける彼の姿に、観る者は心を揺さぶられるだろう。
1973年8月8日、金大中・元韓国大統領候補が九段のホテル・グランドパレスから突然姿を消す・・・。5日後、ソウル市内の自宅前で目隠し・傷だらけの姿で発見された。当時、彼の消息を巡って日本と韓国そして米国までをも巻き込んだ国家間の緊張は極限まで高まった。拉致・暗殺指令を受けた諜報部員たちは、なぜ彼を殺さなかったのか?計画に関わったとされる日本人が“空白の5日間”に取った行動とは?「政治的妥協」という形で真相究明の道を閉ざされた事件の背後には、一体どんな「真実」が隠されていたというのか・・・?
大学院生でありながら青年実業家である阿部トオルはある日、日本の芸能界での成功を夢見る韓国人男性ヨンと出会い恋に落ちる。しかし、ヨンがモデルとしてデビューを果たしたその夜、何者かに殺されてしまう。そして、物語は20年前に起きた殺人事件や、トオルの周辺で起こる連続失踪事件とクロスしながら、意外な方向へと展開していく・・・。
ごく普通のOL・寧子。しかし、かつて義父に性的虐待を受けた過去を持つ彼女は、そのトラウマを忘れられず、生身の男性と触れ合うことに嫌悪感を抱えていた。そんな彼女が唯一自分を解き放てるのは、インターネット内だけ。文字だけの会話で行われるバーチャルセックスに自らを慰めつつ、深い孤独と満たされない欲望を抱えながら、彼女は日々をやり過ごしていた。
フリーターの姉・葉月と女子高生の妹・呼春は、母の佐和と3人暮らし。14年前に女の人を作って家を出て行ったきりの、父の記憶はほとんどない。ある日、佐和から「離婚したお父さんがもうすぐ死ぬから会いに行って、ついでにその顔を写真に撮って来てほしい」と告げられる。
不自由な安定主義のマニュ(ケフィ・アブリック)は、いつものように出勤するが、ここ最近、通勤途中で箸にも棒にも掛からない絵を並べている東洋人の女ソラ(長嶋美沙)をよく見る。興味本位で話かけてみるが生意気な態度なソラ。軽く対抗してみたマニュだが結局相手のペースにはまっていらない絵を買ってしまう。その日の夜の帰宅途中、マニュは毛布にくるまっているソラを発見してしまう。ソラは不安定な自由を掲げ放っといてほしいと言うがマニュは放っておく事ができない。
パリのホテルにこもって最新作を執筆中の小説家と、作家志望の若き愛人。ローマ滞在中のイタリア嫌いのアメリカ人と、娘を奪われて人を信用できない女。ニューヨークのホテルで客室係として働きながら、現代アーティストの元夫から息子を取り戻そうとする元女優。一見、何の接点もないようなエピソードが、クライマックスに向けて衝撃的なかたちで交差していく。3つの物語が一つに重なるとき、思いも寄らない真実が浮かび上がり、ラブストーリーを超える愛と絆が観る者の胸を締め付ける。
横浜の一角で運命的な出会いをした忠志と裕子。ふたりは度重なる偶然の出会いをきっかけに急速にお互いを意識し始め、デートを重ねる度に精神的に魅かれ合って行く。だが、それぞれには家庭があり、いけないと思いながらも互いの感情を抑えられなくなってきた頃、双方の家族にお互いの存在が知れてしまい……。
真生(まお)は幼い頃、超能力少女として一世を風靡したが、その後表の世界から姿を消し、今は売春婦として生きている。肌が触れることで、相手の死期が分かる真生。死におののく人々の恐怖を少しでも取り除くため体を差し出す真生の前に、立花という男が現れる。死を怖くないという真生、そして死はすべての終わりだという立花。彼らの反発しあう魂はやがて寄り添い始めるのだが…。
妹に付き添って、パリ観光にやって来たカメラマンのセン(向井理)は、パリに着くなり、単独行動をしたいと言う妹スズメ(桐谷美玲)に置き去りにされてしまう。泊まるはずのホテルもわからず途方にくれるセンだが、落としたパスポートが踏まれて破れてしまい、さらに困った状況に……。踏んだ靴の主は、パリでフリーペーパーの編集をする日本人女性、アオイ(中山美穂)だった。パスポートを踏んだために、ヒールが折れてしまったアオイの靴を、接着剤で直すセン。感謝したアオイは、困ったときのために自分の連絡先を渡す。 スズメと連絡がとれないセンは、しかたなくアオイに電話をかけ、その夜、ふたりは食事をすることになる。話がはずみ、酔っぱらってしまったアオイを、自宅まで送り届けるセン。結局、ホテルに戻れなくなったセンはアオイの部屋に泊まってしまう。そのころスズメは、パリに住む恋人のカンゴ(綾野剛)を訪ね、久々の再会を果たすも、カンゴの態度はどこかぎこちない。 センはカメラマンとしてアオイの取材にも同行し、パリを満喫していく。ヒールが壊れた靴のまま歩き、「新しい靴、買わなくちゃ」とつぶやくアオイを、センは優しく見つめる。やがてふたりは、誰にも言えなかった思いも打ち明け合うのだった。なぜひとりでパリに暮らしているのか。これからもカメラの仕事を続けるべきなのか。抱きしめ合うふたりの気持ちはひとつになっていく。このまま離れたくない……。
遥か昔、地上の争いに嫌気がさし、空に移り住んだ人たちがいた。彼らはそこを「ソラ」と呼び、この星とともに悠久の時を過ごしている。そんな安らぎに生きる彼らの中にも地上に興味を持つ者がいるらしい。今回もまたひとり、地上に天使が舞い降りて来た。彼女の名はレイカ。しかし、彼女は任務として嫌々やって来たまで。彼女の目的は、地上で行方不明になったもうひとりの天使ルナを見つけ、ソラに連れて帰ること。一方天野マコトは普通の女子高校生。文化祭に向けて自主映画を撮ろうとしているが、いったい何を撮るべきか思いつかない。そんな折、文才があるという転校生がマコトの前に現れる。彼女の名はレイカ。レイカに自主映画の脚本を頼もうとするマコト。そんなマコトに向かって、自分はあなたをソラに連れて帰るためにやってきた天使だと告げるレイカ。はたしてレイカは無事ルナをソラに連れて帰る事ができるのか?
児童養護施設で生まれた少年・伊達直人は、ミスターX(哀川翔)に才能を見出され、訓練施設 虎の穴で特訓の日々を送っていた。10年後、逞しく成長した直人(ウエンツ瑛士)は、最強の闘士「タイガーマスク」の候補に選ばれる。人の力を限界以上に引き出す特殊マスクを纏い、同期生と共に多額のブラックマネーが飛び交う地下格闘界でデビューを果たした直人。そんな矢先、直人はちびっこハウスの幼なじみ若月ルリ子(夏菜)と再会を果たすのだった。
雅人とノブは甲子園常連野球部の補欠部員。出場メンバーの当落線上ギリギリの2人はあの手この手でベンチ入りを企てるが、鬼監督サンダーから命じられるのはライバルチームの偵察など雑用ばかり。挙げ句、超有望株の新入生が入部し、残された席はあと一つ…。今まで支え合いながら頑張ってきた親友同士の2人は、最後の夏の甲子園ベンチ入りを懸けた熾烈な争いを決意する―。
明治40年、不作のため困窮を極めた谷村家では、7つのおしんが奉公に出される事となる。初めは家族と離れる事に抵抗したおしんだが、母のふじがおしんを手元に残すために冷たい川に浸かり、お腹の子どもを堕胎しようとする姿を見て、おしんは奉公に出る覚悟を決めるのだった。最初の奉公先の中川材木店では、早朝から夜遅くまで、働き詰めの毎日を強いられた。女中頭・つねのきついしごきに耐えながら、おしんは我慢強く奉公を続けた。しかし店の財布から50銭銀貨がなくなり、盗みの疑いをかけられたとき、吹雪の中、黙って店を飛び出してしまう。山中で雪に埋もれていたおしんは、俊作という漁師に命を助けられる。山奥で松造爺と住む俊作に、読み書きや算術、ハーモニカなど、いろいろなことを教わり、満ち足りた時間を過ごした。やがて山に春が訪れて、俊作たちとの別れの日がやって来る。おしんは2番の奉公先となる酒田の米問屋・加賀屋の門を叩いた。木材店で仕込まれた根性を発揮して健気に働くおしんは、大奥様のくにから可愛がられた。加賀屋には跡取り娘の加代がいた。あるとき、加代の部屋にあった本がどうしても読みたくて、軽い気持ちで持ち出したおしんは「泥棒」と厳しく糾弾される。くにや加代との出会いから、いろいろなことを吸収して一段と成長したおしんだが、またもや居場所を失くしてしまうのか・・・。
夏、蓼科の別荘に避暑にやってきた老女優、蓉子。彼女をその別荘で迎えるのは農婦の豊子。もう30年もの間続いてきた光景だ。言葉は乱暴だが、仕事はきっちりこなす豊子に蓉子は信頼を寄せている。そして、今年の夏も、いつも以上にいろいろなことが彼女たちを待っていた・・・。豊子の娘あけみは、実は蓉子の亡き夫の子だという告白から、互いの心の中が変化していく・・・。
1879年、良家の長男として生まれ育った荷風。父の意向に反し、早くから文学の道を志した荷風は、やがて玉ノ井の娼家でお雪と出会う。世の中の底辺に生きながらも清らかな心を持つお雪に、荷風は運命的なものを感じ、57歳にしてついに結婚の約束をするが・・・。
70歳の安吉は、妻に先立たれ、40歳になる嫁ぎ遅れの長女・徳子と暮らしている。長男、次女は家を捨てたも同然で別居しており、躁鬱病の徳子だけが父の世話をしている。徳子は自分が婚期を逃したのも病気になったのも父のせいと言ってはばからない・・・。
17歳になったチンプは、兵役前のひとときを大いに楽しんでいた。タバコにお酒、バイクにギター。そして何より一番の関心毎は女の子。奥手のチンプにも遠くから想いを寄せる少女がいた。真夏の夜のダンスパーティー、初めてのキス、不器用な愛の告白。浮足立った毎日に、胸の鼓動は高鳴るばかり。しかし家では、父親が酒に溺れ、しびれを切らした母親は、ついに妹を連れて村を出てゆくのだった。
大正時代末期、広島の石内尋常高等小学校では、5年生の担任、市川先生(柄本明)が全力で生徒たちと向き合っていた。30年後、東京で売れない脚本家となっていた良人(豊川悦司)は、市川先生の定年祝いに出席。戦争をはさんで集まった同窓生それぞれの人生を目の当たりにした良人は、自身のふがいなさにがく然とする・・・。