この貸部屋は、昔住んでいた夫婦が亡くなったあとも留まり、入居者に取り憑いて命を奪うという曰くつきの物件だ。ある日、友人サンの紹介で何も知らずに入居したチュム・ノアとリン夫婦は、足を踏み入れたその日から災難に見舞われ始める。常に悪霊が彼らを追い詰め、この状況から抜け出そうとしても簡単には逃げられない。この窮地から脱出する方法を今すぐ見つけなければ命を落とすことになるが…。
3人の息子を不可解な死で失ったテアンは、残された家族を守るべく風水師に助けを求める。悲劇の原因は、富を求めて父アゴンを間違った方法で埋葬したことによる報いだった。父による呪いを解く唯一の手段は、墓を掘り返し正しく葬り直すこと。だが、さらなる不幸が起こり儀式は100日間延期となる。末息子トリーの命が脅かされるなか、テアンは家族を守り抜けるのか。実在の風水師の体験に基づく、カンボジア発の衝撃ホラー。
医師ロメオ(アドリアン・ティティエニ)には、イギリス留学を控える娘エリザ(マリア・ドラグシ)がいる。彼には愛人サンドラ(マリナ・マノヴィッチ)がおり、家庭は決してうまくいっているとは言えない。ある朝、ロメオは車で娘を学校へ送っていくが、校内に入る手前で降し、彼女は徒歩で登校することに。しかし白昼人通りもあるなかで、エリザは暴漢に襲われてしまう。大事には至らなかったが、娘の動揺は大きく、留学を決める翌日の卒業試験に影響を及ぼしそうだ。これまで優秀な成績を収めてきたエリザは、何もなければ合格点を取り、大学で奨学生になれるはずだった。ロメオは娘の留学をかなえるべく、警察署長(ヴラド・イヴァノフ)、副市長、試験官とツテとコネを駆使し、ある条件と交換に試験に合格させてくれるよう奔走する。しかしそれは決して正しいとは言えない行動で、ついに検察官が彼の元へやってくる…。
中国・上海在住のコピー・ライター、デヴィッドは作家を目指しながらも現在はアルコール依存症に陥り、自堕落な負け犬人生を送り続けている。そんな日常に焦燥感を覚えて久しい彼が、ある時、見知らぬブロンド女性にタバコを1本おごったことから会話が始まり、気がつくと一晩のガイド役を引き受けることになっていた。ネオンに照らされた美しい夜の上海。2人は道に迷いながらも、自転車に乗って目的地の廃墟にたどり着く。中に入り、かつて住んでいた人たちのことを想像しては思いにふけったあと、さらに地図を頼りに夜の上海を散策し続けては、“想像”という名の創作の翼を広げていく。だが、些細なことから仲違いが生じてしまい…。
第二次世界大戦も佳境を迎えた1944年。北大西洋を航行中のジョン・ナイト号が魚雷攻撃を受け、海に沈む。その船内には、ナチスの極秘情報を握る英国人女スパイ、ラルーが乗っていた。彼女はナチスに拉致され、第4収容所へ移送されるとの情報が、英国HQ第12戦闘機隊にもたらされる。これを受け、連合軍は“フェニックス作戦”を発令。マーフィ少佐率いる混成部隊を派遣し、ラルーと機密情報の奪還を目指すという、およそ成功の見込みの薄いミッションだった。だが作戦は、すでに収容所からの脱走に成功していたランド大尉ら2人の米軍捕虜をあえて再び収容所へ戻し、内部から暴動を起こさせるという大胆な策に出る。さらにジーナ率いるフランス・レジスタンスの協力を得て、作戦は一気に決行されるが…。
2歳の愛娘エミリーの子育てに忙殺される主婦カーニーは、かつての会社の上司から復職を勧められているが、なかなか時間が取れない。かつて情緒不安定に陥っていたことがある彼女は、夫ニックの不倫を疑って以来、夫婦仲もどこかぎこちなくなっていた。そんな折、大学を退学したという知り合いの青年マットがベビーシッターを買って出てくれたことで、カーニーはようやく復職を果たすことができた。しかし、ある時、マットの家を訪れたカーニーは、彼の机の引き出しの中から彼女の下着や写真などが出てきたことに驚愕する。糾弾されたマットは逆にニックの不倫を示唆し、カーニーもまたその証拠となる携帯を発見、再び情緒不安定に陥っていく。
東テキサス州の小さな町で暮らすドンナ・マーティンは、親を必要とする子どもたちの存在を知り、夫のマーティン牧師と共に里親制度の現状に向き合う。深刻な虐待やトラウマを抱え、誰にも引き取られない子どもたちが多くいることを知った二人は、教会の家族たちに養子縁組を呼びかける。やがて22の家庭が立ち上がり、合計77人の子どもたちを迎え入れるという前例のない取り組みへと発展。小さなコミュニティが示した揺るぎない愛と行動が、弱い立場の子どもたちに希望をもたらしていく。
文化大革命の混乱の中で青春時代を過ごしたミン・ワンは、アメリカへ移住し、あらゆる困難を乗り越えて世界的に知られる眼科医となる。そんなある日、継母によって視力を奪われた盲目の孤児が彼の前に現れる。少女を救うため奮闘する彼は、封じ込めてきた祖国での辛い記憶と向き合い、若き日に培った不屈の精神を再び呼び起こしていく。過去の傷と現在の使命が交差する中、彼は少女の“光”を取り戻すための挑戦へと踏み出す。
<死の天使>と呼ばれたナチス医師ヨーゼフ・メンゲレは終戦後、南米で潜伏生活を送る。ナチス時代の仲間たちが次々と逮捕される中、彼は戦犯を追及するモサドの網を狡猾にくぐり抜け、ゆがんだ思想を抱えたまま、日常の世界に溶け込んでいく…。
美大生の青年アドナンは夏のあいだ、叔父の洒脱な自宅で留守番をするためにニューヨーク・ブルックリンにやって来る。同時にギャラリーでインターンを始めるが、そこで展示されているのは、去年の夏、彼が出会った奇抜な刺繍アーティストの作品だった。過去と現在が交錯し始めるなか、官能と創造の出会いの連なりが、アドナンの日常の輪郭を曖昧にしていく。
2018年12月、登山家のアリはカーステンを誘い、現地の登山家カーンと共に、インド・ヒマラヤで最も人里から離れた谷にある未踏の氷瀑を探すために旅立つ。アメリカからインド・ニューデリーまで飛行機で22時間、そして危険極まりない切り立った崖沿いの悪路を車で65時間かけてスピティ渓谷へ。彼らの目的は地元に暮らす先住民とアイスクライミング運動を支援することだった。だが、現地に着いたものの、氷瀑どころか、氷すらなく、彼らの当ては外れてしまう。予想外のことが次から次へと起こる凄まじい旅。果たして登山家たちの思いは叶うのか?目指す氷瀑はあるのか?その様子をカメラは追っていく。
もともと役者を夢見ていたマックスは、今やハリウッドで敏腕タレント・エージェントとして多忙な日々を送っていた。そんなある日、亡き叔母から、カナダ・ブリティッシュコロンビア州オカナガンバレーにある、桃の果樹園を相続したという知らせが届く。両親からも好きにすればいいと言われた彼は、売却する気満々で現地へ向かう。しかし到着早々、近所に暮らす自由奔放な娘オリーヴが、果樹園の木に全裸で自らを縛りつける騒動に遭遇。早々に片づけてロサンゼルスへ戻りたかったマックスだったが、叔母が地元の人々に深く愛されていたことを知り、オリーヴやその兄と交流を重ねるうち、仕事に追われ続けてきた自分の人生を見つめ直し始める。
ブラジルの小さな田舎町。サッカー少年だったルーカスは、事故によって車イス生活を送っていた。1年ぶりに復学した学校でも、歳下ばかりのクラスに馴染めず孤独を抱える中、気さくに話しかけてきた少女ライースと仲良くなる。トラック停車場で朝食を売る母と祖母と暮らす彼女は、一度も会ったことのない父親の存在に複雑な思いを抱えていた。そんな中、父親の唯一の手がかりである写真のトラックを、16キロ先の旧道で見かけたという話を耳にしたライースは、ルーカスに父親探しを持ちかける。折しも父から電動三輪車を贈られたばかりだったルーカスは、彼女とともに小さな旅へ出ることに。書き置きだけを残して姿を消した2人に、家族たちは大騒ぎとなるが…。
セラピーを受けながらも盗癖を止められず、日常的にスリを繰り返しているベッキー。ある日、観光でアテネを訪れていた英国人刑事の財布とパスポートを盗んだことから、彼女は追われる身となる。逃げ込んだ電車の中で、ベッキーは一人の女性に強く惹かれる。彼女の名はミランダ。気まぐれで自制心に欠け、自分が欲しいと思ったものは必ず手に入れようとするベッキーは、その日からミランダを執拗に追い始める。セラピストから“ストーカー行為”だと警告されても、その衝動を抑えられない。一方、突然見知らぬ女に付きまとわれることになったミランダは、戸惑いながら街をさまよう。そして財布を盗まれた英国人刑事も、“英国の沽券に関わる”と意地になってベッキーを追跡していた。
5ヵ月前に母親が亡くなって以来、アンジェラは父親と幼い妹クロエ、反抗期の姉ベッカと共に暮らしていた。しかし、母親の死を引きずり精神が不安定だったアンジェラは、同級生と揉めて暴力を振るった動画が拡散されたことで自宅学習を余儀なくされていた。ある日、アンジェラは姉の様子が急激に変わり始めたことに気づく。最初は奇妙な言動だったものが、次第に異常な行動へとエスカレートしていく様子を見て、これはただの反抗ではなく何か得体の知れない力に取りつかれているのではないかと感じ始める。自分の軽率な行動で家族に迷惑をかけていることを気に病んでいたアンジェラは、家族との平穏な生活を取り戻すために奔走する。
黒人、ユダヤ人、ネイティブアメリカン、白人など、複数のルーツを持ち、ろう者でもある映像作家イーライ・スティール。彼は長年、“人種の違いは、それほど重要なのか?”という問いを抱えながら生きてきた。そんな彼には、メキシコ系の妻との間に、息子ジャックと娘ジューンがいる。複数のルーツを感じさせる外見のジューンに対し、ジャックは黒人として見られる容姿をしていた。そして、彼らが暮らすロサンゼルス第一学区では、学校入学の際、「第一人種」と「第二人種」の記入が義務づけられていた。さまざまな血を受け継いできたイーライは、“空欄”のまま提出できないか模索するのだが…。
救急救命士のヘイリーは、銃創を負った少女アシュリーを搬送中に亡くして以来、幻覚や悪夢に悩まされていた。救急車の後部で患者と向き合うことに恐怖を覚えるようになった彼女は、ある通報現場でドラッグに酩酊した男に刃物で切りつけられ、腕を負傷。本部から内勤と精神鑑定を命じられるも、上司の取り計らいによって現場へ復帰する。そんな中、自殺を図った末期の前立腺がん患者のドラッグクイーンから、「独りぼっちで生きるのはつらいだけ。終わらせてほしい」と懇願されたヘイリーは、ためらいながらも安楽死の注射を打ってしまう。到着時にはすでに死亡していたと報告し、一線を越えた彼女は、やがてドラッグの売人から安楽死薬を入手し、危険な世界へと足を踏み入れていく。
妻に去られ、カウンセラーの職も失ったデイブ。故郷へ戻った彼は、叔母パティの家で暮らしながら、保守的なキリスト教系大学の非常勤講師として再出発する。ある日デイブは、地元のLGBTQサポートグループが、ホームレスの若者向けシェルター開設のため資金集めを行っていることを学長から聞かされ、その実態を探るためグループへの潜入を命じられる。大学ではキリスト教の教義に基づき、同性愛を否定する教えを説く一方、グループ内ではゲイを装って潜り込むデイブ。しかし、そこで出会った人々、とりわけ亡き兄の遺志を継いで活動するリーダーのアリッサと交流を重ねるうちに、彼の中で長年抱いてきた偏見や価値観が、少しずつ揺らぎ始めていく。
幼い頃から不運に見舞われ続けてきた初老の男ウーゴが、“敗者のたまり場”と呼ばれるバーで、彼の上司でもあったオットの死と、その後の騒動をめぐって雇われた探偵を相手に、自らが巻き込まれた事件について語り始める。かつてウーゴは、一人の女デリアを愛していた。彼女がオットの妻とは知らぬまま誘惑され、次第にその魅力に溺れていく。一方、オットの右腕的存在だったミネッティは、やがて彼を押しのけて出世。さらにオットの三姉妹と手を組み、オットの家の財産を狙っていた。そんな中、デリアから助けを求められたウーゴだったが、実は彼女とミネッティが裏でつながっていたことを知り…。
ヘンリー・チョンは友人アンガス・トンと共謀し、両親を殺害、遺体を切断。二人の犯行は決定的と思われたが、アンガスの否認によって全てが揺らぎ始める。弁護人と検察官の攻防。ヘンリーの兄やアンガスの姉の証言。9人の陪審員による議論。真実はどこ?それは誰にとっての正義?結審した事件にも関わらず、映画を見ているうちに観客も陪審員となり、その判決は正しかったのか、今もなお蠢く謎に直面する!
ソウルを旅する謎めいたフランス人女性イリス。フランス語の個人レッスンをしている彼女は、生徒たちの家を渡り歩くが、あまりに風変わりな教え方に、人々はみな戸惑うばかり。レッスンが終わると、彼女は年下のボーイフレンドの家へと帰っていく。イリスは何をしに韓国へやってきたのか。なぜフランス語を教えているのか。韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩に触れるなかで、徐々に彼女の謎に満ちた日常が浮かび上がっていく。
演劇祭が間近に迫るソウルの女子大学。校内の恋愛スキャンダルの穴埋めをするため、テキスタイルアーティストであり、講師として働くジョニムは、有名な俳優で舞台の演出も手がける叔父のシオンを臨時の演出家として招聘する。演劇祭に向け寸劇作りがスタートするが、学生たちの恋愛事件の余波や、先輩の大学教授とシオンとの新たな恋の予感など、10日の間にさまざまな出来事が巻き起こる。
大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生ふたりを連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、ひとりの女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出す。やがて、海辺での撮影が静かに始まる――。
ある二人の人物が、二つの家でそれぞれに過ごす一日。ひとりは、友人の家に居候する休業中の女優サンウォン。もうひとりは、小さなアパートで一人暮らしをする詩人のホン・ウィジュ。彼らのもとには将来への不安を抱く若者たちが訪れ、さまざまな質問を投げかける。そんな折、サンウォンの友人の飼い猫がふと姿を消して──。交わりそうで交わらない、二人の一日が静かに並走していく。
詩人のドンファは、恋人ジュニを家まで送り届けた際、玄関先で彼女の父と鉢合わせ、思いがけずジュニの家族と一日を過ごすことになる。初めはぎくしゃくしていたが、ジュニの家族に家や近所を案内され会話を重ねるうちに少しずつ距離を縮めていく。やがて一家が揃う夕食の席で、勧められるまま酒を口にするうち、緊張から酔いが回り、次第に気まずい雰囲気が漂いはじめる。
過去に罪を犯し刑務所から出所したコナーは、静かな生活を取り戻そうと慎ましく日々を送っていた。 孤独だが更生を望む彼の前に、ある日、海辺にマリリンという美しい既婚女性が現れる。 偶然の出会いから始まった二人の関係は、急速に親密なものへと変わっていく。 マリリンは裕福だが冷酷な夫との結婚生活に苦しんでいると語り、コナーは彼女に同情し、強く惹かれていく。 しかし、関係が深まるにつれ、マリリンの言動にはどこか不自然な影が差し始める。 彼女の語る「被害」は本当なのか、それとも巧妙に演出されたものなのか。 コナーは次第に、愛情と疑念、欲望と恐怖の間で揺れ動きながら、取り返しのつかない選択へと導かれていく。
少女の教育が反抗と見なされる国で、夢は不可能だと言われてきた若者たちに、ある女性が未来を信じる力を示そうと立ち上がる。彼女が率いる精鋭チームは世界的な注目を集め、希望を広げる一方で強い反発と危険も増していく。脅威が迫る中、彼女たちは犠牲を払いながらも前に進み、決意と勇気があれば最も暗い障害さえ乗り越えられることを証明しようとする。その歩みは、国に新たな変革をもたらす運動へと火を灯していく。
苦しい過去に囚われ、自己破壊へと傾いていく少年ネイト・ウィリアムズ。高校教師スタン・ディーンは、彼が車中生活を送り投獄されていることを知り、保釈金を払い引き取る決断をする。善意から始まった行動は、ネイトの心を蝕んできた暗い秘密と向き合う闘いへと変わり、二人は互いの限界に迫られていく。ネイトが絶望の淵に沈む中、ディーン先生は彼を救うためにどこまで踏み込む覚悟があるのか、自らの信念を試されることになる。やがて二人の絆は、過去の闇を越えようとする希望の光となり、壊れかけた少年の未来を取り戻すための最後の支えとなっていく。