独り暮らしのカウボーイ、ローガンはクロスロード・マーケットでヒッチハイクをしていた女性を車に乗せ、高熱で咳込んでいた彼女を気遣い、自宅に招いた。落ち着いた環境の下で徐々に回復していく彼女は、やがて自分のことを語り出す。もともとはシンガー・ソング・ライターだったが、ルームメイトの死を殺人と疑ったことを機に旅に出たという彼女は、スマホも持たないシンプル生活ながら、夜になるとうなされるローガンに興味を抱く。やがて彼がアフガニスタンに二度出征し、PTSDを患った帰還兵であることを知る。彼女もまた自分の名前がジェーン、通称スターであることをローガンに告げた。ローガンも亡き母の思い出を語り出す。その後も2人は対話を重ね…。
ウェルネス商品を扱うグッドウェル社で働くジュリエットは、クリスマス直前にもかかわらず、上司からヒット商品を生み出すよう命じられる。時間がない中、街へアイデアを探しに出た彼女は、特別なクリスマスキャンドルの企画を思いつく。キャンドルショップのオーナー兼職人であるトムは、かつて企業とのコラボレーションで苦い経験をしたことから、ブランドイメージを守れないと一度は断る。しかし経営難の現実もあり、最終的にジュリエットと手を組むことに。マーケティングデータを重視し、何事も計画通りに進めようとするジュリエット。一方のトムは、感性を大切にする自由なタイプで、気分転換と称しては外へ出てアイデアを練ろうとする。正反対の2人は衝突を繰り返しながらも、トムの娘オリーブの後押しもあり、企画は次第に軌道に乗っていくのだが…。
国境を越えて活動する国際特殊警察ISOPの精鋭部隊は、各地で多発する児童誘拐事件の捜査に当たっていた。ある誘拐犯グループの摘発を皮切りに、事件は単なる犯罪の域を超え、国際規模へと拡大していく。やがて各国で同時多発的に子供たちが姿を消し、その数は不可解にも共通して“44人”。さらに現場周辺では、動物の死骸や異様な“かかし”のような存在が確認されるなど、説明不能な現象が相次ぐ。任務にあたる中、隊員ジェマは幻覚や予兆のようなビジョンに悩まされ、次第に現実と異常の境界が揺らぎ始める。そしてついに、子供たちは異様な状態で発見され、世界は制御不能な混乱へと突入していく。それは単なる事件ではなく、人類の秩序そのものを揺るがす“何か”の始まりだった――。
安史の乱後、混乱の世を生き延びた元武官で山犬(ジャッカル)と呼ばれる裴興(ペイ・シン)は、法外の徒を捕らえて賞金を得る“捉刀人”として日銭を稼いでいた。ある任務で、賊に奪われた“荷”が財宝ではなく女・柳貞(リウ・ジェン)であると知ったことから、彼は思いがけず相府の権力者・郭仲翔(グオ・ジョウシアン)が追う幼子を巡る陰謀に巻き込まれていく。子どもを手に入れた裴興は、当初の取引を翻し、その命を守ることを選ぶが、かつての戦友や凄腕の捉刀人たちから追われる身となる。血と暴力が支配する江湖の中で、刃で生きてきた男は初めて自らの意思で戦いに身を投じる。
隣に住むヴィオレットとフローレンス。一見とても普通の生活を送っているが、ヴィオレットは育児休暇中で辛い日々を送り、フローレンスも仕事も夫ともセックスレスでうまくいっておらずうつ状態。ある日、カラスの騒音から二人の交流がはじまり、それぞれの満たされない気持ちや不満を話すうちに意気投合する二人。お互いに様々な業者の人たちを誘惑して密やかに快楽を追いはじめたり、自分自身を見つめ直すことに。しかし、刺激的だったはずの“遊び”が二人の間に微妙な温度差を生み・・・
1999年。あなたの本当の想いに触れて、僕は僕を知った。ざらついた記憶に宿る故郷の景色と、母の無償の愛――若くして恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは、赤ん坊の息子ドンヒョンを連れてカナダのバンクーバー郊外へと移住する。ソヨンは工場で働きながら、言葉や文化の壁、人種差別に直面する日々の中、懸命に息子を育てていく。やがて16歳となったドンヒョンは英語名“デービッド”を名乗り、すっかりカナダでの生活になじんでいた。しかし、彼の心の奥底では自身のルーツ、特に一度も会ったことのない父親の存在への思いが次第に募っていく。そんなある日、二人に届いた衝撃的な知らせをきっかけに母と息子は初めて韓国へ帰郷し、悲しみの過去と対峙することになる――。
ハロウィンの夜、ミラー刑事の携帯に謎の男から電話が入る。指定されたのは管轄内のある通り。「午前1時5分までに来い」。ミラーと相棒が1分遅れて現場に到着すると、そこにはすでに死体が横たわっていた。直後に再び電話が鳴り、「今回は惜しかったな」と告げられる。犯人はその後も手がかりをほのめかしながら次々と殺人を重ね、犯行のたびに「遅いぞ」と挑発。警察の捜査網をあざ笑うかのように姿をくらます。被害者に共通点はなく、恨みもないという無差別犯行。しかも現場はなぜか、必ずミラー刑事が駆けつけられる距離ばかりだった。未解決事件や私怨の心当たりもないはずなのに、なぜ犯人はミラー刑事の携帯番号を知っているのか。連続殺人犯が残した謎の言葉「3.3マイル」。その意味を追ううちに、昨年のある事件との関連が浮かび上がってくる。
役者のジェイクは、映画の撮影のためオハイオ州・シンシナティを訪れる。子役時代から活躍してきた彼はちょっとした有名人だが、私生活は薬物依存ですっかり破綻していた。撮影現場でも酒とドラッグに溺れ、監督が監視役をつけるほど。それでも夜になると目を盗み、地元の若者たちのドラッグパーティーに参加するなど、行動は一向に改まらない。薬物に依存してしまうのは、本当の自分を誰にも理解されない寂しさからだとジェイクは語るが、その言葉は周囲には届かない。そんなある日、モーテルで出会ったプランドンとともにハイになった彼は、停泊中のボートを盗むという騒動を起こし、逮捕される。度重なる問題行動に、監督やスタッフたちはついに呆れ果ててしまう。
生花店で働くソフィは、初めて出版した小説がベストセラーとなり大喜び。だが、今後は大物とのインタビューや出版ツアーが控えていることから、エージェントは人前で話す訓練のためにスピーチコーチのダニエルを雇う。勝気なソフィは「必要ない」と突っぱねるが、記者会見でうまく話せず大失敗。仕方なくレッスンを受け始めることに。当初は彼を信用していなかったものの、優しく誠実に向き合うダニエルに次第に心を開き、やがて好意を抱くように。だがダニエルは、自身の番組の脚本サンプルとして、ソフィに内緒で彼女とのレッスンを題材に書いていた。その事実が発覚し、ソフィは激怒してしまう。
亡き母を偲ぶため、クリスと息子のジョンは山へ向かっていた。しかしジョンは、父とは別に一人で頂上を目指すことを決める。川に花束を手向けた後、山道を歩いていたクリスは、危うく車とぶつかりそうになる。運転していた中年女性のジュリーが動揺している様子を見て、クリスは彼女を安心させようとお茶に誘い、次第に親しくなっていく。定年退職後、鬱々とした日々を送っていたジュリーは、クリスとジョンの言葉に背中を押され、山歩きを始めるようになる。一方、食堂で働くウェイトレスのケイトはあと1週間で街を離れることに。忙しさから山歩きができなかったことを悔やみ、仕事を休んで急きょ山に登り始める。そんな彼女に親友のアシュリーが付き添う。5人はそれぞれの思いを抱いて山登りを始めるが…。
売れない役者でゲイのレオナルドは、仕事も恋も思うようにいかず、人生の波動を整えようと悪戦苦闘中。誕生日を明日に控えた彼は、しばらく音信不通だった元カレのクリストから突然のメッセージが届き、期待と不安が入り混じる中、何とか自分を変えようと奮闘する。クリストから復縁を求められたらきっぱり断るつもりでいたが、実際にできるか怖くなり心を落ち着かせるため10分間の瞑想をしようとしていた。しかし、姉オルラがクリスマスツリーを持ってやってきて、なかなかそれも果たせない。そこでヨガ・トレーナーのサヴァンナの家に赴き、ようやく目的達成。さらには重要な役のオファーも舞い込んできた。その勢いに乗せ、いよいよクリストに会おうとするが…。
女流作家のシャーロットはローリーと幼馴染みで大の親友。2人は30歳までお互い独り身だったら結婚しようと約束していた。だが29歳のとき、ローリーは南米を旅行したいと旅に出る。1年後。シャーロットは仕事で出会った霊能者に、「長く知っていて、絆がある相手との結婚が現実になるだろう」と言われ大慌て。偶然にもそのあとすぐ、30歳の誕生日を地元のマイアミで迎えるため帰郷したローリーから連絡が入る。さらに彼から「運命の人と落ち着きたい」と言われ、シャーロットはてっきり自分のことだと思うが、相手は旅先で出会ったレイチェルという女性だった。挙式まで3週間。そんな中、シャーロットはローリーに結婚式の準備を手伝って欲しいと頼まれるが…。
家族経営のオルベリアニ・サーカスのナティアは、妹デディカとコンビで看板スターとして一座を支えていた。しかし母の死後、サーカスは存続の危機に陥り、ナティアが一座の未来を一身に背負うハメになる。日に日に廃れていくサーカス一座。そんな時、ナティアの前に、犬のバディムを連れた男ヴォロシンが現れる。ヴォロシンとバディムの新たな演目は観客やメディアの関心を呼び、一座は息を吹き返すが、ナティアは謎の多いヴォロシンのことを信用することができなかった。ある日、デディカに対して不審な行動を取ったヴァロシンに危険を感じたナティアは、ヴァロシンを銃で撃ってしまう。すると主を撃たれたバディムがナティアに襲いかかるが…。
好ましくない意味を持つ名前、性的な意味を持つ名前、面白い意味を持つ名前、有名人や悪名高い人物と同じ名前など、珍しい名前を持つ人々は、自己紹介や点呼のたびに注目を浴び、恥ずかしい思いをする。そのため身構え、不愉快な反応に備えているという。あるロシア由来の名字を持つ女性は、高校生になって男子から妙に注目を集めたことから、自身の名前が英語で性的な意味を持つことを知りショックを受けたことを明かす。他にも、 “ポール・マッカトーニー”と“リンダ・マッカトーニー”の名前を持つ夫婦が空港で間違われて受けた待遇など、珍しい名前を持つ人々に取材。名前によってどんな経験をしてきたのか、多種多様な実体験が明かされる。
ゲームに夢中のポロロと仲間たち。エディの発明で作られた不思議なゲームをしている途中、突然の事故でゲームの中のコンピュータ王国に吸い込まれてしまう。そこで出会った王子チチから、クモの王にさらわれた姫と危機に陥った王国の話を聞くポロロたち。果たしてポロロたちはコンピュータ王国を救い、無事に元の世界へ戻ることができるのか?
生存率0%、逃げ場のない洞窟で、敵対する者たちが“共通の絶望”に直面する。 第二次世界大戦中、タイ・ミャンマー国境。日本軍大尉アキラは、部下タムラらと鉄道建設に従事していた。そこには捕虜レンジャや、父を探す現地女性サナーの姿もあった。ある日、彼らは森の奥の洞窟で、伝説の怪物「Omukade(大百足)」に遭遇する。巨大な姿のみならず、人間に憑依し変幻自在に姿を変える怪物は、侵入者を無慈悲に狩り始める。本来は憎しみ合う敵同士の日本兵と捕虜だが、極限の暗闇で生き残るため、国境や立場を超えて手を組むことを決意する。任務と良心、復讐と生存。それぞれの想いが交錯する中、絶望の淵での決死のサバイバルが幕を開ける。
ロサンゼルスで核爆弾が炸裂し、前代未聞の混乱に陥る。元グリーンベレー隊員ジェフ・エリクソンとその家族は、山奥の“備え済み”コンパウンド「ホームステッド」に避難する。そこは極端に物資が備蓄された共同生活拠点であった。だが、外界からの暴力的な脅威だけでなく、限られた資源と追い詰められた人間関係という内的な危機もまた、彼らを蝕んでいく。断片化した社会の中で、家族・コミュニティ・愛とは何かを問われながら、人々は“本当のサバイバル”を生き延びなければならない。
群馬県高崎市でラーメン店を営む真人は、突然亡くなってしまった父の遺品から1冊の古いノートを見つける。そのノートには真人が10歳の時に亡くなったシンガポール人の母が書いた料理のレシピや写真などとともに、さまざまな思い出が込められていた。真人は忘れかけていた過去を埋めるためシンガポールへと旅立つ。
セレブの放蕩息子ショーンは、一夜を共にした少女を薬物の過剰摂取によって死なせてしまう。その後も問題を起こしていたショーンだったが、そのたびに父親が彼の尻拭いをして刑務所行きを免れていた。そんな父親の努力はかえってショーンを傷つけ、30歳になった今、彼は無気力な人間に成り下がっていた。そんな中、ショーンは裁判所の命令によりダルトン教授が始めた依存症回復のためのリハビリプログラムに参加することに。当初はダルトン教授による厳しい指導に反発していたショーンだったが、彼女の真摯で妥協のない姿勢に次第に心を開き、2人の間には師弟関係を超えた感情が芽生えていく。その関係はすぐさまショーンの父親にも知られ、やがて究極の選択を迫られる。
不妊治療専門医ハンは、ヒトにネコを懐胎させるという臨床試験を行おうとしていた。この前代未聞の実験に、ハン医師はネコ専門テレビ局のFTVから資金援助を受け、患者の妊娠状況、家庭生活などドキュメンタリー撮影の許可を与えた。臨床試験はシルヴィア、ジョーン、マリア、ローズと、それぞれに事情を抱えた4人の女性被験者が選ばれ遂に実験が開始。しかし、スタッフとして協力していた獣医師テレサの元夫で接近禁止令中のダリルが、ハン医師とテレサの仲を疑い、病院に押しかけてくるようになってしまう。やがて、ダリルの手によって極秘の臨床試験は世に暴露され、SNSやメディア、動物愛護団体の非難と嘲笑と擁護が渦巻く中で、ハン医師たちは自らの研究の意味と倫理を問われていく。
地元で電気工として暮らしていたジャックは、怒りのコントロールに悩む問題を抱えていた。今も精神科のペズロウ医師の治療を受けるも“怒りのトリガー”は静まらず、至るところでトラブルを起こし警察から目を付けられていた。半年後、酒場でトラブルを起こしたジャックは、ペズロウ医師から今までよりも実験的なトレーニングの治療を受けることになる。新たな治療法に懐疑的なジャックだったが、母子共に世話になったペズロウ医師を信用して治療を受け入れることに。ところがその直後、ジャックは強盗の疑いで警察に連行され、さらに別の殺人事件の疑いまでかけられてしまう。身に覚えのない罪を訴えるジャックは、自らの手で潔白を証明しようと動きだすが…。
出版社を営むマイケルと、ギャラリーのオーナーで裕福な財産を持つ妻オリビア。周囲からは理想的な夫婦に見えていたが、内情は決して穏やかではなかった。子どもを望むオリビアは嫉妬深く、経営が思うようにいかないマイケルを経済的に支えてきたことで、どこか彼を見下していた。そんな折、マイケルの出版社に一本の小説原稿が届く。差出人は“ダコタ”と名乗るが、その正体は不明。疑念を抱きながらも、マイケルはその原稿にただならぬ才能を感じ取る。一方でオリビアは、「仕事が忙しい」と帰宅が遅くなる夫を疑い、嫉妬心を募らせていく。もともと作家志望だったマイケルは、その作品がベストセラーになると直感。そしてついに、ダコタの正体が、かつて自分が教師だった頃の教え子ダニエルであることを知るのだが…。
前科者で破天荒なボビーは、仕事を探していた弟ライアンを誘い、盗んだ車でニューハンプシャー州の田舎にある森のキャンプ場へ向かった。辿り着いた無人の古い小屋に入り込んだ兄弟は、買い出しに立ち寄った売店で、値段をごまかす主人と揉め事を起こす。その際、キャンプ場へ向かう若い夫婦ショーンとロザンナと出会い、車が立ち往生しているのを助けるふりをして接近する。やがて小屋に現れた本来の持ち主たちを、ボビーは問答無用で射殺してしまう。激昂するライアンをなだめたボビーは、弟とともに夫婦の小屋を訪れ、泥酔して勝手に風呂に入るなど、傍若無人な振る舞いを見せる。悪態をついて夫婦を怒らせた末にその場を後にするが、翌朝、死体を遺棄した森で、妻を捜すショーンと遭遇してしまい…。
マイケルは、気がつくと赤い服を着たスカーレットと名乗る女性の前に座っていた。とめどなくしゃべるマイケルに彼女は、「どうやって死んだか覚えてる?」と問いかけ、彼は徐々に自分に起きた出来事を思い出していく。空港で彼女にフラれ、高速道路を走らせていた最中、車内に落ちていた25セント硬貨を見つけ…。その時、マイケルはトラックに追突されて死んでいた。その瞬間を思い出して狼狽えるマイケルに、スカーレットはソウルメイトを見つけなければあの世には行けないと告げる。生きている時でさえ、ろくな恋愛も結婚できなかったマイケルに、死んでから相手見つけろという難題に反発するも、成仏するために魂活を始めるマイケルだったが、相手を見つけられないまま時間だけが過ぎていき…。
ジョージアに暮らす元教師のリアは、行方不明になったトランスジェンダーの姪、テクラを探すため、テクラを知るという青年アチとともに、トルコ・イスタンブールへと旅立つ。しかし行方をくらませたテクラを見つけ出すのは想像以上に困難だった。やがてリアは、トランスジェンダーの権利のために闘う弁護士、エヴリムと出会い、彼女の助けを借りることに。なぜテクラはジョージアを離れたのか。東西の文化が溶け合い異国情緒あふれるイスタンブールを舞台に、テクラを探す旅を通して、リア、アチ、エヴリム、3人の心の距離が、少しずつ近づいていく――。
寝る場所を求め街を徘徊するアルマンのもとへ、疎遠になっていた異母兄ギヨームが父の死を告げに現れる。彼らの父はボウリング場<サターン・ボウリング>の経営者であり、狩猟を趣味とするハンターでもあった。警察官として働くギヨームは、遺産として継いだボウリング場を職も家も持たないアルマンに委ねる。だが婚外子の自分を捨てた父への怒りを抱えたアルマンは、傍若無人な経営で揉め事を起こしてばかり。そんなある日、兄弟の周囲で若い女性を狙った連続殺人事件が発生。ギヨームは事件を追うなかで、底知れぬ暴力の螺旋へと足を踏み入れていく。
都会のオフィスで働くデニースは、慢性的な性欲不満を抱えていた。恋人との情事は中途半端に終わり、友人に不満を漏らす日々。そんなある日、骨董屋にある一脚の重厚なアンティークの鏡台(ドレッサー)を見つける。一目で気に入った彼女は、そのドレッサーを手に入れることに。その晩、早速鏡に向かい、指先で自分を愛でるデニース。鏡に映る自分自身の美しさに狂おしいほど魅了された彼女は、鏡に促されるように自分を慰め、いつしか自分に語りかける。 「あなたはキレイ。他人は要らない」この日を境に、デニースは鏡に導かれるように、自慰行為を繰り返すようになる。現実の男たちを「役立たず」と切り捨て、鏡台が演出する陶酔の世界へと深く沈んでいく彼女。自己愛と快楽の境界線が曖昧になっていく中、デニースの日常は少しずつ、しかし確実に変質していき…。
かつて“ロデオ界の伝説”と呼ばれたジョー・ウェインライトは、怪我と孤独を抱えながら娘サリーと孫コディと静かに暮らしていた。だが、コディの命を救うには高額な手術が必要だった。ジョーは限界を超えて再びブルライディングの世界へ戻る決意を固める。老いた体、恐怖、過去の痛みを抱えながら挑む最後の大会〈ラスト・ロデオ〉。仲間や宿敵との再会を経て、ジョーは真の「勝利」が何かを見つめ直していく。それは家族のために立ち上がる勇気そのものだった。激しい闘牛の中、彼が掴むのは栄光か、それとも約束のフィールドでの永遠の安らぎか――