広島県の西部、瀬戸内海島嶼部に位置する江田島市で生まれ、島から出ず生きてきた修司は、家の畑で父親が突然死した事にずっと責任を感じ、母と実家暮らしで、うだつの上がらない日々を送っていた。そんなある日、東京で映画監督として活躍している幼馴染の和也(武田航平)が、故郷の江田島を舞台に映画を撮る事をテレビで知る。そんな頃、二人が好きだった幸恵(咲妃みゆ)は妻子ある男と付き合っていたーー。3人の思いが交錯する中、映画の撮影が始まる
かつて“ロデオ界の伝説”と呼ばれたジョー・ウェインライトは、怪我と孤独を抱えながら娘サリーと孫コディと静かに暮らしていた。だが、コディの命を救うには高額な手術が必要だった。ジョーは限界を超えて再びブルライディングの世界へ戻る決意を固める。老いた体、恐怖、過去の痛みを抱えながら挑む最後の大会〈ラスト・ロデオ〉。仲間や宿敵との再会を経て、ジョーは真の「勝利」が何かを見つめ直していく。それは家族のために立ち上がる勇気そのものだった。激しい闘牛の中、彼が掴むのは栄光か、それとも約束のフィールドでの永遠の安らぎか――
昆虫の飼育や標本などを趣味にしている義肢制作者のマルコスは、幼い頃に起こした事故により、大人になった今もそれがトラウマになっている。そんなある日、彼の研究室の家主でもある雇い主アギーレが急死。それはマルコスが飼っていた毒アリが飼育ケースから抜け出し、彼に?みついたからだった。マルコスは遺体を極秘に処理しようとするが、現状を知らず常に口うるさい悪友ペドロの対応に追われ四苦八苦。ちょうどその頃、彼は少年フリオの右腕義肢の制作にも従事していた。一方で、当時の事故で両足をなくして精神も壊れて久しい母に、心を痛め続けていた。さらには外では、ゾンビ映画の撮影が行われていた。そこでマルコスは髪を紫に染めた映画スタッフのアナと親しくなるのだが…。
ジョニーの父は“シャドウ”と呼ばれたボクシングの元チャンピオン。勝利をつかんだことで治安が悪く貧しく荒れた下町から抜け出し、妻と息子ジョニーと暮らしていた。だが借金を抱えてしまった上に妻が癌になり、大金が必要になったことから保険金を得ようと、自死してしまう。残された妻とジョニーは仕方なく父が生まれ育った町に戻り、祖母と暮らし始める。ジョニーは早速、地元の不良たちに目をつけられるが、ジコという男に助けられる。「ギャングになって町の一員になる」というジョニーに対し、ジコは「自分の人生を高めろ」とボクシングを猛トレーニング。父シャドウの血を受け継いだジョニーはメキメキと腕をあげ、タイトルマッチに挑む。
かつて天才子役として名を馳せたパトリックは、未成年との性的虐待疑惑で引退同然に追い込まれる。ほぼ引きこもりで酒に溺れ、抗不安薬が手放せない生活を送っていた彼は、自宅で演技の個人指導をしながら過去の名声で細々と食いつなぐも、家賃滞納で退去を迫られていた。そんな中、姉アニーに連れ出され、姪っ子が演じる「ロミオとジュリエット」を渋々観劇。しかし彼は姪っ子よりもロミオ役を演じていた17歳の少年ジェレマイアの才能に惹かれ、彼の個人指導を買って出ることに。母子家庭のジェレマイアに無償で演技指導を行い始めたパトリックは、彼の心の傷にも触れて通じ合い、師弟関係を深めていく。だが指導に熱中し、演技の流れでキスしたことから強く拒絶され…。
ジョージアに暮らす元教師のリアは、行方不明になったトランスジェンダーの姪、テクラを探すため、テクラを知るという青年アチとともに、トルコ・イスタンブールへと旅立つ。しかし行方をくらませたテクラを見つけ出すのは想像以上に困難だった。やがてリアは、トランスジェンダーの権利のために闘う弁護士、エヴリムと出会い、彼女の助けを借りることに。なぜテクラはジョージアを離れたのか。東西の文化が溶け合い異国情緒あふれるイスタンブールを舞台に、テクラを探す旅を通して、リア、アチ、エヴリム、3人の心の距離が、少しずつ近づいていく――。
修学旅行の前日。セミ(パク・ヘス)は、教室で不思議な夢を見た。胸騒ぎを覚えたセミは学校を抜け出し、想いを寄せるハウン(キム・シウン)の病室へと走る。自転車との衝突で脚をけがしたハウンは、修学旅行を諦めて入院中なのだ。ところが、ふいに見てしまったハウンの手帳の一言に、セミの視線が止まる。“フンババにキスしたい”。夢のせいで不吉な予感から逃れられないセミは、一緒に修学旅行に行こうとハウンを必死で説得し、ビデオカメラを片手に何とか旅費を工面しようとする。しかしどこか煮え切らないハウンの態度に、セミの抑えていた感情がついに溢れ出す。心に秘めてきた想いを、今日こそ伝えたい。焦るセミと、ある事情を抱えるハウン。お互い言葉にならない気持ちを抱えたまま、2人だけの夜が訪れた――。
スペイン人のカルロスは家族を代表して、母の親友イサベルの娘の結婚式に参列するよう強要まがいに頼まれる。そこで、地元サッカー・チームの監督を解任されたばかりで落ち込んでいる友人のゴンサロを伴いニューヨーク、正確にはNY対岸にあるニュージャージー州ニューアークのガリシア人が多く住むという“リトル・ガリシア”へ赴くことに。カルロスの魂胆は、ゴンサロを自分と偽らせて式に出席させ、自身はかつての恋人と、その間に生まれた未だ見ぬ娘に会うことにあった。ゴンサロはイサベルらにバレることなく合流を果たすが、何と直前になって式は先方の心変わりで中止の通告。一方、カルロスも知らされていた住所に元恋人は住んでおらず…。
2036年の荒廃したカリフォルニア。人里離れた山奥で孤独に暮らすアレクサンダーは、謎の男からの手紙を受け取る。そこには「弟よ、帰ってこい」と書かれていた。しかし兄のエドウィンはやむなく人を殺し、村の掟で10年前に処刑されたはずだった。まさかと思いながらも、その言葉に何か真実を感じたアレクサンダーは、雪深い荒野を越える過酷な旅に出る。そして遂に故郷へたどり着くと、そこにはかつてのように賑わう村があり、兄が妻のケイトや村人たちと幸せに暮らしていた。戸惑いつつも再会を喜び合うが、兄は処刑直前にアレクサンダーの手引きで逃げ延びていたと言い、自身の記憶との違いに混乱する。
とある高校で教師として働く阿川久兵衛。その高校の女子生徒、仁科奈々実。この2人、実は親子だった。久兵衛は七海が小さい頃に離婚。七海は高校進学と同時に母親の海外赴任が決まり、久しぶりに父親と暮らすことに。父親と一緒に暮らした記憶がほとんどない七海は、デリカシーのない父との二人暮らしに嫌気が差している。一方父久兵衛も、突然の娘との共同生活に戸惑っている。久兵衛が同じ高校の教師である和香に想いを寄せていることに気付いた奈々実は、ついに反発し家出を決意。友人数名と、奈々実の母の実家である祖母・都子の家を目指す。一方の久兵衛は和香の力を借りつつ、奈々実を追って都子の家を目指す。都子の家で合流した一同。個性的な都子とその友人と過ごす中で打ち解け合い、お互いを解り合う物語
黒社会に生きる孤独な男チェンはボス殺しの犯人の息子を人質として捕らえるため、彼が通うとされる小学校に用務員として潜入する。そこで心を閉ざし言葉を発さない少年ラムに、校内を詮索しているところを見られてしまい、自分は警察官で内密に捜査をしているので秘密にしてほしいとお願いする。ある日、クラス旅行ではぐれてしまったラムをチェンが助けたことから、二人の距離は縮まり、身寄りがない者同士が心を通わせるも…。
カナダ・モントリオールで暮らすシングルマザーのアニーは、ティーンエージャーの娘サラが、自分を執拗にいじめていた相手に暴力を振るった事件をきっかけに、“ある重大な過ち”から逃れるため、衝動的にアメリカへの逃亡を決意する。幼い息子フェリックスは「フロリダに行く」という母の言葉を信じて無邪気に喜ぶが、旅の途中でそれが逃避行だと気づき、不安から騒ぎ出す。やがて道中で車が故障し、町の整備士ポールが現れるものの、部品がないため修理には数日かかると言われ、一家は足止めを余儀なくされる。早くこの地を離れたいアニーは次第に神経を尖らせるが、サラは大切な日記帳を車に置き忘れたことに気づき、ポールの家を訪ねる。そこには同年代の娘ホープがおり、彼女は密かにサラの日記を車から盗み、隠していた。
4歳の娘アビーが末期の病を患うダリルは、妻ジャンと残された時間を家族で大切に過ごしていた。そんなある日、アビーが突然「月に行く時、火事で行けなかった」と口にする。最初は子どもの空想だと気にも留めなかったダリルだったが、アポロ1号の火災事故や、発射カウントダウンを担当した人物名など、アビーが知るはずのない事実を語るのを聞き、動揺を隠せなくなる。やがてダリルは、アビーが事故で命を落とした宇宙飛行士“エドワード・ジョーンズ”の前世の記憶を持っているのではないかと考え始める。ジャンはその考えを一蹴するが、娘を失う現実を受け入れられないダリルは、2000人以上の子どもから前世の記憶を聞き取ってきた研究者フィッシャー博士の存在を突き止める。博士は「死が近い子どもは、未来を予見することがある」と語り、ダリルは真実を確かめるため、ある実験を依頼するが…。
「弱いパパでごめんね」一言だけのメモを残し、優しかった父は死んだ。そして母は壊れて消えた。家族も友達も、いない。14歳の奈良希穂は、中学に入ってからずっと孤独な一人暮らしをしていた。ある日、学校の屋上で自称天使と出会い「人生最期の1日」を共に過ごすことに。何気ない1日の中で次々と現れるへんてこな人々の心の機微に触れ、希穂の世界は静かに揺り動かされていく。最期と決めた1日の終わりに彼女を待っていたものとは―。
内向的だが、天才と言われるほどイラストレーターとしての才能を高く評価されているルイス。新しい職場のニュープラネット・コミックス社がある場所は、幼い頃から離れて暮らしていた父マーブルが住む町だった。新しく始まる生活に緊張しながらバスから降りたルイスは、路上で歌う女性の声に魅了される。彼女の歌声で緊張が解けたルイスは、チップを投げ入れると父の待つ家へと向かう。職場で才能を発揮するルイスだが、内気な彼は同僚との交流を避けていた。そんなある日、歓迎会が開かれたカラオケバーで、ルイスはバス停で歌っていた女性グレニスを見つける。店の従業員だったグレニスは、カラオケバーの雰囲気に馴染めないルイスに優しく接するが…。
軽度の知的障害を抱える22歳の来栖玲。生まれつき小柄なため、しばしば子どもに間違われ、自分が“障害者”扱いされることに葛藤を抱えていた。大好きな父を亡くした上、母の梨加も精神障害者となり、ネグレクト状態に。一時は梨加と離れ、施設で過ごしていたが、現在は同居中。しかし、施設で出会った最大の理解者の精神科医・柊早苗の急死により、玲は再び心を閉ざしてしまう。柊の後任の若い医師を受け入れられず、通院を拒み続けていたある日、さらにその後任として、新たな医師の恵比寿丈が着任する。やがて、梨加が家賃を払えず、遂に退去を求められた玲は、デリヘルのバイトに応募。良く分からぬまま契約書にサインをして、お金を受取ってしまう。娘から渡された、そのお金を手にして不安を覚える梨加。デリヘルで撮影することになった玲は、そこに所属するカナと共に逃亡。だが、荷物を取りにマンションへ戻ったところ、梨加から“あんたのせいでパパは死んだ”と言われてしまう。決して言ってはいけない言葉を口にした自分への後悔とふがいなさに泣き崩れる梨加。一方、部屋を飛び出した玲を、恵比寿が追うが……。
カナダ・ブリティッシュコロンビア州の山深い土地で暮らすトーフは、生まれつきの楽天家。婚約者の妊娠に動揺しつつも、“何とかなるさ”と深く考えずに日々を過ごしている。そんな折、母の再婚パーティに、弟クーパーが3年ぶりに帰郷する。ニューヨークで順調にキャリアを積んでいる弟を誇らしく思うトーフは、再会を心待ちにしていた。しかしクーパーは、式が終わり次第すぐに帰るつもりで、故郷に長居する気はなかった。そんな弟をトーフは、何かと理由をつけて亡き父が残した山小屋へと連れ出す。ところが、思いがけない事故で山小屋は炎に包まれ、2人は雪深い山中に取り残されてしまう。文句ばかり口にするクーパーに次第に苛立ちを募らせるトーフ。そんな最中、クーパーが崖から転落し、足を骨折するというさらなる不運が襲いかかる。
元ジャーナリストで、今は夫と娘たちの世話に追われる主婦ジェニーは、ラスベガスで開かれるブロガー会議に参加するため、久々に週末だけ家を離れることに。アプリで予約したタクシーに乗り込むと、運転手マークからまさかの“相乗り”だと告げられ、続いて女優のカーラ、そして二日酔いのショーンが乗車。車内は早くも落ち着かない空気に包まれる。さらにショーンは失恋のショックで自暴自棄になっており、自殺をほのめかす始末。自身の裏切りで傷つき故郷へ戻った恋人に謝りたいというショーンの思いをくみ、一行は成り行きで、彼の目的地であるネバダ州パラダイスへ向かうことになる。道中、3人それぞれが抱える“胸の奥にしまい込んだ問題”を少しずつ語り始め、ジェニーもまた、旅先で知った“幼い娘たちの学校でのトラブル”に対し、夫がまったく取り合おうとしないことにとうとう堪忍袋の緒が切れる。ついにはスマホをマークに預け、強引に夫との連絡を断ち切るが…。
山のキャンプ場を営む典子の元に突然の来訪者がやって来る。それは、1年前に少年院を出所した甥っ子のユウキ。ユウキは、典子の姉である母親を探していると、このキャンプ場にやってきたが、典子が義理の兄に電話すると、ユウキと義理の兄はうまくいっていないとのこと。ユウキにキャンプ場でバイトをさせてあげ、「私にできることは、あなたの話を聞くことだけ」と寄り添う典子は、近所に住む明夫によると、人の表情を読み取るのが苦手で、言葉が大事。「世界の見方は皆同じじゃない」と言う典子に、次第に心を許していくユウキ。そんなある日、典子の息子でユウキの同い年の従兄弟である健二が、大学の友達とキャンプにやってくる。森の植物や星など、ユウキと由香理が共通の話題で盛り上がるのを見て嫉妬した健二は…
パリのレストランでギャルソンとして働く初老の男アレックスは20年前に妻と別れ、いつも女性たちからは放っておかれない魅力を醸し出す洒脱な男。レストランの給仕長として仕事も熱心で頼りがいもあり同僚たちからも慕われている。不器用で奥さんと別居している同僚のジルベールを居候させる気の良さも持っている。そんなアレックスの夢は父の遺産で海辺の土地に遊園地を作ること。ある日昔の知り合いで英語教師をしている女性クレールと再会、アレックスは夫との離婚を控えたクレールに惹かれていくが・・・。
干ばつに苦しむアメリカ南西部の砂漠地帯、ネイティブアメリカンの老婆メイベルは電気も水道もない小さな家で夜空の星を眺めつつ独り慎ましく暮らしていた。一方、手品師ライルは車がオーバーヒートし、立ち寄ったガソリンスタンドで水不足を知る。給油代を手品でごまかして逃走するが、不思議な光を追いかけた先で再び車が故障し、メイベルの家に辿り着く。彼女に水を求めるが、孫が運んできてくれるまでないという。翌朝、水を届けに来たのは昨晩立ち寄ったガソリンスタンドの店員サードだった。給油代を払えと揉める中で、サードが毒蛇に咬まれるが、解毒剤も電話もなく、携帯電話も通じず絶望的な状況下で、メイベルは先住民から伝わる不思議な治療を始める。
やることといえば亀のエサやりぐらい。周りの人からは、自分が見えていないのではないかというほど、雑に扱われてる気が…。代わり映えのしない毎日と、自分の平凡さを嘆く主婦・スズメは、ある日、駅の階段のへこみに張られた小さな広告を目にする。「スパイ募集」―思いがけない文字に興味を引かれ、そこに書かれた番号に電話をするスズメ。後日、指定された安アパートに行ってみると、クギタニと名乗る夫婦が彼女を待っていた。そこでスズメは、ちっともスパイらしく見えない2人に?才能がある”と絶賛され、半ば強引に活動資金500万円を手渡されてしまう。
ジュリアスは雄弁な若き博物館警備員で、同僚や友人から大変人気があります。彼はその魅力、数々の興味深い話、そして気さくな人柄で人々を魅了します。ある日、彼は同僚たちを、以前からよく話していた貴族の家の船でのセーリング旅行に誘います。
1980年代前半、アメリカに移住した10万人ものロシア系ユダヤ人がいた。その中には、アメリカンドリームに望みをかけて家族と共にニューヨークの“リトル・ウクライナ”に移住し、共同で“ロシア式サウナバス”を経営するブラドとパーベルの兄弟もいた。1988年、ブラドの息子ダニエルとパーベルの息子マキシムは、父の店でみかじめ料をとるロシアンマフィアのイバンから危険な街の洗礼を受ける。そして現在。成長したダニエルはニューアークで弁護士となっていたが、弁護士資格を3年間停止され苦境に立たされていた。そんな中、ブラドはある容疑で逮捕され、息子のダニエルに助けを求めるが、弁護士資格を停止されたことを聞き激怒。ブラドはあるトラブルに巻き込まれていた。
17歳のキムは優等生だが、スタンフォード大学に入学できる自信がなく、推薦の結果も補欠扱いだった。それでも、スタンフォード大学のスポーツ奨学金をもらえた彼氏のダンと一緒にいたいと願っていた。そんな中、ダンの家で、未成年が参加するにも関わらず両親も了承した上でアルコールを交えたパーティーが開かれる。そこでキムは、ダンが他の女の子とキスしている現場を目撃し感情的になってしまう。さらにダンから別れ話を切り出されたことで取り乱したキムは、大量のアルコールを摂取し、泥酔状態で車を運転。その結果、対向車線を走っていた同級生のジョーイと正面衝突し、意識不明の重傷を負わせてしまう。
大石万理花と須藤玲は、アイドルグループ・FunFAREの現エースである西尾由奈の卒業コンサートのために呼び出されていた。3人は結成メンバー。由奈の希望により卒業曲は、ダンサーをしている万理花に振り付けを、衣装制作会社で働く玲に衣装のデザインを頼むことに。才能の限界を感じてアイドルをやめ、振付師を目指してダンサーになるもバイト三昧な万理花。一方、才能とカリスマ性で人気を牽引していたものの服飾の道に進み、衣装制作会社に入るも慣れない社会人に疲弊する玲。決して成功しているとは言えないセカンドキャリアを送る中で、由奈の門出を華々しく飾るべく2人は奮闘する。しかし、すれ違いうまくいかない万理花と玲。そうした中でも由奈の卒業の日は近づいてくる…とうとう由奈のアイドル最後の日。無観客配信で行われるライブの客席には万理花と玲の姿。卒業曲を披露し終わった後、万感の思いで由奈がステージに立っていた。
ソープ店で働く主人公・加那。ある日、母から電話が。「一週間だけ、おばあちゃん の介護してくれない?」 仕事のことを隠していた加那は、ソープ嬢ということを秘密に、翌日から祖母宅⇔ソープ店を行き来して、“人の身体”を洗い続ける二重生活〈ダブルワーク〉をすることに。認知症が進み、名前すら覚えていない祖母・紀江の介護に奮闘する加那。会うたびに“初対面”を繰り返してゆく毎日。「どうせ忘れる」相手に対し加那は、祖母との暮らしの中で、本当の事を素直に打ち明けられている自分に気付く。そして祖母の知らなかった、これまでの人生と孤独が垣間見えてきて…。
ティーンエイジャーの青年フランシスは、到着が遅れている少女を父親のゲイブリエルと待ちわびていた。すると母親のステファニーに連れられ、美しい同年代のローラが訪れる。2人は重度の自閉症のため、声の代わりにレターボードを使い、それを読み取った両親が言葉にすることで、意思を伝え合っていた。この初デートで積極的に言葉を交わし合うが、急ぎすぎたフランシスがキスを求めたことから空気が一変。両親も2人の思いを代弁するよう言葉を導くことも。だが、難しさを感じ合いつつも2人は心を通わせ、次のデートを約束。しかし2回目のデートでは、フランシスの補助が上手くない母親のヘレンだったため、明らかな齟齬が生まれ、決定的にすれ違ってしまう。
ちょっと天然で生真面目な高校生男子・代々木ジョニーは、今カノ・熱子ちゃんを怒らせたり、スカッシュ部のクセ強メンバー・バタコさん、神父さんたちと部室で無駄話をしたり、引きこもりの幼なじみ・神楽に会いに行ったり、マイペースな放課後を過ごしていた。しかし、熱血新人部員デコの入部により突如スカッシュ部の活動が本格化したり、バイト先で出会ったワケあり女子の出雲さんと惹かれ合ううちに、彼の日常は変化していく。
あかり(46)は数年前の交通事故でもうすぐ生まれてくるはずの胎児を亡くして以来、がらんどうの心身を抱えて生きていた。自宅と職場とスーパーを行き来するルーティンの毎日で、人づきあいは素っ気ない。ところが、エミコ(17)という野良猫のような少女が居候してしまい、あかりの生活は掻き乱される。性格も習慣も真逆でぶつかってばかりの二人の唯一の共通点は、母親の愛情を知らずに育ったこと。ぎくしゃくしながら一緒に暮らすうちに、あかりの目に映る景色が変わっていく…。
2008年、北京オリンピック開催間近の中国。友人を誤って死なせた青年ランは、刑期を終えゴビ砂漠の端にある故郷に戻って来る。区画整理で人の流出が止まらず廃墟が目立つ街では、捨てられた犬たちが野生化して群れとなっていた。ランを気に掛ける警官から捕獲隊に誘われるが、ひょんなことから一匹で行動している黒い犬と出会う。決して捕まらず賞金を懸けられた黒い犬とランの間に、いつしか奇妙な友情が芽生えるが…。
ベルギーのテニス・アカデミーに所属する15歳のジュリーは、その実力によって奨学金を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた。ある日、突然、担当コーチのジェレミーが指導停止になったことを知らされると、彼の教え子であるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が立ちはじめる。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われ、彼と最も近しい関係だったジュリーには大きな負担がのしかかる。それでも日々のルーティンを崩さず、熱心にトレーニングに打ち込み続けるジュリーだが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続ける……。
1人暮らしの映画監督・大滝隆太郎は突然、脳梗塞を発症。目がよく見えない。言葉もうまく出ない。心臓機能が20%まで低下、夏の猛暑で外出は危険。友人に電話しても「お前が病気?笑わせるなよー」と言われ、SNSに闘病状況を書いても、的外れな助言や誹謗中傷ばかり。「俺はこのまま孤独死?」と追い込まれるが、意外な人たちから救いの手が? 本人には悲劇、周りの人たちには喜劇?病気と医療を笑いと涙で描く社会派現代劇。
深夜の倉庫街で音楽制作中のマサキとKの元に、抑圧された日常から逃れるようにして3人の女が集まってきた。マサキとKとの出会いによって自分を解き放っていく3人。それは、共に作り上げていく一つの音楽に結実するように思われたのだが…。
福島出身の廣木監督が同じく福島出身の撮影=鍋島淳裕と共に、福島ロケを敢行。様々な人々が交差する海辺の町を舞台に綴られた映像詩。この新鮮な映画力
私にできること、それは私自身でいること。記号のように過ぎていく29歳の毎日に、漠然とした不安を感じている小学校教師の雪子。不登校児とのコミュニケーションも、彼氏からのプロポーズにも本音を口にすることを避け、ちゃんと答えが出せずにいる。ラップをしている時だけは本音が言えていると思っていたが、思いがけず参加したラップバトルでそれを否定され、立ち尽くしてしまった。いい先生、いいラッパー、いい彼女に...なりたい?と自問自答しながら誕生日を迎えた。でも現実は、30歳になったところで何も変わらない自分でしかない。それでも自分と向き合うために一歩前へ進んだ彼女が掴んだものとは―――。
母を亡くした小学4年生の美咲は、奇行を繰り返し不登校に。家族や教師が心配する中、彼女は陶芸家の工房で土に触れながら過ごすようになる。ある日、父と親しげな女性が現れ、美咲は彼女が“新しい母”になると悟る。喪失と再生の狭間で、少女と周囲の人々の人生が静かに動き始める。
借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜を問わず必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す―。
1865年、南北戦争で北軍兵として出征した父ジャックが戦死したとの報せを受け、母モリーは絶望のうちに結核を患い、帰らぬ人となった。両親を失った幼い3兄弟チャーリー、リジー、リリーは、孤児列車に乗せられニューヨークを後にする。その後、戦地ミズーリからモンタナ州ボーズマンへと配属を移された年の離れた長男フィリップが彼らを迎えに訪れ、兄弟は再会を果たす。一方、戦死したと思われていた父ジャックは生きていた。彼は南軍の捕虜として収容されていたが、終戦とともに解放され、懐かしの我が家へと帰還。しかし、そこで妻の死と、子供たちが孤児列車に乗せられた事実を知る。ジャックは捕虜仲間のデズモンド、同じく娘を孤児列車に奪われたアリスと共に子供たちを捜す旅へと出るのだが…。
ドロルは、ベートーベンの生涯を描く新作映画のメイキングを制作するため、ティベリアスの撮影現場へ赴いた。現在、ドキュメンタリー講師を務める彼は、大学在籍中の卒業制作でプロデューサーと衝突。ラストシーンを撮れないままに降ろされ、そのトラウマで現在に至るまで新作を発表できないでいた。撮影当日、映画の主演アッシはなかなかの皮肉屋で、監督のツァヒはドロルに何かと演出にチャチャを入れられながらも、ひょうひょうとかわし続けていく。メイキング・カメラマンのマヤと、音声担当のナダブは恋人同士だが、彼女の講師でもあったドロルは、かねがねナダブに嫉妬しており、遂にはここで彼を殺害しようと企てるのだが…。
シングルマザーのジェニカは出会いを求めてパーティーに参加するも、誰とも話せず“壁の花”と化していた。そろそろ帰ろうと考えていた彼女に、マルコムと名乗る男が声をかけてくる。初対面なのに積極的に話しかけてくる彼を警戒するジェニカだったが、その優しい笑顔とエスコートぶりに悪い気持ちは抱かなかった。さらに家まで送ってもらった翌朝、息子ジェレミーと子守のジャニスを待っていると、なぜか玄関に花束を手にしたマルコムが現れる。戸惑いながらもジェレミーにマルコムを会わせると、すぐに打ち解け仲良くなった様子に安心する。結婚の失敗から男性に対して消極的だった彼女は、徐々にマルコムを受け入れ始めるが…。
内気で他者と関わることが苦手な水本マナは、明るく天真爛漫な仁藤あいと運命的に出会い、共同生活を始めることに。しかし、ある日を境にあいは突然姿を消してしまう。いつもと様子の違ったあいを心配して捜しに出かけたマナは、その過程で一匹のフレンチブルドッグと出会う。「とうふ」という名のそのフレンチブルドッグと一緒にあいを捜すマナは、とうふや行く先々で出会った人々との交流を通して成長していく。
経営難に陥ったバーボン蒸留所のオーナーのニコラスは、バーボンについての知識は誰よりもあるくせに、いつしか全く酒を口にしなくなり、イマイチな経営にも身が入らない。しかも恋人のサラとも別れ、すっかり気難しい男になっていた。蒸留所を何とか立て直そうとする社員のチェイスは、試飲ツアーを行っては客を増やしていこうとしていた。しかし、なかなかうまく行かず、ニコラスのもとには大手企業から買収の話が持ち込まれる。そんなある日、ゴーストハンターのグレンが現れる。先住民の歴史がある街には幽霊が出るといわれる場所があり、幽霊が出るという噂がある蒸留所でゴーストツアーをやらないかと提案するが、ニコラスはなぜか渋っていて…。
ニュージャージー郊外の屋敷で開かれていた、高校時代の同窓会パーティもそろそろお開きの時間。女子陣の帰宅後アートやフロリオら残された野郎どもは、酔いも手伝い本音全開モードに。好みの異性のタイプやエロ話から、大学での生活や日々感じる憤りまで、時に共感し時にケンカしながら、普段は見せなかった生の姿をさらけ出す。バカ騒ぎに興じながら、彼らは将来への不安に向き合える様になるのか?
ガーナからニューヨークに渡った、ストリートハスラーのラッキー。今日も得意の話芸を駆使して偽ブランド品販売店に顧客を誘導する。そんな彼の前に突然、元カノのリンダが幼児と共に現れた。そしてこの子の父親はラッキーだと爆弾発言した上、用があるから少しの間預かれと押し付け、消えてしまう。困り果てたラッキーはやむなく面倒を見るが、慣れない育児に悪戦苦闘。ついに親子鑑定を決意するが…
障がい者施設で暮らす那須叶(なすかなえ)通称ヌー。彼女は母親を求めながら、赤ん坊の頃捨てられたロッカー“ぬ5515”を守り続け、毎日コインロッカーの前で絵を描き続けていた。ある日、刑務所から出所した男・黒迫和眞(くろさこかずま)と出会う。黒迫は、別れた妻子に金を送る為、現在はヤクザである友人の木嶋から紹介してもらった覚醒剤売買で金を稼ぐ。ヌーのコインロッカーの傍で覚醒剤売買をしながら次第にヌーに興味を持ち、思い付きでSNSでヌーの絵をアップし始める。海外の有名アーティストから絵を買いたいとの連絡が入り、高額で売ろうとした黒迫だったが、ヌーの純粋な心に触れ良心が生まれる。そんな時、ヌーが白血病により倒れ余命を宣告される。黒迫はヌーに、適合した自分の骨髄を移植するが、覚醒剤売買が発覚し、警察に連行される。病院を抜け出し冷たい雨に打たれながら黒迫を追って警察署の前で再び倒れたヌーは、無理が祟り亡くなってしまう。釈放された黒迫はヌーの担当施設職員・瀬戸瑠璃子によって、ヌーが黒迫へ残した沢山の絵と想いを受け取る。
出産と離婚を経て引退した名女優ムーン・リー。かつて仕事をともにしていた映画監督ロジャー・ウーは、彼女にアジア版『ボーン・アイデンティティー』なアクション映画の主演を務めてほしいとオファーする。ムーンは幼い息子ユージョウをロジャーのアシスタントに預けつつも、ロー師範のもとで撮影に向けての過酷な武術訓練に励む。しかしある日、思わぬ知らせが届く。それは映画スポンサーからの「ムーンの元夫ジュリアードを相手役として起用したい」という提案だった。一人の女性として、映画人としてムーンが模索する《己との闘い》と《自分》とは?
売れない小劇団のアラサー団員たちが直面する夢と現実を、劇団が上演する劇中劇の内容と交錯させながら描いた人間ドラマ。東京の小劇団「クオンタムフィジックス」を主宰する佐々木は、30歳を目前に控え、劇団を立て直すため3年ぶりの大きな公演を打とうとする。それは、パラレルワールドを行き来する時間旅行者たちの悲しい運命を描いたSF作品だった。しかし、旗揚げから一緒に活動してきた相棒で看板女優の中川はすでに就職。他の現役メンバーや元劇団員も、それぞれ割り切れない思いや事情を抱えており……。
検査を終えた医師から乳がんの可能性が高いと告げられた大学教授ジュヒ。小さな劇場で芝居の稽古が行われている。演出家のホジンはジュヒの元夫だ。現在のジュヒと演劇を並行して描くことで生まれる“時間”と“物語”。ジュヒの周りに散りばめられた数々の言葉が、彼女という人物を徐々に浮かび上がらせていく。『ケナは韓国が嫌いで』のチャン・ゴンジェ監督が、アニエス・ヴァルダの名作『5時から7時までのクレオ』へオマージュを捧げた作品。
【第1章 初恋、よしこ】奈良県五條市にある古びた喫茶店で言葉を交わし合う地元の人々の姿を見ながらメモをしている映画監督テフン。彼はこの街で映画を撮るためにシナリオ・ハンティングにやってきたのだった。日本語が堪能な助手のミジョンとともに観光課の職員・武田と会ったテフンは彼の案内で街を歩く。【第2章 桜井戸】奈良県五條市に旅行でやってきたヘジョン。駅の案内所に立ち寄った彼女は地元の男性・友助から声をかけられる。やや強引に彼女の道案内を始めた友助は桜井戸の伝説を彼女に語る。
高校2年生の冬休みを迎えたテフンとミジョン。付き合って100日目を記念して家族にも黙って海辺の街へ旅行に出かけたふたりは楽しいときを過ごすが、帰宅直後、テフンは両親とともにミジョンの家へと呼び出される。旅行先での出来事を問いただしているうちに逆上するミジョンの父。翌日、再びミジョンの家を訪れたテフンは、大学に入るまでミジョンとは会わないという誓約書を書かされる。しかし、ふたりきりになるとミジョンは、決して別れることはないと彼に告げる―。『ケナは韓国が嫌いで』のチャン・ゴンジェ監督の長編デビュー作。自身をモデルとした“自分の物語”を普遍的なものへと開いていく。
結婚から2年が過ぎたものの、いまだに恋人同士のように親密に毎日を過ごしているヒョンスとジュヒ。ヒョンスはいりこの加工工場に勤め、ジュヒはヨガ講師として働いている。目下の悩みはヒョンスの休日出勤で、短時間労働ながらも片道1時間半もかかる職場に行かなければならないことを心配したジュヒは、社長に掛け合って正当な手当てをもらわなければならないとヒョンスに念を押す。もちろん、そんな夜でもふたりは堅く抱き合い、キスを交わしながら眠りにつくのだった。ある休日、アイスキャンディーを片手に公園で遊ぶ家族連れを見ながら子育てについて話し合うヒョンスとジュヒ。父親と母親が交わす視線には恋愛時代のような特別な感情が見えないと言うヒョンスに、ジュヒはそんなことはないと言い返す―。新婚気分が残る夫婦の日常を至近距離から見守る、生活感あふれるラブストーリー。
1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく…
多様な文化を持つ人々が多く暮らす、カナダ・トロント東部に位置するスカボロー。そこに暮らす3人の子どもたち。精神疾患を抱えた父親の暴力から逃げるようにスカボローにやって来たフィリピン人のビン。家族4人でシェルターに暮らす先住民の血を引くシルヴィー。そしてネグレクトされ両親に翻弄され続けるローラ。そんな彼らが安心して過ごせる場所は、ソーシャルワーカーのヒナが責任者を務める教育センターだった。厳しい環境下で生きながらも、ささやかなきずなを育んでいく3人だったのだが…。
美大生ウナには、大切な恋人ディッディがいる。しかし、二人の関係は秘密だ。彼には遠距離恋愛をしている長年の恋人、クララがいる。ある日ディッディはクララに別れを告げに行くと家を出た後、事故に巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。誰にも真実を語ることができないまま、ひとり愛する人を失った悲しみを抱えるウナの前に、何も知らないクララが現れるーー。クララを励ます仲間たちを見て、ウナの心は追い詰められていく。そんななか、クララはウナに対するある思いを打ち明けるのだった…。行き場のない気持ちに翻弄されるウナの姿、徐々に近づいていく“愛する人を失った”二人の距離を、狂おしいほどの緊張感とかつてない繊細さで映し出す。
ある日突然、男らしさを揺さぶられたらー“幸福の象徴” 煙突そうじ人が悩みに悩む異色コメディ煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との一度きりのセックスで新しい刺激を覚えるが、平然と妻にこの話をしたことで夫婦仲がこじれてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他者の視線によってどう形成されているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は自身に起きた衝撃的な出来事により、自らの“男らしさ”を見つめ直していく。この出来事について語られる会話には「どこからが浮気か」「夢は現実にどんな影響を与えるのか」といった誰もが一度は考えたことのある普遍的なテーマが散りばめられている。また“セックス”や“セクシュアリティ”といったデリケートな話題を含みつつも、あっけらかんとした会話にはオフビートな空気が漂う。「DREAMS」「LOVE」「SEX」で最もコメディタッチな異色作。
愛することに不器用な大人たちーあらゆる“親密さ”を探求するロマンティック・ジャーニー 泌尿器科に勤める女性医師のマリアンヌと男性看護師のトール。共に独身でステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌは友人から男性を紹介されるが、子どもがいる彼との恋愛に前向きになれない。そんな折、トールはマッチングアプリなどから始まるカジュアルな恋愛の親密性を語り、マリアンヌに勧める。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の可能性を探る。一方トールは偶然フェリーで知り合った男性ビョルンを勤務先の病院で見かけー。出会いが多様化した現代の恋愛観がリアルに映し出されており、主人公達は劇中に度々登場するフェリーのように本能と理性をゆっくり行き来しながら、しっくりくる“親密さ”を探す。愛することに不器用な大人たちが、静かな本音をさらけ出す、「DREAMS」「LOVE」「SEX」で最も優しく今を映し出した1作。
恋に恋する少女の綴った手記が、思わぬ方向に一人歩きしていくー女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないように自らの体験を手記にする。そしてこの気持ちを誰かに打ち明けようと詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は経験したことのある相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬などあまりにも無垢な初恋。そしてその気持ちを秘密にしておきたい、でも誰かに共有したいという矛盾した思いが祖母や母を巻き込み、ヨハンネの手から離れた手記の行方が、モノローグで綴られる。娘の手記を見て、祖母は自らの女性としての戦いの歴史を思い出し、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称し、現代的な価値観にあてはめようとする。3世代で異なる価値観を持つ3人が初恋の手記を通して辿る運命はー。