貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
1970年代半ば、韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女さんチームが失職の危機に直面する。リーダーのジンスクは仲間の生活を守るため、海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、彼女の親友チュンジャだけが現場から逃亡した。その2年後、ソウルからクンチョンに舞い戻ってきたチュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかけるが、ジンスクはチュンジャへの不信感を拭えない。密輸王クォン、チンピラのドリ、税関のジャンチュンの思惑が絡むなか、苦境に陥った海女さんチームは人生の再起を懸けた大勝負に身を投じていくのだった......。
1940年8月、ベルリン。18歳のステラは、ブロードウェイでジャズシンガーとしてのキャリアを夢見ていた。戦争が激化し、ユダヤ人への圧力が高まる中、両親ともに国外脱出を切望していたが叶わず、ユダヤ人の両親を持つステラにとって、その夢は儚く消えていった―。三年後、ステラは軍事工場で強制労働を強いられていた。工場で始まったユダヤ人の一斉検挙からは、かろうじて逃れることができたのだが…。
ごく普通の暮らしをしている大学教授のポール。平々凡々とした日常を過ごしていたが、ある日、何百万という人々の夢の中に一斉にポールが現れ、一躍有名人に。ポールはメディアの注目を集め取材を受けながら得意げになっていく。夢だった本の出版まで持ちかけられ、天にも昇る気持ちだった。しかし、そんな夢のような日々は突然終わりを告げる。夢の中のポールが様々な悪事を働くようになり、現実世界で大炎上してしまうのだが…。
一流ボディガードのブライスは任務中に依頼人を暗殺されてしまったことをきっかけに第一線を退き、金持ちの警護で日銭を稼いでいた。一方、殺し屋のキンケイドは服役中の妻ソニアの釈放を条件に、国際司法裁判所で裁かれる独裁者デュコビッチについて証言することに。しかし裁判所までの護送中にデュコビッチの手先に襲撃され、護送チームのほとんどが殺されてしまう。キンケイドを連れて隠れ家に潜伏した女性捜査官アメリアは内通者の存在を疑い、かつての恋人であるブライスに助けを求めるが……。
唯一の家族だった父が急死し喪失感を抱える美巳は、父が営んでいた商店を代わりに切り盛りしに来た伯母・嘉子との関係もうまくいかず、美大の卒業制作も手がつかずにいた。美巳の親友・希良は前向きな性格だが、そんな自分を持て余してもいる。そして伯母の嘉子もまた、ある秘密を抱えていた。そんな中、美巳の身に不思議な変化が起こり、見えないはずのものが見え、聞こえるはずのない声や音が聞こえるように。さまざまな体験や出会いを通して、自分自身を見つめ直していく美巳だったが……。
ムンバイで大学に通うマニーシュは、ストリート・ダンスに興味を持ち独学で練習を始める。ある日、出場したダンスの大会で注目を浴びた彼は、出場していた他の選手にダンス・スクールに通うことを勧められ、決して豊かな家庭環境ではないながらも、マニーシュに一生懸命教育を施してきた両親から反対される中、ダンス・スクールの門を叩く。そこでバレエを教えるイスラエル人イェフダと出会い、バレエの虜になってしまう。優れた運動能力とたゆまぬ向上心を持つマニーシュに、必死で応えるイェフダ。しかし、バレエダンサーとして活躍するには、マニーシュは年を重ねすぎていた……。
7歳の少女・ソルは、父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを喜ぶソルだったが、身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえない。従姉妹たちと無邪気に遊びまわることも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。やがて父との再会を果たしたとき、それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは“新たな感情”を知ることになる...。
名門校に赴任してきた栄養学の教師ノヴァクは【意識的な食事/conscious eating】という「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」食事法を生徒たちに説く。親たちが気付き始めた頃には時すでに遅く、生徒たちはその教えにのめり込んでいき、「クラブゼロ」と呼ばれる謎のクラブに参加することになる。栄養学の教師が導くのは、幸福か、破滅か―
顧客が預けた鍵でその家に入り、他人の人生を盗み見る趣味を持つ不動産公認仲介士のク・ジョンテ。ソーセージを食べながらビーガンサラダの写真を投稿するSNSインフルエンサーのハン・ソラに興味を持ち、観察し始める。ついにハン・ソラの家に入ることに成功したク・ジョンテはある日、彼女がソファーで死んでいる姿を発見することになる。その後、彼がソラの家に出入りしたことを知る何者かが脅迫を始め…。
友に青春時代を過ごした幼馴染だったが、“ある事件”をきっかけにバラバラの人生を歩んでいった富井と金森。現在は、地元のヤクザ・菅原組の構成員と犯罪組織のメンバーとして一触即発の関係になっていた2人の前に、互いの心の拠り所であり、“ある事件”から記憶障害になっていた幼馴染・紅花が現れる。さらに、彼女が組長の一人息子をめぐる事件に巻き込まれたことにより、3人は組織から追われる身になってしまう……。
ユウタとコウは幼馴染で大親友。いつもの仲間たちと音楽や悪ふざけに興じる日々を過ごしている。高校卒業間近のある晩、こっそり忍び込んだ学校で2人はとんでもないいたずらを仕掛ける。翌日いたずらを発見した校長は激昂し、学校に四六時中生徒を監視するAIシステムを導入する騒ぎにまで発展。この出来事をきっかけに、コウは、それまで蓄積していた、自身のアイデンティティと社会に対する違和感について深く考えるようになる。その一方で、今までと変わらず仲間と楽しいことだけをしていたいユウタ。2人の関係は次第にぎくしゃくしはじめ...。
凪(ナギ)は大阪で契約社員として働いている。はじめての有給休暇前日に1年間付き合ってきた彼氏に振られる。怪談したり、ライブ行ったり、ゲートボールしたり、昔好きだった人に再会したり、大喧嘩したり。凪のメランコリックな有給休暇は過ぎていく
風間彩人(磯村勇斗)は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母、麻美(霧島れいか)の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。彩人の弟・壮平(福山翔大)も同居し、同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人の日向(岸井ゆきの)との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、彩人の親友の大和(染谷将太)の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常は、思いもよらない暴力によって奪われてしまう。
80年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う、考古学愛好家のアーサー。彼は紀元前に繁栄した古代エトルリア人の墓をなぜか発見できる特殊能力を持っている。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼ぐ日々。ある日、稀少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく...。
クリスマスの夜、刑事ボブ・ハイタワーの元妻とその夫が惨殺され、愛娘ギャビが忽然と姿を消した。その背後には、悪魔のようなカルト集団「左手の小径」の影が蠢(うごめ)いていた。絶望と怒りに苛まれたボブは、かつてカルトに誘拐され生還を果たした女性、ケース・ハーディンと出会う。深い傷を負った彼女は、ボブの苦悩と覚悟に心を動かされ、再びその悪夢の世界へ戻ることを決意する。
1998年のサイゴン。都会の片隅に貧しくもつつましく生きる恋人たち。望まぬ性に生まれたサンはナイトクラブで歌い、ナムはボクサーとして懸命に暮らしていた。ある日、街のフィクサー、ミスター・ヴーンがナイトクラブに現れ、ステージで妖しくも華麗に歌うサンに目が釘づけになる。手術費用のため、ヴーンと逢瀬を重ねるサン。彼女を愛し、その思いを知るナムは、より稼ぎの良い闇の地下格闘技に手を染めてゆく...。容赦ない夜の世界に飲まれてゆく二人。愛ゆえにすれ違う二つの魂。嫉妬や裏切り、焦りや不安??運命の歯車が狂いはじめる...。激しくも、切なすぎる二人の愛はどこへ向かうのか??。
赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ(ダニエーラ・マッラ)は、プロレタリア革命は成功すると強く信じ、愛する娘と離れ、運動に身を投じている。1977年に起きた大学の経済学部長襲撃事件にも実行犯として関与し、誘拐前のモーロを尾行するなど積極的に活動するも、モーロ誘拐の肝となる活動には参加させてもらえないことに不安も覚えていた。一方で赤い旅団は、誘拐に成功したことで入団を希望する人間が増え、活動は順調にいっているかのように見えた。しかし、メンバー間で、モーロの処遇をどうするかで意見が激しく紛糾していき、アドリアーナも追い込まれていく。モーロ誘拐の事件現場に急行した、妻エレオノーラ・モーロ(マルゲリータ・ブイ)を待っていたのは、銃弾が多数撃ち込まれた、見るも無残な夫の車と、血を流して倒れている護衛の姿、そしておびただしい数のマスコミだった。家を訪れる議員たちは、彼女にもっともらしく慰めの言葉を掛けていき、形ばかりの抱擁を求めてくる。子供たちと共に家に籠り続けていたある日、モーロからの手紙が届く。しかし、ザッカニーニをはじめ、政府は赤い旅団との交渉に応じず、エレオノーラは憤慨する。4月30日、赤い旅団から電話がかかり、すぐさま大統領に連絡をとるが、またも真剣に取り合ってもらえず、失望し涙するエレオノーラ。そして、あるシスターからモーロを見たという証言を聞き、藁にも縋る思いで現場に向かうのだが…。5月8日、目隠しをされた神父が、赤い旅団のアジトとなっている暗いビルの中へと入っていく。さらに隠し部屋に入っていくと、そこにはアルド・モーロの姿があった。約55日ぶりに赤い旅団以外の人間と会ったモーロは、「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ、強く手を握り、告解を始めるのだった。そして翌5月9日、モーロは目隠しをされ車のトランクに乗せられる。コッシーガのもとには、カエターニ通りで不審な車両が発見された、と緊急無線が入る。
1978年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)は、共産党との連立政権を実現させるべく奔走していた。これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ることを意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ6世(トニ・セルヴィッロ)にも苦言を呈される。それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の3月16日、アンドレオッティ内閣(ファブリツィオ・コントリ)の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃され、そのまま誘拐されてしまうのだった。モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(ファウスト・ルッソ・アレジ)。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を注ぐことを決意、辞表まで準備する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から14日目の3月29日、旅団に囚われているモーロから手紙が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容で……。バチカンの教皇パウロ6世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、アルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として200億リラを用意する。「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞いた将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。パウロ6世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることにする。
弁護士のモリー・シンガーは、大学時代はいつもパーティーの中心人物。しかし今でも彼女はパーティー好きな性格を変えられず、事務所をクビになりそうに。モリーの上司であるブレンダは、モリーに一つの救済策を提案。それは、母校に再入学し、社交的に欠けるブレンダの息子、エリオットと友達になり、彼をキャンパスのヒーローにすることだった。自身の未来のため、モリーは親友の助けを借りて、傲慢な風紀委員、酔っ払った寮の住人、そしてかつての宿敵との戦いに挑むことに。
悪ガキ3人組“不死身のワニ団”、アリス、ヘイゼル、ジョディは大の仲良し。ある日、ゲームで遊ぶ代わりとして、ママの大好きなブルーベリーパイを手に入れに行くが、必要な卵を謎の男に横取りされる。奪い返すために男を追いかけた3人は、魔女率いる謎の集団“魔法の剣一味”に遭遇し、怪しい企みに巻き込まれてしまう。森で出会った、魔女の娘ペタルを仲間に、悪い大人に立ち向かう4人…果たしてこどもたちの運命は?
1974年、フランコ政権末期のスペイン。バルセロナを追われた料理人フェルナンドとアルベルトの兄弟は、友人フランソワの伝手でサルバドール・ダリの住んでいる海辺の街カダケスに辿り着く。彼らを迎えたのは魅力的な海洋生物学者のロラ、そしてその父―ダリを崇拝する、レストラン「シュルレアル」のオーナーであるジュールズだった。「いつかダリに当店でディナーを」をスローガンに、ありとあらゆる無謀な試みに奔走しながら、情熱を謳い続けるジュールズ。やがてそのカオスはフェルナンドの料理に新たな風をもたらし、世界規模の革命的シェフの誕生を呼ぶことになる。
人里離れた村で暮らす姉のシャロータと妹のタマラは母親の虐待から逃げ出すことを決意したが逃げ込んだ森の中で恐ろしい事故に遭ってしまう。事故から20年、消息を絶っていたシャロータがある出来事をきっかけに村に戻るも受け入れる者はいなかった――。村が夏至祭に近づく中、彼女が過去のトラウマと対峙するほどに人々は疑念を募らせてゆくが……。
ハンナとリブは親友同士。バックパッカーとして訪れたオーストラリアでお金に困り、荒れ果てた田舎にある古いパブ「ロイヤルホテル」に滞在してワーキング・ホリデーをすることになった。単なる接客バイトかと思いきや、彼女たちに待ち受けていた洗礼は、炭鉱で働く荒々しい男たちが店に来て起こすハラスメントや女性差別の連続だった……。楽観的なリブは店に溶け込んでいくが、潔癖なハンナは孤立し精神的に追い込まれ、2人の友情は徐々に崩壊していく。嫌な上司や泥酔する男たちなど身の毛のよだつような悪夢を描くという、女性側の視線に立って作られた新しいタイプのフェミニスト・スリラー。
タームは出家した兄のティーに会うために旅に出て、ドンシンタム島の寺院にたどり着いた。タームは、ティーが前の僧院長を殺して逃亡したという噂を聞くが、ティーが人を殺すことができるとは思えない。この村でタームは身寄りが無く、寺に住んでいる純粋な青年、テと知り合った。この村では“ポープー”という人の形をした像が信仰されていた。またこの島では人が死ぬと遺骨の一部を入れ、土の像(フンパヨン)を作って拝む習慣がある。ジェットはフンパヨンの作り手だ。タームは村人たちの信仰に疑問を抱き、村を守る霊的な存在というよりも、盲目的な迷信だと考える。ある夜、タームは怒りに任せて“ポープー”への供え物を壊してしまった。その後、恐ろしい出来事が次々と起こり、村は恐怖に包まれる。女性が行方不明になり、死人が続出し村人たちは怒りに燃える。闇夜に人の形をした“フンパヨン”像が森の中を彷徨う。人形師のジェットは呪文を唱えて、皆の身を守ろうとするのだった。
仏・マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー。かつて外国人部隊所属の上級曹長だった彼は、アフリカのジブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごすなか、いつしかガルーは上官であるフォレスティエに憧れともつかぬ思いを抱いていく。そこへ新兵のサンタンが部隊へやってくる。サンタンはその社交的な性格でたちまち人気者となり、ガルーは彼に対して嫉妬と羨望の入り混じった感情を募らせ、やがて彼を破滅させたいと願うように。ある時、部隊内のトラブルの原因を作ったサンタンに、遠方から一人で歩いて帰隊するように命じたガルーだったが、サンタンが途中で行方不明となる。ガルーはその責任を負わされ、本国へ送還されたうえで軍法会議にかけられてしまう…。
キーファーは初期の作品で、ナチスの第三帝国に異論を唱え、近い過去に起こったことに対する沈黙を破る方法として、戦後ドイツのアイデンティティーと向き合った。ナチス式の敬礼を揶揄したり、国民社会主義時代の建築物やゲルマン民族に対して英雄伝説を視覚的に引用また脱構築したりすることで、自らのアイデンティティーと文化を探求した。1971年からドイツのオーデンヴァルトで活動。1992年までは、リード線、藁、植物、生地、木版画など、この時期を通じて彼が作品に導入した素材や技法や、ワーグナーのニーベルングの指輪、パウル・ツェランやインゲボルク・バッハマンの詩、聖書への言及やユダヤの神秘主義などといったテーマが、彼の作品を象徴している。その後フランス・バルジャックのアトリエに移り現在に至るまで絶え間なく創作活動を続けている。熱心な読書家であるキーファーの作品には、文学や詩の引用が何層にもわたって表現されている。これらは必ずしも固定された関連付けでも文字通りの関連付けでもなく、むしろ重なり合い、織物のように織り込まれて意味を形成する。彼が文章と物体として本に関心を抱いていることは、彼の作品に顕著に表れている。創作活動の当初から彼は、数多くのアーティストブックを手掛けた。アンゼルム・キーファーは、絵画、彫刻、本、写真以外にも、さまざまな場所に手を加えてきた。ドイツのホプフィンゲンにある元レンガ工場をアトリエに変身させた後、インスタレーションや彫刻を創作してそれがその場所の一部となった。フランスのバルジャックに拠点を移した後は、アトリエの周囲の地面を掘り起こし、地下トンネルと地下室を網のように張り巡らして数々のインスタレーションを繋いだ。
1945年4月、デンマークの市民大学。学長ヤコブが、現地のドイツ軍司令官から思いがけない命令を下される。ドイツから押し寄せてくる大勢の難民を学校に受け入れろというのだ。想定をはるかに超えた500人以上の難民を体育館に収容したヤコブは、すぐさま重大な問題に直面する。それは多くの子供を含む難民が飢えに苦しみ、感染症の蔓延によって次々と命を落としていくという、あまりにも残酷な現実。難民の苦境を見かねたヤコブと妻のリスは救いの手を差しのべるが、それは同胞たちから裏切り者の烙印を押されかねない振る舞いだった。そして12歳の息子もドイツ難民の女の子と交流を持ちつつあったが彼女は感染症にかかってしまう。友達を救うべきか、祖国に従うべきか、家族は決断を迫られる。
バブル期の到来を迎えた台湾。その出会いが、図らずも少年にある選択を迫ることになる……台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“老獪なキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……!?
1924年8月、ニュージーランドに生まれたジャネット・フレイムは、感受性豊かでいつも本を離さない少女に成長し、いつしか詩人になることを夢見ていた。18歳になり教職に就いたジャネットだったが、幼少期のトラウマから教壇に立つことが出来ず退職して作家を目指す。だが、繊細な性格が誤解を招き、統合失調症と診断されて精神科病棟へ送られてしまう。8年間もの歳月を過ごし200回以上の電気ショック療法を受けるジャネットだったが、入院中に執筆した短編集「礁湖」が文学賞を受賞したことで退院することになる。奨学金を得たジャネットは初めてニュージーランドを離れてロンドンで暮らし、夏に出かけたスペインで初めての恋を経験する。
市長の万巻が主導する複合型巨大観光施設の建設が進むS県暑海(あつみ)市では、温泉客が忽然と姿を消す連続失踪事件が発生していた。しかも被害者はその後、海でサメに襲われた遺体として発見されるのであった。捜査に乗り出した警察署長、束(つか)と海洋生物学博士の巨勢(こせ)は、太古の昔から蘇った獰猛なサメが暑海各地の温泉を自由に行き来し、人々を襲っているという驚愕の事実を突き止めるのだが・・・
ハンガリーの荒涼とした田舎町。天文学が趣味の郵便配達員ヤーノシュは、音楽家の老人エステルの身の周りを世話している。エステルは18世紀の音楽家ベルクマイスターを批判しているようだ。ある日、町の広場に移動サーカスと見世物である巨大クジラがこつ然と姿を現す。住民たちは「プリンス」と名乗る扇動者の声にあおられるように広場に集まり、やがて町中に破壊と暴力が充満していく。※デジタルレストア版となります。
新世紀を迎えたばかりの2001年の台北。恋人のハオと一緒に暮らしているヴィッキーは、仕事もせずに毎夜、酒とゲーム、クラブ通いと荒れた生活を続けるハオにうんざりしていた。仕方なく始めたホステスのバイトで出会ったガオのもとへ逃げこんだヴィッキーだったが、ガオがもめ事に巻き込まれ、日本へ旅立ってしまう…。※本作品は4K対応作品ではございません。
1858年、ボローニャのユダヤ人街で、教皇から派遣された兵士たちがモルターラ家に押し入る。枢機卿の命令で、7歳になる息子エドガルドを連れ去りに来たのだ。取り乱したエドガルドの両親は、息子を取り戻すためにあらゆる手を尽くす。世論と国際的なユダヤ人社会に支えられ、モルターラ夫妻の闘いは急速に政治的な局面を迎える。しかし、教会とローマ教皇は、ますます揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に応じようとしなかった…。
動物園を経営するノーマンとマカリスターは、カリブ海にハネムーンで訪れた。ボートで海へ出たが沖へ流され、台風で船は沈没してしまい二人はある島へ打ち上げられた。そこでガチョウの卵のようなモノを見つけた。運よく救助された二人は卵を持ち帰るが、その卵から見たことのない“怪物”が生まれた。手に負えなくなった夫婦は経営する動物園に「パンダザウルス」として展示することに。しかし檻を破っていなくなってしまう。パンダザウルスの存在は次第に知れ渡り、大騒ぎに!精神科医は“怪物”の存在を否定しているが…果たして「パンダザウルス」とはいったい何なのか!?
夏のバカンスでフランスからスペインにやってきたある家族。8歳のアイトールは自分の性自認が分からず、違和感と居心地の悪さの中で悩み、周囲に心を閉ざしていた。母アネはアイトールを愛しながらも向き合い方に迷っており、子育てを巡って母親と時々対立していた。叔母が営んでいる養蜂場でミツバチの生態を知ったアイトールは、ハチやバスク地方の豊かな自然に触れることで心をほどいていく。ある日、自分の信仰を貫いた聖ルチアのことを知り、アイトールもそのように生きたいと願うようになるのだったが……。
大好きだった親友は、“秘密”を残して姿を消した――公募展で大賞に選ばれた「作者・ハウン」という記載だけで応募された絵画。そこに描かれていたのは、高校生のミソだ。ギャラリーの担当者から、ハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けたミソだが、ハウンとは幼い頃に遊んだだけの仲だと語る。ハウンのブログにはミソとの深い関係が綴られているにも関わらず…。ミソとハウンは小学生からの大親友。性格も価値観も育ってきた環境も正反対だが、唯一の共通点は絵を描くのが好きなことだった。ずっと一緒に生きていくと約束する2人だったが、17歳の夏、ハウンに恋人ジヌができたことで少しずつ気持ちがすれ違っていく。そんな中、ミソは済州島を離れてソウルで暮らすことを決意。しかし、ソウルでの暮らしは精神的にも肉体的にも過酷だった。生きていくだけで必死な日々を過ごしていたミソだが、ハウンには絵の勉強をしながら旅をしていると嘘の手紙を送っていた。それから5年が経ち、再会を果たした2人は、釜山旅行に出掛ける。久しぶりに2人で過ごす時間に気持ちが昂るも、価値観の違いによって大喧嘩に。それを機に、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンは忽然と姿を消した。2人だけの“秘密”を残して…。
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々が作る木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。
<主な登場曲>(全てダイジェスト)「フォー・ユア・ラヴ」 「ハートせつなく」「アイム・ア・マン」「ジェフズ・ブギー」「ナッズ・アー・ブルー」「幻の10年」「ストロール・オン」/ヤードバーズ「ハイ・ホー・シルバー・ライニング」「ベックス・ボレロ」「恋は水色」「悲しみの恋人達」「誰も寝てはならぬ」ジェフ・ベック「シェイプス・オブ・シングス」「モーニング・デュー」「ブルース・デラックス」「プリンス」/ジェフ・ベック・グループ
ウィングスで再び世界制覇を果たしたポールと我が道を生きたジョン 紆余曲折を経て珠玉の名曲をリリースし続けたふたりの軌跡を追ったシリーズ完結編<主な登場曲>(全てダイジェスト)「マインド・ゲームス」「インテューイション」「スタンド・バイ・ミー」「真夜中を突っ走れ」「夢の夢」「ジャスト・ビコーズ」「スターティング・オーヴァー」「ウーマン」「マイ・ラヴ」「死ぬのは奴らだ」「ブルーバード」「バンド・オン・ザ・ラン」「ジェット」「レット・ミー・ロール・イット」「ジュニアズ・ファーム」「あの娘におせっかい」「ロック・ショー」「磁石屋とチタン男」「やすらぎの時」「心のラヴ・ソング」「幸せのノック」「夢の旅人」「たそがれのロンドン・タウン」「しあわせの予感」「カミング・アップ」「ウォーターフォールズ」
ビートルズ人気絶頂の中、永遠と思われた絆は崩壊しジョンとポールはソロ活動を始めるが全く異なる道を歩んでいく ヨーコとの共同制作でジョンが新境地を開く一方でポールはプレッシャーに苦しむ... 初期の代表曲をバンドメンバーたちと研究本著者たちが徹底検証<主な登場曲>(全てダイジェスト)「平和を我等に」「ヤー・ブルース」「コールド・ターキー」「インスタント・カーマ」「マザー」「ゴッド」「パワー・トゥ・ザ・ピープル」「イマジン」「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?」「女は世界の奴隷か!」「ジョン・シンクレア」「ザ・ラック・オブ・ジ・アイリッシュ」「恋することのもどかしさ」「アナザー・デイ」「アンクル・アルバート~ハルセイ提督」「ディア・フレンド」「アイルランドに平和を」
『リボルバー』リリースの1966年からラストアルバム『アビー・ロード』そしてビートルズ解散の1970年まで 様々な音楽やカルチャーが出現し最もクリエイティブに溢れていた時代、ふたりにも転機が訪れる...<主な登場曲>(全てダイジェスト)「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「アイム・オンリー・スリーピング」「エリナー・リグビー」「トゥモロー・ネバー・ノウズ」「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「ペニー・レイン」「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」「ヘイ・ジュード」「レボリューション」「ヘルター・スケルター」「ゲット・バック」「アイ・ウォント・ユー」「ゴールデン・スランバー」
1957年ジョンとポールの運命的出会いからビートルズ結成、1965年『ラバー・ソウル』まで レアな映像と共に社会現象を巻き起こした幾多の名曲誕生の背景を徹底検証<主な登場曲>(全てダイジェスト)「プリーズ・プリーズ・ミー」「抱きしめたい」「シー・ラヴズ・ユー」「ラヴ・ミー・ドゥ」「オール・マイ・ラヴィング」「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」「キャント・バイ・ミー・ラヴ」「ア・ハード・デイズ・ナイト」「恋する二人」「悲しみはぶっとばせ」「ヘルプ!」「イエスタデイ」「ひとりぼっちのあいつ」「ノルウェーの森」「ミッシェル」
受刑者向けの就職情報誌「CHANGE」編集チームは、出所者の就職あっせんと更生支援をしていた。チームのひとり藤村(35)は、ひき逃げによる殺人罪で10年服役した田中(34)を担当し、中華料理屋に就職させたもののキレやすい性格でトラブル続き。女子児童へのわいせつ行為により2年服役した元教師・三隅(37)は、職に就いたとたんすぐ消息を絶ち、チームを落胆させる。薬物常習で2年服役後出所した森(30)は清掃会社で働くものの、長年続くコミュニケーション障害でなかなか社会にフィットできない。社会復帰に向けてもがき苦しむ元受刑者を目の当たりにした藤村らは、アメリカの演劇による心理療法・ドラマセラピーを提案。元受刑者たちと稽古を重ね、舞台『ツミビト』を公演するまでに至るのだが…。舞台初日の観客の反応は、彼らにとって全くの予想外だった。
アリスは有名な舞台女優で、ルイは詩人。アリスは演出家の夫との間に一人息子がいて、ルイは人里離れた山中で妻と暮らしている。二人はもうずっと憎みあい、顔も合わせていない。そんな二人が両親の事故によって再会するのだが……。果たして、彼らが憎しみから解放されるすべはあるのだろうか?
大自然に囲まれたチリ南部のドイツ人集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられず脱走。逃げ込んだ一軒家で2匹の子ブタに出会い、「ペドロ」「アナ」と名付けて世話をする事にした。だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界へと化していく…。
2018年、東京。シャルロット・ゲンズブールは、母であるジェーン・バーキンを見つめる撮影を開始した。これまで他者を前にしたときに付き纏う遠慮の様な感情が、母と娘の関係を歪なものにしてきた。自分たちの意思とは関係ないところで、距離を感じていた母娘。ジェーンがセルジュの元を離れ家を出て行った後、父の元で成長したシャルロットには、ジェーンに聞いておきたいことがあったのだ。3人の異父姉妹のこと、次女である自分より長女ケイトを愛していたのではという疑念、公人であり母であり女である彼女の半生とは一体どんなものだったのか。シャルロットはカメラのレンズを通して、初めて母親の真実と向き合うことになる。
急速な西洋化と経済発展が進む1990年代前半の台北。企業を経営するモーリーは、自分の会社の経営状況も、婚約者アキンとの仲も上手くいかずにいる。モーリーの会社で働く親友チチは、モーリーの仕事ぶりに振り回され、恋人ミンとはケンカが絶えない。そんなモーリーとチチの2人を中心に、同級生・恋人・同僚など10人の男女が2日半という時間の中で織りなす人間模様を描き、心に空虚感を抱える彼らが自らの求めるものを見いだしていく姿を映し出す。※デジタルレストア版となります。
斜陽の一途にあるピンク映画業界。栩谷は監督だが、もう5年も映画を撮れていない。梅雨のある日、栩谷は大家から、とあるアパートの住人への立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関は、かつてシナリオを書いていた。映画を夢見たふたりの男の人生は、ある女優との奇縁によって交錯していく。
“春画先生”と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎は、妻に先立たれ世捨て人のように、一人研究に没頭していた。退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、芳賀から春画鑑賞を学び、その奥深い魅力に心を奪われ芳賀に恋心を抱いていく。やがて芳賀が執筆する「春画大全」を早く完成させようと躍起になる編集者・辻村や、芳賀の亡き妻の姉・一葉の登場で大きな波乱が巻き起こる。それは弓子の“覚醒”のはじまりだった―。
銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる-。
そう遠くない未来。人工的な環境に適応するよう進化し続けた人類は、生物学的構造の変容を遂げ、痛みも消えた。“加速進化症候群”のアーティスト・ソールが体内に生み出す新たな臓器に、パートナーのカプリースがタトゥーを施し摘出するショーは、チケットが完売するほど人気を呼んでいた。しかし政府は、人類の誤った進化と暴走を監視するため“臓器登録所”を設立。特にソールには強い関心を持っていたのだが…。
ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベート。1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘するも、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは――――。
韓国で生まれ、フランス人の両親の養子となった25歳のフレディは、東京行きの飛行機が欠航となり、偶然ソウルに到着する。彼女はゲストハウスのフロント係でフランス語が堪能なテナと意気投合し、レストランで彼女の友人たちと食事する。そこでフレディは、ハモンド養子縁組センターを通じて、実の親と連絡が取れるかもしれないと知る。フレディは両親を探すために韓国に来たわけではなかったが、テナからの勧めもあり、ハモンドを通して両親に電報を送る。数日後、実父からの返事を受け、テナが通訳を務める中、フレディは実父が住む群山へ向かう。フレディは再婚した実父の現在の家族と、居心地の悪い時間を過ごす。実父はフレディを養子に出したことを後悔しており、韓国での新しい生活を支援すると伝える。フレディはソウルに戻った後も続く彼の執拗なメールにうんざりし、返事をしなくなる。彼女はテナと、ソウルでの最初の夜に寝た男とバーに行くが、彼のフレディへの愛の告白を冷酷に馬鹿にし、テナを不快にさせる。別れ際、彼女はテナにキスをしようとするが、テナは彼女を拒絶し、フレディに「かわいそうな人」と言う。フレディはバーのDJとゲストハウスに戻ろうとするが、突然酔っぱらった実父が目の前にあらわれる。彼はメールを無視した彼女を叱りつけ、DJを追い払う。さらに勢い余って彼女の腕をつかんだので、フレディは「触らないで!」と叫んでその場を立ち去る。2年後、フレディはソウルに住んでいた。彼女は武器商人のアンドレとデートをする。アンドレはフレディに、彼女は彼の業界で通用すると言う。フレディは彼に、今日は自分の誕生日であり、毎年誕生日には母親が自分のことを思ってくれているのかと考えるのだと話す。彼女のために開かれたサプライズ誕生日パーティーで、彼女は同僚に、実母から「会う気はない」とハモンドを通して返事がきたことを明かす。実父からはしつこくメールが送られてくるが、彼女はほとんど無視している。5年後、フレディは片言の韓国語を話し、アンドレとともにミサイルを売る仕事をしていた。韓国出張の際、彼女は新たなフランス人のボーイフレンド、マキシムとともに実父に会いに行く。実父は作詞作曲したピアノ曲をフレディに聴かせ、その響きにフレディは感動する。夕食後、マキシムと別れて歓楽街に向かった彼女は、翌朝路地で一人目覚める。街行く人々を眺めていると、ハモンドから彼女に連絡が入る。一度はフレディとの再会を断った実母が、ハモンドからの電報に前向きな返事をしたという。フレディは母親とハモンドの施設で会い、フレディは母親に抱かれて泣く。母親はフレディにメールアドレスを教え、連絡を取り合えるようにする。1年後の誕生日、フレディは山を登って、ホテルに到着する。フレディは一度もメールを送っていなかった母親に「幸せに生きてるよ」とメールをする。しかし、母親のメールアドレスは無効になっていたため、メールは届かなかった。フレディはホテルのロビーに行き、楽譜が置かれたピアノに気づく。彼女は座り、ためらいがちにメロディーを奏ではじめる。
コペンハーゲンの巨大病院(キングダム)。夢遊病者のカレンは、助けを呼ぶ謎の声に導かれキングダムへと辿り着く。数々の不可解な事件を解決するため、カレンは病院の用務係のブルザー、心臓外科医のユディットと手を組むが、悪魔の力に反撃されてしまう。一方、キングダムに赴任してきて間もないスウェーデン人医師のヘルマー・ジュニアは、亡くなった父スティーグ・ヘルマーの秘密を探り始めるが・・・。
1995年、同性愛が違法でなくなってから2年後のアイルランド。同性愛者への差別や偏見が根強く残る田舎町で、自身がゲイであることを受け入れられない高校生・エディと、レズビアンであることを隠しているクラスメイトのアンバー。家族や同級生にセクシュアリティを悟られないように平穏に卒業を迎えるため、2人は“ニセモノの恋人”を演じることに!性格も趣味も全く違う2人だったが、ぶつかり合いながらも、悩みや夢、秘密を打ち明けるうちに、唯一ありのままの自分をさらけ出せる、かけがえのない存在になっていく。しかし、一緒に訪れた都会・ダブリンで、運命的な出会いによって新たな世界に触れた2人は、“理想的”だったこの関係にも終わりが近づいていることに気づいてしまい…。
サンドラ(レア・セドゥ)は、夫を亡くした後、通訳の仕事に就きながら8歳の娘リン(カミーユ・ルバン・マルタン)を育てるシングルマザー。仕事の合間を縫って、病を患う年老いた父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)の見舞いも欠かさない。しかし、かつて教師だった父の記憶は無情にも徐々に失われ、自分のことさえも分からなくなっていく。彼女と家族は、父の世話に日々奮闘するが、愛する父の変わりゆく姿を目の当たりにし、サンドラは無力感を覚えていくのだった。そんな中、偶然、かつて友人だったクレマン(メルヴィル・プポー)と再会。知的で優しいクレマンと過ごすうち、二人は自然と恋に落ちていくが……。
パリ・オペラ座バレエ団で、エトワールをめざす主人公のエリーズ。幼少期からバレエ一筋の日々を送ってきた彼女だったが、夢の実現を目前に恋人の裏切りから心乱れ、本番中に足首を負傷。医師から踊れなくなる可能性を告げられる。踊ることを半ば諦め、新しい生き方を模索する失意のエリーズだったが、そんななか料理のアシスタント係の仕事で訪れたブルターニュで、今を時めく注目のダンスカンパニーと出会う。これまでのバレエとは違う、独創的なコンテンポラリーダンスが生み出される過程を目撃し、やがて誘われるまま練習に参加したエリーズは、未知なるダンスを踊る喜びと新たな自分を発見していくのだった。
1980年代、安全企画部(旧KCIA)の海外次長パク(イ・ジョンジェ)と国内次長キム(チョン・ウソン)は組織内に入り込んだ“北”のスパイを探し出す任務を任され、それぞれが捜査をはじめる。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるかもしれない緊迫した状況で、大統領暗殺計画を知ることになり、巨大な陰謀に巻き込まれていく。
冬の寒い日、フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体が発見される。遺体は、モナ(サンドリーヌ・ボネール)という18歳の若い女だった。モナは、寝袋とリュックだけを背負いヒッチハイクで流浪する日々を送っていて、道中では、同じく放浪中の青年やお屋敷の女中、牧場を営む元学生運動のリーダー、そしてプラタナスの樹を研究する教授などに出会っていた。警察は、モナのことを誤って転落した自然死として身元不明のまま葬ってしまうが、カメラは、モナが死に至るまでの数週間の足取りを、この彼女が路上で出会った人々の語りから辿っていく。人々はモナの死を知らぬまま、思い思いに彼女について語りだす。