不眠症に悩まされている無職の青年 平岡修二。彼は謝礼の10万円を目当てに、失踪した20代女性「小川翠」を探し続ける。徐々に彼女に意識を占領されていく修二。「なぜ翠は“尋ね人”となってしまったのか」そこには悲しすぎる過去があった。
24歳のイネスは、これといった生きる目的も未来への展望もなく、毎日が憂鬱でしょうがないデンマーク人女性。そんなイネスが恋人ルーカスの出張に同行して訪れたノルウェーで、マリアという日仏ハーフの美しい女性とめぐり合う。ふたりの容姿はとても似ていたが、大阪からやってきたマリアはどこか謎めいていて、イネスにはない自信に満ちあふれていた。たちまちマリアに心酔したイネスは、雄大な自然のまっただ中で夢のような時間を過ごすが、不慮の事故でマリアが息を引き取ってしまう。ずっと「別の誰かになりたい」と願っていたイネスは、マリアの航空券とパスポートを携えて大阪へ旅立つ。そしてマリアの勤め先のナイトクラブ“MISS OSAKA”に雇われ、未知なる刺激的な人生を踏み出すのだが……。
舞台制作の裏方として生きる人々が、それぞれの人生と向き合いながら「生きること」「表現すること」の意味を見つめ直していく。舞台と現実が交錯する中で、彼らが立つ“オンステージ”の瞬間を描いたヒューマンドラマ。
1968年、ビートルズは音楽業界に革命を起こすべく新レーベル=アップル・レコードを設立、転換期を迎えていた4人の作品製作と共に新たなるアーティストの発掘に着手した。メリー・ホプキン、バッドフィンガー(アイヴィーズ)、ジェイムス・テイラーなど数多くのスターを輩出したが財政悪化・首脳陣の不仲そしてビートルズの解散等様々なトラブルによって崩壊の危機を迎える… 主な登場曲(全てダイジェスト) 「ターン・ターン・ターン」「悲しき天使」/ メリー・ホプキン 「アイ・ビリーヴ」「メイビー・トゥモロウ」/ アイヴィーズ 「嵐の恋」「ウィズアウト・ユー」「デイ・アフター・デイ」/バッドフィンガー 彼女の言葉のやさしい響き」「思い出のキャロライナ」/ジェイムス・テイラー 「ペニー・レイン」「ヘイ・ジュード」/ ザ・ビートルズ 「ヒア・カムズ・ア・サン」/ジョージ・ハリスン
ロンドン在住のオスカー・コリンズは堅物で独身、初老の科学者。そんな彼が住むアパートの隣に、美しいモデルの娘ペニー・レーンが引っ越してきた。ある夜、偶然にできた壁の穴からペニーのセクシーな姿を見たオスカーは瞬時に魅了され、研究よりもペニーを覗き見ることが日常となった。山積みの資料を放り捨て壁を剥がし、あらゆる箇所に穴を開けてひたすらペニーを追いかけるオスカーは幻想の世界で彼女の恋人となっていた...
人生をこじらせた男にできた恋人は〈孤独死した隣人女性〉?!メキシコで暮らすチリ人のマルティネスは偏屈で人間嫌いな60歳の男性。会計事務所での仕事やプールでの水泳といった日々のルーティンを決して崩さない。しかしそんなマルティネスの規律的な日々は、会社から退職をほのめかされ、後任のパブロがやって来たことで終わりを迎える。時を同じくして、アパートの隣人で同年代の女性、アマリアが部屋で孤独死していたことが判明する。アマリアの私物に自分への贈り物が残されていたことを知り、次第に彼女に興味を抱くようになるマルティネス。遺された日記や手紙、写真を通してアマリアへの思いを募らせていく内に、マルティネスは心の奥底で眠っていた人生への好奇心を取り戻していく。
20世紀初頭のローマ。教育者マリア・モンテッソーリは、娘の障がいを隠すため逃亡した高級娼婦リリと出会う。マリアの教育法により、リリは娘の意志と才能に気づき、母として変化。共鳴したリリは、男性社会で闘うマリアの夢に力を貸し、互いの人生を動かしていく。
負け続きの弁護士アヴリルは、絶望的な状況にある犬コスモスの弁護を引き受ける。勝ち目のない裁判に挑む彼女の姿を描く、実話に基づいた法廷コメディ。人と動物の関係に鋭く迫る感動作。
42 歳 独身 青森県弘前市出身。人生を諦めなんとなく過ごしてきた就職氷河期世代の在宅フリーター陽子(菊地凛子)は、かつて夢への挑戦を反対され 20 年以上断絶していた父が突然亡くなった知らせを受ける。 従兄の茂(竹原ピストル)とその家族と共に車で弘前へ帰ることに。しかし、途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られた茂の一家に置き去りにされてしまう。陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。しかし、出棺は明日正午。北上する一夜の旅で出会う人々―懸命に働くシングルマザー(黒沢あすか)、人懐こい女の子(見上愛)、怪しいライター(浜野謙太)、心暖かい夫婦(吉澤健、風吹ジュン)。そして陽子の前に立ちはだかるように現れる若き日の父の幻(オダギリジョー)により、陽子の止まっていた心は大きく揺れ動いてゆく。冷たい初冬の東北の風が吹きすさぶ中、はたして陽子は明日の出棺までに弘前の実家にたどり着くのか・・・。
デザイナー・真知子(前田敦子)、元子役のバラエティタレント・鈴(趣里)、彼氏に染まる金髪ギャル・美和(伊藤万理華)、風俗嬢・七瀬(黒川芽以)。2020年、彼女たちはそれぞれ”クズ男”たちと付き合っていた。真知子はバンドマン志望の怜人(菊池風磨)と、鈴はあざとかわいい男子の富(千葉雄大)と、美和はハイテンションなフリーター・泰造(オカモトレイジ)と、七瀬はプライドの高い元子役・慎太郎(三浦貴大)と。彼女たちは、彼氏に不満を感じつつも、幸せな日々を過ごしていた。ただ、彼女に甘えた男たちはどんどん増長し、どうしようもない部分が露呈、遂に別れの時が訪れる・・・。そこで彼女たちが選ぶ誰も予想しない超越した決断とは?
結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。うろたえて山中に埋めようとするも、気がつけば死体は消えていた。間宮はARアプリ「王様の耳はロバの耳(通称ミミ)」(※注釈)の中で、死んだ女子高生と瓜二つの少女“明日香”を発見する。“明日香”は「ミミ」を通じて再生できる動画を街中で投稿し、動画目当てのファンたちが街を徘徊するカリスマ的存在だった。“明日香”の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になっていく間宮。いったい“明日香”とは何者か? 彼女は死んだ少女と同一人物なのか? そして本当に存在するのだろうか?※アプリ「ミミ」とは 劇中に登場する、位置情報を元としてスマホカメラ画面で撮影した自分の動画を撮影場所に残せるサービス。また、ミミを起動することで、その場所に残された動画を再生することができる。名前の由来となったあのお伽話のように、秘密や愚痴を垂れ流し、それで街を埋め尽くそうという悪意のコンセプトで作られたジャンクアプリ。
親友たちと夏のクレタ島で過ごす、特別な卒業旅行。絶対に最高の夏になるはずだった。タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンヴァ・ルイス)の3人は、卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。自分だけがバージンで、居ても立ってもいられないタラ。初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。タラは、バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、一人酔っぱらい、彷徨っていた。そんな中、ホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが―。
DVシェルターを運営する母・エヴリンと、ネットのライブ配信で人気の高校生・ジギー。社会奉仕に身を捧げる母親と、自分のフォロワーのことしか頭にないZ世代の息子は、いまやお互いのことが分かり合えない。しかし彼らの日常にちょっとした変化が訪れる。それは、各々ないものねだりの相手に惹かれ、空回りの迷走を続ける“親子そっくり”の姿だった……!親子間のジェネレーションギャップや、理想と現実の食い違い。誰にとっても身近なテーマを描く中で、母と息子、それぞれの失敗を経てたどり着くお互いへの想いとは?見終わったあと、大切な誰かを抱きしめたくなる、ハートフルムービー誕生!
吉積めぐみ、21歳。1969年春、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われて、“若松プロダクション”の扉をたたいた。当時、若者を熱狂させる映画を作りだしていた“若松プロダクション”。そこはピンク映画の旗手・若松孝二を中心とした新進気鋭の若者たちの巣窟であった…。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描く。
エロティシズムだけではない、多彩な表現内容、技巧、その創造性!葛飾北斎、喜多川歌麿をはじめとする江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ春画。彫り・摺りの高度な技術も投入され、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、時代が江戸から明治に変わると“わいせつ物”として警察による取り締まりの対象となり、日本文化から姿を消してしまった。性別を問わず楽しめるアートとして再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。春画に描かれる表現は、もはや性愛だけにとどまらず、驚くほど多彩。“笑い絵”と称されユーモアをもって描かれる「生命」そのものの魅力に引き込まれずにはいられない。100点以上に及ぶ春画と、国内外の美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、摺師などへの取材をもとに、表情豊かに描かれる「性」と「生」を発見する驚きのドキュメンタリー。
フードデリバリー配達員、シンガーソングライター、広告クリエイター、カメラマン……東京でもがく13人の若者たちの常を追った群像劇。「スパゲティコード」(解読困難なほど複雑に絡み合ったプログラミングコードの意)のようにこんがらがった彼らのドラマは、リアルタイムに更新され、解きほぐされ、やがて1本の線へと変化していく。倉悠貴、三浦透子、清水尋也、八木莉可子、土村芳、ゆりやんレトリィバァら多彩なキャストを通して映し出されるのは、まるで私たちの鏡像。誰かとつながりたくて、夢を諦められなくて、この街のどこかに居場所を探している――。エモーショナルな映像×リアルな心情が、共感を増幅。飾り立てた “キャラ”とは違う、本当の自分がここにいる。
ジョージア。1991年。ソ連からの独立が近づき、希望に満ちた<どんちゃん騒ぎ>で新年を迎える若者たち。しかし、その夢は叶ったものの、喜びは、新たな戦争ですぐに消えてしまう……そして、27年後。画家コスタは、祖父母の代からの古びた家の半地下に暮らしている。そこに集まるのは、かつての芸術家仲間たち。そこに、コスタの昔の恋人ニナが戻ってきて、コスタの絵を買いにきたアメリカ人コレクターが、なんと彼女に一目惚れ!さぁ、どうなる!?
第一次世界大戦後のコペンハーゲン。お針子として働くカロリーネは、アパートの家賃が支払えずに困窮していた。やがて勤め先の工場長と恋に落ちるも、身分違いの関係は実らず、彼女は捨てられた挙句に失業してしまう。すでに妊娠していた彼女は、もぐりの養子縁組斡旋所を経営し、望まれない子どもたちの里親探しを支援する女性ダウマと出会う。他に頼れる場所がないカロリーネは乳母の役割を引き受け、二人の間には強い絆が生まれていくが、やがて彼女は知らず知らずのうちに入り込んでしまった悪夢のような真実に直面することになる…。
主人公のウェン・シャンは大学院まで進学しながら、脚本家として商業デビューが叶わず、不思議な同居人シャオインと暮らしながら、今は葬儀場での〈弔辞の代筆業〉のアルバイトで生計を立てている。丁寧な取材による弔辞は好評だが、本人はミドルエイジへと差し掛かる年齢で、このままで良いのか、時間を見つけては動物園へ行き、自問自答する。同居していた父親との交流が少なかった男性、共に起業した友人の突然死に戸惑う会社員、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性など、様々な境遇の依頼主たちとの交流を通して、ウェンの中で止まっていた時間がゆっくりと進みだす。
「傷にはいろいろある。見える傷だけじゃない」1938 年フランス、リー・ミラー(ケイト・ウィンスレット)は、芸術家や詩人の親友たち──ソランジュ・ダヤン(マリオン・コティヤール)やヌーシュ・エリュアール(ノエミ・メルラン)らと休暇を過ごしている時に芸術家でアートディーラーのローランド・ペンローズ(アレクサンダー・スカルスガルド)と出会い、瞬く間に恋に落ちる。だが、ほどなく第二次世界大戦の脅威が迫り、一夜にして日常生活のすべてが一変する。写真家としての仕事を得たリーは、アメリカ「LIFE」誌のフォトジャーナリスト兼編集者のデヴィット・シャーマン(アンディ・サムバーグ)と出会い、チームを組む。そして 1945 年従軍記者兼写真家としてブーヘンヴァルト強制収容所やダッハウ強制収容所など次々とスクープを掴み、ヒトラーのアパートの浴室でポートレイトを撮り戦争の終わりを伝える。だが、それらの光景は、リー自身の心にも深く焼きつき、戦後も長きに渡り彼女を苦しめることとなる。
CG一切なしの神秘的な自然の中で紡がれる伝承と解放の物語大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せっていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう・・・
「疑いは絶対に晴らすから」そう言って立ち去った親友は、一週間後に変死体で発見された――愛知県平井市在住の女子大生が、度重なるストーカー被害の末に、神社の長男に殺害された。地元新聞の独占スクープ記事により、警察が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにし、その間に慰安旅行に行っていたことが明らかになる。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事にしたと疑い、身の潔白を証明しようとした千佳は、1週間後に変死体で発見される。自分が疑わなければ、千佳は殺されずに済んだのに――。自責と後悔の念に突き動かされた泉は、自らの手で千佳を殺した犯人を捕まえることを誓う。
杭州市。最高峰の中国茶・龍井茶の生産地としても有名な西湖(せいこ)。そのほとりに暮らす母・タイホア(苔花)と息子・ムーリエン(目蓮)。父のホー・シャン(何山)は家を出て行方がわからず、10年になる。タイホアは山の美しい茶畑で、茶摘みの仕事をしながら、ひとり息子を育て上げた。ムーリエンはもう大学卒業の年だが、仕事がなかなか見つからない。ようやく見つけた仕事は詐欺まがいで、仕事は続かず、無職になってしまう。一方、タイホアも、茶畑の主人チェンと懇意になったことで、その母親の逆鱗に触れ、茶畑を追い出される。そんな時、タイホアは怪しげな「足裏シート」を販売するバタフライ社に出会う。その実態は違法なマルチ商法だった……。彼らに洗脳され、別人のようになってしまうタイホア。ムーリエンは、母をなんとか違法ビジネスの地獄から救い出そうと一線を超える決断をする……。この物語は、仏教の故事で、釈迦の十大弟子のひとりである目連が地獄に堕ちた母親を救う「目連救母」にヒントを得ている。
私ってズレてる?完璧のようにみえていた映画監督ジョヴァンニの人生。順調なキャリア、傍にはプロデューサーの妻、溢れんばかりの新作のアイディア。でも、そう思っていたのはジョヴァンニだけだった!チネチッタ撮影所で新作の撮影が始まると、畳みかけるようにジョヴァンニを災難が襲う。女優は大嫌いなミュールを履いてきた上に演出に口を出し、プロデューサーは詐欺師だったと判明、妻には突然別れを告げられる!映画は完成するのか?家族の愛をとり戻せるのか?変化の激しい時代に、ちょっと取り残されて、戸惑うジョヴァンニが見つけた人生で本当に大切なこととは?チネチッタ:ヴィスコンティ「ベリッシマ」フェリーニ「甘い生活」ウィリアム・ワイラー「ベン・ハー」「ローマの休日」など数々の名作が生まれたローマの映画撮影所。現在までに3000作以上が撮影され90以上の作品がアカデミー賞にノミネートされている。
いじわるで、嘘つきで、暴力的。そんな彼女に誰もが夢中になる!世の中も、人生も全部つまらない。やり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている、21歳のカナ。優しいけど退屈なホンダから自信家で刺激的なハヤシに乗り換えて、新しい生活を始めてみたが、次第にカナは自分自身に追い詰められていく。もがき、ぶつかり、彼女は自分の居場所を見つけることができるのだろうか・・・?
銀行の差し押さえに遭い実家の農場を閉鎖したリサは、不本意ながらも町に進出した新興大手企業アグリテック社で働き始める。しかし、アグリテック社重役のダリアと従業員待遇についての話し合いでこじれてしまい解雇されてしまう。がんで闘病中の父親を抱え日々の支払いが嵩む状況のなかで、リサは生きていくためにダリアに謝罪して再びアグリテックで働き始める。一方、幼馴染みとの結婚を控えながらも仕事に勤しむダリアは、結婚して子どもを生み育てることが女性の幸せだと考える家族の価値観を押し付けられる憂鬱な毎日を過ごしていた。結婚しても仕事を続けたいという自分の気持ちを家族に伝えられず苦悩するダリアは、歌詞に心を込めて唄うリサの姿に次第に惹かれていく。
ガールズバーのキャストたちを乗せ、夜の街を走るドライバーのユリカ(イシヅカユウ)。バーカウンターに立つミチル(大森亜璃紗)は、今夜も上手く客をあしらっている。カオル(千國めぐみ)は、デート相手の男の車を降り、家に帰る振りをして店に出勤する。スタッフルームに身を潜めるユリカは、そんな二人を光るカーテンの向こうがわから見つめていた。その夜、仕事あがりのミチルと路肩で言葉を交わしていると、巡回していた警察官が二人を見つけ、事情を聞き始めるが・・・。
80歳のミシェル。パリでの生活を終え、人生の秋から冬に変わる時期を自然豊かなブルゴーニュの田舎で一人暮らしをしている。秋の休暇を利用して訪れた娘と孫に彼女が振る舞ったキノコ料理を引き金に、それぞれの過去が浮き彫りになっていく。人生の最後を豊かに過ごすために、ミシェルはある秘密を守り抜く決意をする―。
人も、家も、街も、溶けるあらゆるものを浸食し、どこまでも襲ってくる。想像を絶する死の雨から、あなたは逃げられるか?異常な猛暑に見舞われたフランスの上空に突如、不気味な雲が現れる。それは南米に壊滅的な被害をもたらした酸性雨を降らせる危険な雲だった。あらゆるものを溶かす強酸の雨は容赦なく大勢の人間の命を奪っていく。フランス全土が大混乱に陥るなか、安全な場所を求めてあてどなく彷徨う親子の行く手には高濃度酸性雨のさらなる恐怖が待ち受けていた……
那須塩原市を流れる川で、SUPのアウトドアガイドをしている君島賢司は、父を幼い頃に川の事故で亡くし、母と二人で生きてきた。その母を病気で亡くして、一人きりになる。母が生前言い残した「自由に生きなさい」という言葉、7年間世界を旅してきた女性との出会いを経て、自分の生き方は、ただ流されているだけなのだろうかと疑問を持つ。しかし地元の人と自然に癒され、再び自分らしい生き方を見つめ直していく。
かつて日本の山々に実在した流浪の民・山窩(サンカ)。財産も戸籍も持たず、ときに蔑まれ、ときに自然の恵みを一身に浴びた。混乱の今、これまでを問い、これからをつくる私たちの物語。
コロナ禍に韓国で誕生したジャイアントパンダのフーバオ。「幸福を与える贈り物」と名付けられた彼女は、韓国はもちろん、世界中から愛される存在へと成長した。4歳になる2024年、中国への帰国を間近に控えファンたちが悲しみに暮れる中、飼育員たちはフーバオの幸せを願い、中国行きの準備を粛々と続けていた。小さい頃遊んだようなハンモックを設置したり、大好きな菜の花畑を手入れしたり…。出発に向けた前向きな準備を整えながらも、次第に近づく別れを前に、飼育員たちの心も揺れ始める。
15歳の少女ハイディは、母親の恋人とキスしているところを見つかってしまい家を飛び出す。やがて小さなスキーリゾート地に辿り着いた彼女はガソリンスタンドで仕事を見つけ、新しい生活を始める。性的にも成熟しつつあり、愛を得て孤独を癒すために男たちとの自暴自棄的な付き合いを始める。そんな時、ハイディの前にジョーという青年が現れ、二人は恋に落ちる。やっと本当の愛がつかめたかに見えるが・・・
1936年。ユダヤ人のイレーンは、裕福な友人・スィルヴィアからある相談を持ち掛けられる。スィルヴィアは不妊に悩んでおり、イレーンに自身の夫との間で子どもをつくってほしいと言う。そうして生まれた子どもに莫大な財産の相続が約束されたのだが、彼らの関係は悪化の一途をたどる。その頃世界ではファシズムが台頭し……。
43歳のカタは工場勤務の未亡人。彼女は既婚者と不倫関係にある。カタは子どもが欲しいのだが、愛人は一向に聞き入れない。とある日カタは、寄宿学校で生活するアンナと出会い、彼女の面倒を見ることにした。次第にふたりは奇妙な友情を育んでいく。
ユリは工場勤務の傍ら、農学を学んでいる。工場の上司は彼女と恋に落ちる。ユリは彼に誠実な関係を望むいっぽう、前パートナーとの間に子どもがいる事実を隠している。やがて彼女の秘密は明らかになるのだが、上司は子どもの存在を受け入れるだけの心の準備ができておらず……。
マリの夫は偏狭な男で、ユリの夫はアルコールに依存している。彼女たちはつらい夫婦生活を乗り越え、慰めを求めあう。互いの葛藤を知ったふたりは、それぞれの人生を歩むべく、ある決断をする。
ビート・ミュージックのファンである若者たちは、うだつの上がらない日々を工場での労働に費やしている。ユリは不良青年のうちのひとりと婚約しているのだが、とあるミュージシャンと恋に落ちた。ギグを開くという彼とともに、ユリは小旅行へ出かける。しかし嫉妬深い婚約者と彼の不良仲間たちは執拗にふたりを追いかけ……。
1893年、ピエールとマルトは画家とモデルとしてパリで出会う。ブルジョア出身のピエールは謎めいて型破りなマルトに強く惹かれ、二人はともに暮らし始める。田舎に家を見つけ社交的な世界から遠ざかり、クロード・モネなど限られた友人との交流を除いては半ば隠遁生活の中で絵画制作に励むピエール。マルトをモデルにした赤裸々な絵画は評判となりピエールは展覧会で大成功をおさめる。1914年第一次世界大戦が始まった夏、仕事で毎週パリに赴くピエールに不安がつのるマルト、終戦間近にはパリのアトリエでピエールのモデルになっている美術学校生ルネと出くわす。なぜかマルトはルネを気に入り3人の関係は複雑なものに・・・。
男は、いきなり女の唇をこじ開け、舌をさし込んできた。女は思わず上着にしがみつく。そして、無言のうちに昇りつめるー。クラブ歌手のキム(樋口可南子)は黒人のスプーン(マイケル・ライト)と出逢った。翌日、キムは「私、クロと寝たのよ」と告げ、同棲していたバンド仲間の市来(奥田英二)の部屋を出て行った。数日後、スプーンと再会したキムは、再び熱い瞬間を過ごす。だが、二人の乗った自転車が事故を起こし、スプーンの消息はわからなくなった。キムは新しく借りた部屋で、スプーンの猫オズボーンと彼を待った。スプーンは脱走兵となってキムの前に現われた。二人の熱病のような熱い日々が始まった。
高飛込のチェコ選手権で優勝し、オリンピックの代表に選出されたアンドレア・アブソロノバ。しかし、練習中に脊椎を損傷し、スポーツ選手としてのキャリアを強制的に終了させられてしまう。失意のどん底にいたアンドレアだったが、恋人の影響でポルノ業界に入り込む。アンドレアは持ち前の美貌と完璧なボディでリア・デ・メイとして一躍有名なポルノ女優になるが・・・
ヨルダン川西岸地区のマサーフェル・ヤッタで生まれ育ったパレスチナ人の青年バーセルは、イスラエル軍の占領が進み、村人たちの家々が壊されていく故郷の様子を幼い頃からカメラに記録し、世界に発信していた。そんな彼のもとにイスラエル人ジャーナリスト、ユヴァルが訪れる。非人道的で暴力的な自国政府の行いに心を痛めていた彼は、バーセルの活動に協力しようと、危険を冒してこの村にやってきたのだった。同じ想いで行動を共にし、少しずつ互いの境遇や気持ちを語り合ううちに、同じ年齢である2人の間には思いがけず友情が芽生えていく。しかしその間にも、軍の破壊行為は過激さを増し、彼らがカメラに収める映像にも、徐々に痛ましい犠牲者の姿が増えていくのだった―。
フリーターのさえない男・利彦はアイドル予備軍・浅香アイに夢中だ。メジャーアイドルを目指すアイは、ある日コンビニで働く利彦と出会う。アイの事なら出身地から通っていた歯医者まで知らないことはないと告げる利彦に、アイは驚きと共に親近感を覚える。利彦との出会い、マネージャーへの恋心…自殺した親友の曲『夢なら醒めて』でCDデビューを間近に控え苦悩するアイ。そんななか、日増しに利彦のカラダに異変が起こりはじめる。体毛が抜け落ち、そして…。
連続狙撃事件の容疑者はエレガントな億万長者。上流国民の“お遊び”に法の鉄槌は下るのか――
いじめに悩まされてきたナミとソヌは、クラスメイトとの修学旅行に行かずに自殺を図ろうとするも断念。2人は死ぬ前に、自分たちをいじめた首謀者で、今はソウルで幸せに暮らすチェリンへの復讐のための2人だけの修学旅行に出る。ついにチェリンと再会するも、改心して女神のような善人に変わっていた。彼女が改心するきっかけとなったインチキくさい宗教団体の施設で過ごすことになった2人の復讐計画は果たして実行されるのか!?
1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム「Dreamin’Wild」。10代だったドニーは兄とデュオを結成し、父が息子たちのために自作したスタジオで数々の楽曲を生み出した。家族に支えられ情熱を注ぎ込んで作ったアルバムだったが、世間からは見向きもされず、夢に手が届くことはなかった。それから約30年後――。思い描いていた夢とは程遠い人生を送っていたドニーは、コレクターにより発見されたアルバムが再評価され、“埋もれた傑作”として人気を博していることを知る。思いもよらない成功に家族は喜ぶが、ドニーは目を背けてきた過去や感情と向き合うことになり…。
◎『ひとで』(Starfish) 1928年 焦点の合わない画面上に、二人の人物が道路を歩いている。ガラス越しに歪んで見える二人は寝室に引きこもり、女が服を脱ぐ。男は「さようなら」と言う。◎『エマク・バキア』(Emak-Bakia) 1926年 「シネポエム」とサブタイトルが付けられた『エマク・バキア』は、マン・レイが発明したレイヨグラフ、二重露光、ソフトフォーカスなど、彼が写真撮影に用いた多くの技法が使われている。タイトルはバスク語で「ひとりにしてくれ」という意味だが、「平和を与える」という意味もある。◎『理性への回帰』(Return to Reason) 1923年 マン・レイの短編映画1本目。フィルムに塩と胡椒を振りかけたり、ピンを刺したり。彼の伝説的なミューズ、キキ・ド・モンパルナスが裸で登場し、彼女の体が光の縞模様に照らされる。◎『サイコロ城の秘密』 (Mystery of the Chateau of the Dice) 1929年 すべての行動を偶然に頼る優柔不断な二人組の旅行者。二人は丘の上にある美しい城に出かけ、城の内外を歩き回る。
写真が好きだがしっくりしたものが撮れない高校3年生の景はある日、遠い存在と思っていた同級生の遊から映画づくりに誘われる。遊が撮りたい映画は「絵描きの男の子と落ち着きのない女の子が『時間の流れない世界』を目指して旅をする」という物語。友人のアリサ、海、二郎も集い、撮影が始まる。共に創作をする喜び、ほのかな恋心、過去の行き違い...さまざまな思いを抱える彼らの関係が、映画づくりとともに移り変わっていく―繰り返す彼らの夏が辿り着くラストシーンとは?
「銀幕エレジー」 山口 雄也 監督(深谷シネマ)ブルーカラーの家で育った友恵の唯一の楽しみは映画を観ること。吉国グループの御曹司慶太郎と結婚し玉の輿に乗った。初めのうちこそ優しかったが、明らかに友恵を下に見る態度など対等な個人として扱われることはなく、DV を受けるまでに。そんなある日、友恵はある決断をする。今まで人に流されて生きていた自分が今なぜ大胆な行動をとれるのかを悟る。深谷シネマは酒蔵をリノベーションして作られた映画館。人は人生何度でもやり直せる意味を込めて。 「シネマコンプレックス」 中村 公彦 監督(ジャックアンドベティ)20年以上助監督を務めてきた手条順也は、ようやく念願の初監督作品を完成させた。だが喜びも束の間、主演俳優が不倫スキャンダルを起こし、映画はお蔵入りに。絶望した手条は、反社から買った拳銃でプロデューサーに発砲し、二百万円を奪って逃げる。やがて長年コンビを組んできた助監督に説得され、自首することにするが、その前に子供の頃通っていた横浜の映画館に立ち寄る。そこにはかつて手条に映画の楽しみ方を教えてくれた支配人がいた。手条の胸中に渦巻く、映画への愛と憎悪の行く末は― 「俺と映画と、ある女」 鈴木 太一 監督 (横川シネマ)今から九年ほど前、映画監督として初めて長編映画を撮った私は、その映画を携えて広島の横川シネマにやってきた。そこで織りなされる、劇場支配人や劇場常連客との触れ合い、そして、とある女との運命的な交流。これは、私、鈴木太一という映画監督が味わった実体験に基づく、少々風変わりで、ほろ苦く、甘酸っぱい物語である。 「colorful」 沖 正人 監督(御成座)色を識別出来ない目の病気を抱える崇徳。ある日、最愛の両親を交通事故で亡くし、亡くなった母親の生まれ故郷である秋田県の児童養護施設に預けられる事になる。叔母に連れられて施設に向かう途中、閉館したはずの廃墟となった映画館の前を通り掛かると、以前、叔母が幼い頃に見た様な、賑やかで華やかだった頃の映画館となっていて、支配人に招かれて映画館に入って行った二人は、それから不思議な体験をする事になる。
ママがやって来る!児童養護施設で暮らす11歳の少女ルーのもとに、長年離れ離れだった母親カリーナから突然連絡が入る。自称ハリウッドスターのカリーナは、ルーの憧れの存在。再会を喜ぶルーを勝手に施設から連れ出したカリーナは、「ポーランドのおばあちゃんのところへ行く」とルーに告げる。カリーナにはルーとずっと一緒にいるための、ある計画があったのだ。「私たちはボニーとクライド。人生はゼロか100かよ、お嬢ちゃん」。ルーは破天荒な言動を見せるカリーナに戸惑いながらも、母親と一緒にいたいという思いでついていく。一方、児童養護施設からはルーの行方を心配する電話が鳴りやまない…。オンボロのスポーツカーに乗ってポーランドを目指すルーとカリーナの逃走劇が始まる。
1986年の春、チェルノブイリ原子力発電所が爆発し、ミミという少女がフィンランド西部の小さな村にやってくる。周囲に馴染めないミミはマリーアに友達のフリをして欲しいとお願いする。たちまち二人は強く惹かれ合い、まばゆい青春を謳歌する。20年後、病気の母を看病するために故郷に戻ったマリーアは、あの夏の思い出を蘇らせていく―
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る男を雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱く。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。ありのままの自分を許し、愛するストーリーの舞台となったのは、モロッコの首都ラバトと川1本隔てた古都サレ。コーランが響く旧市街には、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場、男たちがミントティーを楽しむカフェがあり、通路の上には大量の洗濯物がたなびくなど、素顔のモロッコがスケッチされる。
18世紀デンマーク。貧窮にあえぐ退役軍人ルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号をかけて荒野の開拓に名乗りをあげる。それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルは自らの権力が揺らぐことを恐れ、あらゆる手段でケーレンを追い払おうとする。ケーレンは自然の脅威とデ・シンケルの非道な仕打ちに抗いながら、デ・シンケルのもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや、家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスと出会い、家族のように心を通わせていく。
親友同士のモリーとエイミー、卒業式前夜に突如覚醒。青春を取り戻すため、呼ばれてもいないパーティーに殴り込み!明日は卒業式。親友同士のモリーとエイミーは、高校生活の全てを勉学に費やし輝かしい進路を勝ちとった。ところが、パーティー三昧だった同級生たちも同じくらいハイレベルな進路を歩むことを知り驚愕。2人は失った時間を取り戻すべく、卒業パーティーに乗り込むことを決意する。
2010年夏、ハリウッドの売れっ子脚本家ギルは、婚約者と憧れの街パリにやって来た。それなのにどこか満たされない彼は、本格的な作家に転身し、ボヘミアンな人生を夢見ている。そんなギルが深夜0時を告げる鐘の音に導かれ、さまよい込んだ先は、活気漲る芸術&文化が花開いた1920年代だった!これは夢か、はたまた幻かと驚くギルの前に、次から次へと高名なる人物を名乗る面々と、官能的な美女アドリアナが現れて……。第84回アカデミー賞 4部門ノミネート、最優秀脚本賞受賞/第69回ゴールデン・グローブ賞 4部門ノミネート、最優秀脚本賞受賞。天才ウディ・アレンが真夜中のパリに魔法をかけた!誰しもをめくるめくおとぎ話の世界へトリップさせる至福のロマンティック・コメディ!
移民や低所得労働者たちが多く暮らすパリ郊外の公営住宅地帯で、警察による若者への強制尋問と暴行に抗議する暴動が発生。アブデルという青年が重体で病院に搬送され、以後も警察と住民がにらみ合う一触即発の非常事態が続くことに。そんな中、ある警官が紛失した拳銃をこの地区で暮らすヴィンスが偶然拾い、アブデルが死んだらこれで警察に復讐してやると、仲間のサイードとユベールに向かって意気込んで見せるのだったが……。
ジャズ界のスーパースター、ハービー・ハンコックが2005年に発表したアルバム「Possibilities」で競演した豪華アーティストたちとの貴重なレコーディング風景を記録した、最高に刺激的でクリエイティブな音楽ドキュメンタリー。
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、毎日片道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。仕事には関心がなく、上層部の顔色を伺う上司に辟易する日々。大学時代から長く付き合っている恋人のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に行きたいと口にするケナに「自分が就職したら支える」と告げるが、ピントのずれた話をしがちなジミョンにケナは苛立つ。ケナは、ジミョンの家族との関係にも居心地の悪さを感じていた。だが、ケナの母は裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望み、折に触れて急かす。そればかりか、新しい部屋を購入するための費用もケナに出すように迫る。ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていた。地獄のような通勤、興味のない仕事、恋人との不透明な未来、古い価値観を押しつけてくる家族との息の詰まる日々ーー。「自分には落ち度がないのに、ここでは幸せになれない」。ケナは、韓国を抜け出すことを決意する。
売れないミュージシャン・リアムと著名なジャーナリスト・レイのカップルはレイの誕生日を祝うために週末、人里離れた田舎の宿を訪れる。ネットでの評判は上々の宿だが、かつてはシングルマザーの避難所として運営されており、生まれたばかりの子どもやその母親の大量死が問題になっていた。現在妊娠中のレイは、近くの森で若い女性の霊を目撃し、リアムとの仲が徐々に険悪になっていく。やがて、施設の真の歴史が明らかになると同時に、自らの出生の秘密が明かされる…。
ニーナは夏のローマでドッグシッターの仕事を始めた。恋は諦めていた矢先、若いチェロ弾きのファブリジオが現れた。