背中に悔いを背負った男、安田松太郎。彼は傷ついた天使に出会い、旅に出る。しかし、社会はそれを誘拐と呼んだ。――主人公の安田松太郎は、高校の校長を定年退職した厳格な教育者。しかし、幸せな家庭を築けず、アルコール依存症だった妻を亡くし、一人娘から憎しみをかっている。人生に悔恨を背負ったそんな初老の男が、一人の天使に出会う。松太郎が引越したアパートの隣室に母親と二人で暮らしている5歳の少女。ボール紙で作った擦り切れた羽根をいつも背中につけた地上の天使は、母親に虐待され、誰にも心を開けなくなっていた。不幸な少女の名は、幸。松太郎はある日、幸を救い出し、一緒に旅に出る。行く先は、松太郎の遠い記憶のなかにある心のユートピア。青い空に白い雲がぽっかりと浮かび、大きな鳥が悠然と空を舞う、ある山の頂だった。しかし、幸の母親は娘が誘拐されたと、警察に届け出る。捜査の網の目は次第に彼らを追い詰めていく・・・。
情緒溢れる町並みが、どこか時代から取り残された感のある愛知県瀬戸市。人のウワサがあっという間に広がりそうな片田舎で、43歳の警察官・友川と、15歳の中学生・陽子が恋に落ちた。警官でありながら拳銃をぶっ放して遊び、淋しい主婦とヨロシクやってしまう破天荒なおっさんだったが、知的障害を持つ陽子の兄・助政や、一人暮らしの老婆トヨといった、社会から疎外された人々に優しい目を向ける。そんなおっさんの自由だが一本筋の通った生き方が、胸に小さな傷を抱えた少女の心に安らぎを与え、孤独という心の穴を埋めていく。だが、ある事件をきっかけに二人の関係が周囲に知られてしまうことに。現実を突きつきつけられたおっさんと少女の愛の形を美しい映像でアヴァンギャルドに綴った奥田流抒情詩。
幼い頃に母を亡くし、神父の父テツと二人暮しのユウ。理想の女性“マリア”に巡り合うことを夢見ながら、平和な日々を送っていた。しかしテツが妖艶な女サオリに溺れてから生活は一変。やがてサオリがテツのもとを去ると、テツはユウに毎日「懺悔」を強要するようになる。父との繋がりを保つために盗撮という罪作りに没入していくユウ。そんな彼はある日、罰ゲームで女装している最中に、ついに理想の女性ヨーコと合うが……。
読書好きのコンスタンス(ミュウ・ミュウ)は、いつも『読書する女』という本を読んでる。そしていつしか本のなかの主人公マリー(ミュウ・ミュウ=二役)に同化して物語はすすんでいく。マリーは大の読書好き。自分の美声を生かし、出張朗読を職業にしようと思い立つ。新聞広告を出したマリーの許に依頼してきたのは、一癖も二癖もある人間ばかり。半身不随のまま思春期を迎えつつあるエリックという青年にはモーパッサンの官能的な小説を読んであげたり、トルストイの『戦争と平和』が好きな自称100歳というデュメニル将軍の未亡人と彼女の女中で一風変わった女性ベラの引き起こす騒動に巻き込まれたり。離婚歴のある中年社長のために、マリーはデュラスの『愛人』を読んでやるが、どうやら彼の目的は彼女の肉体にあるらしく・・・。
塗装会社で事務員として働く沙織。ある日、彼女のもとに若くて美しい男・春彦が訪ねてくる。彼は、沙織と母親を捨てて出て行った父の恋人だった。沙織の父は、ゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、今はゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」を創設、その館長を務めているらしい。春彦は、その父が癌で余命幾ばくもないと言い、ホームを手伝わないかと誘う。父を嫌い、その存在さえも否定して生きてきた沙織だが、破格の日給と遺産をちらつかせて、手伝いに行くことを決意する。死にゆく父親、その父親を愛する春彦、そんな二人を見つめる沙織・・・いつしか三人に微妙で不思議な関係が芽生えていく。
砂漠に住む男“西毒”はかつては凄腕の剣士だったが今は殺し屋の元締めをしている。そんな彼の下に集う剣士たち。それぞれの心に傷を持つ彼らは、愛を捨て剣をとり、超人的な技を駆使して戦いを挑む。あるものは生き、あるものは死んでいく。夢の果てに彼らが見たものとは・・・。
80分しか記憶がもたない天才数学博士と家政婦とその10歳の息子。驚きと歓びに満ちた日々が始まった。不慮の交通事故で、天才数学者の博士は記憶がたった80分しかもたない。何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが、他人と話すために博士が編み出した方法だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、常に数字のそばから離れようとはしなかった。その博士のもとで働くことになった家政婦の杏子と、幼い頃から母親と二人で生きてきた10歳の息子。博士は息子を、ルート(√)と呼んだ。博士が教えてくれた数式の美しさ、キラキラと輝く世界。母子は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、次第に、数式の中に秘められた、美しい言葉の意味を知る―。
「お前の愛で 世界を壊せ」最愛の息子が殺され、幸せな生活を突然破壊されたアンソニーと、妻ゆり子。犯人を追う二人がたどり着いたのは父ライドが関与した“ある計画”と地下に隠された家族の真実。「決して怒りの感情を持ってはならない」父の教えを破り、我を失ったアンソニーの身体は黒い【鋼鉄の銃器】へ変貌し始める。息子を殺した男の狙いは?自分の身体に隠された過去とは?謎の≪鉄男プロジェクト≫とは?あらゆる謎が交錯するとき、巨大なエネルギーの噴射が東京を飲み込み始める。果たして鋼鉄と化した心を溶かすのは愛か、憎しみか――
自給自足の生活を夢見る青年・工藤は東京から自然豊かな山里の「祖谷」へやってくる。ある日、工藤は山奥でひっそりと暮らすお爺と春菜に出会い、効率とは無縁である2人との生活は工藤の心をゆっくりと浄化していく。しかし、おとぎ話のような山の生活にも変化が起きる。進学に悩む春菜と体調が悪化していくお爺。工藤も、厳しい自然との共存に限界を感じ、所詮文明社会の下でしか生きられないということに絶望を隠せないでいた…
遺伝子研究をする兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと思っている弟・春。そして、優しい父と美しい母。平穏に、そして陽気に過ごすこの家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった時、事件は始まる。謎の連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書き(グラフィティアート)の出現。落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。春を付け回す謎の美女と、突然街に帰ってきた男。すべての謎が解けたとき、24年前から今へと繋がる家族の“謎”が明らかになる―
蒼木門は石で漫画を描く自称「漫画芸術家」。当然食えない。門はバイト先のOL証恋乃とふとしたきっかけから、一夜を過ごす。しかし、翌朝目覚めて見ると、全身ヘンな格好をさせられていた。恋乃は帰宅後は同人誌漫画家へ変身するコスプレイヤーだったのだ。最悪の出会いだったが、二人は下心から惹かれあっていく。しかし漫画バーを経営する元売れっ子漫画家の中年・毬藻田が二人の恋路に立ちふさがり、3人の恋と未来を賭けたマンガバトルが始まった!
「何事もつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う。それが私たち家族の決まり」高度経済成長期に造られたニュータウンも今や「ダンチ」と呼ばれる集合住宅にすぎなくなっていた。京橋家の人々は“家族間では秘密をつくらない”という自分たちでつくったルールを守ることもできず、それぞれ誰にも言えない秘密を持っていた――。娘のマナは、学校をサボタージュし「ディズカバリーセンター」を呼ばれる巨大ショッピングセンターで時間を過ごし、時には見知らぬ男性とラブホテルに向かう。弟のコウもまた、学校に行っていないようだし、父・貴史は浮気に忙しく、長年の恋人・飯塚にストーカーまがいに付きまとわれたり、新しい恋人ミーナの若さに振り回されている。妻・絵里子もベランダのガーデニングに丹精を込めつつも、内心、母・さと子とのこれまでの関係に悩み、また、自分がかつてひきこもりの少女であった事実をトラウマとして抱え、生きている。ルールを言い出した彼女ですら、「わたしには、家族にたったひとつだけ秘密がある」――。ふとしたきっかけから、ミーナがコウの家庭教師として京橋家に乗り込んできた!“存在するはずのないお互いの秘密が暴露されはじめて・・・・・・・。
大正7年、盲目の女旅芸人おりんは山間の阿弥陀堂で大男・平太郎と出会い、地蔵堂などを泊まり歩く奇妙な二人旅が始まった。ある日平太郎がいない間に、おりんは香具師仲間の別所彦三郎に帯をとかれてしまう。全てを見た平太郎は、ノミを片手に走り去る。2人は別れて旅を続けるが、後に再会し結ばれる。しかし、平太郎は別所殺しの殺人犯・脱走兵として追われていた。平太郎は逮捕され、おりんが初めてつかんだ愛もつかの間に終わる。
治兵衛は、妻子がありながら遊女小春と深く馴む。情死を案じた治兵衛の兄に、小春は治兵衛と死ぬつもりはないと話す。それを立ち聞きした治兵衛は、小春が心変わりしたと思い取り乱す。数日後、恋敵が小春を見受けするとの噂をに、治兵衛は悔し涙にくれる。見かねた妻のおさんは、小春の心変わりは、自分が頼んだことだと打ち明ける。そこへおさんの父が来て、おさんは離別させられる。治兵衛は、小春と網島の大長寺で心中する・・・。
太平洋に浮かぶ孤島にある日、本島三郎という1人の男が現れる。三郎は20年前にもこの島にいたことがあった。アナーキストだった父と兄を憲兵に惨殺され、三郎は島でこきつかわれた。ある日三郎は、半死半生のまま大嶽に投げ込まれ、漁師に助けられる。再び島に現れた三郎は、美しい娘・亜矢と出会い、二人は恋に落ちるが、亜矢はかつて自分を虐待した大嶽の娘だった。意を決した三郎は大嶽に迫るが、亜矢が必死に父をかばう。
出版社・玄武書房に勤める馬締光也(まじめ みつや)は、営業部で変わり者として持て余されていたが、言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」――見出し語は24万語。完成まで15年。編集方針は「今を生きる辞書」。個性派ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は辞書編纂(へんさん)の世界に没頭する。そんなある日、出会った運命の女性。しかし言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?馬締の思いは伝わるのだろうか?
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ、そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
吉祥寺に住む、天才漫画家の小島麻子。今日も、アシスタントのナオミ、仲のいい三人組の加奈子、咲江、美智子と徹夜で締め切りに追われていた。その翌日、いつものように麻子が愛猫のサバに話しかけると、サバは冷たく動かなくなっていた―。サバを亡くした悲しみがあまりに大きく、麻子は漫画が描けなくなってしまう。そんなとき、出会ったのは一匹の小さなアメリカンショートヘアー。名前は「グーグー」。一緒にご飯を食べて、散歩をして、寝るという、なんとも幸せな毎日。不思議な青年、青自との恋の予感、アシスタントたちと話す新作のアイディア、色々なことがうまく動き始める。だがある日突然、麻子は思いがけないことを知らされる・・・。
心の病をかかえる美智子は夫、孝夫の故郷、信州に二人で移り住む。山里の美しい村に帰った夫婦は、阿弥陀堂というお堂に暮らす96歳の老婆おうめを訪ねる。おうめのところに通ううちに、孝夫は声の出ない少女小百合に出会う。彼女は村の広報誌に、おうめが日々話したことを書きとめ、まとめた「阿弥陀堂だより」というコラムを連載していた。素朴だが温かい村の人々とのふれあい。美しい季節の移ろいに抱かれて暮らしていくうちに、美智子と孝夫はいつしか生きる喜びを取り戻していく。
第二次世界大戦終了後、元東海軍司令官・岡田資中将は、名古屋空襲時における一般民衆への無差別爆撃を実行した米軍搭乗員処刑の罪に問われ、B級戦犯として裁判にかけられた。岡田中将の弁護人であるフェザーストンと相対するバーネット検察官、裁判長のラップ大佐をはじめ、裁判を行うのは戦勝国アメリカ。そんな中、岡田中将は、自己の信念を曲げることなく、すべての責任は指示を下した自分にあると主張。法廷闘争を法における戦い「法戦」と呼び、飽くまで戦い抜こうと立ち向かう。部下を守り全責任を負う覚悟を見せる岡田中将の潔い姿は、次第に、敵国の検事や裁判官をはじめ法廷内にいるすべての人を魅了し心動かしていく・・・・・・。
バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。細やかな気配りや丁寧な仕事ぶりによって顧客からの信頼を得て、上司からの評価も高い。何不自由のない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた。そんなある日、梨花は年下の大学生、光太と出会う。光太と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう梨花。最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪み出し、暴走を始める。
自称米軍パイロット、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の双子の妹。ジェット機を操り世界各地を転戦。こんな嘘八百の経歴と巧みな変装で女たちから推定1億円を騙し取った男がいた。稀代の結婚詐欺師・クヒオ大佐と彼を取り巻く3人の女たちの人間模様、そしてあり得ない恋の結末。騙すことが愛なのか?騙されることが愛なのか?
琵琶湖畔の街で、代々不思議な力を伝承してきた一族・日出家の本家に、力の修業のため分家の涼介がやってきた。生きる伝説と呼ばれる本家跡取りの淡十郎は涼介に、自分と揃いのオートクチュールの赤い制服を着せ振り回し、いつしか、「殿」と「供」の関係に・・・ある日、淡十郎の失恋をきっかけに、不思議な力を持つもう一つの一族であり、1300年にわたり日出とライバル関係にある棗一家と、ぶつかりあう。この小さな失恋の腹いせがきっかけとなり、世界を滅ぼす大事件が勃発する・・・。
吉原遊郭「玉菊屋」に売られて来た8歳の少女、きよ葉。女だけの世界で自分も遊女になっていくのが怖いと逃亡を試みるが即座に捕まってしまう。店番の清次は咲かないと言われた吉原の桜が「もし咲いたら」ここを出してやるという。トップ花魁・粧ひの挑発に乗せられ吉原一の花魁になる決意を固めたきよ葉は花魁街道まっしぐらに人気遊女への道を駆け上がっていく。ところがある日、きよ葉は客の惣次郎と激しい恋に落ちる。偽りの愛を売る世界に身をおきながら、唯一、真実の愛を感じられる瞬間に酔いしれるきよ葉。しかし、きよ葉をねたむ花魁・高尾の策略によって惣次郎との仲を引き裂かれてしまう。18歳になったきよ葉は、凄まじい人気を呼んで、誰もが憧れる花魁の座を勝ち得る。やがて身請けを申し出た大名・倉之助の登場で、吉原を出ることに。その当日、咲かないと言われた“吉原の桜”に奇跡が!それを目にしたきよ葉と清次は・・・。
芸能界の頂点に君臨するトップスターりりこ。しかし、りりこには誰にも言えない秘密があった。彼女は全身整形。「目ん玉と爪と髪と耳とアソコ」以外は全部つくりもの。整形手術の後遺症がりりこの身体を蝕み始め、美容クリニックの隠された犯罪を追う者たちの影がちらつく。さらには、結婚を狙っていた御曹司が別の女と婚約。生まれついての美しさでりりこの座を脅かす後輩モデルの登場。究極の美の崩壊と、頂点から転落する恐怖に追い詰められ、現実と悪夢の狭間をさまようりりこ。疾走の果てに、世の中を騒然とさせる事件へと繋がっていく・・・。
島で暮らす16歳の少年・界人(村上虹郎)は、島に古代から伝わる八月踊りの夜、海に浮かぶ男性の遺体を発見。動揺する界人を同級生の杏子(吉永淳)が見ていた。杏子の母親イサ(松田美由紀)は島の人々の相談を受けるユタ神様として慕われてきたが大病を患う。一方、界人は恋人の影を感じさせる母親・岬(渡辺真紀子)のことを汚らわしく思っていた。界人は自分が幼いころに母親と離婚し、東京で暮らす父(村上淳)に会いに行くが、界人が島に戻ると岬は姿を消していて……。
バレエカンパニーの研究生で27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、大学在籍時の親友ソフィー(ミッキー・サムナー)とニューヨークのブルックリンで共同生活をしていた。ある日、彼女は恋人に一緒に暮らそうと誘われるが断り、その後別れることに。ところがソフィーがアパートの契約更新を行わず、引っ越しすると言ったことで……。
17歳のユウは、いつも川辺でギターを弾いている同級生のヨースケに秘かな想いを寄せいていた。ヨースケが同じところばかり弾いていた為、いつのまにかユウもそのフレーズを覚えてしまった。しかし素直に想いを伝えられないユウ。一方ヨースケは、事故で大切な人を亡くしたユウの姉のことが気になっていた。やがてある哀しい出来事がそんなユウとヨースケを引き離す。それから17年、34歳のヨースケとユウは、東京で偶然再会するのだが・・・。
春野家の家族はそれぞれ心にモヤモヤとした悩みを抱えていた。長男ハジメは片思い、妹の幸子はときどき巨大化した自分を見てしまうことにとまどっていた。母親の美子は仕事復帰に悩みを抱え、父親は妻に取り残されたような感じを抱く。そんな春野家に美子の弟アヤノが帰省。彼はある決心をして帰ってきたのだが・・・。
吸血鬼のアダム(トム・ヒドルストン)はギターをはじめ弦楽器なら何でも自在に弾きこなすミュージシャンとしてアンダーグラウンド・ミュージック・シーンで活躍している。しかしここ近年の自己破滅的な人間たちの振る舞いにアダムは抑鬱を抱えていた。そんなとき恋人イヴ(ティルダ・スウィントン)がデトロイトに住む彼の元を訪れる。もちろん、彼女も吸血鬼で2人は何世紀も愛し合い、生き続けてきた。久々の再会もつかの間、イヴの破天荒な妹エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が突然2人に会いにやってきて3人の運命は、ゆっくりと変わり始める・・・。
可憐な独り暮らしを営む老女アン。ショッピングモールで泣いていた少女アリスに声をかけたことがきっかけで、アリスは度々アンのアパートを訪れるようになる。実はアリスは婦人の厚意を利用していたのだが、10代少女特有の魅力にひかれたアンは彼女に母のような愛情を持ち、彼女の自慢でもある美しい蝶の標本が並ぶ「蝶の部屋」を見せるのだった。だが、アリスが別の婦人とも同様の関係を築いていることを知ってショックを受けた時、アンの心に長年封じてきたある感情が再び芽生え始める。そしてアリスの身に不幸が襲いかかる。
殺し屋稼家に疲れ果てた初老の男は、不動産屋に飛び込み、女係員に部屋探しを頼む。数々の殺してきた亡霊たちに追われるようにして、男は死に場所を求め、係員とともに部屋から部屋へと巡り歩いていく。部屋探しの二日目、男は係員に案内され、遂に理想の、窓から見える眺めだけが唯一の取り柄の部屋に行き着く。そこが男の死に場所だった。彼は拳銃の引き金を引き、椅子に座ったまま息絶えるのだった。
中野区のアパートに一人暮らしをしている鈴木桂子は、数年前に亡くなった父親の遺骨を火葬場からこっそり盗みだし、自分の部屋に置いている。1日が24時間であり、確実に1日は終わり、明日がやって来ると改めて考えた桂子は、21歳最後の3週間を着実に生きようとするのだった。
19世紀の半ば、スコットランドからニュージーランドへ写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノ。エイダは6歳の時から口がきけなく、ピアノが彼女の言葉だった。そのピアノを夫のスチュアートは重すぎると浜辺に置き去りにし、原住民に同化している男ベインズの土地と交換してしまうが、ベインズはエイダに“ピアノ・レッスン”をしてくれればピアノを返すという。レッスン一回ごとに黒鍵をひとつずつ。エイダが奏でる甘い調べは、いつしか激しい愛とエロティシズムの炎を燃えあがらせてゆく・・・。
1951年ベトナム、サイゴン。浪費家の家長の家に雇われ、田舎から奉公にやってきたムイは10歳の少女。家には働き者で優しい母と3人の甘やかされた息子たち、孫娘を亡くしてから引きこもっている祖母がいた。ムイは、年老いた先輩奉公人のそばで働きながら、料理と掃除を習い一家の雑事を懸命にこなしていく。ある晩、家長が一家の蓄えを持って消えてしまい、家族は苦境に陥る。そしてムイは、長男が連れてきた友人クェンに出会い、淡い恋心を抱くようになる・・・。10年後、美しく成長したムイは、音楽家になったクェンの家に奉公に出る。恋人がいながら、クェンはムイの献身的愛情と花に対する嗜好に気付きはじめて・・・。
愛の真実を探り出す!!物語はフランス西海岸に浮かぶ小島、モンサンミシェルで幕を開ける。アメリカからやって来たニール(ベン・アフレック)は、そこでマリーナ(オルガ・キュリレンコ)と出会い、互いに深く愛し合うが、アメリカへ渡り、オクラホマで生活を始めたふたりの幸せな時間は長く続かなかった。マリーナへの情熱を失い、やがて幼なじみのジェーン(レイチェル・マクアダムス)に心奪われるニール。そして、彼との関係に苦悩するマリーナはクインターナ神父(ハビエル・バルデム)のもとを訪れる。愛とは何か?愛は彼らの人生を変え、破壊し、そして彼らを新たな人生に向き合わせる。
レイは今夜もまた颯爽と渋谷のネオン街に消えていく。SMクラブへ御出勤だ。レイのお客はオジサンが多い。みんな、レイにぶたれ、いじめ倒されるのを夢見て此処にやってくる。ボンテージ姿の女王様レイはオジサンたちにとって天使だ。彼女は昼間は小さな劇団の役者の顔を持つ。夜の女王様を演じることは、昼の役者の勉強にも役立つのだ。ホテトル嬢として働くアユミは、年齢よりも若く見えることを売り物に、客からお金を取り、心の中で舌を出す。結婚資金の為に、せっせと貯金をしている。目下、医者のタマゴと同棲中だ。浪人中の彼と今日も日がなセックスしながらパズルをする。このふたりが出会い、意気投合し、無軌道にもみえる生活が描かれる間合いに、“なんとなくだけども面白い”ふたりの青春が浮かびあがる・・・。
世紀末に咲いた、病的純愛物語。少女は、誘拐犯の愛情を受け入れた・・・。 ・・・気がついた時、クニコ(小島聖)は見知らぬアパートの一室にいた。毛布の下は、全裸。手には手錠が掛けられ、足首は紐で縛られている。次第に記憶が蘇ってくるクニコの前には、中年男がいた。そう、放課後のランニング中、この男から襲われたのだ。「助けてっ!」叫ぼうとするクニコの口を、その男、岩園貞義(竹中直人)がふさぐ。かつて強引な結婚に失敗して心に傷を負った岩園は、「完全な愛」を求めてクニコを誘拐。監禁して、彼女の「飼育」を開始しようとしていた。
殺伐とした裏社会から抜け出し、母の故郷でもある釜山でレストランを開き、平穏な日々を過ごそうと決意したドゥホン。そんな夢を叶えるために料理教室に通うようになった彼は、そこでセビンという少女と出逢うことに。次第に心を通わせるようになる2人だったが、セビンの正体は闇組織の一員で、ドゥホンの動向を調べるために接近していたのだった。やがて、組織から彼女にドゥホン抹殺の指令が下され・・・。
これが最後の手品!!時代遅れのマジックを披露する老手品師タチシェフは、かつての人気をすっかり失い、場末のバーでドサまわりの日々。ある日、スコットランドの離島に流れ着いた彼は、やっと電気が開通したばかりの片田舎のバーで、貧しい少女アリスと出会う。
天才的なドライビングテクニックを持つ寡黙な“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)は、昼間は映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手という2つの顔をもっていた。ある晩、仕事を終えたドライバーは、同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。次第に親しくなっていく2人だったが、ある日、アイリーンの夫スタンダード(オスカー・アイザック)が、服役を終え戻ってきた。アイリーンは、ドライバーに心を残しながらも家族を守る選択をし、ドライバーも一旦は身を引き、家族から距離を置く。しかし、ある晩、ガレージで血まみれで倒れているスタンダードを発見。服役中の用心棒代として多額の借金を負ったスタンダードは、マフィアから妻子の命を盾に、強盗をするよう脅されていたのだ。絶体絶命のスタンダードは、ドライバーに助けを求め……。
『Helpless』『EUREKA ユリイカ』で国内外での評価を不動のものにした青山真治。その二作に続く“北九州サーガ”の集大成的作品が『サッド ヴァケイション』である。小説家としても活躍する青山自身の同名小説をベースに、全編北九州ロケを敢行した意欲作。2007年制作。
『マルティナは海』のビガス・ルナ監督が、女を手玉に取りのし上がろうとする男の成功と破滅をシリアスかつコミカルに描いた情熱のドラマ。スペインを代表する演技派俳優、ハビエル・バルデムと映画デビュー作となるベネチオ・デル・トロが共演。不動産業で成功し、ビルのオーナーになることが目標のベニト。彼は愛人を使って仕事を有利にしたり、銀行家の娘と結婚して融資を得ようとしていた。女を踏み台にして仕事を続けていた彼は、念願のビルの建設がかなった。しかし、そんな彼を悲劇が襲う…。