幕末から明治。激動の時代を知恵と愛で生き抜いたある家族がいた――代々加賀藩の御算用者(経理係)である下級武士の猪山直之(堺雅人)は、家業のそろばんの腕を磨き出世する。しかし、親戚付き合い、養育費、冠婚葬祭と、武家の慣習で出世の度に出費が増え、いつしか家計は火の車!一家の窮地に直之は、“家計立て直し計画”を宣言。家財を売り払い、妻のお駒(仲間由紀恵)に支えられつつ、家族一丸となって倹約生活を実行していく。見栄や世間体を捨てても直之が守りたかったもの、そしてわが子に伝えようとした思いとは――。世間体や時流に惑わされることなく、つつましくも堅実に生きた猪山家三世代にわたる親子の絆と家族愛を描いた物語。
携帯を持たない。合コンにも行かない。他人には干渉しない。アパレル会社で事務の仕事をしながら、静かで規則的な毎日を送る独身OLのヒロコ(渡辺真起子)には誰にも言えない秘密があった。彼女は家に帰ると、顔も手も足も無い“トルソ”と呼ばれる男性型の人形を、心と体の拠り所にしていたのだ。ところがある日、ヒロコとは正反対の性格を持つ奔放な妹ミナ(安藤サクラ)が家に押し掛けてきたことで、彼女が守ってきた日常は揺らぎ始めてしまう。傷つくことを恐れて他人との繋がりを頑なに避けてきたヒロコと、夢を抱いて上京してきたが仕事も恋愛も上手くいかないミナが始めた共同生活。短い夏が終わりを告げるとき、ふたりが歩き出した新しい人生とは…。
レコーディングで来日していた「超新星」のメンバー、ソンジェがふとしたきっかけで視力を失った女性と出会う。彼女は「超新星」の大ファン。しかしソンジェは自分が「超新星」だという事を隠してしまう。次第に惹かれ合ってゆく2人。そんな中、彼女の病気が再発する。ソンジェはメンバーと共に、病室で彼女の為にラヴソングを歌う。恋の行方は果たして・・・。
高校中退でニートのマ男(まおとこ)は、母の死で一大決心。プログラマーの資格を取得して、なんとかある小さなIT企業に就職する。しかし、そこは想像を絶する“ブラック会社”だった・・・。サービス残業、徹夜は当たり前のありえない仕事量に加えて超クセ者揃いの同僚たち。納期を目指して、毎日デスマ(デスマーチ:死の行軍)が続く!そんな会社でだいじょうぶなのか?超過酷でへんてこな職場に、マ男の限界はピーク!「もう俺は限界かもしれない!」彼はついに本当の限界に追い込まれる。最後にマ男がどった選択とは?インターネットの掲示板「2ちゃんねる」の書き込みから生まれた、実話に基づく勇気と感動の物語。
念願のフラワーショップを開業した友美(田中美保)。そこに駆け込んでくるなぜか泥だらけの少年。少年と入れ違いで出て行く男は娘の結婚式を前にした父親、正行(大杉漣)だった・・・花屋に訪れる人々が織り成すそれぞれの人生のストーリー。愛、友情、感謝、出会い、そして別れ。。。4つの話、登場人物が少しづつ絡み合い、美しく切ないストーリーを紡ぎあげていく。涙あふれる感動の一瞬の物語。
遺伝子研究をする兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと思っている弟・春。そして、優しい父と美しい母。平穏に、そして陽気に過ごすこの家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった時、事件は始まる。謎の連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書き(グラフィティアート)の出現。落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。春を付け回す謎の美女と、突然街に帰ってきた男。すべての謎が解けたとき、24年前から今へと繋がる家族の“謎”が明らかになる―
吉祥寺に住む、天才漫画家の小島麻子。今日も、アシスタントのナオミ、仲のいい三人組の加奈子、咲江、美智子と徹夜で締め切りに追われていた。その翌日、いつものように麻子が愛猫のサバに話しかけると、サバは冷たく動かなくなっていた―。サバを亡くした悲しみがあまりに大きく、麻子は漫画が描けなくなってしまう。そんなとき、出会ったのは一匹の小さなアメリカンショートヘアー。名前は「グーグー」。一緒にご飯を食べて、散歩をして、寝るという、なんとも幸せな毎日。不思議な青年、青自との恋の予感、アシスタントたちと話す新作のアイディア、色々なことがうまく動き始める。だがある日突然、麻子は思いがけないことを知らされる・・・。
第二次世界大戦終了後、元東海軍司令官・岡田資中将は、名古屋空襲時における一般民衆への無差別爆撃を実行した米軍搭乗員処刑の罪に問われ、B級戦犯として裁判にかけられた。岡田中将の弁護人であるフェザーストンと相対するバーネット検察官、裁判長のラップ大佐をはじめ、裁判を行うのは戦勝国アメリカ。そんな中、岡田中将は、自己の信念を曲げることなく、すべての責任は指示を下した自分にあると主張。法廷闘争を法における戦い「法戦」と呼び、飽くまで戦い抜こうと立ち向かう。部下を守り全責任を負う覚悟を見せる岡田中将の潔い姿は、次第に、敵国の検事や裁判官をはじめ法廷内にいるすべての人を魅了し心動かしていく・・・・・・。
19世紀のフランス。若き軍人エルヴェは、美しいエレーヌと恋に落ち結婚する。幸せな新婚生活もつかの間、エルヴェは蚕の調達のため、遥か極東の地・日本へ旅立つことに。見たことも聞いたこともない異国の地へ、遠く険しい道のりを進んだエルヴェだったが、案内された小さな村で、取引相手の妻として仕える絹のような肌を持つ謎めいた少女に魅せられる。彼女を忘れられず、命を賭けて何度も日本へ渡るエルヴェ。そんな夫を静かに見守り、変わらぬ愛で彼の帰りを待ちわびるエレーヌ。ふたりの愛はどこに辿り着くのか・・・?エルヴェが最後の旅を終えたとき、一通の日本語の手紙が彼のもとに届くのだが・・・。
米国ロサンジェルスで開催された世界テコンドーチャンピオン決勝戦で、韓国最高のファイター、キム・スンヒョンと、米国の自尊心ジャック・ミラーの火花が散る対決が真っ最中だ。誰が見てもスンヒョンの軽快なボディーコントロールによる速い攻撃が一枚上。ところが、スンヒョンの攻撃がジャック・ミラーの急所に正確に入ったにもかかわらず、点数は上がらない。米国側の悪だくみで、優勝は、初めからジャック・ミラーに決まっていたのだ。テコンドーチャンピオンを強奪された日、恋人のミンソとも交錯した道を歩くようになったスンヒョン。絡まった時間はさらに絡まって7年が流れる。それでも屈しないスンヒョンは、自ら人生に適応して生きている。刑事という職業を得て、可愛い愛娘サランとの仲むつまじい生活もある。しかし、暴力組織のボス、ファン・ジョンチョルの組員に対し、誤った取扱いをしたスンヒョンは、刑事を止めざるを得なくなり、生計と娘の安全のためにファン・ジョンチョルが主催する不法異種格闘技で戦うようになる。
わんぱく少年花田一路はある日トラックと衝突する事故に逢い、それ以来幽霊が見える不思議な能力が身についた。さらに「自分が本当の父親だ」と名乗る幽霊まで現れた。花田家に隠された秘密とは・・・
22年間に起こった不幸な出来事によって父親を失った三姉妹。その出来事によって生まれた傷痕を心に抱えたまま成長した彼女たちは、現在それぞれの愛の問題に直面している。そんな彼女たちの母親は、ある秘密を抱えていた。
80分しか記憶がもたない天才数学博士と家政婦とその10歳の息子。驚きと歓びに満ちた日々が始まった。不慮の交通事故で、天才数学者の博士は記憶がたった80分しかもたない。何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが、他人と話すために博士が編み出した方法だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、常に数字のそばから離れようとはしなかった。その博士のもとで働くことになった家政婦の杏子と、幼い頃から母親と二人で生きてきた10歳の息子。博士は息子を、ルート(√)と呼んだ。博士が教えてくれた数式の美しさ、キラキラと輝く世界。母子は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、次第に、数式の中に秘められた、美しい言葉の意味を知る―。
橋本香織(伊藤歩)は東京の出版社から福岡のタウン誌に異動を命じられる。ある日、投稿はがきに「昭和30~40年代に、下関の映画館にいた幕間芸人を探して欲しい」というものがあった。香織は心惹かれ、その映画館<みなと劇場>を取材する。上映の幕間に物真似をみせる“幕間(まくあい)芸人”安川修平(藤井隆)が劇場にいたが、解雇後は音信不通となった。取材を進めていくうちに、自分と父親との関係を見直すこととなっていく。
塗装会社で事務員として働く沙織。ある日、彼女のもとに若くて美しい男・春彦が訪ねてくる。彼は、沙織と母親を捨てて出て行った父の恋人だった。沙織の父は、ゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、今はゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」を創設、その館長を務めているらしい。春彦は、その父が癌で余命幾ばくもないと言い、ホームを手伝わないかと誘う。父を嫌い、その存在さえも否定して生きてきた沙織だが、破格の日給と遺産をちらつかせて、手伝いに行くことを決意する。死にゆく父親、その父親を愛する春彦、そんな二人を見つめる沙織・・・いつしか三人に微妙で不思議な関係が芽生えていく。
都内の2DKのアパートで大好きな母親と幸せに暮らす4人の兄妹。しかし彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、3人の妹弟の存在は大家にも知らされていなかった。ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、兄に妹弟の世話を託して家を出る。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの『漂流生活』が始まる・・・・・・。
1997年7月7日。下関と釜山の間で行われた親善陸上大会に出場した郁子は、一人の韓国人の男の子と出会い、淡い恋をする。「来年の夏、この大会で再会しよう」携帯もメールも無い時代、日本と韓国が今ほど親しくなかった時代。郁子の初恋を何とか実らせたいと奔走する真理、巴、玲子の3人の胸にも、いつの間にか郁子の切ない想いが住み着き、そして奔流のようにあふれ出す---。
心の病をかかえる美智子は夫、孝夫の故郷、信州に二人で移り住む。山里の美しい村に帰った夫婦は、阿弥陀堂というお堂に暮らす96歳の老婆おうめを訪ねる。おうめのところに通ううちに、孝夫は声の出ない少女小百合に出会う。彼女は村の広報誌に、おうめが日々話したことを書きとめ、まとめた「阿弥陀堂だより」というコラムを連載していた。素朴だが温かい村の人々とのふれあい。美しい季節の移ろいに抱かれて暮らしていくうちに、美智子と孝夫はいつしか生きる喜びを取り戻していく。
ゲイと公言して全米(世界でも)初の公職に選ばれたハーヴェイ・ミルクの活動と暗殺事件を追い、世界各地で人々に感動と希望を与え続けている。
FMラジオ局のディレクターであるたまき(広末涼子)は、深夜の担当番組の打ち切りが決定し落ち込んでいた。そんなとき、彼女は自分にラジオの楽しさを教えてくれた少年太郎(神木隆之介)のことを思い出す。1977年、函館の病院に交通事故で入院した13歳のたまき(福田麻由子)は、1つ年下の太郎と出会い意気投合するが……。
「戦争中のサラエボにU2を呼びたい」一人のクレイジーなアイデアが不可能を現実に。「過去を忘れて、未来にキスを、サラエボ万歳!」。U2が1997年9月23日、4万5千人を前にサラエボで行ったライブは、今も語り継がれている。かつてサラエボの人々は民族・宗教に関係なく共存していたが、紛争は人々を引き裂いていた。このライブは、そんな人々を音楽の力で再び一つにするものだった。本作は、U2がボスニア紛争終結後にサラエボでライブをする約束を果たすまでを追ったベン・アフレックとマット・デイモンがプロデュースしたドキュメンタリーだ。
黒社会に生きる孤独な男チェンはボス殺しの犯人の息子を人質として捕らえるため、彼が通うとされる小学校に用務員として潜入する。そこで心を閉ざし言葉を発さない少年ラムに、校内を詮索しているところを見られてしまい、自分は警察官で内密に捜査をしているので秘密にしてほしいとお願いする。ある日、クラス旅行ではぐれてしまったラムをチェンが助けたことから、二人の距離は縮まり、身寄りがない者同士が心を通わせるも…。
「この人生、感謝しているよ――」 そう書き遺して親友は山で死んだ。大切な者の死を受け入れてゆくための、長い旅路と祈りの記録2017年4月26日、ネパールの山岳地帯で47日間にわたり遭難していた二人が発見された。一人は救助され、一人は発見されるわずか3日前に亡くなっていた。そのニュースは彼らの出身である台湾でセンセーショナルに報じられた。亡くなったチュンと、生き残ったユエ。本作の監督であるルオ・イシャンは本来なら二人と同行する予定だったが、体調を崩し離脱していた。高校時代からの親友で、憧れの存在でもあったチュンの死。チュンは40日を超す想像しがたい洞窟でのビバークで、イシャンへの手紙や人生に対する賛歌を数百ページにもわたって書き記していた。その記録は、残されたイシャンと、そして生きのびたユエを苦しめ、しかし次に踏み出すそれぞれの道へと促した。ユエは次第に身を引き、イシャンはひとり、チュンの見た風景と足跡を追うためにネパールに旅立つのだった――。
4歳の娘アビーが末期の病を患うダリルは、妻ジャンと残された時間を家族で大切に過ごしていた。そんなある日、アビーが突然「月に行く時、火事で行けなかった」と口にする。最初は子どもの空想だと気にも留めなかったダリルだったが、アポロ1号の火災事故や、発射カウントダウンを担当した人物名など、アビーが知るはずのない事実を語るのを聞き、動揺を隠せなくなる。やがてダリルは、アビーが事故で命を落とした宇宙飛行士“エドワード・ジョーンズ”の前世の記憶を持っているのではないかと考え始める。ジャンはその考えを一蹴するが、娘を失う現実を受け入れられないダリルは、2000人以上の子どもから前世の記憶を聞き取ってきた研究者フィッシャー博士の存在を突き止める。博士は「死が近い子どもは、未来を予見することがある」と語り、ダリルは真実を確かめるため、ある実験を依頼するが…。
元ジャーナリストで、今は夫と娘たちの世話に追われる主婦ジェニーは、ラスベガスで開かれるブロガー会議に参加するため、久々に週末だけ家を離れることに。アプリで予約したタクシーに乗り込むと、運転手マークからまさかの“相乗り”だと告げられ、続いて女優のカーラ、そして二日酔いのショーンが乗車。車内は早くも落ち着かない空気に包まれる。さらにショーンは失恋のショックで自暴自棄になっており、自殺をほのめかす始末。自身の裏切りで傷つき故郷へ戻った恋人に謝りたいというショーンの思いをくみ、一行は成り行きで、彼の目的地であるネバダ州パラダイスへ向かうことになる。道中、3人それぞれが抱える“胸の奥にしまい込んだ問題”を少しずつ語り始め、ジェニーもまた、旅先で知った“幼い娘たちの学校でのトラブル”に対し、夫がまったく取り合おうとしないことにとうとう堪忍袋の緒が切れる。ついにはスマホをマークに預け、強引に夫との連絡を断ち切るが…。
1人暮らしの映画監督・大滝隆太郎は突然、脳梗塞を発症。目がよく見えない。言葉もうまく出ない。心臓機能が20%まで低下、夏の猛暑で外出は危険。友人に電話しても「お前が病気?笑わせるなよー」と言われ、SNSに闘病状況を書いても、的外れな助言や誹謗中傷ばかり。「俺はこのまま孤独死?」と追い込まれるが、意外な人たちから救いの手が? 本人には悲劇、周りの人たちには喜劇?病気と医療を笑いと涙で描く社会派現代劇。
1865年、南北戦争で北軍兵として出征した父ジャックが戦死したとの報せを受け、母モリーは絶望のうちに結核を患い、帰らぬ人となった。両親を失った幼い3兄弟チャーリー、リジー、リリーは、孤児列車に乗せられニューヨークを後にする。その後、戦地ミズーリからモンタナ州ボーズマンへと配属を移された年の離れた長男フィリップが彼らを迎えに訪れ、兄弟は再会を果たす。一方、戦死したと思われていた父ジャックは生きていた。彼は南軍の捕虜として収容されていたが、終戦とともに解放され、懐かしの我が家へと帰還。しかし、そこで妻の死と、子供たちが孤児列車に乗せられた事実を知る。ジャックは捕虜仲間のデズモンド、同じく娘を孤児列車に奪われたアリスと共に子供たちを捜す旅へと出るのだが…。
カルフォルニアに暮らす、あるジャンルの人気女優ジェーンは、ガレージセールで買ったポットの中に大金が入っていたことに気づく。早速ショッピングの軍資金として使うジェーンだが、やがて好奇心と罪悪感の両方から売り主の老婦人セイディに近づく。最初は警戒するセイディだが、何かと面倒を見ようとするジェーンに次第に心を許す。そのため、ますますお金のことが言い出せなくなるジェーンだが…
カリフォルニア州ロサンゼルスにあるフランス料理店“ベル・ヴィー”。店主のヴィンセント・サマルコはパリからロサンゼルスに移住し、乏しい資金の中で2016年8月1日に店をオープンさせる。有名ファストフード店に挟まれた理想的ではない立地ながらも、店は多くの人が訪れる人気店に。だが、2020年のコロナ禍により店は苦境に立たされる。永住権を持たないヴィンセントや従業員たちは店がなくなれば2ヵ月でアメリカを退去しなくてはならないため、テイクアウトや屋外席の設置など、あらゆる手段を用いて店の維持を図ろうと努力するが、ついにロサンゼルス郡は飲食店の営業停止命令を発令。ヴィンセントは厳しい決断を迫られていた。
かつてオリンピックのマラソン競技で金メダルを獲得したウィル。その後も事業家として成功を手にした彼の信条は“何よりも勝利者であり続ける”ことだった。3人息子と末娘は、そんな父の信条に従いスポーツで活躍する有能な選手に成長した。ウィルは望み通りに育てたことを喜んでいたが、実は妻も子供たちもフィルから押しつけられる価値観に苦しんでいた。やがて、父親の重圧に耐えられなくなった子供たちが、1人、また1人とウィルの元を去っていく…。
能登半島の最北端・珠洲。震災から立ち上がる地域の人々が、自然とともに生きる姿を追ったドキュメンタリー。伝統のキリコ祭りや漁業、地域の文化が再び灯り始める瞬間を描く。
大学を中退してゲームに興じる毎日を送る中国系タイ人の青年エム。スーパーで働いて家計を支える母シウと2人で慎ましく暮らしている。彼はゲーム実況でお金持ちになることを夢見ているが、視聴者は1日に数人のみで、将来への展望は描けないでいた。そんな中、父方の祖父を介護していた従妹ムイが、祖父の遺言によって豪邸を相続。それを聞いたエムは、自分も楽をして暮らしたいと画策する。エムには、一人で暮らす祖母メンジュがいた。中国の先祖祭である清明節に一家でお墓参りに行った時、メンジュは転倒してしまう。病院で診察を受けた結果、メンジュはステージ4のガンに侵されていることが判明。エムは不謹慎にも、メンジュから信頼され遺産を得ようと、彼女の介護人として一緒に暮らすことに。しかし、長年、早朝にお粥売りの仕事に出るなど、厳格に生きてきた気難しいメンジュに、エムは早起きすら出来ないありさまで怒られてしまう。メンジュの生活は、エムには馴染みがないことばかりで戸惑う日々だった。メンジュの娘でもあるシウも彼女と過ごすため、仕事のシフトを変更。夜勤明けでリハビリに付き添うが、2人はお互いに迷惑をかけないよう気を使い過ぎて、結果的に傷つけ合ってしまう。一方、投資で豊かな生活を送るメンジュの長男キアンは、長男の責任を果たそうと、メンジュに彼の家族との同居を提案。しかし、街を離れたくないメンジュは、お粥売りを休めないからと断ってしまう。ある日、エムとメンジュは長男一家と共に、棺桶の寄付ができる寺院を訪問。メンジュは家族みんなの幸せを祈ったのに対して、長男一家は自分たちのことだけを祈っていた。また、定職に就かず借金を抱えていた末っ子のスイは、メンジュの家を訪れてはこっそりお金を盗んでいたのだった。 利己的な家族に寂しさや孤独を覚えながらも、家族を想うメンジュを見て、エムの気持ちに変化が訪れる。そんなエムの姿に、メンジュも次第に心を開いていく。すれ違いながらもメンジュと絆を深めていったエムは、出来る限り彼女と一緒に時間を過ごそうと気持ちを新たにするのだった……。
親友たちと夏のクレタ島で過ごす、特別な卒業旅行。絶対に最高の夏になるはずだった。タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンヴァ・ルイス)の3人は、卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。自分だけがバージンで、居ても立ってもいられないタラ。初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。タラは、バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、一人酔っぱらい、彷徨っていた。そんな中、ホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが―。
盲目の青年モハメド・アリはある夜、姉と一緒に歩いているところをチンピラたちに絡まれる。その時、アリが強烈なパンチを彼らにお見舞いした瞬間をボクシング・トレーナーのアカシュは見逃さなかった。彼は有望視していた弟子に見限られたばかりで、次の逸材を探す必要に迫られていた。インドに盲目のボクサーはいない。しかしウガンダやタイなどには性別を問わず視覚障害を持つボクサーが存在する。さらにはインドにもそういったハンデを背負いながらも活躍するアスリートがいることを知ったアカシュは、アリをボクシングに誘う。父は乗り気だったが母は猛反対。実は昨年、サッカー界がアリを誘ったが、まったく上手くいかなかった痛恨の過去があった。
童話作家のチョ・ヨンヒは、妻を亡くして以来、喪失感に苛まれ、妻が絵を描いていた想い出の部屋に行くと過呼吸の症状を起こし、長い間その部屋に入ることができずにいた。ある日、その部屋から妙な音が聞こえ、ヨンヒが勇気を出してドアを開けると、部屋は天井から水漏れしていて、そこにはヨンヒの子・ジェインが密かに隠していた子猫が住んでいた。ジェインは猫を飼わせてほしいと父に頼み込み・・・
コロナ禍に韓国で誕生したジャイアントパンダのフーバオ。「幸福を与える贈り物」と名付けられた彼女は、韓国はもちろん、世界中から愛される存在へと成長した。4歳になる2024年、中国への帰国を間近に控えファンたちが悲しみに暮れる中、飼育員たちはフーバオの幸せを願い、中国行きの準備を粛々と続けていた。小さい頃遊んだようなハンモックを設置したり、大好きな菜の花畑を手入れしたり…。出発に向けた前向きな準備を整えながらも、次第に近づく別れを前に、飼育員たちの心も揺れ始める。
人気コメディアンのジョン・ビショップ。彼の息子ジョーは、15歳のクリスマス・イブに突然体調を崩し、翌朝には聴力を失っていた。原因不明のまま時が過ぎ、のちに判明したのは、極めてまれな自己免疫疾患“コーガン症候群”だった。当時、多忙を極めていたジョンは、息子に寄り添うことができず、やがて親子の会話は途絶えてしまう。それから12年。彼ら親子は“手話”という新しい言語で、もう一度向き合うことを決意する。そしてジョンは、息子のために人生初となる“手話によるコメディライブ”に挑戦する。
父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る男を雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱く。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。ありのままの自分を許し、愛するストーリーの舞台となったのは、モロッコの首都ラバトと川1本隔てた古都サレ。コーランが響く旧市街には、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場、男たちがミントティーを楽しむカフェがあり、通路の上には大量の洗濯物がたなびくなど、素顔のモロッコがスケッチされる。
電気店を営むアレックは、両親と双子の兄チャーリーを亡くして以来、ギャンブルや女遊びに溺れ、もはや崖っぷちの人生を送っていた。そんな時、突然、母方の伯父と名乗るレイモンドという男が現れ、もしアレックがカナダのノバスコシア州に引っ越して1年間暮らせば、8万8950ポンドの借金を肩代わりするという。すったもんだの末、その申し出を受けたアレックはレイモンドの家に移り住み、獣医のセシリアと共に働き始める。その直後から、アレックのもとを訪ねる住民たちは皆、なぜか不思議と病気やケガが治り癒されていくのだった。だが当のアレック本人はそんな力があるわけないと一向に認めず、レイモンドから自分が“ヒーラー”であることを聞かされても拒絶してしまう。そんな矢先、アレックは末期ガンの少女アビゲイルと出会う。
岡山県・美作の緑豊かな山々のふもと。古き良き趣を残す町並みに温泉を携え、お茶処でもあるこの地で、浪人の渓哉(杉野遥亮)は無気力な日々を過ごしていた。一方、家業の茶葉屋「まなか屋」を継いだ兄の淳也は、日本茶の魅力で町を盛り上げようと尽力していた。かつて野球に捧げた情熱は燃え尽き、勉強にも身が入らずにいたある日、ピアニストの里香(松下奈緒)がコンサートツアーでやって来ることを知った渓哉。里香はかつて兄の淳也(山村隆太)が東京での大学時代に交際していた元恋人だった。コンサート会場の客席で渓哉が見守る中、舞台上で倒れてしまった里香。療養を兼ねてしばらく美作に滞在することになった里香を、渓哉は自宅の空き部屋に招待する。突然現れた昔の恋人を冷たく突き放す淳也に、「あなたには迷惑はかけない」と告げる里香。こうして少し風変わりな共同生活が始まった。清らかに流れる川を吹き抜ける風、燃えるような緑の美しい茶畑。自然の優しさに囲まれて曲作りに励む里香に、ほのかな恋心を募らせる渓哉。しかし里香にはどうしてもこの場所に来なければならない理由があった……。
映画が誕生した1895年。当時5歳だったアンリ・フォルタンは、父が無実の罪を着せられ獄中で無念の死を遂げ、その後を追って母も自殺しためノルマンディーの漁村で居酒屋を営む夫婦に育てられ、過酷な少年時代を過ごした。やがて、ボクシングのチャンピオンとなったフォルタンは1931年に引退し、運送業を始めた。第二次世界大戦がはじまり、フォルタンはユダヤ人の弁護士ジマンとその家族の引っ越しを請け負う。だが、密告によって一家はスイスへの逃亡を余儀なくされ、フォルタンはそれも請け負った。フォルタンは一家の娘サロメを修道院の寄宿学校に預け、夫婦を国境近くまで運んだものの、夫婦を待っていたのはなナチスの卑劣な罠だった。フォルタンもナチスに協力する警察に逮捕されるがその後脱獄し、強盗団に参加、さらに終戦間近にはレジスタンスに加わった。ついに終戦を迎え、運命の糸で結ばれた様々な人々の人生が再び動きだそうとしていた…。
島で生まれた漁師の青年、阿部アキラは、弟のシゲルとふたりで古い一軒家に暮らしている。アキラは素潜りの漁師で石巻の特産である海産物、「ほや」を獲るのが仕事だ。しかしアキラとシゲルは海のものを一切口にせず、カップラーメンばかり食べている。それは12年前の震災で、兄弟の両親が海で行方不明となってから――。そんな折、東京から島にふらりとやってきたブルーの髪をした漫画家、美晴が兄弟の前に現れた。3人のありえない出会い、それはおかしな奇跡の始まりだった――。
大好きだった父を事故で亡くし、母親や周囲に心を閉ざしてしまった少年ネイサンは、他人とのコミュニケーションが苦手な反面、数学の理解力に関しては飛び抜けた才能を持っていた。母親ジュリーは、普通の学校に適応できない息子の才能を伸ばそうと、数学教師マーティンに個人指導を依頼し、ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれるまでになる。代表チームの台北合宿に参加したネイサンは、そこでライバルの中国チームの少女チャン・メイと出会う。彼女と共に学ぶ日々は、数学一色だったネイサンの人生をカラフルに変えていく。そして、数学オリンピック当日、ネイサンは人生最大の選択を迫られる…
グレースは父マイクと母レベッカとともに都会から田舎の牧場に引っ越してきた。都会の生活と違い家族で過ごす時間が増えたことを喜ぶグレースだったが、幸せは長くは続かなかった。数年後、マイクは軍に招集され戦地で死亡してしまう。大好きな父親の死はグレースの心を深く傷つけ、以来彼女は神への信仰を失い教会へと行くことを止めてしまう。信仰の厚いレベッカから教会に行くように何度も説得されるが、逆にグレースの心は固く閉ざしてしまう。彼女の心を唯一慰めてくれるのは、マイクが亡くなる前に贈ってくれた1頭の白い馬フェイスだけだった。しかし、レベッカ1人で牧場の経営を続けるのは難しく、牧場を残すためフェイスを売る選択を迫られる。
ある日、宝石店に強盗に入ったサミー。その帰りに乗ったバスで隣り合わせたシングルマザーのケイティに惹かれ、その日のうちに彼女が勤めるイタリアン・レストランまで足を運び、熱烈なアプローチをする。そんな情熱的なサミーにケイティも引かれて2人は恋仲に。だがサミーは、ギャングの父のもとに生まれ、昔、多額の借金をしたことからボスの言うがまま犯罪に手を染めてきた過去だけは、ケイティには明かせずにいた。やがて2人は結婚するが、ケイティの2人の連れ子のうち、レイチェルだけはいつになってもサミーに反発していた。しかしある日、ケイティが突然の事故で死亡してしまう。母を失った2人の娘にサミーは向き合うことになっていくのだが…。
バスケットボール選手出身で公益勤務中のカン・ヤンヒョンは突然、かつては全国優勝したこともあるが部員が減少し廃部の危機に瀕した母校の釜山中央高校バスケットボール部の新任コーチに抜擢される。指導者としての経験はなかったが、部の再建のために部員を集め始めるヤンヒョン。そして、寄せ集め部員を引き連れ初試合に挑むことになるが、対戦相手はなんと高校バスケットボール界の最強校だった。チームワークは崩れ、結果は惨敗。学校側はバスケットボール部解体まで議論しはじめ、部員もバラバラになってしまうのだが...。
『さつまおごじょ』特攻隊員たちに愛を注いだ「特攻の母」鳥濱トメとその娘、孫の3世代にわたる実話をもとにした感動の物語。『アラームベル』閉鎖された空間で集う男女。打ち鳴らされる「警鐘」決して他人事ではない、迫りくる恐怖とは…。『嘘だろ』高額当選の宝くじを巡り、仲間同士の間で突如起こった惨劇。炙り出される愛憎と裏切り…。最後に笑うのは誰だ?
“マディ”の愛称で親しまれるマデリン・スチュアート、当時18歳。炭酸飲料とチキンラップと目玉焼きが大好物で、とても明るく社交的な彼女は、ダウン症ながらも初のプロのファッションモデルとして、世界最大規模のNYファッションウィークで華麗に、そして誰よりも自信に満ち溢れながらランウェイをウォークしていた。その裏には、涙ぐましい母ロザンヌの献身的なサポートと、世界中を駆け巡る母娘の二人三脚の険しい道のりがあった。
昭和39年、茨城県石岡市の東小学校に保護された一匹の犬。「タロー」と名付けられたその犬は、誰に教わる事なく、朝は校門で児童を出迎え、昼は一年生の教室を順番に回っていた。そんな賢い行動ですっかり学校の人気者になったタローだが、ある日から石岡駅までの2キロの道のりを往復する日課を始めるようになる。歩道橋を渡り、国道を歩き、踏切を渡り、石岡駅の待合室に入って座る。じっと改札口を見つめ、しばらくすると駅を離れて再び小学校に戻る。そんな行動を朝と夕方の1日2回、毎日続けた。タローは石岡駅周辺でも顔なじみとなり、待合室でも駅前の商店街でも多くの人にかわいがられた。タローの駅通いは17年も続いたが、タローが駅で誰を待っていたのかは誰も知ることがなかった。
父親とパリで暮らす6歳のクレオは、いつもそばにいてくれるナニー(乳母)のグロリアが世界中の誰よりも大好き。お互いに本当の母娘のように想いあっていた2人だったが、ある日、グロリアは遠く離れた故郷へ帰ることに。突然の別れに戸惑うクレオを、グロリアは自身の子供たちと住むアフリカの家へ招待する。そして夏休み、クレオは再会できる喜びを胸に、ひとり海を渡り彼女のもとへ旅立つ…。
メリーランド州ガリーナに住む高校生コールの夢は、農場を経営してガリーナの農業を発展させること。そのため幼馴染のジャックと恋人のエルと離れ、大学進学を決意。主専攻は“農学”と考えていたが、地方銀行の支店長である父親に、将来性の高い学部を選ぶよう説き伏せられてしまう。卒業後はガリーナに戻ることを希望していたが、両親がコールに内緒で法科大学院への奨学金を取得したことで進学を余儀なくされ、またしても自分の夢は後回しに。やがて法律事務所に就職したコールは、ここでも上司の期待に応え順調にキャリアを積み、美しい妻と大きな邸宅、高級車を手に入れ成功者となる。そんなコールだったが、彼の心の中を占めていたのは、農業への夢と、ジャックと結婚したエルを想う気持ちだった。
神話(SHINHWA)のイ・ミヌが初出演したコメディー。死んだ詐欺師が、息子との思い出を作りたいと天使に願うが、男は息子の同級生として生まれ変わってしまう!?共演に『トンマッコルへようこそ』のイム・ハリョン。
人と仲良くするのが苦手な人もいる。特にエッラにとっては難しいことだった。エッラが唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、夢の1週間は悪夢へと変わってしまう!オランダからトミーの恋人スティーブがやってきたのだ。トミーとスティーブは英語で話すため、何を話しているのか全く分からないエッラ。のけ者にされたような気分になり、トミーを取られるのではないかと気が気でない。親友を取り戻したいエッラは、彼女と友達になりたがっている転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を実行するのだが…。
仕事で家族旅行をキャンセルしたジェイクに、妻と子どもたちが事故に遭い死亡したという報せが届く。家族を失った悲しみで気力をなくしたジェイクは、唯一生き残った飼い犬クーパーの引き取りもできないでいた。葬儀が終わり動物病院に保護されていたクーパーを引き取りに行ったジェイクだったが、クーパーが車に乗るのを拒んだため歩いて自宅に連れて帰るハメに。その後、置きっぱなしの車を引き取りに何度も動物病院に出向くが、クーパーは乗車を拒否し続けるばかりだった。ある日の深夜、ソファーで横たわるジェイクは、亡き家族の声を聞いて飛び上がる。遺品を入れた紙袋を漁るクーパーが見つけたもの、それは事故直前に携帯電話で撮られた最愛の家族の姿だった。
かつて映画監督だったレオノールも72歳になり今では電気代も払えずにいた。彼女の二人の息子のうち兄ロンワルドはずっと以前に事故で亡くなっており、残された弟ルディも仕事で遠くに行くことになった。そのせいでレオノールは精神的にも落ち込んでいた。そんなある日、新聞に掲載されていた脚本コンクールを目にした彼女は、現状を抜け出すために映画脚本の執筆に取り組み始める。その内容は「殺された兄の仇を弟が討つアクション映画」で、昔に書いたものの未完で終わっていた作品でもあった。脚本のアイデアを考えながら歩いていると、運悪く近所のカップルが投げたテレビが降ってきてぶつかってしまう。その結果、レオノールはヒプナゴジアに陥り現実と物語の世界を行き来するようになってしまった。その物語の世界とは、先ほどまで執筆していた仇討ちアクション映画の世界だった。レオノールは自分で書いた脚本の世界に入り込んでしまったのだ。レオノールは物語の世界で、兄の仇を討とうとする主人公と出会い共に旅をする。現実世界では、意識を失って入院しているレオノールをルディが看病をしていた。物語の世界では、レオノールは息子を亡くした女性と出会う。そこでレオノールは言った「私もロンワルドを撮影中の事故で亡くしてしまった」と。この未完の物語は亡くなったロンワルドへの贖罪の物語でもあった。ルディは今まで母親に対して冷たく応対していたことを悔い、レオノールを脚本の世界から引き戻そうとするが、レオノールは病室からもいなくなってしまう。ルディは現実の世界でレオノールを見つけようと奮闘する。かたやレオノールは物語の世界で未完脚本の結末を見つけようと奮闘する。過去に中途半端で終わってしまった自作品への納得のいく結末を……