1940年、ソ連・スターリンの恐怖支配に巻き込まれ無実の罪で囚われたポーランド人兵士ヤヌシュ(ジム・スタージェス)は、極寒のシベリアにある矯正労働収容所へ護送された。そこはすべての生命をのみこみ凍てつかせる不毛地帯・・・。20年の懲役という途方もない刑を言い渡されたヤヌシュは、ある猛吹雪の夜に6人の仲間と共に収容所を脱出する。雪と闇にまぎれなんとか追っ手はまいたものの、この先彼らが進まねばならない道のりは実に厳しいものだった。食糧も装備も殆どなく目指す方向も不確かな中、凍てつく森を抜け灼熱の大地をわたる6500kmの旅路。想像を絶する苦難に直面する彼らがした事はただひとつ。歩いて、歩いて、歩き続ける事だった・・・。
田舎で一人静かに暮らしている桜井耕三(71)には、一つの生きがいがあった。それは動画配信を通じて、乱れた世の中を正していくこと。日々感じる社会の悪に対して、カメラの前で彼なりの戦いを挑み続ける耕三であったが、視聴者数が全く伸びずに悶々としていた。だがそんな生活を続けていた耕三のもとに突如、東京で暮らしているはずの孫の寛太(12)が彼女と一緒にやってきた。幼い二人の勢いに押されて困惑する耕三であったが、彼らの話を聞いていくうちに、やがて親の都合に振り回されてしまった寛太の境遇が透けて見えてきて……。 ※特典映像の【マニブスの種】は別で配信となります。
日本と中国、両方の国籍を持つ大学生・美鈴(メイリン)には、日本人の恋人・翔がいる。冬休みを翔と楽しく過ごす美鈴だが、彼女は22歳の誕生日までにどちらかの国籍を選ばなければいけなかった。
金ナシ職ナシやる気ナシ。東京で暮らす23歳の真也は飲み屋の店主の薦めから福島の農家で働くが、さむい・きつい・朝がはやい農作業に初日から嫌気がさす。しかもそもそも野菜は大きらい!ただ、そんな彼にも優しく厳しく向き合う農家の先輩たち。初めは地元の保育士里紗への下心で居残った真也だが、やがて手塩にかけた農作物の収穫や、彼のボス正雄の農業への誇りに触れるうち、福島の日々を好きになる。そんな中、ある日真也は初めて売り子をした県外の直売所で、福島県産の野菜を毛嫌いする客にキレて殴りかかる。真也は諫められるが、どうしても納得がいかず……。
孤独に気付いた男 生きる意味を探す少女 奇跡を信じる青年 出会い、つながり、向き合った時、心の化石が掘り起こされる。美術店の店主・草介は悠々自適な毎日を送るも、ひとり孤独を感じていた。そんな草介の姿をいつも店先から見つめる少女から「生きてますか」と一言だけ書かれた手紙が届く。その不思議な手紙に導かれ、草介は少女の母親と出会い、少女が数日前から家出していることを知る。その頃、少女は恐竜の卵の化石を掘り起こすことが夢だという青年に出会う。少女の行方を追う草介は青年の姉のもとにたどり着くのだが、少女と青年は化石の発掘現場を最後に姿を消してしまっていた。過去に置き去りにしてきた秘密のつながり、そして偶然の出会いが生んだ奇跡とは―。
2011年2月、末期がんによる余命宣告を受けた俳優、入川保則。延命治療を拒否し、自分自身をモデルとして主演映画の撮影に挑む。2011年12月、本作の完成・公開を目前に死去。これは名脇役と呼ばれた男の、魂のラスト・メッセージである。福島県白河市。警視庁捜査一課の刑事だった森川は、今は喫茶店「ビターコーヒーライフ」のマスターとして働いている。仕事ばかりで過程を顧みなかった森川は、一人娘の七海とも疎遠なままに過ごしていた。彼は20年前に逮捕した殺人犯の娘・明日香を引き取り、養女として育ててきた。大人になった明日香は、森川と七海の関係を修復しようと苦心している。一方、自分が末期ガンに侵され余命わずかであることを知った森川は、行方が知れないままの明日香の父親を探すため奔走するが…。
1900年頃のオーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は渓谷に住む、遠い親戚クランツシュトッカー(アンドレアス・ルスト)の農場にやってきた。しかし、農場主にとって、孤児は安価な働き手に過ぎず、虐げられた彼にとっての心の支えは老婆のアーンル(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)だけだった。彼女が亡くなると、成長したエッガー(シュテファン・ゴルスキー)を引き留めるものは何もなく、農場を出て、日雇い労働者として生計を立てる。その後、渓谷に電気と観光客をもたらすロープウェイの建設作業員になると、最愛の人マリー(ユリア・フランツ・リヒター)と出会い、山奥の木造小屋で充実した結婚生活を送り始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった・・・。第二次世界大戦が勃発し、エッガーも戦地に召集されたもののソ連軍の捕虜となり、何年も経ってから、ようやく谷に戻ることができた。そして、時代は過ぎ、観光客で溢れた渓谷で、人生の終焉を迎えたエッガー(アウグスト・ツィルナー)は過去の出来事がフラッシュバックし、アルプスを目の前に立ち尽くす―。
すべてを失った青年に残っていたのは“記憶”懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる- 骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大。ある日、看護師をしながら夜学に通っている佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失う。その後、大の人生の“何か”が狂っていく―。先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまうことに。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女、夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。
春、深い山間の自然に囲まれた湖に浮かぶ小さな寺。幼子と老僧が静かに暮らしていた。無邪気な幼子は、いたずら心から小さな生き物を殺めてしまう…。夏、幼子は17歳に成長し、寺に養生にやってきた同い年の少女に恋をする…。秋、寺を出奔した男が十数年ぶりに帰ってくる。冬、中年となり、再び寺に戻ってきた男。そこに老僧の姿はもうない。男は荒廃した寺でひとり心身の鍛練に励む…。季節は移ろい、再び春がめぐってくる…。
1995年、神戸。伊智子と太助は、阪神・淡路大震災により一人娘のれいこを亡くす。その後、離婚した二人はそれぞれの生活を始め、淡々とした日常の中、徐々にれいこの死を受け入れていく。2018年、久しぶりに再会した二人は、れいことの思い出の水族園へ行き、イルカショーを見るが…。
結婚から3年、大内綾(30)は仕事に熱中する日々を送っていた。夫・健太郎から「そろそろ子どもが欲しい」と言われるが、綾は妊娠・出産に勇気が持もてない。ある日綾は仕事で、子どもを持たない夫婦が子どものいる家庭を体験する『家族留学』のイベント運営を任される。2人の子どもを育てながら働く三島沙織(30)の家庭に体験に行くが、綾は生活のためには「本当にやりたい仕事」を諦め事務職で働く沙織の気持ちが理解出来ず傷つけてしまう。一方の沙織も、夫からの家事育児の協力が得られず不満が積もる日々を送っていて…。
バブル期の到来を迎えた台湾。その出会いが、図らずも少年にある選択を迫ることになる……台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“老獪なキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……!?
メリーランド州ガリーナに住む高校生コールの夢は、農場を経営してガリーナの農業を発展させること。そのため幼馴染のジャックと恋人のエルと離れ、大学進学を決意。主専攻は“農学”と考えていたが、地方銀行の支店長である父親に、将来性の高い学部を選ぶよう説き伏せられてしまう。卒業後はガリーナに戻ることを希望していたが、両親がコールに内緒で法科大学院への奨学金を取得したことで進学を余儀なくされ、またしても自分の夢は後回しに。やがて法律事務所に就職したコールは、ここでも上司の期待に応え順調にキャリアを積み、美しい妻と大きな邸宅、高級車を手に入れ成功者となる。そんなコールだったが、彼の心の中を占めていたのは、農業への夢と、ジャックと結婚したエルを想う気持ちだった。
沙里が11歳の時に両親が離婚し、母は大好きな弟を連れて出ていった。3年後、だらしのない父親のもとで暮らす沙里は、部費すら払えないギリギリの生活の中で、陸上部エースながらも傍若無人に過ごしていた。そんなある日、沙里はスーパーで弟と再会するが、その傍にいたのは沙里の母と、沙里とは犬猿の仲の陸上部部長・雪菜だった。
母親の小百合の入院日。手術しても助からない可能性があると知っている雄晃は若さ故に、その現実を受け入れきれずにいる。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?そんな想いに苛まされる雄晃は、自傷行為として、髪を染め上げ自分の殻に閉じ籠る。子供を身籠っている姉の樹莉は、父親になる相手が蒸発したため、自分一人で子供を育てようと決意している。父親の正晃は、妻がいなくなってしまうかもしれないという現実を未だに入ることができず、子供達と衝突を重ねる。家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう中、母親の小百合だけが家族のことを想っており、その想い、愛情を知った夫の正晃の心に、小さな変化が起こる。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。
幸せだったとは決して言えない思春期を過ごしてきた由起子。そんな彼女はある日、街中で喧嘩をしている京介に出会う。京介に惹かれていく由起子。由起子を受け入れる京介。自然と2人は関係を持つ。自分の理想を相手に求める由起子。自分の欲望を相手に求める京介。誰かを傷つけて、傷つけられて、初めて人と人とのpinto(焦点)が合っていく。
「2nd Memories」・・・別れ話をするカップル。彼女の陽花は、お互いの記憶をリセットして欲しいと亮にお願いする。記憶リセットクリニックでお互いの記憶をリセットしたはずの2人だったがある日、偶然の再開を果たす。「アンナとアンリの影送り」・・・一人隠れて曲作りをしているアンリのクラスに、東京から女優志望の転校生アンナがやってくる。夢を追いかけたい二人を邪魔する厳しい現実と家庭環境。未来を見つめて歩く二人の影が夢のように伸びては消えていく…。「シラユキサマ」・・・香奈、のぞみ、麻衣の三人は、ある日の放課後、古き儀式であるシラユキサマに今後の自分達の運命を尋ねていた。その途中西村先生が来て、シラユキサマの和紙を破ってしまう。西村先生は取り憑かれてしまい…。
「島のシーグラス」・・・熊本県上天草市の離島・湯島に1年前に一人で移住してきた元骨董品鑑定士の神田(68)は1年経っても島民との交流はなく、コレクションの絵画や骨董品を眺める生活をしていた。ある事をきっかけに、誰とも心を通わせなかった孤独な老人と、島の子供である朱莉との不思議な交流が始まる―。「ブレス」・・・片田舎の短大に通う沙織と彩香。真面目に将来を見据え努力して来た沙織は東京の大企業に就職する。大学時代から水商売で金を稼ぎ、自由に遊んでいた彩香も東京へ上京する。対照的な二人はある日、東京で偶然再会することになるが…。「セミが鳴いた日」・・・ある日、サダオは幼馴染のサナと釣りに来ていたが、サナが大事な指輪を川の中に落としてしまう。その指輪を探してあげるサダオであったが、その指輪はサナに求婚を迫っていたカワスミから渡された結婚指輪だと聞かされ…。
かつて愛したホスト・隼人(水上恒司)を刺し殺そうとした沙苗(橋本愛)は、数年の服役後、お見合いで出会った健太(仲野太賀)と結婚する。平穏な結婚生活が始まったと思っていた矢先、謎めいた隣人の女・足立(木竜麻生)が現れる。気さくな足立に心を許しかけていた時、明かされる秘密。そして全てを捧げた隼人の影に翻弄される沙苗。普通の生活へ引き戻してくれる健太の温もりを受け取りながらも、隼人への燃え上がるような想いを抱き続ける沙苗がたどり着いた、“愛し方”の結末とは――。
自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な遥は、走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた。だがある日、不慮の事故に合い、命は助かったものの二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられパラカヌーという新たな夢を見つける―。きらめく水面を背景に、母の愛、淡い恋心、恩師との約束・・・そして、大切な人の想いを乗せて、どん底から道を切り開いていく。
5歳で父親と死別した八雲御子。翌年には母親も失踪してしまい、祖母に引き取られた御子だが、18歳になると祖母も亡くなり、天涯孤独となってしまった。しかし、祖母の葬式に母親の弟である雷土悟郎が現れ、住む場所とアルバイトを用意してくれた。その仕事とは、ワケあり物件に住み込んで事故の履歴を帳消しにし、次の住人を迎えるまでにクリーンな空き部屋へと浄化すること=“ルームロンダリング”。引っ込み思案で人づき合いが苦手な御子にとって都合の良い仕事だったはずが、行く先々で待ち受けていたのは、幽霊となって部屋に居座る、この世に未練たらたらな元住人たち。ミュージシャンになる夢を諦めきれないパンクロッカーや見ず知らずの男に命を奪われ恨み節が止まらないOL、カニの扮装をした小学生!?なぜか彼らの姿が見えてしまう御子は、そのお悩み相談に振り回されて…!?
その姿は世の女性が憧れる理想像。食品メーカーに勤め、業界の第一線を走るキャリアウーマン・川原由加利(長澤まさみ)は、研究医で面倒見の良い恋人・小出桔平(高橋一生)と同棲5年目を迎えていた。ある日、由加利が自宅で桔平の遅い帰りを待っていると、突然警察官が訪ねてくる。「一体、彼は誰ですか?」くも膜下出血で倒れ意識を失ったところを発見された桔平。なんと、彼の所持していた運転免許証、医師免許証は、すべて偽造されたもので、職業はおろか名前すらも「嘘」という事実が判明したのだった。騙され続けていたことへのショックと、「彼が何者なのか」という疑問をぬぐえない由加利は、意を決して、私立探偵・海原匠(吉田鋼太郎)と助手のキム(DAIGO)を頼ることに。調査中、桔平のことを“先生”と呼ぶ謎の女子大生・心葉(川栄李奈)が現れ、桔平と過ごした時間、そして自分の生活にさえ疑心暗鬼になる由加利――。やがて、桔平が書き溜めていた700ページにも及ぶ書きかけの小説が見つかる。そこには誰かの故郷を思わせるいくつかのヒントと、幸せな家族の姿が書かれていたのだった。海原の力を借りて、それが瀬戸内海のどこかであることを知った由加利は、桔平の秘密を追う事に……。なぜ桔平は全てを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか?そして、彼女はいまだ病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に、辿り着くことができるのか――。
性格に艶がないワーカーホリックのポリーアーティスト(音響効果師)、チョンチョル。仕事にすっかりはまって生きるチョンチョルは、ポリーアーティストとしては最高だが、息子のウンギュと妻のヒスには、自然と粗雑にされ、家族たちには、大韓民国代表「不良家長」の烙印が押されている。そんなある日、間違いなく録音室で全身で効果音を作ったチョンチョルは、運悪く鳴った妻の電話に癇癪を起こし、仕事に熱中するため、ついに電話機の電源を切ってしまう。観賞用の幼い鉄甲鮫(チョウザメ)を育て、また海に送りかえすという夢を持った純粋なヨンウン。大型マートでの小さな接触事故で、幼い王子ヨンウンと不良パパ チョンチョルは、運命的な出逢いを持つ。ケガしたところがないかという問いに、自動車がケガしたのを心配する明るい子供ヨンウン。そんなに会ってもないのに、足音だけ聞いて、自分だと分かるヨンウンに、チョンチョルは、気づかないうちに徐々になくしていた小さな幸福を探すようになる。しかし、幸福もしばらく、ある日チョンチョルは、ヨンウンが死んだ息子ウンギュと関連があるという新しい事実を知るようになる。
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった…。
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れる。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わすが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れる。ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく…。
クリスティアンは権威ある現代美術館のキュレーター。洗練されたファッションに身を包み、バツイチだが2人の愛すべき娘を持ち、そのキャリアは順風満帆のように見えた。彼は新たな企画として「ザ・スクエア」という地面に正方形を描いたアート作品を展示すると発表する。四角の中は人々に「思いやりの心」を思い出してもらうための聖域であり、社会をより良くする狙いがあった。だが、ある日、携帯と財布を盗まれたことに対して彼がとった行動は、同僚や友人、果ては子供たちをも裏切るものだった…。
綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)は、見習いからホテルのボーイとなり、遂には、ホワイトハウスの執事にスカウトされる。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争・・・、アメリカが大きく揺れ動いていた時代。セシルは、歴史が動く瞬間を、最前で見続けながら、忠実に働き続ける。黒人として、そして、身につけた執事としての誇りを胸に。そのことに理解を示す妻とは別に、父の仕事を恥じ、国と戦うため、反政府運動に身を投じる長男。兄とは逆に、国のために戦う事を選び、ベトナムへ志願する次男。世界の中枢にいながらも、夫であり父であったセシルは、家族と共に、その世界に翻弄されていく。彼が世界の中心で見たものとは?そして人生の最後に流した、涙の理由とは―。
キャビンアテンダントからある出来事をきっかけに、大城病院で医療秘書としてはたらくことになった高杉和代。医師確保が急務の大城病院、和代は院長の峰山昇太郎と必死に奔走する。そんな中、和代は以前怪我の処置をしてもらった医師白鳥良太に白羽の矢を立てる。医師の鏡のような白鳥の姿に次第に惹かれていく和代。しかし、白鳥には大きな秘密があった。様々な問題を抱える日本の医療制度をテーマに、実際に医療現場で起こった事件をモチーフとし繰り広げられる人間ドラマ。
過疎化の進む地方都市。かつてその街に住んでいた花村茉莉は今は東京で働いていた。亡くなった父の遺産として実家を譲り受けるが、仕事を解雇されることになり売却を考えていた矢先、実家で父の幻影を目にする。悩む茉莉の元へ、かつて教師をしていた父の教え子・陽子が現れ、父の思い出を聴きながら、自分の生き方を見つめ直してゆく。
朝鮮時代末期。母を亡くした少女チェソンは、偶然にも耳にした【パンソリ】で唄われていた悲運なヒロインに自らの人生を重ねて感銘し、唄い手になることを決意する。当時は女性が【パンソリ】を唄うことは固く禁じられていたが、あきらめきれないチェソンは性別を偽り、大家ジェヒョのもとで修業を積む。ある日、時の権力者・興宣大院君が主催した宴に危険を冒して臨むのだが…。最後まで夢を信じる少女と、命がけで支え【パンソリ】の全てと愛について教えた師匠。そして、ふたりの運命を握る絶対的な権力者。知られざる実話が、いま美しくスクリーンに花開く―ー。
ある日、警察に一人の男が現れ、こう告げる、「自分の失踪届を出したいのですが―」。交通事故に遭ったエリート弁護士のソグォンは、10年間の記憶を失い、自分が何者かも分からない状態になっていた。ある日、リハビリのため訪れた病院で、彼を見て涙を流す不思議な女性ジニョンと出会う。気になったソグォンは声をかけ、それをきっかけに打ち解けていく二人。仕事にも復帰し、いつしか彼女と新たな幸せを築いていくが、ソグォンは少しずつ記憶を取り戻していき、失われた10年のこと、そしてその原因となった事故のことを思い出していく……。
自閉症だった幼いロブは母亡き後、叔母と暮らしていた。だが、戦争でPTSDになり帰還した元軍人の父カールと暮らすことに。父は息子の自閉症を認めたがらず、鍛えれば治ると武道を習わせようとするが、講師に戒められる。やがて自閉症児のための支援教室に通うことになったことで感情を爆発させることもなくなったロブは、武道家でダンスの得意な青年へと成長。ある日、ひったくりに遭っていた女性ガブリエラを救ったことを機に、ロブは彼女と恋仲になる。ロブはガブリエラに自閉症であることを明かすが、ガブリエラは全く気にも留めず、より深くロブを愛するように。そんなロブは父から、ガブリエラの存在を否定され、一人前の男として軍隊に入隊するよう勧められるのだが…。
困窮した家族の危機を救うため、ある荷物をフランスへ運んだジョンヨン(チョン・ドヨン)。「金の原石」だと信じていたその荷物の正体は、なんと麻薬だった。言葉が一切通じない異国の地での逮捕劇。弁解の余地も与えられないまま、祖国から12,400kmも離れたカリブ海に浮かぶ島、マルティニークの刑務所に送り込まれてしまう。この世の果てのような地で想像を絶する過酷な環境に閉じ込められ、いつ終わるのかも分からない拘束は続いた。彼女は家族のもとに帰りたい一心で地獄の日々を抜け出そうとするのだが…。
18カ月間だけ、刑務所の中で子供と暮らすことが許されている母親ジョンへ。家族に見捨てられた死刑囚ムノク。哀しい事件によって未来を閉ざされた娘ユミ。誰もが心の傷を抱える女子刑務所で、在監者たちによる合唱団が結成された。歌を通じて明日への希望を見出した彼女たちは猛特訓によって合唱を成功させるが、その時ジョンへには最愛の子供との別れが待っていた…。会いたい人に会えない哀しみと音楽を通して生まれた友情はやがて美しいハーモニーとなり、クリスマスの舞台で思いもかけない奇跡を呼び起こす--。
都市生活とは無縁の緑豊かな村に、ユ・ヘグク青年がやって来る。父が亡くなったという知らせで駆けつけたのだが、父と親しかったらしい村長も村人たちも、彼の出現に困惑を隠さない。幼い頃に別れた父とはいえ、死因すら不明では納得できず、ヘグクは村にしばらく滞在することに。小さな商店を開いている妙齢の女性ヨンジの家に下宿したヘグクは、村長たちばかりか、このヨンジも、この家も、いや、村全体が、秘密の闇を抱えていると察知する。だが、ヘグクがその正体を探り始めると、村人がひとりまたひとりと死んでいくことに!彼らが隠し通そうとしている秘密、その始まりは、30年前にさかのぼるのだった・・・・・・。
テレクラでアルバイトをしながら飄々と今を生きる女、トーコ。ある時、メジャーデビュー寸前の人気バンドのギターヴォーカル、よっくんと出会う。背伸びをしない自然体なトーコの魅力にハマっていくよっくんだが、いざ大事な話をしようとすると、トーコはハミングではぐらかす。奥底に、つかみどころのないトーコが存在する。子どもの頃に傷ついた心。人を信じられない心。小さな闇を持つトーコに翻弄されるよっくんとその仲間たちを描いた、青春群像劇。
コンビニのアルバイト店員・志村イトは、失踪した幼馴染みを追って幼少期に住んでいた都営団地へと向かう。そこの老朽化したエレベーターに乗り、この世界とよく似ているが全く違う異世界=パラレルワールドへ降り立つ。そこで彼女は現実の世界から消えてしまった人々と再会するのだが――
1989年、冬。中学教師・甘利田幸男は、北の地に降り立った。隠し持った真の目的はアレを味わう事。だが赴任から一年以上経つもアレが献立に登場する事は無い。相変わらず給食のために学校へ行き、食のライバル粒来ケンと毎日密かにしのぎを削っている。一方、新米教師の比留川愛はそんな甘利田に憧れを抱き、近くにいたいと願っていた。そんな頃、忍川中学が給食完食のモデル校に選定される。忍川町では町長選挙を前にして、政治利用に使われようとしていたのだ!不穏な空気を察知した甘利田は、おいしい給食を守るために立ち上がる!そんな中、アレとの頂上決戦の幕が上がろうとしていた。
脳腫瘍で余命半年と宣告された元殺し屋のレクイエム。だが、仲間のジョニーには真実を告げず、これまで通り借金の取り立てで日銭を稼ぐ生活を続けようとしていた。一方、ロンドン市内の瀟洒な家に妻と12歳の娘エルシーと暮らす株式ブローカーのジェームズは、ヨーロッパ最大のヘロイン商人で“公爵”と呼ばれる男から借金をしたことから窮地に陥っていた。人身売買にも手を染める公爵はエルシーに目をつけ、男女3人のチンピラにジェームズを襲わせ、エルシーを拉致しようとしていた。そこに偶然、借金の取り立てに現れたレクイエムだったが、エルシーを救わなくてはならないと使命に駆られる。公爵とは関わるなと釘を刺されるが、レクイエムはエルシーを守り抜こうと暴走していく。
竹中時雄(48)は脚本家を生業としているが、仕事への情熱を失い、妻のまどか(47)との関係も冷え切り、漠然と日皮を過ごしていた。ある日、時雄の作品の大ファンで脚本家を志しているという横山芳美(21)が仕事部屋に押しかけ、弟子にしてくれてと懇願する。時雄は芳美の熱心さに根負けする形で師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするなかで芳美の物書きとしてのセンスを感じるとともに、彼女に対し、恋愛感情を覚え、公私共に充実した時間を得るようになる。だが、そんな日閃もつかの間、芳美の彼氏で同じく脚本家を目指しているという田中秀夫(20)が上京してくるというのだ。嫉妬心と焦燥感に駆られ、強く反対する時雄だったが・・。
出会いと別れが交錯する命の現場で紡がれる「わたしたち」の物語――舞台は九州・熊本の看護師養成機関。幼い頃に母親を病気で亡くした学生、木津川あかねは、大学を中退した幸助、元居酒屋店員の俊夫、シングルマザーの玲子ら様々な事情を抱えた仲間と学内演習に励んでいた。そしてついに迎えた病院での実習。古村という患者の担当となり、病状の深刻さに戸惑いながらも交流を深めていくあかねだったが、その矢先、あかねの些細なひと言が原因で、古村が心を閉ざしてしまう……。それまで日々の実習や実習記録の提出に追われ、看護とは何かを見失っていたあかね。だが古村の葛藤に触れ、大切なのは、患者の本当の苦しみに寄り添うことだと気づいた彼女は、古村の願いを叶えようとする――。
23年前にロシアへ出稼ぎに行ったまま行方がわからなくなっていたザールクが、キルギスの村に帰ってきた。家族や村人たちは記憶と言葉を失った彼の姿に動揺するが、そこにザールクの妻であるウムスナイの姿はなかった。周囲の心配をよそに、ザールクは村にあふれるゴミを黙々と片付ける。そんなザールクに、村の権力者による圧力や、近代化の波にのまれていく故郷の姿が否応なく迫る。
急速な西洋化と経済発展が進む1990年代前半の台北。企業を経営するモーリーは、自分の会社の経営状況も、婚約者アキンとの仲も上手くいかずにいる。モーリーの会社で働く親友チチは、モーリーの仕事ぶりに振り回され、恋人ミンとはケンカが絶えない。そんなモーリーとチチの2人を中心に、同級生・恋人・同僚など10人の男女が2日半という時間の中で織りなす人間模様を描き、心に空虚感を抱える彼らが自らの求めるものを見いだしていく姿を映し出す。※デジタルレストア版となります。
東京郊外で倉庫作業で働きながらただ漠然と日々を過ごす真司。唯一の趣味は本を読むことでよくノートに自分の気持ちを書いている。そんな真司だが過去に一度だけ原田茉耶という女性と付き合っていた。彼女とはうまくいっていたのだがある日突然別れ話を真司の方から切り出してしまう。真司は茉耶に言えない過去をもっていた。児童養護施設で育った真司はその時の経験で強烈な劣等感を感じていた。別れ話の数日後二人は台北に来ていた。事前に予約していた台北旅行。茉耶は複雑な気持ちだったが真司に半ば強引に説得され行くことにした。楽しさと悲しみが入り混じった旅行をする二人。茉耶は不意に涙し「だって私ずっと一人なんだもん」と気持ちを吐露してしまう...
日光二社一寺への参道入口にある実在の人気カフェ「本宮カフェ」を舞台に、カフェを経営する大場嘉門とその家族を中心に、町の人々や日光を訪れる人々など、人と人が織りなすヒューマンコメディ。嘉門の名前は、父の大場馨が「大バカがおる」と若い頃にからかわれたのだが町を変えるのは「大馬鹿もんだ」という深い意味に感動して息子に嘉門と名付けたのだった。そこへ現れる謎の女性――。「日の光る処の輪の中にそれはある」、嘉門はその女性が残した謎の言葉の意味を探して回る。輪王寺門跡(宝田明)はそれを見守る。
日光二社一寺(日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社)への参道入口にある「本宮カフェ」。オーナーの大場嘉門(スネオヘアー)は、娘やスタッフにカフェを任せて趣味の写真を撮りに毎日フラフラと出掛けている。そんな中、アルバイト店員の遠藤奈々(万登香)は仕事が終わると、ベランダ席でギターを弾きながら歌の練習をしている。ミュージシャンになる夢を抱く彼女は、地方から出てきたが、なぜか東京へ行かずに日光に居つき、カフェのバイトが休みの日は路上で弾き語りをしたりしている。そんな彼女をカフェの仲間や常連客たちも応援し、奈々もひたむきに音楽を続けているが……。
「お母さん絶対だよ?絶対に迎えに来てね」児童養護施設に預けられる幼い姉の松平香(西尾まう)と弟の松平勇人(勇翔BOYS AND MEN)はすぐに母親が迎えに来ると思っていたが、母が迎えに来ることはなかった。年齢で養護施設を退園した香と勇人は、二人で母親を探しながら社会の片隅で懸命に生きていた。ある日、育った養護施設の廃園が決まり、閉園式の手紙が二人の手元に届いた。閉園式でかつての仲間、佐藤良太(辻本達規BOYS AND MEN)、渡辺洋介(本田剛文BOYS AND MEN)、西川光(平松賢人BOYS AND MEN)と再会する。プロのダンサーを目指して施設の庭で夜、ダンスの練習をしていた5人だったが、生きていくためにいつの間にか夢を追いかけるのをやめていた。しかし、光だけはインディーズのダンスグループで夢を追いかけていた。ダンスグループ「SOMEDAYS」に初めてのオファーが入り、自分たちのように喜んだ香たちだったが、そのグループは仲間割れで解散してしまっていた。「だったら俺たちが一緒にやってやるよ!」良太の一言で即席の「SOMEDAYS」が(再)結成された。
埼玉県川越市を舞台に、一人暮らしの老職人とクラブシンガーを名乗る謎の女性との交流を映し出すヒューマンドラマ。ある日、アンティーク照明の修理店を営む藤吾のもとに、20年前に行方をくらました藤吾の息子・耕輔の子をお腹に宿しているという洋子が現れ……。
事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東京で役者をしながら、理想と現実の狭間で憂鬱なときを過ごしていた。ある日、西村は大畑と偶然再会する。町にはゆっくりと陽が落ち、そこで暮らす人々はそれぞれの帰路に着く。窮屈で、美しい、その町を眺める二人は、その景色にそれぞれの記憶と想像を重ねる。
シングルマザーのアルマに育てられるクレメンとピーターは親友のように仲の良い兄弟。無口なクレメンにとって、兄のピーターは世界の半分以上を占めるほどに大きな存在だ。しかし、クレメンを包んでいた優しい日常は、兄ピーターの初めての恋人、華麗なソニアの登場によって急激な変容を遂げてゆく。彼女にベタ惚れするピーターの眼中には、もはやクレメンの姿はない。生まれて初めていだく感情の渦に叩き落とされ、追い詰められたクレメンは、やがてある計画を実行に移そうとする…
急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みる。息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げる。息子がゲイだという衝撃の事実に動揺した彼は、ガブリエルの死を知り悲しむセバスチアンを激しく罵倒してしまう。2週間後、セバスチアンに言われた言葉が気になり眠れなくなったホルヘは、息子の本当の姿を知るべく、ボリビアを離れニューヨークのセバスチアンの家を訪れる。アポイントもなしにセバスチアンの家を訪れたホルヘは、再び激しい口調で詰問するが、興奮のあまりその場で昏倒してしまう。
銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる-。
腕ききのネオン職人だった夫ビルが亡くなった。古き佳き時代のガラス管のネオンを愛した夫。妻メイヒョンは後悔していた。かつてSARSが香港を襲ったとき、夫にネオンの仕事を廃業させたことを。ある日メイヒョンは、「ビルのネオン工房」と書かれた鍵を見つける。もう10年前に廃業したはずなのに。昔の工房へ行ってみると、そこには見知らぬ青年がいた。名前はレオ、夫の弟子だという。ビルの死を伝え、工房を閉めると告げるメイヒョン。レオは、師匠にはやり残したネオンがある、それを完成させるまでやろうと説得する。メイヒョンは、夫がやり残したネオンを探しだし、完成させることを決意する。ネオン作りの修行を始めるメイヒョン。一方、ひとり娘からは、香港を離れて海外へ移住すると打ち明けられる。はたして夫の最後のネオンの行方は?
舞台はメキシコ・オアハカ州の小さな村。アニマス・トルハーノ(三船敏郎)は貧しい農夫。働き者の女房(C・ドミンゲス)に45人の子供の世話と畑を任せっきり、自分は酒と博打の日々を送る。年に一度の村祭りを取り仕切るマヨルドーモに選ばれるのがこの男の宿願だが、それには、財力はもちろん人望だって欠かせない。アニマスは金を得ようとするが、神頼みがモットーで、女房の残した銀貨を片手に小博打にうつつを抜かす酒びたりの怠け者には、とうてい運は廻ってこなかった。女房の哀願に耳を貸し、珍しく製酒工場で働くアニマスだったが、工場主の息子が自分の娘に手を付けたのを見て、たちまち鍬を持ち出して大立ち回り。町の留置場に送られる。そこでも出獄する受刑者が磁石を拝んでいたら運が向いてきたというのに騙され、磁石と自分の毛布を交換。今まで拝んでいたマリア像を引き吊り降ろして、磁石を拝むアニマスであった。一方、アニマス一家はけなげに働いて金を稼ぐ。しかしその金も、出所したアニマスが持っていってしまう。たまに金を掴むことがあっても、その金は博打か、娼婦カテリーナに巻き上げられるかであった。遂に悪魔に魂を売ったと宣言して、怪しげな黒魔術の儀式を始めるアニマスだったが、結果は飼っていた鶏を騙し取られただけであった。女房の苦労は絶えない。アニマスの娘がつくった赤子を引き取りにやってきた工場主が、慰謝料を受け取れと言ってきた。一生かかっても拝めない大金である。その金でマヨルドーモになろうとするアニマス。司祭は肩書によってアニマスが成長するかどうか変化を見たいと、彼をマヨルドーモに選ぶ。祭りの日、着飾ったアニマス一家が誇らしく町を歩く。しかし金持ちに孫を売りつけて、マヨルドーモになったと人々は彼を嘲笑するのだった。ショックを受けるアニマス。そしてアニマスの金目当てに再び近づいてきたカテリーナをアニマスの女房が刺してしまう。アニマスはようやく自分の愚かさに気づいて、女房の代わりに警察に自首するのだった。
バーチャリー・ユー社のCEOニールは、将来起こり得ることを科学的に示唆することのできる最新技術のプレゼンに躍起になっている。しかし、そんな彼の懐には拳銃が…。時は1年前に遡る。彼には2人の娘がいた。長女モニカは明るく社交的だが、大学生の次女マヤは繊細で内向的。そんなマヤが自殺したのだ。悲しみに打ちひしがれながら、ニールは妻のルーパやモニカに自殺の理由を問い詰めるが、全く見当がつかないでいた。しかし家政婦のディディによって、前年のクリスマスにマヤが帰省した際、とても悲しそうにしていたことを知る。思い立ったニールはマヤの大学へ赴き、ルームメイトらに聞き込みを開始するのだが…。
1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を3人で重ねていく―。
ぼくはNYで透明人間になった…幸せを掴むために祖国ペルーを捨て、ニューヨークの片隅で不法に暮らすデュラン一家。母ラファエラはウェイトレスをしながら二人の息子を女手一つで育て、息子のポールとティトも語学学校に通う傍ら、配達員をしながら家計を支えていた。不法滞在者である彼らにとって現実はあまりにも厳しく、お金の問題に加えて見つかれば国外追放されてしまうという恐怖が常に付きまとっている。市民権もなく何の力もない自分たちを「透明人間」と呼び、息をひそめて生きていた。二人はある日学校で、神秘的な魅力を放つ美女・クリスティンと出会い、恋に落ちる。しかしクリスティンはコールガールという一面を隠し持っていた。一方、母ラファエラは、ウェイトレスの生活に疲れ果てた時、客の白人男性に声をかけられる。恋なんて葬り去っていたラファエラだが、安定を約束するという口車にはまってしまい、自分たちのアパートを提供して男と一緒にチキンフード店を開業する。それぞれが恋に落ち、辟易していた毎日に<希望>を見出したかのように思えたのだが…。NYという大都会で出会う人々の欲望と心の闇が次々と露になり、母子3人は最も恐れていた事態に直面し、引き裂かれてしまう。仕事を抱えながら息子たちを必死に探すラファエラ。果たして、母子3人は再会することができるのか?
「本当に幸せになっていいのか……」13歳の時に友達の犯行で妹を亡くした新聞記者の月野木薫。結婚式も控え、友人・岡田の子供たちの世話を手伝い、幸せな日々へ期待を抱く一方、亡き妹に対する後ろめたい気持ちが募る。そんなある日、中学校の屋上から女子生徒が転落死する事件が発生。薫が突き止めた加害少女は、岡田の娘・茜だった。そして、転落し亡くなった少女と家族同然の付き合いだった香川晃は、薫の妹を殺害した過去を持つ元加害少年だった。少年期とは逆の立場でその悲しみを知ることになった薫と晃。運命に引き戻された二人は、26年ぶりに再会することに……
ゲイでナルシストの老絵本作家山崎は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオと出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ――自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人の旅が始まる…。